On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2019-11-29 21:03:54
Comments (3)

この胸に去来するもの  (推敲しました)

 中曽根康弘元総理の百と一歳にてのご逝去を、こゝろの奥からお悼み申しあげます。

 中曽根総理の総理番記者だったとき、海外の首脳が亡くなりました。
 それがどなただったかは忘れているのに、軽井沢のゴルフ場で中曽根総理にコメントを求めると恬淡(てんたん)と、あるいは達観した様子で「哀悼の意を表します」と短く仰ったことを、いま、思い出しました。

 それから日を経て、総理を辞される日が近づいたとき、中曽根さんを乗せた総理車が突如、予定外の方向へ走り出したのです。
 ぼくと時事通信の総理番はいささか驚きつつ、番車と呼ばれる自動車電話付きの専用車で前後をパトカーやSP車に挟まれた車列にて後を追いました。
 自動車電話で、総理の行き先をあれこれ取材するのですが、まったく分かりません。現職の内閣総理大臣の行動としては異例中の異例です。これは警備陣もたいへんだろうと想像しました。
 総理ご自身が急に、行き先を指定されたのだろうと考えるほかありません。
 車列は長駆、走り続け、やがて東京の遙か郊外の墓苑正門に着きました。
 何とも意外な、想像外の到着地です。
 すると中曽根康弘総理はSPすら制して、なぜか不肖ぼくと共に墓苑の奥へ歩かれ、やがてひとつの墓の前に立たれました。
 みると、中曽根康弘の名が彫られた墓なのです。
 総理は、墓室の蓋を開けて、「青山くん、私はいずれ、ここに入るんだよ」と仰いました。
 そして「青山くんはいろいろ私を追及するがね、私はこの覚悟を持って、政治をやっておるんだよ」と続けられました。

 今夜、国会から戻り、瞑目しつつ、中曽根康弘総理の憲法改正の志こそを偲びます。

 
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生きている意味が分からない。【川口雅夫】
2019-11-29 23:17:17
青山様のエッセイに接していただきまして、いつも心洗われる気持ちになります。中曽根元総理についてのエッセイもしみるものがあります。いつもありがとうございます。
国会の惨状を【おばちゃんです】
2019-11-29 23:07:14
青山ぎーん

総理番の頃のお話を
すぐにとは申しませんが
またお聞かせくださいませ

国会も、マスコミも
本当に酷い

隣の国からミサイルが次々と飛ばされても
隣の国から国民が次々と誘拐されても
「桜の会」より扱いが小さいって・・

中曽根元総理はどのようにご覧になっていらしたのだろうと思います

ご冥福をお祈り申し上げます
哀悼【Takashi Tanaka】
2019-11-29 22:08:36
中曽根元総理に哀悼

この先達でも悲願の憲法改正が出来なかった、いやしなかった。
何故か。
解るけど、理解しない、出来ない。

安倍現総理も同じ轍を踏むのか。
踏むと思いたくないけど、踏むかもしれない、でも踏ませない。



中曽根様
合掌

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