Steamのコアゲーマーこと“すちーむまにあ”辻村美奈が、気になるゲーミング周辺機器を紹介する本連載。今回は、ゲームに夢中になりすぎて、「タイピング音がうるさい!」と同居人をイライラさせてしまった筆者がいかにして、ひとりだけの空間を作り上げたのか。その奮闘記を再現します。
「同居人とケンカしたので、私、『ぼっちてんと』でゲーム部屋を作らせてもらいます」。
(カタカタカタカタ……)テレビを見ているのに、気が散るなぁ。※本文内の画像はすべて、男女カップルの同居イメージです
「集中してゲームをプレイしたい!」というゲーマーにとって、画面の前にいる敵よりも“強敵”なのが、同居人の存在。これまでの連載で紹介したように、ゲームの腕を上げるため、最新のゲーミングデバイスを買いそろえても、同居人のことが気になって集中できないことも、しばしば。
家族や恋人と一緒に暮らすゲーマーにとって、「ひとりっきりになれるスペースをいかに確保するか」という点は、かなり重要なポイントなのでは? 特に、都心は家賃が高いため、自分の部屋を持てないという人も少なくありません。ネットカフェに通うにしても、毎回お金がかかってしまうのは、もったいないし……。
特に、最近人気の「FPS」(First Person Shooter:1人称視点のシューティングゲーム)などは、マルチプレイ(対人対戦ゲーム)が主流。VC(ボイスチャット)を使って、ほかのプレイヤーと連携し、プレイしているゲーマーも多いことでしょう。しかし、真横にいる同居人から見れば、そんなことは関係ありません。
いきなり、大声でボイスチャットが始まった日には、たまったものではないですし、けたたましい音でタイピングされたりしたら、せっかくの“くつろぎタイム”も水の泡。理解してくれるのは、よっぽど広い心の持ち主か、かなりのゲーム好きだけでしょう。
もう、ガマンの限界だ!
どこか、避難できる場所を見つけなくては……
さて、同居人に「うるさい!」と怒られてしまったので、インターネットの力を借りて、この状況を何とかできないかと思って調べたところ……部屋の中に個室を作れる「個室空間グッズ」があることを発見しました!
個室空間グッズには、さまざまなタイプがありますが、おおまかに言うと、木製タイプ、段ボールタイプ、テントタイプの3タイプに分けられます。
木製タイプは頑丈で、防音性能にすぐれますが、高価なものが多く、組み立てがたいへん。いっぽう、段ボールタイプとテントタイプは、木製タイプより頑丈さに欠けるものの、比較的手ごろな価格で手に入ります。さらにテントタイプは、組み立ていらずな点がメリットです。
そこで今回は、「女性ひとりでも組み立てやすそう」という理由から、テントタイプの「ぼっちてんと」を選びました。これはその名の通り、“完全個室空間”を部屋の中に作り出し、ひとりぼっちになれるというもの。Twitterでバズって人気に火がつき、昨年幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2018」にも出展され、大きな話題を呼びました。
組み立てる前のぼっちてんと。こんな収納袋に入っています
今回紹介する「ぼっちてんと」(BT1-130)は、遮光性の高い生地を使用しているのが特徴。そのため、2014年に発売された既存モデルのぼっちてんと(BT1-110)と比べて、より“暗室化”できるようになっています。
メーカーの検証によれば、照度計を使って、約300ルクス(一般的なオフィスの明るさと同程度)の室内で計測したところ、密閉したぼっちてんとの内部は、なんと0ルクスとのこと。なお、同じ条件下の既存モデルで計測したときは、約21ルクスだったそうです(Bauhutte内の「ぼっちてんと」製品ページより)。
これほど真っ暗であれば、ホラーゲームの没入感もすごそう。今まで味わったことがない恐怖を、味わえそうです。また、日差しをさえぎるので、天気のよい日でも、ゲーム画面がはっきり見えるうえ、ゲーミングデバイス類の変色も防げるかも。いろんなメリットがありそうです!
では、さっそく、ぼっちてんとを組み立てていきます。
実際にやってみると、組み立てはとても簡単。キャンプ場やプールサイドで見かける「ワンタッチテント」のような要領で、収納袋から取り出して、ただ開くだけなんです。説明書や工具類は、必要ありません。もちろん、収納袋に戻せばコンパクトに収納ができますし、肩から下げて、持ち運びもできちゃいます。
ぼっちてんとを収納袋から出した後、ワンタッチテントのような要領で、1回転させて角度を直していきます
こんな感じで、全身を使って開きます。所要時間は5分足らずでした
ぼっちてんとが完成! 自分だけの個室空間が簡単にできた!
ぼっちてんとの本体サイズは130(幅)×150(高さ)×130(奥行)cm。これくらい余裕があれば、大体のデスクとモニターは収まりそうです。重さは2.85kgですが、実際に持ったり運んだりしてみて、女性のわたしでも、特に重いとは感じませんでした。
また、ぼっちてんとに底面はなく、帽子のように、デスクにかぶせるだけで簡単に設置できます。さらに、四隅には、配線用のすき間が設けられているので、ぼっちてんとの外からケーブルを引っ張って接続するときも困りません。
自分だけの空間。これでもう、誰にもジャマされない!
ぼっちてんとの入り口は、ファスナーを使って開閉します。完全に開けてエントランスにもできますが、同居人の視線から逃れるには、ファスナーをさっさと閉めてしまったほうがいいでしょう。
実際に中に入ってみると、遮光性が抜群なので、ファスナーを閉じるとすぐに、暗室の状態になりました。また、上部にある天窓を開けたり閉めたりできるので、テント内の明るさも調整できます。
入り口を開放したところ。サイドに付いているヒモを結んで、固定できます
さらに、左右にはメッシュ状の窓も。夏の暑い日は、この窓を開けば、換気もできます。外で使っても、横から虫が入る心配はなさそう。
なお今回は、ダンボールで作ったPCデスクを簡易的に置いていますが、一般的なPCデスクを置いて、PCチェアに座ったときをイメージすると、メッシュ状の窓の位置が、ちょうど胸のあたりにきます。仮にメッシュを外しても、視線が入らない絶妙な位置に窓があるのは、プレイバシーの観点から、うれしいかも。
左右にある、メッシュ状の窓を開いたようす。開いた窓は、マジックテープで固定できます
メッシュ窓を開けて、外からのぞいたところ
せっかく、完全個室を作っても、同居人がファスナーを開けてしまっては、何の意味もありません。しかし、ぼっちてんとには、専用のカギが付属されているので心強い! ぼっちてんとのファスナーを完全に閉めて、縦と左右のファスナーをまとめてカギをかけてしまえば、プライバシーを守ることができて安心ですね。ただし、力まかせに、テントを持ち上げられてしまっては、どうすることもできませんが……。
縦と左右のファスナーをひとつのカギにまとめることで、ロックできます
ぼっちてんとでゲームをプレイすると、どんな感じなのでしょうか? 実際に試してみたところ、絶妙な狭さが妙に心地よいうえ、背景が黒いため、いつもよりゲーム画面に集中できた気がします。
肝心の騒音問題については、密閉状態にして、少々ひかえめになる程度。完全防音ではないので、たとえテントの中にいるとはいえ、ボイスチャットの声は小さめにしたほうがいいかも。もし、ボイスチャットをしないのであれば、タイピング音はある程度、軽減できるので、同居人を気にせずゲームに没頭できるかもしれません。
また、ぼっちてんとは、ゲーム以外の用途にも活用できます。生活空間を簡単に遮断できるので、仕事部屋や勉強部屋にもピッタリです。実際に、ぼっちてんとを「集中スペース」として使用している進学塾もあるそうですよ。
狭すぎず広すぎず。ネットカフェの個室のような絶妙な広さで、集中力もアップ!
ぼっちてんとを実際に使ってみたところ、使い勝手のよさが気に入りました。設置しやすくて使いやすく、持ち運びにも便利。使わないときは、コンパクトにまとめて収納できます。
さらに、ゲーマー目線でしっかりと考えられたデザインも好印象。内側に入ったときに視線が入らない、絶妙な位置に設置されたメッシュ状の窓や、配線を通すためのすき間が設けられている点など、ひかえめに言って、“ぼっちてんと”は最高かも!
価格.comでの実勢価格は、おおよそ8,000円台(2019年4月19日時点)。これひとつで、ゲームの没入感が高まるし、勉強や仕事の効率も上がる。ネットカフェに数回行ったと思えば、すぐに元がとれるはずです。何より、同居人とのムダな争いが避けられるのは、うれしいかも。家族や恋人と同居しているユーザーはぜひ、用意しておきたいですね。
結局、イライラしていた同居人が「ぼっち」になってしまったようです……
編集プロダクション。「美味しいもの」と「小さいもの」が大好物。 好奇心の赴くまま、良いモノを求めてどこまでも!(ただし、国内限定)