韓国・文在寅政権はこうしてアメリカの恫喝に屈した

日本にとってはチャンスだ
歳川 隆雄 プロフィール

米国の「本性」

先述のNSS幹部によると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル記者を退職、海兵隊に志願してアフガン戦争、イラク戦争に情報将校として従軍した異色のキャリアの持ち主であるポッティンジャー氏は普段の温厚な人柄を殴り捨てるかのように声を荒げて金鉉宗氏に対し、GSOMIA破棄が米国の安全保障に重大な脅威を与えると警告、直ちに政策転換するよう強く求めたのだ。

 

永く外交官を務めてきた対米政策責任者の言葉を借りると、米国が同盟国相手に怒りを露わにしたことはこの10年間で初めてだとした上で、「米国はいざとなれば本性を表す怖い国なのですね」と筆者に語った。

平たく言えば、文在寅政権はこうした米国の恫喝に屈したということである。一方、ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮の金正恩労働党委員長と良好な関係を維持、4回目の米朝首脳会談の早期実現を諦めていない。

だが、一度北朝鮮が米国との核・大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発凍結の約束を違えるようであれば、トランプ政権は金王朝に対して牙を向いて転覆に打って出るのはほぼ間違いない。金正恩氏は今回、それを改めて認識したに違いない。

安倍首相はこれを奇貨として、12月24日に中国の成都で開かれる日中韓首脳会談を前に日韓関係修復に向けて外交攻勢をかけるべきだ。ショックから立ち直れないでいる韓国の今こそが、まさに間隙を衝いて日本イニシアティブを発揮する絶好なチャンスである。