No.18 「統計」と「検証」を繰り返せば成績がよい条件表ができる |
2014年6月に執筆 ・・ HP目次へ.. 講座目次へ. 2014年4月に《カナル24》はVer.5になりました。Ver.5で変わったことは、以下のものです。
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この講座では「統計」と「検証の機能を使って、よい条件表を設定する方法の説明をします。 |
[ 1 ] トリガーと局面トリガーというのは、売買マークを出すときのキッカケのことです。この日が仕掛ける日だということがわかるチャートのある一点です。例えば、「75日線が上向いた日」というのは何十日間に一度しかないのでトリガーですが、「75日線が上向いている日」は何日間も続くので、この日が買いだとは決めることができません。これはトリガーではなく「局面」です。 9日順位相関が「初めて-80以下になった日」はトリガーですが、「-80以下の日」はトリガーではなく局面です。トリガーは何日間かに1度だけ出るもので、局面はその状態が何日間か続くものをいいます。 次の条件表を設定してみました。 この設定例のトリガーは行No.3 の足型(3陽連)です。3陽連が出たら 買い」としています。 行No.4~No.9は、局面を判断するためのチャートですが、まだ「買い」の条件はつけていません。どういう局面で出た3陽連がよいのかがわかっていないからです。 3陽連が出たときに「買い」とすると、右図の(a)~(g)の7か所で買いマークが出ます。 (a)(b)は大きな利益は出ていませんが、(c)(d)(e)はある程度の利益が出ています。 (a,b)と(c,d,e)の違いは、「3陽連」というトリガー以外のチャート(局面)の違いであると思われます。 例えば、買マークが出た日の株価と4本の平均線(9日、25日、75日、200日)の関係を見ると、①(a)(c)(d)(e)は株価が4平均線の上にあるが、(b)は4平均線の下にあります。 買いマークがでた日の25日順位相関の数値を調べると、②(a)は-49、(b)は-82と25日順位相関は低い位置にあるが、(c)は-2、(d)は+18、(e)は+80と比較的高い位置にある。 あるいは買いマークが出た日の9日順位相関が上向きになった日数に注目すると、③(a)は10日目、(b)は6日目と長いが、(c)は2日目、(d)は3日目、(e)は1日目と3日以内であることがわかります。 以上3つの局面の分類をしましたが、
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[ 2 ] 役立つトリガーかどうかを検証するトリガーの例として「3陽連」を取り上げましたが、「3陽連」はトリガーとして役立つのかの検証をしてみましょう。
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売買ルールはシンプルなものにします。
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検証が終わりました。要した時間は5分9秒ほどです。
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売買成績は次のようになっていました。
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利益率の高い順にソートしてみます。
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利益率の最も高いのは、6796「クラリオン」の67.02%です。たったの5日間で、これだけあげたのだから暴騰です。 10%以上の利益が出たのは678件でした。 逆に利益率がマイナス(損失)のものを見ると、最低は2501「サッポロ」の-38.23%です。-10%以上の損失になったのは609件でした。 こうしてみると、勝率は50%を少し下回るとはいえ、大敗するよりも大勝することのほうが多いことがわかります。3陽連はトリガーとして使えます。 |
[ 3 ] トリガーの成績9個のチャートについて、トリガーになりうるかどうかを調べてみました。 ①9日順位相関が-80以下になった 図のように9日順位相関が3日間以上-80より高い位置にあったものが、はじめて-80以下になったときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
このため「3陽連」よりも成績がよくなっています。 |
②9日順位相関が-80以上になった 図のように9日順位相関が-80以下にあったものが、はじめて-80以上になったときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
また順位相関が一度は-80以下になっていたのだから、すでにある種の局面を織り込んだトリガーです。その割にはあまりたいした成績ではありません。 |
③9日順位相関と25日順位相関がともにが-80以下になった 図のように9日順位相関と25日順位相関がともに-80以下になったときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
(9日順位相関が先に-80以下になっていて、後から25日順位相関が-80以下になる場合と、25日順位相関が先に-80以下になっていて後から9日順位相関が-80以下になる場合があるので、条件表は少し複雑になっています。) 9日順位相関は9日間の株価の動きを計り、25日順位相関は25日程度の株価の動きをはかります。25日順位相関はひとつの局面を表現しています。局面を限定すると成績はよくなります。 |
④株価が9日平均線を上抜いた 図のように株価が9平均線よりも5日間以上下位にあったものが、はじめて9日平均線を上抜いたときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
ただ、ここには局面の判断は入っていません。局面を絞ればよい成績になる可能性があります。 |
⑤主な株価のボトムが確定した 図のように「主な株価」が表示されたときは、小波動は上昇転換したと判断できます。主な株価のピークが表示されてから5日以上経過していて、ボトムの株価が表示されたときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
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⑥パラボリックが買いマークを出した 図のようにパラボリックが売りマークを出して5日以上経過した後に、買いマークを出したときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
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⑦直近9日間のザラバ高値を終値が上回った 図のように株価終値が直近9日間のザラバ高値を上抜いた(これまで5日間以上は上抜いていない)ときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
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⑧直近9日間のザラバ安値を終値が下回った 図のように株価終値が直近9日間のザラバ安値を下抜いた(これまで5日間以上は下抜いていない)ときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
⑧の逆張りのほうが⑦の順張りよりすこし成績がよくなっています。 |
⑨3陽連が出た 図のように、3陽連が出た(過去5日間は3陽連は出ていない)ときをトリガーとすると、その成績は次のようになります。
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9つのトリガーの成績を調べましたが、最もよかったのは①「9日順位相関が-80以下になった」です。累計損益%は6957%、勝率50.5%、PFが1.15倍でした。これは株価が下落したときに買いマークが出るので「逆張り」のトリガーです。 逆張りのトリガーは①「9日順位相関が-80以下」、③「9日と25日順位相関が-80以下」、⑧「直近9日間のザラバ安値を下回った」の3つです。そのほかのトリガーは順張りです。 株価が上昇したときに買いマークが出る「順張り」のトリガーのうちで、最も成績がよいのは⑦「直近9日間のザラバ高値を終値が上回った」で、その成績は、累計損益%は2521%、勝率49.4%、PFが1.05倍でした。ほとんどの順張りのトリガーは勝率は49.0%以上あり、PFも1.00倍以上あります。どのトリガーも似たような成績であるので、どれを採用してもよいと思いますが、一度はトリガーの検証をして、①勝率が悪くないか? ②トレード数が少なくないか? のチェックをしてください。 |
[ 4 ] 成績がよい局面をどうやって見つけるのかトリガーが買いマークを出したとき、どういう局面にあるときに成績がよいのかを調べるために、次のような条件表を設定しました。
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①2×2分割表の見方 上図の「2×2分割表」の部分を拡大(原寸大)にして掲げます。
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②シキイ値を変更する 売買の手数料が往復で0.2%かかるとするならば、利益率は最低でも0.2%なければなりません。Y軸(利益率)のシキイ値を0.2%とすれば、0.2%以下は負け、0.2%超は勝ちとなります。
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③割合(勝率)を知る
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④最適なX軸のシキイ値を知る
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⑤X軸の項目を変えて、よりX2値の大きいものを見つける
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[ 5 ] 局面を絞って勝率を高める(Aルート)2×2分割表で、最適なX軸のシキイ値がよい成績を出すことができることがわかりました。この例ではX軸になる項目は16個を取り上げています。これら16個について、
(表1) トリガーが「9日順位相関が-80以下で買い」のときの局面 |
No. | 略字 | 項目 | Aシキイ値 | X 2値 | 件数 | 勝率 | Bシキイ値 | X 2値 | 件数 | 勝率 |
2 | 25rci | 25日順位相関 | -81以下 | 39.9 | 1938/3601 | 53.8% | -81以下 | 39.9 | 1938/3601 | 53.8% |
3 | 25kd | 25日線からのカイリ率 | -21以下 | 74.1 | 197/261 | 75.5% | - | - | - | - |
4 | 75kd | 75日線からのカイリ率 | -21以下 | 38.5 | 735/1280 | 57.4% | -21以下 | 38.5 | 735/1280 | 57.4% |
5 | 200kd | 200日線からのカイリ率 | -52以下 | 19.3 | 143/225 | 63.6% | - | - | - | - |
6 | m25kd | 25日線カイリ率最小値 | -20以下 | 80.9 | 309/440 | 70.2% | - | - | - | - |
7 | m75kd | 75日線カイリ率最小値 | -44以下 | 35.0 | 88/115 | 76.5% | - | - | - | - |
8 | m2xkd | 200日線カイリ率最小値 | -57以下 | 17.7 | 94/141 | 66.7% | - | - | - | - |
9 | 25crs | 株価と25日線クロス | -16以下 | 45.8 | 2337/4360 | 53.6% | -16以下 | 45.8 | 2337/4360 | 53.6% |
10 | 75crs | 株価と75日線クロス | 43超 | 8.4 | 1616/3144 | 51.4% | 43超 | 8.4 | 1616/3144 | 51.4% |
11 | 200crs | 株価と200日線クロス | 90以下 | 8.6 | 9516/19256 | 49.4% | 90以下 | 8.6 | 9516/19256 | 49.4% |
12 | 9hen | 9日変動率 | 27超 | 37.4 | 195/292 | 66.8% | - | - | - | - |
13 | 25hen | 25日変動率 | 22超 | 51.5 | 1791/3268 | 54.8% | 22超 | 51.5 | 1791/3268 | 54.8% |
14 | 5kako | 5日前過去比率 | -14以下 | 17.0 | 537/968 | 55.5% | -14以下 | 17.0 | 537/968 | 55.5% |
15 | 9kako | 9日前過去比率 | -15以下 | 42.0 | 344/549 | - | - | - | - | |
*16 | 25kako | 25日前過去比率 | -19以下 | 97.2 | 915/1492 | 61.3% | -19以下 | 97.2 | 915/1492 | 61.3% |
上表の右端の「勝率」欄の数字は件数が900件以上あるときの勝率です。X2値が97.2と大きいNo.16「25kako」を局面としましょう。すると、次のような売買条件をつけることになります。
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① 局面①にない統計リストを抹消する。 「散布図」を終了して、統計リストの画面に戻ります。
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②局面①の条件に合致した統計リストを分析する 「散布図」の画面を出します。
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X軸を他の項目に変更して、「25日前過去比率が-19%以下なら買い」に続く局面について調べました。
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(表2) 「9日順位相関が-80以下で、25日過去比率が-19%以下なら買い」のときの局面
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