No.21 《アラーム24》によるデイトレシステムの構築のしかた |
2015年10月に執筆 ・・ HP目次へ.. 講座目次へ. 【1】1日の値動きだけを対象にしたときの利益の限界は?株で大きく利益することよりも、安定的な利益を得たい、つまり低リスク・低リターンを望む方もおられます。 株価の変動のリスクから逃れるには、その日に仕掛けてその日に決済するという、デイトレードをするしかないでしょう。しかし1日の株価の値幅は小さいので、大きな損失を出すことが少ないかわりに、大きな利益を出せることも少ない。 はたしてデイトレードによって、小幅な利益ではあるが安定的に利益を出すことができるのかどうか?できる可能性があるとすれば、どのようなシステムを構築すればよいのか? について調べ、デイトレシステム構築のしかたについて述べます。 まず一般銘柄の1日の値動きはどれくらいの大きさなのかを調べてみました。 サンプルとした時期は2007年6月~2014年12月の7年半です。 (a)2007年6月~(b)2009年3月までの22か月は暴落の時期。 (b)2009年3月~(c)2012年10月までの44か月は保合いの時期。 (c)2012年10月~(c)2014年12月までの27か月は暴騰の時期。 とサンプルとするのに適当な時期です。 この間は1860日間あります。10銘柄についての統計をとっても延べ18600個のデータがあります。東証1部の銘柄とか日経225銘柄などの多くの銘柄を対象にした統計はとれません。 そこで定点観測の9銘柄(①1812「鹿島」、②5401「新日鉄」、③5713「住友鉱」、④6758「ソニー」、⑤7203「トヨタ」、⑥8306「三菱UFJ」、⑦8604「野村」、⑧9432「NTT」、⑨9984「ソフトバンク)について調べると右図のようでした。
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ヒストグラムを見ると、
しかしこれは実行不可能です。誰もザラバ高値・安値で売買することはできません。また買いと判断するには株価が上昇し始めたことを確認する必要があります。売りの判断においても同じです。 2%の利益を上げるためには、どんなにうまくやっても3%の値幅がないと無理でしょう。 そこで上のヒストグラムを見ると、値幅が3%以上ある日は(c)~(x)の間で、全体の28.1%です。毎日仕掛けていれば、28.1%は2%の利益を上げるチャンスはありますが、71.9%は2%の利益を出す可能性はありません。 値幅が4%以上あれば、2%の利益を出す可能性はもっと高くなりますが、全体の13.3%しかありません、8回か9回のトレードで1回出会える確率です。 次のような100回のトレードができたとしましょう。
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チャートだけを使って勝率70%にすることはそう簡単なことではありません。①の(利食いが20%できた)場合には、3)のように利食いできなかったときの勝率は70%になることが必要ですが、これはナカナカ容易なことではない。 ②の(利食いが40%できた)場合には2)のように利食いできなかったときの勝率は50%になればよい。つまり、どれだけの確率で利食いができるのかが重要です。 ②の2)の場合の平均利益率が+0.80%ということは、100万円を1単位としてトレードをしたとき、1回につき8000円の利益がでるということです。 たったの8000円ですが、1年間の立会いは240日あります。毎日トレードができたら、1年間で192万円(=0.80万円×240回)の利益が出ます。手数料が1回につき往復で0.1%かかるとしても平均利益率は0.7%あります。1年間の純利益は168万円です。しかもリスクは低い。こういうシステムができればすばらしい。目標とするのは、次の3つのポイントを満足するシステム(条件表と売買ルール)です。
ポイント② 利食いできないトレードの勝率は50%あること(全体で70%の勝率になる) ポイント③ 全体の平均利益率は+0.80%になること |
【2】分足データでも《Qエンジン24》が使えるようになった分足のトレードのシステム(よい条件表とよい売買ルール)を構築するのは手作業では無理です。《カナル24》のパワーアップツールである《Qエンジン24》が使えれば都合がよいのですが、《Qエンジン24》は《カナル24》と同じデータ(日足・週足・月足)を使います。 《アラーム24》の分足データをそのまま使うことはできません。 大きな問題は、データの日付けの扱いです。
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右図のように、《アラーム24》のデータ(通常はRTKB95)を、《カナル24》の日足データに変換します。 《カナル24》のデータディレクトリ(フォルダ)は、 DTKB71 DTKB72 DTKB73 のように00~99の数字をつけることができます。 ただしDTKB96、DTKB98、DTKB00~DTKB14、DTKB50は《カナル24》で使っているので、これらの番号は使わないほうがよいでしょう。 また連番にしておくと、「連結」の設定がしやすくなります。 |
①《アラーム24》の分足データの内容
《アラーム24》ではグラフを描画したり、検索をするときに 分足データを読み込むと、次の数字がはめ込まれます。
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②《カナル24》の分足データの内容「カナルデータへ変換」の機能を使って、《カナル24》用の分足データに変換したときは右図のようなデータになります。
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③買い残欄の時刻を利用した条件表が設定できる《アラーム24》の分足データを《カナル24》のデータに変換するときに、信用買残の場所に「時刻」を、信用売残の場所に「月日」を記憶させるので、「月日」や「時刻」を条件表に設定することができます。上の条件表の
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④データの準備と連結の設定
《Qエンジン24》の「ドライブ」で、右図のように連結の設定をします。日付けが新しいものから古いものへと連結させます。 これで《Qエンジン24》で分足について調べる準備ができました。 |
【3】基本的な条件表の検証のしかた①3つのトリガーの条件表簡単な次の3つの条件表を用意しました。
②売買の制限(例えば11:30までしか仕掛けないとか、14:30以降の仕掛けはしないとか)をつけること。 ③局面(トリガー以外のチャート)の制限をつけること。 |
などの工夫が必要ですが、まずはトリガーの売買マークだけでトレードするとどうなるのかを調べます。
条件表No.41「高安値突破」
トレードの例は、
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条件表No.51「パラボリック」
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トレードの例は、
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条件表No.61「ボリンジャー」
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トレードの例は、
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②検証のしかた
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「売買ルール」は右図のようにします。
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③3つの基本的な条件表によるトレードの成績いま一度、売買ルールをまとめておくと以下のようになります。
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(表3-1)3つのトリガーによるトレードの成績 |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
41 | 高安値突破 | 共 | 32500 | 13564 | 18936 | 3435 | 10.6% | +0.02% | 41.7% | 1.06倍 |
買 | 15984 | 6263 | 9721 | 1626 | 10.2% | -0.03% | 39.2% | 0.93倍 | ||
売 | 16516 | 7301 | 9215 | 1809 | 11.0% | +0.07% | 44.2% | 1.19倍 | ||
51 | パラボリック | 共 | 32500 | 13159 | 19341 | 2583 | 7.9% | +0.03% | 40.5% | 1.08倍 |
買 | 16294 | 6158 | 10136 | 1267 | 7.8% | -0.02% | 37.8% | 0.94倍 | ||
売 | 16206 | 7001 | 9205 | 1316 | 8.1% | +0.07% | 43.2% | 1.24倍 | ||
61 | ボリンジャ | 共 | 17210 | 7531 | 9679 | 2113 | 12.3% | -0.02% | 43.8% | 0.96倍 |
買 | 8148 | 3201 | 4847 | 918 | 11.3% | -0.12% | 39.4% | 0.78倍 | ||
売 | 9062 | 4330 | 4732 | 1195 | 13.2% | +0.07% | 47.8% | 1.15倍 |
基本的なトリガーだけの条件表の成績はよくありません。サンプルとした時期が急落中なので、売りの成績は買いの成績よりもよくなっていますが、それでも売りの勝率は、No.41が44.2%、No.51が43.2%、No.61が47.8%であり、勝率50%を超えていません。 次にトレード数が多すぎます。サンプルの期間は56日間なので、56回で1日に1回のトレードができることになりますが、売りについてだけでもNo.41は16516回、No.51は16206回、No.61は9062回あります。必要なトレード数56回の150~300倍近くでています。これを絞れば、もう少し成績(平均利益率・勝率・PF)がよくなるはずです。 上表で「利食%」の欄があります。これはトレードした回数の何%(割合)で利食いができたかを示しています。目標のシステムのポイント①は「トレードのうちの40%は利食いをする」ですが、最も利食率が高いのはNo.61「ボリンジャ±1σ」の売りで、13.2%です。かなり不足しています。これを40%まで引き上げることが必要です。 目標のシステムのポイント②は「勝率は70%とする」ですが、勝率47.8%では話になりません。また平均利益率は0.07%で、ポイント③の「平均利益率は0.8%」とするの約1/10でしかありません。 |
【4】トリガーのパラメータを最適化するとどうなるか?No.41、No.51、No.61の条件表のパラメータを最適化したところ、次の条件表になりました。 |
①(最適化した)条件表No.42「高安値突破①」
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No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
41 | 高安値突破 | 共 | 32500 | 13564 | 18936 | 3435 | 10.6% | +0.02% | 41.7% | 1.06倍 |
42 | 高安値突破① | 共 | 8711 | 4335 | 4376 | 1537 | 17.6% | +0.07% | 49.8% | 1.13倍 |
42 | 高安値突破 | 買 | 15984 | 6263 | 9721 | 1626 | 10.2% | -0.03% | 39.2% | 0.93倍 |
42 | 高安値突破① | 買 | 3783 | 1685 | 2098 | 573 | 15.1% | -0.06% | 44.5% | 0.89倍 |
42 | 高安値突破 | 売 | 16516 | 7301 | 9215 | 1809 | 11.0% | +0.07% | 44.2% | 1.19倍 |
42 | 高安値突破① | 売 | 4928 | 2650 | 2278 | 964 | 19.6% | +0.17% | 53.8% | 1.34倍 |
全体のトレードの「利食率」は10.6%→17.6%へアップし、勝率は41.7%→49.8%へアップしました。
しかし買いのトレードの「利食率」は10.2%→15.1%へアップしたものの平均利益率は-0.03%→-0.06%へダウンしています。売りのトレードの利食率は11.0%→19.6%へ、平均利益率は+0.07%→0.17%へ、勝率は44.2%→53.8%へアップ。 パラメータを最適化しても目標をクリアできていません。 ②(最適化した)条件表No.52「パラボリック①」「パラボリック」は最適化してもパラメータは変化がありませんでした。
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(表4-2)最適化したNo.52「パラボリック①」の成績 |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
51 | パラボリック | 共 | 32500 | 13159 | 19341 | 2583 | 7.9% | +0.03% | 40.5% | 1.08倍 |
52 | パラボリック① | 共 | 32500 | 13159 | 19341 | 2583 | 7.9% | +0.03% | 40.5% | 1.08倍 |
51 | パラボリック | 買 | 16294 | 6158 | 10136 | 1267 | 7.8% | -0.02% | 37.8% | 0.94倍 |
52 | パラボリック① | 買 | 16294 | 6158 | 10136 | 1267 | 7.8% | -0.02% | 37.8% | 0.94倍 |
51 | パラボリック | 売 | 16206 | 7001 | 9205 | 1316 | 8.1% | +0.07% | 43.2% | 1.24倍 |
52 | パラボリック① | 売 | 16206 | 7001 | 9205 | 1316 | 8.1% | 0.07% | 43.2% | 1.24倍 |
パラボリックのパラメータ(201)は最もよいパラメータであったようで、最適化しても変らなかった。したがって成績の変化もありません。
③(最適化した)条件表No.62「ボリンジャー①」
(表4-3)最適化したNo.62「ボリンジャー①」の成績 |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
61 | ボリンジャ | 共 | 17210 | 7531 | 9679 | 2113 | 12.3% | -0.02% | 43.8% | 0.96倍 |
62 | ボリンジャ① | 共 | 8400 | 4204 | 4196 | 1331 | 15.8% | +0.12% | 50.0% | 1.27倍 |
61 | ボリンジャ | 買 | 8148 | 3201 | 4847 | 918 | 11.3% | -0.12% | 39.4% | 0.78倍 |
62 | ボリンジャ① | 買 | 4076 | 1874 | 2202 | 550 | 13.5% | +0.01% | 46.0% | 1.03倍 |
61 | ボリンジャ | 売 | 9062 | 4330 | 4732 | 1195 | 13.2% | +0.07% | 47.8% | 1.15倍 |
62 | ボリンジャ① | 売 | 4324 | 2330 | 1994 | 781 | 18.1% | +0.22% | 53.9% | 1.53倍 |
全体のトレードの「利食率」は12.3%→15.8%へ、勝率は43.8%→50.0%へアップ。売りのトレードの利食率が13.2%→18.1%へ、PFが1.15倍→1.53倍へアップしているのが目立ちます。 以上、3つのトリガーの最適化を行いましたが、全体の成績で、利食率が20.0%を超えるもの、平均利益率が0.20%を超えるもの、勝率が60.0%を超えるものはありません。しかし、 まだまだトレード数は10000回を超えているので、トリガーの局面を絞っていけばそれなりの成績になると思います。 が、それを試す前に、トレードする時刻について調べておきます。 【5】仕掛ける時刻を制限するとどうなるか?①仕掛ける時刻の制限立会いが始まって早めに仕掛けたほうがよいのか、それともある時間の動きをみて仕掛けたほうがよいのかを調べました。次の表は最適化した条件表No.42、No.52、No.62について、
②9:00~9:25(開始30分間)に仕掛けたとき ③9:00~9:55(開始60分間)に仕掛けたとき ④10:00~11:25の間(前場後半)に仕掛けたとき ⑤12:30~14:50の間(後場)に仕掛けたとき |
の成績を調べました。買いと売りの仕掛けを合算してあります。 時刻は分足データの時刻です。分足データの時刻が9:00とは9時00分~9時4分59秒のことで、9:05とは9時05分~9時9分59秒のことです。したがって(9:00~9:05)とは9時00分から9時9分59秒までの10分間を意味します。 (表5-1)仕掛けの時刻の違いによる成績 |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
42 | 高安値突破① | 共 | 8711 | 4335 | 4376 | 1537 | 17.6% | +0.07% | 49.8% | 1.13倍 |
① | 9:00~9:05まで | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
② | 9:00~9:25まで | 共 | 4942 | 2588 | 2354 | 1198 | 24.2% | +0.14% | 52.4% | 1.23倍 |
③ | 9:00~9:55まで | 共 | 5806 | 2959 | 2847 | 1318 | 22.7% | +0.08% | 51.0% | 1.14倍 |
④ | 10:00~11:25 | 共 | 2579 | 1345 | 1234 | 362 | 14.0% | +0.14% | 52.2% | 1.32倍 |
⑤ | 12:30~14:50 | 共 | 3776 | 1910 | 1866 | 97 | 2.6% | +0.12% | 50.6% | 1.49倍 |
52 | パラボリック① | 共 | 32500 | 13159 | 19341 | 2583 | 7.9% | +0.03% | 40.5% | 1.08倍 |
① | 9:00~9:05まで | 共 | 7101 | 3337 | 3764 | 1358 | 19.1% | +0.03% | 47.0% | 1.06倍 |
② | 9:00~9:25まで | 共 | 9161 | 4001 | 5160 | 1592 | 17.4% | +0.00% | 43.7% | 1.00倍 |
③ | 9:00~9:55まで | 共 | 11731 | 5035 | 6696 | 2053 | 17.5% | +0.03% | 42.9% | 1.06倍 |
④ | 10:00~11:25 | 共 | 8976 | 4191 | 4785 | 906 | 10.1% | +0.07% | 46.7% | 1.20倍 |
⑤ | 12:30~14:50 | 共 | 18625 | 7427 | 11198 | 442 | 2.4% | +0.01% | 39.9% | 1.04倍 |
62 | ボリンジャ① | 共 | 8400 | 4204 | 4196 | 1331 | 15.8% | +0.12% | 50.0% | 1.27倍 |
① | 9:00~9:05まで | 共 | 2941 | 1603 | 1338 | 698 | 23.7% | +0.25% | 54.5% | 1.52倍 |
② | 9:00~9:25まで | 共 | 4186 | 2229 | 1957 | 897 | 21.4% | +0.18% | 53.2% | 1.37倍 |
③ | 9:00~9:55まで | 共 | 5026 | 2613 | 2413 | 1016 | 20.2% | +0.15% | 52.0% | 1.30倍 |
④ | 10:00~11:25 | 共 | 3179 | 1512 | 1667 | 316 | 9.9% | +0.05% | 47.6% | 1.13倍 |
⑤ | 12:30~14:50 | 共 | 4667 | 2034 | 2633 | 214 | 4.6% | +0.05% | 43.6% | 1.21倍 |
どのトリガーの成績を見ても9;00~9:05(9時00分~9:09分59秒)に仕掛けるのが最もよいことがわかります。 利食率が最もよいのはNo.42「高安値突破①」の25.8%です。勝率も55.0%と最高です。No.62「ボリンジャ①」は平均利益率が+0.25%と最高で、PFが1.52倍と最高になっています。 後場12:30~14:50までに仕掛けたときの成績は最低です。後場に入って仕掛けてもよい成績はでません 上表ではNo.42「高安値突破①」の9:00~9:05の仕掛けの成績がよいので、これについて、買いと売りの成績を見てみましょう。 (表5-2)No.42の仕掛けの時刻の違いによる成績(買い・売り別) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
42 | 高安値突破① | 共 | 8711 | 4335 | 4376 | 1537 | 17.6% | +0.07% | 49.8% | 1.13倍 |
BS | 9:00~9:05まで | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
B | 9:00~9:05まで | 買 | 1671 | 816 | 855 | 370 | 22.1% | +0.07% | 48.8% | 1.12倍 |
S | 9:00~9:05まで | 売 | 2267 | 1348 | 919 | 647 | 28.5% | +0.37% | 59.5% | 1.77倍 |
9:00~9:05に仕掛けたとき、全体の利食率は(25.8%)ですが、内訳は買い(22.1%)、売り(28.5%)で目標とするポイント①の利食率40%には届いていません。サンプルの時期が買いに不利で売りに有利なので、買い勝率は売りの勝率よりも悪くなってもしかたがありませんが、
買いの成績は、平均利益率が+0.07%、勝率が48.8%とよくありません。これは局面を限定するなどして改良せねばなりません。 9:00~9:05までの10分間に仕掛けるのが一番よいことがわかったので、 今後の売買ルールは、「9:00~9:09の10分間に仕掛ける」とします。 ②決済する時刻の制限仕掛けは9:00~9:05(9時00分~9時9分59秒)の間にするのがよいことがわかりました。その時刻に仕掛けたとして、ではいつ決済をすればよいのかを調べました。次の表は最適化した条件表No.42、No.52、No.62について、
②11:25(11:30より1秒前)に決済したとき ③12:55(13:00より1秒前)に決済したとき ④13:55(14:00より1秒前)に決済したとき ⑤14:50(14:55より1秒前)に決済したとき |
(表5-3)決済の時刻の違いによる成績 |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
42 | 高安値突破① | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
① | 10:00に決済 | 共 | 3938 | 1934 | 2004 | 333 | 8.5% | +0.05% | 49.1% | 1.14倍 |
② | 11:30に決済 | 共 | 3938 | 1960 | 1978 | 570 | 14.5% | +0.01% | 49.8% | 1.02倍 |
③ | 13:00に決済 | 共 | 3938 | 2071 | 1867 | 786 | 20.0% | +0.07% | 52.6% | 1.11倍 |
④ | 14:00に決済 | 共 | 3938 | 2116 | 1822 | 877 | 22.3% | +0.13% | 53.7% | 1.24倍 |
⑤ | 14:50に決済 | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
52 | パラボリック① | 共 | 7101 | 3337 | 3764 | 1358 | 19.1% | +0.03% | 47.0% | 1.06倍 |
① | 10:00に決済 | 共 | 7101 | 3387 | 3714 | 357 | 5.0% | +0.04% | 47.7% | 1.12倍 |
② | 11:30に決済 | 共 | 7101 | 3293 | 3808 | 775 | 10.9% | +0.03% | 46.4% | 1.06倍 |
③ | 13:00に決済 | 共 | 7101 | 3300 | 3801 | 1016 | 14.3% | +0.00% | 46.5% | 1.00倍 |
④ | 14:00に決済 | 共 | 7101 | 3384 | 3717 | 1188 | 16.7% | +0.05% | 47.7% | 1.09倍 |
⑤ | 14:50に決済 | 共 | 7101 | 3337 | 3764 | 1358 | 19.1% | +0.03% | 47.0% | 1.06倍 |
62 | ボリンジャ① | 共 | 2941 | 1603 | 1338 | 698 | 23.7% | +0.25% | 54.5% | 1.52倍 |
① | 10:00に決済 | 共 | 2941 | 1565 | 1376 | 186 | 6.3% | +0.15% | 53.2% | 1.48倍 |
② | 11:30に決済 | 共 | 2941 | 1541 | 1400 | 401 | 13.6% | +0.16% | 52.4% | 1.39倍 |
③ | 13:00に決済 | 共 | 2941 | 1583 | 1358 | 832 | 18.1% | +0.20% | 53.8% | 1.44倍 |
④ | 14:00に決済 | 共 | 2941 | 1585 | 1356 | 624 | 21.2% | +0.21% | 53.9% | 1.45倍 |
⑤ | 14:50に決済 | 共 | 2941 | 1603 | 1338 | 698 | 23.7% | +0.25% | 54.5% | 1.52倍 |
どのトリガーを見ても(14:50)に決済ときの成績が最もよくなっています。10:00とか11:30(前場)に決済しても成績はよくありません。 (9:00~9:09)の間に仕掛け、(14:50)になったら決済するのが一番よいのです。建て玉する時間を最も長くするのがよいのです。1日の値動きは小さいので、建て玉時間が長くても大きなリスクが発生することは少ないからです。だからいくらデイトレードだからといっても、仕掛けて10分や20分、30分後に決済するのは誤りです。 上表ではNo.42「高安値突破①」の(14:50に決済する)の成績がよいので、これについて、買いと売りの成績を見てみましょう。 (表5-4)No.42の決済の時刻の違いによる成績(買い・売り別) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
43 | 高安値突破① | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
BS | 14:50に決済 | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
B | 14:50に決済 | 買 | 1671 | 816 | 855 | 370 | 22.1% | +0.07% | 48.8% | 1.12倍 |
S | 14:50に決済 | 売 | 2267 | 1348 | 919 | 647 | 28.5% | +0.37% | 58.5% | 1.77倍 |
12:55に決済したとき、全体の利食率は(25.8%)ですが、内訳は買い(22.1%)、売り(28.5%)で目標とするポイント①の利食率40%には届いていません。サンプルの時期が買いに不利で売りに有利なので、買い勝率は売りの勝率よりも悪くなってもしかたがありませんが、
買いの成績は、平均利益率が+0.07%、勝率が48.8%とよくありません。これは局面を限定するなどして改良せねばなりません。 9:00~9:05までの10分間に仕掛けて14:50(14;55の始値の値段)に決済するのが一番よいことがわかったので、 今後の時刻についての売買ルールは、「9:00~9:09の10分間に仕掛け、14:50に決済する」とします。 |
【6】トリガーの局面を制限するとどうなるか?No.2「高安値突破②」は次図の(a)と(c)で買いマークを出しています。 (a)は2015年8月6日の9:00~9:04までの間に出た買いマークです。(a)の次の足の始値の7075円で仕掛けると、(b)の7217円で+2%の利食いができます。+2.00%の利益です。% (c)は2015年8月7日の9:00~9:05(分足の時刻)までの間に出た買いマークです。(c)の次の足の始値の7492円で仕掛けると、利食いはできず、(d)の14:50の次の足の始値(b)の7435円で時間切れ決済をすることになります。-0.76%の損失です。 (a)では買いマークが出るが(c)では買いマークは出ないように、ほかのチャートを追加してみます。「局面を絞る」わけです。 「局面」とは、トリガーが売買マークを出したときのトリガー以外のチャートの状態のことです。 ここでは次の4つの局面を想定しました。売買マークが出た日の、
上図の条件表の行No.1~行No.12は「高安値突破」によって売買マークが出る日が決まります。
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①N日線カイリで局面を絞ったとき
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9984「ソフトバンク」は局面の制限をつけないときは、(a)で買いマークがでて、(b)で利食いして+2.00%の利益が出ていました、 この日の50日(本)線のカイリは+0.6%です。(+3%以上)の範囲から外れているので買いマークは出ていません。 また局面の制限がないときは、(c)で買いマークがでて、 (d)で時間切れの決済をして-0.76%の損失が出ました。 この日の50日線からのカイリは+4.7%です。(+3%以上)の範囲に収まっているので買いマークが出ています。 (表6-1)No.42を「N日線カイリ」で制限したときの成績(買い・売り別) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
43 | 高安値突破① | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
A | N日線カイリ | 共 | 1275 | 790 | 485 | 515 | 40.4% | +0.41% | 62.0% | 1.66倍 |
42 | 高安値突破② | 買 | 1671 | 816 | 855 | 370 | 22.1% | +0.07% | 48.8% | 1.12倍 |
A | N日線カイリ | 買 | 216 | 125 | 91 | 89 | 41.2% | +0.17% | 57.9% | 1.21倍 |
42 | 高安値突破② | 売 | 2267 | 1348 | 919 | 647 | 28.5% | +0.37% | 58.5% | 1.77倍 |
A | N日線カイリ | 売 | 1059 | 665 | 394 | 426 | 40.2% | +0.46% | 62.8% | 1.78倍 |
「N日カイリ」で局面を制限すると、成績は飛躍的によくなりました。「売買共」の成績を見ると、①利食率は25.8%→40.4%にアップして、利食率の目標(40%)に達しています。②平均利益率は+0.24%→+0.41%と目標(+0.80%)の半分、③勝率は55.0%→62.0%と目標(70.0%)まであと一息です。 |
②N日線とM日線のカイリで局面を絞ったとき
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9984「ソフトバンク」は局面の制限をつけないときは、(a)で買いマークがでて、(b)で利食いして+2.00%の利益が出ていました、 この日の20日(本)線と70日線のカイリは+0.7%です。(+0%以下)の範囲から外れているので買いマークは出ていません。 (x)の日の20日(本)線と70日線のカイリは-0.1%です。(+0%以下)の範囲に収まっているので買いマークが出ています。 (表6-2)No.42を「N日線とM日線のカイリ」で制限したときの成績(買い・売り別) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
43 | 高安値突破② | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 共 | 623 | 412 | 211 | 210 | 33.7% | +0.59% | 66.1% | 2.77倍 |
43 | 高安値突破② | 買 | 1671 | 816 | 855 | 370 | 22.1% | +0.07% | 48.8% | 1.12倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 買 | 367 | 263 | 104 | 150 | 40.9% | +0.78% | 71.7% | 3.72倍 |
43 | 高安値突破② | 売 | 2267 | 1348 | 919 | 647 | 28.5% | +0.37% | 58.5% | 1.77倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 売 | 256 | 149 | 107 | 60 | 23.4% | +0.32% | 58.2% | 1.80倍 |
サンプルとした時期は、買いに不利・売りに有利な時期でしたが、ここで制限した局面では買いの成績は売りの成績よりもよくなっています。「売買共」の成績を見ると、①利食率は25.8%→33.7%にアップしたが、利食率の目標(40%)には達していない。②平均利益率は+0.24%→+0.59%と目標(+0.80%)まで7合目。③勝率は55.0%→66.1%と目標(70.0%)まであと一息です。 買いの成績は、①利食率ga 40.9%で利食率の目標(40%)をクリア、②平均利益率は+0.78と目標(+0.80%)に近い。③勝率は71.1%と目標(70.0%)をクリア。 局面をうまく制限すれば、買いに不利な時期であっても利益がでることがわかります。(その代り、売りの成績が悪化するのだが) |
③N日線とM日線のクロス日数で局面を絞ったとき
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9984「ソフトバンク」は局面の制限をつけないときは、(a)で買いマークがでて、(b)で利食いして+2.00%の利益が出ていました、 この日の30日線と120日線はゴールデンクロス中なので買いマークは出ていません。 (x)の日の30日線と120日線はデッドクロス中なので買いマークが出ています。 (表6-3)No.42を「N日線とM日線のクロス日数」で制限したときの成績(買い・売り別) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
43 | 高安値突破② | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
C | N日線M日線クロス | 共 | 617 | 381 | 236 | 175 | 28.4% | +0.43% | 61.8% | 2.08倍 |
43 | 高安値突破② | 買 | 1671 | 816 | 855 | 370 | 22.1% | +0.07% | 48.8% | 1.12倍 |
C | N日線M日線クロス | 買 | 248 | 144 | 104 | 79 | 31.9% | +0.45% | 58.1% | 2.11倍 |
43 | 高安値突破② | 売 | 2267 | 1348 | 919 | 647 | 28.5% | +0.37% | 58.5% | 1.77倍 |
C | N日線M日線クロス | 売 | 369 | 237 | 132 | 96 | 26.0% | +0.41% | 64.2% | 2.05倍 |
「N日線とM日線クロス」で局面を制限すると、成績は少しよくなりました。「売買共」の成績を見ると、①利食率は25.8%→28.4%にアップしていますが、それはわずかなアップです。②平均利益率は+0.24%→+0.43%と目標(+0.80%)の半分、③勝率は55.0%→61.80%と目標(70.0%)まであと一息です。 |
④N日変動率で局面を絞ったとき
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9984「ソフトバンク」は局面の制限をつけないときは、(a)で買いマークがでて、(b)で利食いして+2.00%の利益が出ていました、 この日(a)の30日(本)変動率は1.0%です。(+3%以上)の範囲から外れているので買いマークは出ていません。 また局面の制限がないときは、(c)で買いマークがでて、 (d)で時間切れの決済をして-0.76%の損失が出ました。 この日(c)の30日(本)変動率は4.7%です。(+3%以上)の範囲に収まっているので買いマークが出ています。 (表6-4)No.42を「N日変動率」で制限したときの成績(買い・売り別) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
43 | 高安値突破② | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
D | N日変動率 | 共 | 1789 | 1120 | 679 | 676 | 37.6% | +0.44% | 62.3% | 1.81倍 |
43 | 高安値突破② | 買 | 1671 | 816 | 855 | 370 | 22.1% | +0.07% | 48.8% | 1.12倍 |
D | N日変動率 | 買 | 433 | 273 | 160 | 177 | 40.9% | +0.41% | 63.0% | 1.71倍 |
43 | 高安値突破② | 売 | 2267 | 1348 | 919 | 647 | 28.5% | +0.37% | 58.5% | 1.77倍 |
D | N日変動率 | 売 | 1366 | 847 | 519 | 499 | 36.5% | +0.45% | 62.0% | 1.85倍 |
「N日変動率」で局面を制限すると、成績はよくなります。「売買共」の成績を見ると、①利食率は25.8%→37.6%にアップして、利食率の目標(40%)に近い。。②平均利益率は+0.24%→+0.44%と目標(+0.80%)の半分、③勝率は55.0%→62.3%と目標(70.0%)まであと一息です。 |
⑤No.42「高安値突破」(9:00~9:05仕掛け)の局面を絞ったときのまとめNo.42「高安値突破」を以上4つの局面によって絞ったときの成績をまとめると以下のようになります。(表6-5)No.42「高安値突破」を1つの局面で制限したときの成績(買い・売り別) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
43 | 高安値突破② | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
A | N日線カイリ | 共 | 1275 | 790 | 485 | 515 | 40.4% | +0.41% | 62.0% | 1.66倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 共 | 623 | 412 | 211 | 210 | 33.7% | +0.59% | 66.1% | 2.77倍 |
C | N日線M日線クロス | 共 | 617 | 381 | 236 | 175 | 28.4% | +0.43% | 61.8% | 2.08倍 |
D | N日変動率 | 共 | 1789 | 1120 | 679 | 676 | 37.6% | +0.44% | 62.3% | 1.81倍 |
43 | 高安値突破② | 買 | 1671 | 816 | 855 | 370 | 22.1% | +0.07% | 48.8% | 1.12倍 |
A | N日線カイリ | 買 | 216 | 125 | 91 | 89 | 41.2% | +0.17% | 57.9% | 1.21倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 買 | 367 | 263 | 104 | 150 | 40.9% | +0.78% | 71.7% | 3.72倍 |
C | N日線M日線クロス | 買 | 248 | 144 | 104 | 79 | 31.9% | +0.45% | 58.1% | 2.11倍 |
D | N日変動率 | 買 | 433 | 273 | 160 | 177 | 40.9% | +0.41% | 63.0% | 1.71倍 |
43 | 高安値突破② | 売 | 2267 | 1348 | 919 | 647 | 28.5% | +0.37% | 58.5% | 1.77倍 |
A | N日線カイリ | 売 | 1059 | 665 | 394 | 426 | 40.2% | +0.46% | 62.8% | 1.78倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 売 | 256 | 149 | 107 | 60 | 23.4% | +0.32% | 58.2% | 1.80倍 |
C | N日線M日線クロス | 売 | 369 | 237 | 132 | 96 | 26.0% | +0.41% | 64.2% | 2.05倍 |
D | N日変動率 | 売 | 1366 | 847 | 519 | 499 | 36.5% | +0.45% | 62.0% | 1.85倍 |
今一度目標とする成績を掲げると、
ポイント② 利食いできないトレードの勝率は50%あること(全体で70%の勝率になる) ポイント③ 全体の平均利益率は+0.80%になること |
です。これを満足した成績になっているかをチェックしてみましょう。最も重要な成績は「利食率」です。 1)売買共では、 ①「N日カイリ」が40.4%でクリアしていますが、②③をクリアしたものはありません。 2)買いのトレードでは、「N日カイリ」と「N日線とM日線カイリ」、「N日変動率」の3つが①の40.0%をクリアしています。「N日線とM日線カイリ」は②平均利益率と③勝率もクリアしていて完璧です。(ただし売りトレードの成績はよくない) 3)売りのトレードでは、「N日カイリ」が①の40.0%をクリアしただけで、その他の②③の目標をクリアしたものはありません。 目標の数字に近づけるには、もう一つの局面で売買マークを制限する必要があります。試しに「N日カイリ」と「N日線とM日線カイリ」を合成してみると、以下の条件表になります。 9984「ソフトバンク」は(a)で売りマークが出ています。 この日の50日(本)カイリは-2.4%で(-2%以下)の範囲に収まり、20 日と70日カイリ率は+0.2%で(0%以上)の範囲に収まっているので売りマークが出たわけです。 (b)で利食いになっています。 (N日線カイリ)と(N日線とM日線のカイリ)の局面を1つにまとめた条件表の成績は以下の」ようになりました。 (表6-6)No.43「高安値突破」を2つの局面で制限したときの成績 |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
43 | 高安値突破② | 共 | 3938 | 2164 | 1774 | 1017 | 25.8% | +0.24% | 55.0% | 1.47倍 |
A | N日線カイリ |
共 | 1275 | 790 | 485 | 515 | 40.4% | +0.41% | 62.0% | 1.66倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 共 | 623 | 412 | 211 | 210 | 33.7% | +0.59% | 66.1% | 2.77倍 |
48 | (A)+(B)2局面 | 共 | 157 | 108 | 49 | 69 | 43.9% | +0.70% | 68.8% | 2.68倍 |
A | N日線カイリ |
買 | 216 | 125 | 91 | 89 | 41.2% | +0.17% | 57.9% | 1.21倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 買 | 367 | 263 | 104 | 150 | 40.9% | +0.78% | 71.7% | 3.72倍 |
48 | (A)+(B)2局面 | 買 | 84 | 64 | 20 | 44 | 52.4% | +1.02% | 76.2% | 4.85倍 |
A | N日線カイリ |
売 | 1059 | 665 | 394 | 426 | 40.2% | +0.46% | 62.8% | 1.78倍 |
B | N日線とM日線カイリ | 売 | 256 | 149 | 107 | 60 | 23.4% | +0.32% | 58.2% | 1.80倍 |
48 | (A)+(B)2局面 | 売 | 73 | 44 | 29 | 25 | 34.2% | +0.33% | 60.3% | 1.56倍 |
「売買共」の成績を見ると、①利食率は+43.9&と目標(40.0%)をクリア、②平均利益率は+0.70%と目標(0.80%)に少し不足。③勝率は68.8%と目標(70.0%)にほぼ並ぶ。ほとんど合格といってもよいでしょう。 ただし、買いトレードは①②③ともクリアしていますが、売りトレードは①②③ともクリアしていません。2つの局面に絞った結果、買いトレードに有利な条件表になっています。 次に「高安値突破」「パラボリック」「ボリンジャ」に(N日線カイリ)と(N日線とM日線のカイリ」の2つの局面を採用したときの成績を掲げます。 (表6-7)(N日線カイリ)と(N日線とM日線のカイリ)の2つの局面を採用したときの成績 |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
48 | 高安値突破③ | 共 | 157 | 108 | 49 | 69 | 43.9% | +0.70% | 68.8% | 2.68倍 |
高安値突破③ | 買 | 84 | 64 | 20 | 44 | 52.4% | +1.02% | 76.2% | 4.85倍 | |
高安値突破③ | 売 | 73 | 44 | 29 | 25 | 34.2% | +0.33% | 60.3% | 1.56倍 | |
X | 1日1銘柄仕掛け | 共 | 67 | 38 | 29 | 25 | 37.3% | +0.24% | 56.7% | 1.35倍 |
58 | パラボリック③ | 共 | 146 | 96 | 50 | 64 | 43.8% | +0.73% | 65.8% | 2.99倍 |
パラボリック③ | 買 | 73 | 61 | 12 | 45 | 61.6% | +1.42% | 83.6% | 13.85倍 | |
パラボリック③ | 売 | 73 | 35 | 38 | 19 | 26.0% | +0.04% | 47.9% | 1.06倍 | |
X | 1日1銘柄仕掛け | 共 | 54 | 30 | 24 | 22 | 40.7% | +0.44% | 55.6% | 1.85倍 |
68 | ボリンジャ③ | 共 | 135 | 95 | 40 | 64 | 47.4% | +0.76% | 70.4% | 2.75倍 |
ボリンジャ③ | 買 | 79 | 62 | 17 | 42 | 53.2% | +1.12% | 78.5% | 6.42倍 | |
ボリンジャ③ | 売 | 56 | 33 | 23 | 22 | 39.3% | +0.25% | 58.9% | 1.33倍 | |
X | 1日1銘柄仕掛け | 共 | 65 | 37 | 28 | 27 | 41.5% | +0.25% | 56.9% | 1.35倍 |
上表のNo.48,No.58,No.68の(売買共)の成績を見ると、目標とする成績にほぼ近づいています。No.68「ボリンジャ」の利食率は47.4%で目標(40.0%)をクリアし、平均利益率+0.76%は目標(+0.80%$)にあとわずか。勝率は70.4%で目標(70.0%)をクリアしています。 以上の成績は、売買マークが出たものをすべて仕掛けたときの成績です。しかし同じ日に10銘柄が買いマークを出したときはどうするのか? 実際にはそのうちの1銘柄か2銘柄を仕掛けることになるでしょう。そこで1日に1銘柄だけを仕掛けるとしたときの成績を上表の「1日1銘柄仕掛け」の欄に掲げています。 これを見ると成績はものすごく低下しています。例えば「ボリンジャ」の平均利益率は+0.76%→+0.25%へ、勝率は70.4%→56.9%へと大きく悪化しています。平均利益率が+0.40%以上になったものは「パラボリック」だけです。また勝率が60%を超えたものはありません。単純に(N日線カイリ)と(N日線とM日線のカイリ)を局面にしただけではダメなのです。 どういう局面によってトリガーが出す売買マークを制限すればよいのか? ここではN日線カイリとか「N日線とM日線のカイリ」、「N日線とM日線のクロス日数」「N日変動率」を例にして、局面を絞っていけば、成績はよくなることの説明をしました。しかし、どういうチャートによって局面を制限すれば よいのかの方針がありません。思いつくままのチャートで局面を絞っていては、3年かかっても納得できる条件表はできないでしょう。 ところで《Qエンジン24》には「オートマ」の機能があります。この機能を使えば、短時間で, どういうチャートを使って局面を絞ればよいのかを見つけ、よい条件表を生成してくれます。 |
【7】《Qエンジン24》のオートマを使ってディトレードのための条件表を設定する《アラーム24》の分足データを《カナル24》の日足データの形式に変換してあれば、《Qエンジン24》の①検証や②最適化が行えるばかりでなく、③オートマによって最高の条件表を生成することができます。 ここでは2015年7月2日~9月18日までの56日間、5分足のデータ数約3360個について、オートマで買いの条件表と売りの条件表を生成し、これを1つにまとめて売買マークが出る条件表を作ります。できた条件表は《アラーム24》で利用することができます。 ①オートマの手順
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「オートマの指示」の画面が現れます。
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(描画1)No.190「「QE.高安値突破トリガー」の内容
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②オートマが生成した条件表(買い)
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(拡張5)No.25の買いの条件表の内容 No.1行~No.6行が、(描画1)No.190のトリガーです。 No.7~No.11がオートマが追加した局面です。 No.8行で、株価と75日(本)線のカイリ率が1.8%以上であること。 No.9行で、過去10日(本)のカイリ率の最小値が-0.6%以下であること。 No.10行で、株価の5日(本)間の上昇率が3.2%以上であること。 No.11行で、株価の25日(本)間の変動率が3.2%以上であること。 などが設定されています。 |
③オートマが生成した条件表(売り)次に売りの条件表を生成します。
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(拡張5)No.26の売りの条件表の内容 No.1行~No.6行が、(描画1)No.190のトリガーです。 No.7~No.13がオートマが追加した局面です。 No.7行で、株価と17日(本)前の過去比率が-1.4%以下であること。 No.8行で、17日前過去比率が75日前に-0.6%以下であったと。 No.9行で、17日間の変動率が1.8%以上であったこと。 No.10行で、17日間の変動率が75日前に0.6%以上であったこと。 などが設定されています。 |
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No.25の買いの条件表とNo.26の売りの条件表をNo.27にまとめるときは次のようにします。
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(拡張5)No.27の買いと売りを1つにまとめた条件表の内容
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④オートマが生成した条件表を検証する条件表No.27には、No.25の買いの条件とNo.26の売りの条件がまとめられています。この条件表の成績はどうなるのかを検証してみましょう。
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売買ルール
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1分10秒で検証が終りました。 右の赤枠は(909)(905)と表示されていますが、これは9月9日の9:05(9:05~9:09)に仕掛けたということを表しています。 「売買成績」を見ると、
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だがこれらの数字は、同じ日に10銘柄が買いになったとき、10銘柄のすべてを仕掛けたときの成績です。 実際には1日に1銘柄のトレードをすることが多いでしょうから、「1日に1銘柄のトレードをする」としたときの成績を見る必要があります。1日に10銘柄の買い仕掛けが出たとき、実際には9:05分になったときか、9:10になったときに仕掛けが決定しますが、当然に9:05の時点で買いになっている銘柄を仕掛けることになります。どの銘柄が先に買いになっていたのかは、この検証ではわかりません。そこで便宜的に、「同じ日に買いとなった銘柄のうち、株価が最も高い銘柄を仕掛ける」として1銘柄に限定しました。 「損益経過」ボタンをクリック。 |
「損益経過の指示」の画面で右図のような指示をします。 重要なものは(f)の仕掛ける銘柄数は(1銘柄)とすること、(g)(h)で(高い)を指示する。の2点です。(なお(安い)を指示してもかまいません) 「損益経過」の「売買併記」で成績を見ると、売買共の
(表6-7)のトレード数は67回、平均利益率は+0.24%、勝率は56.7%、PFは1.35倍でした。 |
(表7-1)オートマが生成したNo.27の成績。(9:00~9:09仕掛け.14:50決済) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
27 | 高安値突破④ | 共 | 47 | 29 | 18 | 21 | 44.6% | +0.59% | 61.7% | 2.17倍 |
B | 買 | 39 | 24 | 15 | 18 | 46.1% | +0.63% | 61.5% | 2.45倍 | |
S | 売 | 8 | 5 | 3 | 3 | 37.5% | +0.34% | 62.5% | 1.43倍 |
同様にして、(描画1)No.191「QE.パラボリックトリガー」とNo.192「QE.ボリンジャトリガー」を使って、条件表を姿勢し、1日に1銘柄の仕掛けに限定したときの成績を次に掲げます。 (表7-2)オートマが生成した3つのトリガーの成績。(9:00~9:09仕掛け.14:50決済) |
No. | 条件表code | B/S | トレード数 | 勝ち数 | 負け数 | 利食数 | 利食% | 平均% | 勝率 | PF |
27 | 高安値突破④ | 共 | 47 | 29 | 18 | 21 | 44.6% | +0.59% | 61.7% | 2.17倍 |
B | 買 | 39 | 24 | 15 | 18 | 46.1% | +0.63% | 61.5% | 2.45倍 | |
S | 売 | 8 | 5 | 3 | 3 | 37.5% | +0.34% | 62.5% | 1.43倍 | |
31 | パラボリック④ | 共 | 20 | 16 | 4 | 14 | 70.0% | +1.26% | 80.0% | 6.78倍 |
B | 買 | 19 | 15 | 4 | 13 | 68.4% | +1.22% | 78.9% | 6.31倍 | |
S | 売 | 1 | 1 | 0 | 1 | 100.0% | +2.05% | 100.0% | 100.0倍 | |
31 | パラボリック④-2 | 共 | 31 | 24 | 7 | 20 | 64.5% | +1.14% | 77.4% | 4.67倍 |
B | 買 | 19 | 15 | 4 | 13 | 69.4% | +1.14% | 78.9% | 4.71倍 | |
S | 売 | 12 | 9 | 3 | 7 | 58.3% | +1.13% | 75.0% | 4.62倍 | |
35 | ボリンジャ④ | 共 | 41 | 31 | 10 | 25 | 60.9% | +0.93% | 75.6% | 3.07倍 |
B | 買 | 20 | 16 | 4 | 13 | 65.0% | +1.01% | 80.0% | 3.35倍 | |
S | 売 | 21 | 15 | 6 | 12 | 57.0% | +0.85% | 71.4% | 2.82倍 | |
36 | ボリンジャ-④-2 | 共 | 68 | 51 | 17 | 35 | 51.4% | 0.88% | 75.0% | 3.22倍 |
B | 買 | 22 | 17 | 5 | 14 | 63.6% | +0.98% | 77.3% | 3.33倍 | |
S | 売 | 46 | 34 | 12 | 21 | 45.6% | +0.84% | 73.9% | 3.16倍 | |
37 | パラ31+ボリ35④ | 共 | 48 | 37 | 11 | 30 | 62.5% | 1.01% | 77.1% | 3.63倍 |
B | 買 | 26 | 21 | 5 | 17 | 65.3% | +1.09% | 80.8% | 4.31倍 | |
S | 売 | 22 | 16 | 6 | 59.0% | +0.91% | 72.7% | 3.03倍 |
上表で「パラボリック④」のほかに「パラボリック④-2」があります。「パラボリック④」はオートマが生成した条件表そのものですが、トレード数は20回しかありません。うち買いのトレードが19回で、売りのトレードは1回です。売りのトレードができていません。そこで、売りの条件行の最後尾から1行ずつ削って、売りのトレードが増えるようにしたのが「パラボリック④-2」です。
「ボリンジャ④-2」は買いの条件行を少し削り、売りの条件行も少し削ったものです。これによってオートマが生成した「ボリンジャ④」のトレード数41回が68回に増えています。 No.37「パラ31+ボリ35④」は、「パラボリック④」の売買条件をAグループに設定し、「ボリンジャ④」の売買条件をBグループの設定し、14:50決済の条件をCグループに設定したものです。「パラボリック④」か「ボリンジャ④」が売買マークを出すと仕掛けます。 上表には6本の条件表がありますが、次のような評価ができます。
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(標準3)のNo.191~No.194に、上記で設定した条件表を入れました。 《カナル24》の「アップデート」→「条件表をダウンロード」で、 ①(標準3)日足用条件ファイルをダウンロードするか ⑥(サンプル0)日足用条件ファイルをダウンロードして、(サンプル0)のNo.19~No.194をどこかの((標準3)に限らない)No.に「表複写」してください。 念のためにつけ加えておくと、この4つの条件表は「分足データ」を変換したデータでしか使えません。 (毎日データゲットから受信している普通の日足データには「月日」「時刻」の項目がないので、使えません。) |
【8】定期的にすべき作業この講座では、5分足のデータを使って条件表を生成しましたが、5分足データは1日に60本~62本ができます。通常の日足データの60倍の量があります。したがって10個のデータディレクトリを連結させても最大で83日分(=5000本÷60)についてしか調べることができません。約4か月間です。 このように短期間のデータを手本にして作った条件表はいつまでも使えるものではありません。例えば1か月((20日)ごとにオートマで条件表を生成させるのがよいでしょう。定期的にやるべきことを箇条書きにしておきます。
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①カナルのデータへ変換する1日に立会い時間は9:00~11:30の150分間と12:30~15:00の150分間、合計300分です。5分足なら5で割って60本(11:30と15:00に値段がついたときは62本)です。 カナルのデータは500日(本)が最大なので、8日間の分足を記憶することができます。(10分足を保存するなら16日間を記憶できる) したがって《アラーム24》で8日間の分足データを受信し保存(アラームのデータはRTKB95に保存される)したならば、カナル24のデータに変換して下さい。 |
右図ではアラームデータ(RTKB95)を、カナルデータ(DTKB71)の変換しようとしています。 次の8日間がきたら、アラームデータ(RTKB95)を、カナルデータ(DTKB72)に変換します。(DTKB71→DTKB72・・・と数字を1つずつ増やします) ②《Qエンジン24》の「ドライブ」の設定をする。右図では、DTKB77→DTKB77→DTKB76→DTKB75→DTKB74→DTKB73→DTKB72→DTKB71 の順にデータを連結する設定をしています。 新しい日付けのデータから順に、下方にいくほど古い日付けのデータにします。これはカナルの「連結」のしかたと同じです。 ③「オートマ」で条件表を作る。「オートマ」では6本の条件表を生成します。
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買いの条件表はだいたい6分間でできます。続いて売りの条件表を生成します。 売りの条件表も6分あれば生成されます。合わせて12分です。 |
④買いと売りの条件表を1つにまとめて「新規検証」をする買いの条件表と売りの条件表とは別の条件表No.に、買いと売りの条件表を「コピー」して「貼り付け」ます。 条件表の最後尾に(14:50で決済)の行を追加します。 「新規検証」をします。だいたい2分以内に検証は終ります。 こうして、1つのトリガーから条件表を作るのに要する時間は、①買いの条件表生成が6分、②売りの条件表生成が6分、③買いと売りを1つにまとめるのに2分、④検証に2分 の合計16分。だいたい20分で《アラーム24》で使える条件表ができ上がります。 あと2つのトリガーから条件表を生成しても40分。全部で60分間で条件表ができるわけです。 ⑤トレード数が適当な数になるように条件表を調整する「検証」の計算が終ったら「損益経過」で、1日に1仕掛けの指定をして、①トレード数、②利食率、③平均利益率、④勝率 をチェックする。 トレード数が50~80程度になるように、条件表の買いや売りの行の最後尾から削って調整する。 ただし、、、 ②利食率が(40%)、③平均利益率が(+0.80%)、④勝率が(70%)よりも大きく低下するときは削った行を元に戻す。 この作業は1つの条件表につき15~30分かかるかも知れませんが、それでも3つの条件表について1~2時間かければ調整できます。
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