麗月に貴女を想ふ

今朝の紅茶は特段においしい。

濃いめに入れた紅茶が、冷えた体を温め

起き抜けの心を、じんわりと溶かすのです。

窓からのぞく晴れ渡った冬空に、優しい朝日の光。

太陽の香り。

小鳥のさえずりが微かに響き渡り

花に朝露がはじけ、じいやが起きる。

世界の始まりのように厳かで、静かで、爽やかな朝。

貴女にも、こんなに気持ちのいい朝があればいいのにと思う。





好きなことをしていると、時間を飛び越えられる。

私が好きなことは、たくさんある。たくさん。

軋むソファに腰かけると、お菓子の時間がやってくる。

甘い甘いケーキにご挨拶。

今日はミルクティーもいらっしゃるのですね。

口の中で開かれる甘美な舞踏会に、抑えきれずに体が動く。

目を閉じれば、森の中。

魅惑の甘い香りに招待された賓客達が

幸せそうに舞い踊る。

リスやウサギ、小鳥にミツバチ・・・・

目を開けるとそこには・・・・水瀬でした。

貴女にも、こんなにとろけそうな幸せがあればいいのにと思う。






時間を飛び越えたのには、理由がある。

私が一番幸せな時間に、行きたかったから。

それは、私だけの特別な時間。

特別な気持ち。

貴女には、教えることはできない。

幸せなことは、たくさん教えてあげます。

爽やかな朝が紅茶がおいしくさせてくれること。

甘いケーキは、心躍らせてくれること。

合わせて、水瀬が寄ってくること。

たくさん教えてあげられます。

でも、この時間だけは、教えてあげられない。

私が、私だけが世界で唯一知っている幸せ。

私だけの秘密。

秘密です。





「おかえりなさいませ、お嬢様」




黒崎

















































なんて、お嬢様を想うばかりに、

この様な赤裸々な気持ちを綴ってしまいました。

バレンタインに触発されたせいでございましょうか...



嗚呼、お恥ずかしい...
Filed under: 黒崎 — 06:30