2019年6月にマクロミル ブランドデータバンクが国内の約3万2000人に実施した調査結果から、1カ月の小遣いが「10万円以上」の人々を富裕層と定義し、データを抽出。全体の約8%しかいない富裕層が好きなブランドや価値観にフォーカスする。特集の第1回は、どの年代、性別に富裕層が多く存在するかを分析した。

 「日経デザイン」で10年以上連載が続く、世代、男女別のマーケティング調査のコーナーがある。20~60代の約3万人にブランドデータバンクが定期的に実施している調査結果をベースに、さまざまな層に着目し、それぞれが好むブランドや価値観を分析してきた。

 今回の特集のテーマは「富裕層」。企業で商品やサービスに携わる人なら、常に気になる層として、「お金持ちな人々」をターゲットに定めようと考えた。

 実際、過去の連載記事でも、「25~29歳×女性×世帯年収800万円」や「45~49歳×独身男性×個人年収650万円以上」といった層を分析した記事は、多く読まれた人気コンテンツ。購買能力が高い富裕層の好きなブランドや価値観を通じて、現代のお金持ち像に迫ってみたい。

自由に使えるお金が月10万円以上

●「富裕層」の平均小遣いは月13.9万円!
●「富裕層」の平均小遣いは月13.9万円!
「bdb全体」とはブランドデータバンクの調査対象3万1889人全体(以下同)

 そもそも、富裕層とはどんな人々だろうか。一般的に1億円以上の資産を持つ層を富裕層とすることが多いが、これだと全世帯の2~3%にしかならない。現金でない資産も含まれる。そこで今回はもっと身近な層として捉えてみた。着目したのは「1カ月に自由に使える金額」、つまり「小遣い」だ。どんな家庭環境でどんな暮らしをしていても、使える小遣いの金額が多い人々は、購買能力が高いと言えるはずだ。

 ブランドデータバンクが2019年6月に実施した最新の調査で対象となったのは合計3万1889人だ。平均年齢は44.8歳で、平均世帯年収が596.7万円、平均個人年収293.0万円となっている。1カ月の小遣いの平均は3.1万円だった。

 次に、この3万1889人のデータを年齢軸で5歳刻みで分け、例えば20~24歳は「20代前半」、25~29歳を「20代後半」とした。さらに、男女別に「20代前半男性」「20代前半女性」など、世代、男女別の20の層に分類し、それぞれの小遣いの平均を調べてみた。そして、「月の小遣い10万円以上」の層を今回の特集では富裕層と定義した。

富裕層はどんな人たち?

●「富裕層」と「全体」が月に使用する金額格差(トップ3)
●「富裕層」と「全体」が月に使用する金額格差(トップ3)
●「富裕層」と「全体」が年間に使用する金額格差(トップ3)
●「富裕層」と「全体」が年間に使用する金額格差(トップ3)

 「月の小遣い10万円以上」の富裕層は3万1889人のうち2512人。7.8%に当たる。平均年齢は45.4歳で、平均世帯年収は939.2万円、平均個人年収604.2万円。そして、月の小遣い平均は、なんと13.9万円。全体平均よりも月に10万円以上多く使える富裕層が7.8%もいるのだ。

 毎月どんな分野にその小遣いを使っているのか。全体平均と富裕層が使う金額を見ていくと、差額が大きな分野のトップ3は「ギャンブル」「外食」「ファッション関連商品の購入(店頭)」だ。同じく、年間に使用する平均金額の差額では、トップ3は「旅行」「アニメ・漫画・アイドル・ゲーム関連イベント」「観劇」だ。

 富裕層は、ギャンブルや外食、ファッション関連商品の購入(店頭)にかける毎月の金額が全体平均の2倍以上。旅行に費やす年間の金額も7万円以上多い。これらのデータは、月10万円以上の小遣いをもつ富裕層の強力な購買能力を示していると言えるだろう。