ABARTH 124 spider なぜワクワクするのか? 竹岡 圭、ドライブして検証
2019.11.20
もくじ
ー こんなにトルクあったんだっけ……
ー 6MTか6AT ただそれだけなのに
ー 街中の交差点ひとつ曲がるだけでも
ー クルマだけにしかないスピード領域で
こんなにトルクあったんだっけ……
ABARTH 70周年……。そんな風に歴史を振り返るならば、124と聞いてまず浮かぶのは、1972年に登場したABARTH 124ラリーだろう。
残念ながら当時のことはモノの本でしか知らないが、124スパイダーのABARTHレコードモンツァマフラーが奏でるサウンドに酔いしれながら、思いを馳せることはできる。
しかも青空の下で……。
ダウンサイジングターボエンジン全盛のご時世の中、際立って響く官能的な音色。「こんなにトルクあったんだっけ……?」。もはや自分でも呆れるほどの回数なのだが、毎度乗るたび改めて腹落ちさせるかのように、実感させられるパワフルさ。
やはりここが124スパイダーのいちばんのアピールポイントだとシミジミ思う。でも、そこから先がまだあるのだ。
このギャレット製のターボは「実は高回転域が得意なんですよ」と言わんばかりに、モリモリと力を発揮し続けてくれる。
そしてこのパワーをビルシュタイン製のダンパーが受け止める。クルマの動き方はナチュラルかつフラットだが、腕に自信がある人が振り回して楽しいと言い切れるくらい、高いポテンシャルを秘めている。
だからこそ、パンチとパワーでグイグイとドライバーを煽ってくるのだろう。
とはいえ見境なく暑苦しいわけではなく、走らせ方によっては、しっとりとしたGTクルージングが楽しめるフレキシブルさも併せ持っている。
少年の心を秘めた大人……。実はそんな1台なのかもしれない。