自民党の河井克行元法務大臣の妻・案里参議院議員の選挙で、「陣営がスタッフに定められた上限を超える報酬を支払った」と、一部週刊誌が報じてから１か月。２人は公の場に姿を見せていません。国会の審議にも欠席を続ける中、地元では「説明」を求める動きが強まっています。

　広島３区選出の河井克行衆議院議員は、妻・案里の参議院議員選挙で、「陣営がスタッフに定められた上限を超える報酬を支払った」と週刊誌に報じられ、法務大臣を辞任…。先月３１日の出来事です。

　「今回の一件は、私も妻もあずかり知らない。わたしとしては法令にのっとった政治活動選挙活動をしていると信じている。今後、しっかりと調査して、説明責任を果たす。」（河井克行衆院議員・先月３１日）

　２人は、「説明責任を果たす」などとコメントしましたが、国会の本会議や委員会も欠席を続け、公の場に姿を見せないまま、１か月が過ぎようとしています。

　河井夫妻の地元では、「説明」を求める声が日増しに高まっているようです。

　「いつまでも隠れておられんよね。はっきりすればいいのにね。」

　「（参院選で当選した案里氏は）女性目線でいろいろやってくれるという感じはしたけど。真相は分からないけど、説明してほしい。」

　「みんなやっぱり気にはなってるので、説明必要かなと。」

　「許せません。それだけです。前に出て、ちゃんと説明して、自分の責任を果たさんといかん。真実を語らんといかんと思うよ。」（有権者）

　広島市にある克行氏の事務所は…。

　「お騒がせして申し訳ありません。こちらでは対応できません。」（事務所スタッフ）

　案里氏の事務所も訪ねましたが…。

　「対応は東京の事務所で一括で、ということでした。」（増田み生久記者）

　東京の議員会館にある２人の事務所は、「事実を調査中」としています。

　「出てこーい！」（市民団体）

　２８日、市民団体のメンバーが広島市の繁華街に集まりました。奇しくも、この場所は、参議院選挙の際…。

　「この広島で、『安定政権の象徴の県』として河井案里さんをみなさんのお力で国会に送っていただきたい。」（菅官房長官　６月）　「どうか、みなさん、広島から女性の国会議員を。」（安倍首相　７月）

　市民団体のメンバーは、参院選で安倍総理や菅官房長官が案里氏を応援した場所で、チラシを配るなどして、河井夫妻に説明を求めました。　「今、いったい、どこいったんですか？　地元の人は、わしゃ、河井をずっと応援してきたが、いったいどういうことなんか、説明せよ。おかしいのお。法務大臣になって、よかったと思ったけども、こりゃ、どういうことじゃ。本人が法律違反しとる疑いがあるなんて、誰が許すんか、そういって驚いておられます。」（市民団体）

　「それは怒りですよね。何かやましいんじゃないか。ずっと休んでて、出てきてない。２人そろって一切、雲隠れ。おかしい。忘れるのを待っている。」（新日本婦人の会広島県本部　森真理子会長）

　この問題を巡っては、関西の大学教授などが「河井夫妻らに公職選挙法違反の疑いがある」とする告発状を広島地検に送っているほか、広島の市民も、近く河井氏を告発するため、準備を進めています。

　県の選挙管理委員会によりますと、参院選で、案里氏の選挙運動にかかった費用の収支報告書は、法令で定められている期限の８月５日にいったん提出されましたが、現在、修正中です。広島選挙区に立候補した７人のうち、最終的なものが提出されていないのは案里氏だけです。

　法令上、提出の期限は定められていませんが、県選管は「常識的な範囲で督促はする」としています。

　「何も知らない、何も答えられないとそうおっしゃいますけど、この真実を明らかにすることだけが知事が唯一生き残る道なんです。」（河井案里氏・当時県議　２００６年）

　県議時代、当時の知事に対し「政治と金」の疑惑について強く迫っていた案里氏。

　「男らしくなさいよ。私も広島県知事でしたら、おそらく辞職をしています。男らしくしなさい」（河井案里氏・当時県議　２００６年）

　自身に向けられた疑惑には文書でコメントして以降、直接の説明がないまま、１か月が過ぎようとしています。夫妻で国会の欠席を続けている間も、それぞれに、給与である歳費、月額１２９万円あまりと、文書通信交通滞在費月額１００万円は支払われています。

　今の国会の会期は来月９日までで、１０日には克行氏に３２３万円あまり、案里氏に１９４万円あまりの期末手当も支給されます。[2019.11.29 18:46]