お嬢様、ご機嫌麗しゅう。
黒崎でございます。
春を迎えたティーサロンには、新しい顔も増え、若々しいパワーが漲っておりますね。
お給仕に励む後輩達を見ておりますと、
「遮二無二頑張っているなぁ。私にもそんなころがあったっけ....」
と、心の中で老けたことを宣ってはおりますが、
そもそも私とてまだ1年も経たぬ生後11ヶ月ほどの元気な男の子。
首も座り、1人で立ち、ブーブー(車)とヴーヴ(シャンパーニュ)の区別が出来るようになったばかりでございますから、
そのように達観できるような立場でもございませんね。
私も精進せねば。
とはいえ、新しい者達にとっては私のような者でも先輩でございます。
時には、後輩達とのコミュニケーションを図り、様々なことを教えてあげるのも務めでございましょう。
〜お給仕後のヒトコマ〜
黒崎「浅葱くん、お疲れさま。」
緑川「今日も頑張ってたね!浅葱くん。」
浅葱「.....お疲れさまです。」
平山「どうしたの?暗い顔して。」
浅葱「私はまだまだ未熟です。先輩方のように華麗に給仕したくても、中々思うようにいかなくて....」
浅葱は真面目な者ですから、何か出来なかったことを反省しているのでしょう。
なんともまぁ健気な子.....ハァ
黒崎「よかったら、これから食事でもどう?反省することも大事だし、切り替えてまた明日晴れやかな気持ちでお給仕する為にも、ね♪」
緑川「いいねっ!黒崎くんの奢りね」
黒崎「...いや.....ちょっとそれは」
浅葱「いいですね、奢り!」
黒崎「(浅葱くん...すでに晴れやかな顔になってるよ....なんともまぁ幼気な子...ハァ)」
平山「僕も行きます!」
黒崎「よし行こう♪(...犬っぽいな平山くん)」
かくがくしかじかございまして、
さぁ食事が始まれば浅葱の暗い顔はどこへやら。
いつもの素敵な笑顔の浅葱がおりました。
さてさて場も盛り上がり、いつしかこんなお話に...
黒崎「浅葱くん、何か得意なことや趣味なんかないの?」
浅葱「え、なぜですか?」
緑川「ほら、もしかするとカウントダウンパーティーで浅葱くんも何かお嬢様に披露する機会があるかもしれないから」
浅葱「趣味...趣味..えーと..【落語】ですかね。」
緑・黒・平「落語......」
緑川「へ、へぇ...面白いね!じゃあ落語を披露してみなよ!」
浅葱「いえ...できませんよ。」
平山「どうして?」
浅葱「私、着物を持ち合わせてませんから。」
黒崎「そっかぁ...(そこ重要なんだ)」
浅葱「形からしっかりしておかないと、いいものをお見せできませんから。」
緑川「じゃあダンスは?最近、ダンスをしてみようかなって思うんだよね。楽しそうでしょ!」
平山「ダンスでしたら僕の得意分野ですよ!偶には自分で振り付け考えたりするんです。」
黒崎「それはすごいね!私もダンスしてみようかなぁ....浅葱くんは?何か踊れたりする?」
浅葱「ソーラン節でしたら少々。」
緑・黒・平「ソーラン節.....」
緑川「ひ、披露できるといいね!」
かくして使用人達は、お嬢様方の目に触れぬところで仲を深め絆を深め、また明日の給仕へと向けて、英気を養ったのでございます.....
緑・黒・平「ソーラン節....」
ー終ー