Never7「TIPS:2」「シュレディンガーの猫」
この物語はフィクションです。
この用語集に含まれる
人物・団体・地名・事件・歴史・その他の設定には、
架空のものが含まれております。
混乱しないようにご注意ください。
シュレディンガーの猫
それはズバリ!
──シュレディンガー地方特産の猫のこと!
イリオモテ山猫の遠い親戚、という噂もあったりなかったり……
というのは冗談でぇ~。
シュレディンガー、波動力学を生み出したオーストリアの理論物理学者。
原子内の電子の運動を表す波動方程式を導いて、(中略)。
用意するものは、猫1匹、毒ガスの入ったビン1本、防音処置をほどこした、完全に密封できる箱1つ、
放射性物質を少々、放射性物質から飛び出して来るα粒子を検出することができる機械1台。
用意したものを全部、箱の中に入れてフタをする、準備完了!?
箱の中にある放射性物質から、α粒子が飛び出たら、検出機械が、それを感知して、
毒ガスの入ったビンを割る仕組み。
箱は密封されてるから、猫は逃げることもできずに……
「α粒子が出ると猫が死ぬ」
一番大事なのは、猫も検出機械も、密封された箱の中に入ってること。
外側から見てるだけの観察者には、いつα粒子が出たのかもわからない。
いつビンが割れたのかもわからない。
いつ猫が死んでしまったのかもわからない、ということになる。
でしょ?
箱の中の猫は、生きてるでしょうか? 死んでるでしょうか?
箱に触れてはいけないものとします
いつα粒子が出るのかがわかれば、
猫が死んでるかどうかも必然的にわかる。
ところが、このα粒子というのはものすごく小さい粒だから、私達が日常的に経験するような物理法則では、その運動を理解することはできない。
要するに。α粒子がいつ出るかは、確率的にしかわからない。
結局、猫の生死も確率的にしか判断できない。
それがさっきの問題の答え。
例えば、もし仮に、α粒子が放出される可能性が50%だったとしたら……
箱の中の猫は、半分は死んでる猫で、半分は生きてる猫。
現実的に考えれば、猫の生死は0%か100%……
絶対に、生きてるか死んでるか、そのどっちか。
最終的に、放出されたかどうかは、観測してみるまでわからない。
観測する前のα粒子は、放出された状態と放出されてない状態が、その瞬間、ともに『共存』してる。
ということは、箱の中の猫も、フタを開けて見るまでは……
生きてる状態と死んでる状態が、その瞬間、ともに『共存』してるってことになる。
当然フタを開けて見たら、生きてるか死んでるか……必ずそのどちらかの状態に決まる。
『過去を決めた』誰にも確かめようがない『過去に戻ることはできない』
観察者の意思は、過去の事実を決める。
この場合の『意思』とは、ある行為を発生させるための単純な『動機』のこと。
『猫の生死を確かめたい』。だから、『フタを開きたい』。
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