少し間が開いてしまいましたが、R130Sfの光軸調整、後編です。
既に前回の屋内編で斜鏡の位置は合っている筈です。
今回は、実際に星を見ながら焦点内外像で追い込みます。 焦点内外像とは何かと言うと、簡単に言うと星のピンボケ像の事です。 ピント位置より内側だと焦点内像、ピント位置より外側だと焦点外像となります(多分…)。 反射望遠鏡でのピンボケ星像はこんな感じです。
今回の協力者は冬に輝く巨星、ベテルギウスさんです。 明るい円が主鏡から届く星の光で、真ん中の円が斜鏡の影、斜鏡から延びる十字線がスパイダーの影です。
何かやけに上の方のゴミが目立ちますが、気にしないで下さい(^_^; この写真は光軸を合わせてから撮ったので斜鏡の影が大体真ん中に来ていますが、大抵斜鏡の影は寄っています。
これを主鏡の裏の調整ねじを使って合わせて行きます。 大雑把な流れは、こんな感じです。
①目標の星を視野の中央に入れる。
②斜鏡の影が寄っていたら、主鏡裏の調整ねじを回す。 ③ピンボケ像ごと視野中央から移動するので、再度視野の中央に持ってくる。 ④斜鏡の影の移動を見ながら、出来るだけ中央に影が来るように調整する。 本当はどのねじをどっちに回すと星像がどう動くとか覚えるのでしょうけど、自分は都度適当に回しています。
視野中央に戻した際に斜鏡のずれが大きくなっていたら、逆方向なので反対側に回しましょう。 今回の焦点外像はこんな感じです。
ちょっと右に寄っている気がします。
上下は大体こんなものでしょうか。
若干右下の円が欠けている気がするのですが、斜鏡の追い込みが悪かったのかも知れません。
今回は細かい事は気にせず、焦点内像の調整に入ります。
ちなみにR130Sfは31.7mmの延長筒を付けないと合焦しないのですが、焦点内像は延長筒を外すとやりやすいです。
今回の焦点内像はこんな感じでした。
これを見ると、左右は平気そうですが上下が気持ち下に寄っている感じです。
延長筒の付け替えをやったので、多少は接眼部の軸がずれたのかも知れませんが。
もし焦点外像がばっちりなのに焦点内像が盛大にずれていたら、多分斜鏡の調整がおかしいです。
こんな時はどれだけ主鏡を調整してもダメなので、光軸調整アイピースを持って斜鏡の調整をやり直します。 短時間で終わるなら、架台はそのまま放置して室内で調整しても良いと思います。 屋外であれば、主鏡の先端から懐中電灯で照らせば大丈夫です。 光軸調整アイピースをぐるぐる回しながら、十字線の中央にセンターマークが来るように頑張ります。
焦点内外像両方での調整が終わったら、今度はきっちりピントを合わせてみます。
焦点内外像が綺麗に同心円を描いていれば点状に収束するはずですが、果たしてどうでしょう? ちょっと右下の光芒が薄い気がしますが、まあまあのようです。
今回は焦点内外像ともにちょっと怪しいのですが、あまりこだわらなければこれで十分ではないかと思います。 (カメラを取り付けた際に接眼部がたわんでしまったため、眼視ではもう少しだけマシに見えました。)
ちなみに、星像の上下左右に十字の光芒が出ていますが、実はこれはスパイダーの影の回折光(って言うのかな?)です。
天体写真でよく見る十字のキラキラした光芒は、スパイダーのある反射系望遠鏡で撮ったために出ています。 スパイダーが4本なら十字に4本、スパイダーが3本だと6本の光芒が出ます。 R130Sfのスパイダーは4本なので、この写真では十字に4本の光芒が出ています。 さて、せっかく光軸調整をしたので、昇ってきた月で試写をしてみました。
まずは拡大撮影です。拡大用アイピースはNLV25mmを使用しています。 眼視の時はアイピースが軽くて気にならなかったのですが、R130Sfは接眼部が樹脂製のためカメラを付けると 大きくたわみました。
拡大撮影アダプターを付けていたとは言え、ミラーレスのEOS Mで大きくたわんでしまうと、普通のデジタル一眼での 撮影は少しキツイかも知れません(鏡筒を回転させれば軽減出来そうですが)。
その影響か、月の下の部分がややピンボケになっていました。 単にピントの追い込みが甘いだけなのか接眼部のたわみが原因なのか、それとも望遠鏡の収差なのかはよく分かりません。 今度時間がある時に確認してみたいと思います。 次は直焦点です。
こちらは目立った問題もなく、直焦点ならではのシャープな像になっています。
大きめの星雲・星団を狙うにはなかなか手頃な視野ではないかと思います。 焦点距離650mmなら、頑張ればノータッチ2分くらいは行けそうですし、そのうち試してみたいと思います。 2回に渡ってR130Sfの光軸調整についてお送りしましたが、いかがでしたか?
書くと煩雑で最初はとても手間に思いますが、慣れれば大した作業ではないと思います。 安価で大口径で色収差のないシャープなニュートン反射を使うからには、光軸は自分で調整したいです。
もっとも、完璧な焦点内外像を追い始めたりすると、何時間やってもずれている気がして折角の晴天を無駄にします。 そんな時は上の写真を見て「ずれてても点像になるじゃん」と思って頂ければ良いかと思います(笑)。 (「こんな適当なの、調整じゃないだろ」と言われると反論のしようもありませんが。)
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