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 人材派遣大手のパソナが、求人誌「タウンワーク」11月25日号で東京五輪・パラリンピック関連の求人広告を出しているとネット上で話題になっている。パソナが募集して、東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会に職員として派遣する枠組みだ。

組織委員会はすでに8万人のボランティアを集め、研修も実施している(写真:松尾/アフロスポーツ)

 募集職種は「競技会場運営」や「英語を生かした訪日関係者との調整役」「医師のサポート」など、ボランティアが担う仕事とほとんど同じように見える。にもかかわらず、時給1600円から募集していることから、ネット上などで「ボランティアと同じような仕事なのに扱いが違うのはなぜなのか」「純粋な気持ちでボランティアに応募してしまった人はどうなるのか」といった声が相次いでいる。

 実際、同じ仕事なのか。同じ仕事なのに待遇に差をつければ不公平感が残る。

 大会組織委員会は「同じ仕事ではない」と説明する。「今回募集したのは、組織委員会の職員として働いてくれる人。来年2月から順次、組織委員会の職員として五輪に向けた準備をしてもらい、五輪期間中はボランティアのまとめ役になってくれる人を想定している」。ボランティアよりも語学力などにおいて高度なレベルが求められるという。

 勤務形態はシフト制。2~6月は1日7時間45分勤務で、土日祝日は基本的に休み。五輪期間中は大会運営に合わせるため変則的なシフトになり、夜勤もあり得るという。

 タウンワークに求人広告を載せたために一気に注目されたが、実は組織委は2014年の発足時から随時職員を募集している。現在の職員数は3170人だが、五輪までに8000人規模にするという。うち2000人をパソナ経由で集める予定だ。

 現在ボランティアになっている人でも、「職員に応募することは可能」(組織委)だ。職員に採用されれば、ボランティアから転換してもいい。

 組織委の説明を聞くと、職員とボランティアには違いがあるため、有償、無償に分けるのも理解できるように思える。その一方で、パソナの求人広告には、求めるスキルとして「社会人経験があればOK!アルバイトの場合はリーダー経験ある方」と書いてあり、果たして高度な人材を求めているかは疑問だ。

 具体的な仕事内容についてパソナは「2000以上のポジションがあり、来月からガイダンスをしていくため、今は答えられない」との回答だった。一部の職種については勤務開始は2月からだが、多くの職種は6月からになりそうで、ますますボランティアとの違いが分かりにくい。結果的にボランティアとほとんど変わらない仕事内容であれば、ボランティアから不満が出る可能性もありそうだ。

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