お嬢様、お坊っちゃま。
ご機嫌麗しゅうございます。
黒崎でごさいます。
あ、そうそう....
お嬢様っ
TRICK OR TREAT!!
....あれ?
お菓子、くださらないのですか?
私の発音が悪かったのでしょうか。
ではお嬢様っ
トリッケァトリィィィ!!!
.....
トリッケァトリィィィ!!!
トリッコォトリィィィ!!!
...はぁ、もうやめます。
南国の鳥みたいになってしまいました。
巷では人ならざる物の怪の気配が漂っておりますね。
お嬢様方も怪物達に襲われぬ様、
怪物の仲間に見せかけた仮装などなさって、難を逃れてくださいませ。
さて、ハロウィン一色な10月の末ではございますが、
私としては、年々短くなってゆく秋を確かに感じたいところ。
美味なる品がたくさん実る時期でもございますから、一つ鍋でもこしらえようかと。
まずは、
【白菜】
きみがいなくっちゃあ始まらない。すべての食材に寄り添う鍋アカデミー助演賞。
【椎茸】
ぷりぷりの食感と染みでる出汁。何よりシルエットか可愛い。どことなく胡桃沢に似ていて好感が持てる。
【白ねぎ】
ドライな顔して甘い言葉を囁くプレイボーイ。シャキッとしていてほんのり甘いって...きみが使用人だったら私はきみのお嬢様になりたい。
【豆腐】
すぐ崩れる。おたまを使わないとすくえない。場所を取る。四角い。
....桐島?
【鱈】
そのホロリとした身は、まるで舌に乗せた綿雪が溶けてゆく様...淡白なその味は、淡く切ない寒期の訪れを感じさせてくれる。
【鶏つくね】
可愛い隠れた主役。君がいなきゃ、イチゴのないショートケーキと同じさ。
さぁ、なんとも賑やかな鍋になって参りました。
独りでいただくには勿体無い。
おや、あそこにいるのは私の....
黒崎「おーい、一緒に鍋でもどうかな。」
杉村「お、いいね。日本酒でも用意しようか。」
美味しいお酒と美味しいお鍋、
これらが揃ってしまったら、
もはや湧き上がる欲求は抑えられません。
お嬢様の目の届かぬところで、
ひっそりと秋に舌鼓をうつと致しましょう。
黒・杉「...はふっはふっ」
-終-