No.14 トレンドの判定と逆張りの売買について |
2011年11月に執筆 ・・ HP目次へ.. 講座目次へ. [ 1 ] トレンドの判定のしかた「上昇トレンドにあるときは押し目買い、下降トレンドにあるときは戻り売り」が売買の原則です。 これとは逆の売買のしかたもあります。「上昇トレンドにあるときの天井売り、下降トレンドにあるときの大底買い」です。しかしこれは天井や大底を判断することは非常に難しい。 「上昇トレンドにあるときは押し目買い、下降トレンドにあるときは戻り売り」をするのが普通です。上昇トレンドにある・下降トレンドにあると判定するやりかたは数多くあります。 |
①小波動私は、「小波動が切り上がったら上昇トレンド、小波動が切り下がったら下降トレンド」としていますが、ここでは簡単にして、
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右図は上図の続きです。(d)で直前の小波動のボトムを下回ったので、この日から下降トレンドに入ります。 (d)以降(e,f,g,h)と売りマークが出ていますが、いずれも(d)の下降トレンド転換を追認する売りマークです。(d)以降は一貫して下降トレンドにあることを表現しています。 (設定例 1) ここで使った条件表は次のものです。 |
②平均線「株価が75日より上位にあれば上昇トレンド、下位にあれば下降トレンド」とする基準もあります。 右図で、初めて株価(終値)が75日線を上回った(p)の日から上昇トレンドになり、株価が75日線を初めて下回った(q)の日から下降トレンドになります。 この場合は、小波動による判定と同じ日(p)に上昇トレンドと判定していますが、(r,s,t,u,v)では株価が75日線を上回ったり・下回ったりで、トレンドがコロコロ変るという欠陥が露呈しています。 右図は上図の続きです。75日線を基準にすると(r,s,t,u,v,w,x,y,z・・・)とトレンドはきちんと決まりません。 小波動を基準にした場合は、(q')以降、小波動がピーク・ボトムともに切り上がることはありませんでした。(q)から(E)までは下降トレンドであり、したがって「戻り売り」の方針が正しくとれたわけです。 《カナル24》には、平均線と同様なチャートとして、①平均線、②コスト線、③平滑平均線、④回帰曲線、⑤コポック平均線、⑥仲値線 がありますが、どれもトレンドの判定をするには難しい時期があります。 (設定例 2) ここで使った条件表は次のものです。 |
③平均線のクロス短期・長期の2本の平均線がクロスしたときをトレンドの転換の日とします。 短期線が長期線を上回ったら上昇トレンドになったと判定し、短期線が長期線を下回ったら下降トレンドになったと判定します。 平均線のクロスによるトレンドの判定は、(a)で短期線が長期線を上回ったので上昇トレンドになります。(b)で短期線が長期線を下回ったので下降トレンドになります。 右図は上図の続きです。上図の(b)で下降トレンドに転換した後、(c)で上昇トレンドに転換したかに見えましたが、その上昇はごく短期間で終り、(d)で再び下降トレンドに戻っています。 (設定例 3) ここで使った条件表は次のものです。 |
④%幅帯(エンベロープ)1本の平均線と株価の絡みでトレンドを判定することが難しい原因は、株価が短期間のうちに線をはさんで上下することにあります。そこで平均線の上下にバッファ(緩衝)ゾーンを作り、このゾーンを突破したときにトレンドを判定するという考えが出てきます。 このゾーンの作りかたも数多くありますが、右図は75日線の5%の幅を平均線の上下に置き、上限線・下限線としたものです。上限線を上抜いたら買いマーク、下抜いたら売りマークを出しています。 これによるトレンドの判定は、(a)で上限線を突破したので上昇トレンドになります。(b)でも買いマークが出ていますが、これはその前に株価がゾーン内まで低下した後、再び上限線を上回ったことを意味しています。トレンドは(a)からずっと上昇トレンドです。 (c)で下限線を下回ったので、下降トレンドになります。その後(d)でも売りマークが出ていますが、先の(b)と同じことで、(d)で新たに下降トレンドになったわけではありません。(c)からずっと下降トレンドです。 右図は上図の続きです。上図の(c)で下降トレンドに転換した後、(d,e,f,g)でも売りマークがでていますが、下降トレンドがきまった(c)以降(E)までは一貫して下降トレンドです。 ゾーンを設けることによって、トレンドの判定は、(a)で上昇トレンド、(c)で下降トレンドの2回になりました。(a→c)の間は押し目買いで、(c)以降(E)まではは戻り売りの方針をとることができます。 ただ「小波動」基準では(p)で上昇トレンドと判定できたのに、「5%帯」では8日遅れた(a)で判定しています。(q)で下降トレンドと判定したのに、22日遅れた(c)で判定しており、「小波動」よりもだいぶと判定が遅れています。 (設定例 4) ここで使った条件表は次のものです。 |
⑤ボリンジャーバンド「%幅帯」は平均線の上下に一律5%のゾーンをつけましたが、「標準偏差」を使ってゾーンにすることもできます。ボリンジャーバンドと呼ばれるものです。 上限線は75日線に標準偏差を上乗せしたもの、下限線は75日線から標準偏差を引いたとします。いわゆる「1σ(シグマ)」のボリンジャーバンドです。図では、上限線を上抜いたら買いマーク、下抜いたら売りマークを出しています。 これによるトレンドの判定は、(a)で上限線を突破したので上昇トレンドになります。(b,c)でも買いマークがでていますが、これはその前に株価がゾーン内まで低下した後、再び上限線を上回ったことを意味しています。トレンドは(a)からずっと上昇トレンドです。 (d)で下限線を下回ったので、下降トレンドになります。その後(e,f)でも売りマークが出ていますが、(e,f)で新たに下降トレンドになったわけではありません。(d)からずっと下降トレンドです。 右図は上図の続きです。上図の(d)で下降トレンドに転換した後、(e,f,g,h)でも売りマークがでていますが、下降トレンドがきまった(d)以降(i)までは一貫して下降トレンドです。 (i)で上昇トレンドに転換したと判定したものの、次に(j)で再び下降トレンドになりました。(j)以降(E)までは下降トレンドです。 ボリンジャーは(a→d)を上昇トレンド、(d→i)を下降トレンド、(i→j)を上昇トレンド、(i→E)を下降トレンドと判定しました。 (設定例 5) ここで使った条件表は次のものです。 |
⑥抵抗帯(一目均衡表)一目均衡表の抵抗帯は、平均線ではなく仲値線を使います。9日仲値線と26日仲値線の平均値を26日先行させたものと、51日仲値線を26日先行させたものを、上限線・下限線とします。 この2線は上下関係が逆転することがあるので、上位にあるものを上限線、下位にあるものを下限線とします。右図は抵抗帯です。上限線を上抜いたら買いマーク、下抜いたら売りマークを出しています。 これによるトレンドの判定は、(a)で上限線を突破したので上昇トレンドになります。(b,c)でも買いマークがでていますが、(a)からずっと上昇トレンドです。 (d)で下限線を下回ったので、下降トレンドになります。その後(e)でも売りマークが出ていますが、(e)で新たに下降トレンドになったわけではありません。(d)からずっと下降トレンドです。 右図は上図の続きです。上図の(d)で下降トレンドに転換した後、(g)で上昇トレンドに転換したかと思うと、(h)で下降トレンドに、そして(i)で上昇トレンド、(j)で下降トレンドと、トレンド判定はくるくる変わっています。 抵抗帯は(a→d)を上昇トレンド、(d→g)を下降トレンド、(g→h)を上昇トレンド、(h→i)を下降トレンド、(i→j)を上昇トレンド、(j→E)を下降トレンドと判定しました。 抵抗帯は、①3本の仲値線でゾーンを作り、②そのゾーンを26日先行(先へずらす)という特徴を持っていますが、ゾーンを作ることでトレンドの判定が遅れ、先行させることでまたトレンドの判定が遅れます。それがよいこともありますが、この例ではうまく判定できていません。 (設定例 6) ここで使った条件表は次のものです。 |
⑦ケルトナー・チャンネル(トゥルーレンジをゾーンとする)1日のザラバ高値とザラバ安値の差(値幅)がその日の変動の大きさを表現しています。ただ前日から窓を空けて上昇あるいは下落したときは、この窓の分が変動の中に取り込まれません。これを考慮したものがトゥルーレンジです。(《カナル24》Ver.4で追加) 10日トゥルーレンジとは1日の値幅(変動)の10日平均値です。この値幅の1.5倍したものを75日平均線の上下に置いたものが右図です。これはケルトナー・チャンネルと呼ばれています。 これによるトレンドの判定は、(a)で上限線を突破したので上昇トレンドになります。(b,c)でも買いマークがでていますが、(a)からずっと上昇トレンドです。 (d)で下限線を下回ったので、下降トレンドになります。その後(e,f)でも売りマークが出ていますが、(e,f)で新たに下降トレンドになったわけではありません。(d)からずっと下降トレンドです。 右図は上図の続きです。上図の(d)で下降トレンドに転換した後、(i)で上昇トレンドになり、(j)で下降トレンドに転換しています。 ケルトナー・チャンネルは、(a→d)を上昇トレンド、(d→i)を下降トレンド、(i→j)を上昇トレンド、(j→E)を下降トレンドと判定しました。 (設定例 7) ここで使った条件表は次のものです。 |
⑧パラボリック(曲がる傾向線)パラボリックは、一定期間のザラバ高値を上限線とし、ザラバ安値を下限線としてスタートします。ザラバ高値が上限線を突破したときから上昇トレンドに入ったと判断し、その後は下限線(図では青色)だけを表示します。 この下限線は日がたつにつれて一定の割合で高くなっていきますが、ザラバ高値が新値をとると一層下限線は高くなります。その結果下限線は曲線になります。 ザラバ安値がこの下限線を下回ったときから下降トレンドに入ったと判断し、その後は上限線(図ではピンク色)だけを表示します。 パラボリックによるトレンドの判定は、(a)で上限線を突破したので上昇トレンドになります。(b)で下降トレンド、(c)で上昇トレンド、(d)で下降トレンド、(e)で上昇トレンド、(f)で下降トレンド,c)とトレンドの判定は目まぐるしく変化します。 右図は上図の続きです。上図の(g)で上昇トレンドに転換した後、(h)で下降トレン、(i)で上昇トレンド、(j)で下降トレンドに転換しています。 パラボリックはここまでの例の中では、最も早くトレンドを判定しています。しかしその分ダマシも多く発生しています。 (設定例 8)ここで使った条件表は次のものです。 |
⑨Vボラ・ストップ (Variable Volatiloty Stops)⑦で紹介したケルトナー・チャンネルは、N日のトゥルーレンジ(ATRと略す)を計算し、M日の平均線(または平滑平均)にATRをX倍したものを加えて上限線とし、ATRをX倍したものを減じて下限線とします。 Vボラ・ストップはケルトナーと似ていますが、ATRを何倍かしたものを平均線に加減するのではなく、N日間の最大値・最小値(終値ベース)に加減します。 上限線=N日間の最小値+ATRのX倍 下限線=N日間の最大値-ATRのX倍 となります。グラフを描くときは、上昇トレンドのときは下限線だけを描き、下降トレンドのときは上限線だけを描きます。これは⑧のパラボリックと同じ表示形式です。(《カナル24》Ver.4で追加) これによるトレンドの判定は、(a)で上限線を突破したので上昇トレンドになります。(b)で下降トレンドに変り、(c)で再び上昇トレンドに転換しています。 右図は上図の続きです。上図の(c)で上昇トレンドに転換した後、(d)で下降トレンドに転換していますが、株価はこのときが安値水準でした。 (e)で上昇トレンドになったものの、これもダマシとなり、(f)で下降トレンドに変わっています。 (設定例 9)ここで使った条件表は次のものです。 |
⑩アルーンのクロス (aroon)アルーンにはアルーン・アップ(図の赤色線)とアルーン・ダウン(図の青色線)の2つがあります。アップはN日間の最高値が当日にあれば100となり、N日前が最高値であれば0になります。ダウンは逆で、N日間の最安値が当日にあれば100となり、N日前が最安値であれば0になります。 アルーン・アップがアルーン・ダウンを上回ったら上昇トレンドになり、アルーン・アップがアルーン・ダウンを下回ったら下降トレンドであると判定します。(《カナル24》Ver.4で追加) これによるトレンドの判定は、(a)でアルーンアップ(赤色)がアルーンダウン(青色)を上抜いたので上昇トレンドになり、(b)でアルーンアップ(赤色)がアルーンダウン(青色)を下抜いたので下降トレンドになります。(c)で上昇トレンドに転換しています。 右図は上図の続きです。上図の(c)で上昇トレンドに転換した後、(d)で下降トレンドに転換しています。その直後に株価は下落しているので、これはよい判定です。 しかし(e)で上昇トレンドと判定しましたが、これは完全なダマシとなりました。(f)で再び下降トレンドに変わっています。 (設定例 10) ここで使った条件表は次のものです。 |
⑪カギ足肩抜き右図にはカギ足が描かれています(ピンク色と灰色の線)。基本的には、ピンク色に変った日から上昇トレンド、灰色に変った日から下降トレンドになったとします。 しかし「カギ足肩抜き」は、それに加えて、直前のカギ足のピークを初めて上抜いた日から上昇トレンドになったと判定します。 図の(a)の日の株価は直前のカギ足のピーク(a')の水準を上抜いたので、この日から上昇トレンドに転換しました。上昇トレンドにあるうちは、カギ足はピンク色で描かれます。 (b)の日に下降トレンドになりました。直前のカギ足のボトムの(b')の水準を下抜いたからです。この日からカギ足は灰色で描かれます。 右図は上図の続きです。上図の(c)で上昇トレンドに転換した後、(d)で下降トレンドに転換しています。その後株価はドンドン下落しているので、これはよい判定です。 (設定例 11) ここで使った条件表は次のものです。 |
[ 2 ] どのチャートを使ってトレンドを判定すればよいのか?ここまで11個のトレンド判定のしかたの例を掲げました。ではどのトレンド判定のしかたが最も有効なのでしょうか? よい判定とは
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右図の赤色線は、いち早く(A)で上昇トレンド入りを判定し、(a)で下降トレンド入りを判定しています。もし(A)で買い(a)で売るなら(a-A)円の利益がでます。 青色線は、(A)より少し遅れて(B)で上昇トレンド入りと判定し、(a)より少し遅れて(b)で下降トレンド入りと判定しています。(b-B)円がこのトレンド判定による利益です。 緑色線のトレンドの判定は大きく遅れています。この場合は(c-C)円は損失になります。 よいトレンドの判定であるのかどうかは、
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そこで例にした11個のチャートのパラメータを最適化し、最適化したパラメータを使って成績を調べました。
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上表を見ると、ほとんどのチャートは売り(下降トレンド)の成績は損失になっています。その中で唯一利益がでているのは「③平均線クロス」です。20日線と110日線がゴールデンクロスしたら買い、デッドクロスしたら売りという簡単な判断によって、上昇トレンドでは、平均利益が+25.4M(+2.54%)、下降トレンドでは平均利益が+8.8M(+0.88%となっています。 買い(上昇トレンド)に限ると、「⑪カギ足肩抜き」はなんと+83.2M(+8.32%)、「④%幅帯」も+67.0M(+6.70%)と大きな利益です。このほかに「③平均線クロス」よりも大きな平均利益を出しているのは、「⑤ボリンジャー」の+27.8M、「⑦ケルトナー」の+34.4M、「⑨Vボラストップ」の+40.9があります。買い(上昇トレンド)の判定については、これらのチャートのほうが優れています。 売り(下降トレンド)の成績が悪いのは、
(1)については、株価が上昇を始めるとき、急騰で始まるよりも、モタモタ底練りしてから上昇することが多いでしょう。従って、上昇トレンドの判定は少し遅くてもよいわけです。 逆に天井圏から株価が下降を始めるとき、ジリジリと下げるよりも急落からスタートすることが多いでしょう。急落を見てから下降トレンドに入ったと判定していては遅いのです。 (2)については、多くのチャートが一定の値幅(ゾーン)を設けています。「④%幅帯」「⑤ボリンジャ」「⑥抵抗帯」「⑦ケルトナー」「⑧パラボリック」「⑨Vボラストップ」です。これらゾーンは株価水準に依存します。例えば「10%帯」は株価が平均線から10%以上上昇したとき上昇トレンドに入ったとしますが、株価が底値圏にあるとき、株価が300円なら30円ほど上昇すれば上昇トレンドになります。天井圏にあるとき株価が500円なら-50円下落しないと下降トレンドにはなりません。上昇トレンドは30円の株価上昇でよく、下降トレンドは-50円の株価下落が必要なので、上昇トレンドの判定は下降トレンドの判定に比べて、早くなります。 ここまでは、買い(上昇トレンド)も売り(下降トレンド)も同じパラメータのチャートを使ってきましたが、もっと精度を上げるには、買いと売りは別々のパラメータを決めるとよいでしょう。 ただし、これからしようとしていることは、トレンドが転換したら仕掛け、トレンドが転換したら決済と同時に反対の仕掛けをするという「ドテン売買」ではありません。上昇トレンドにあるときの「押し目買い」、下降トレンドにあるときの「戻り売り」です。上表の売りの成績が悪いとはいっても、売りによる平均利益が最も悪い「⑪カギ足肩抜き」の成績でもその平均利益は-13.4M(-1.34%)の損失でしかありません。「戻り売り」のタイミングをうまく捉えることができるならば、十分にトレンド判定に役立つチャートになります。 |
[ 3 ] 押し目買いと戻り売りのタイミングを知らせてくれるチャートは何か?上昇トレンドにあるときは「押し目買い」、下降トレンドにあるときは「戻り売り」をしますが、どういうタイミングで押し目買いをし、戻り売りをすればよいのでしょうか? 右図は(表1)の⑩アルーン・クロス(70日)を使ってトレンドを判定しています。アルーンは(X-A)は下降トレンド、(A-B)は上昇トレンド、(B-Y)は下降トレンドと判定しています。 上昇トレンドにあるときは「押し目買い」、下降トレンドにあるときは「戻り売り」とするとき、右図では「押し目・戻り」のタイミングを捉えるチャートとして13日ストキャスティクス(%K)を使っています(紫色線)。 13日ストキャスティクス(%K)が30以下になったとき買い、70以上になったとき売りという売買条件をつけるなら、右図の赤色○で囲った日が売買のタイミングになります。
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(設定例 12) ここで使った条件表は次のものです。 条件表はグループ化され、Aグループはアルーンによるトレンドの判定を設定し、Bグループはストキャスティクスにより仕掛けのタイミングを設定しています。 押し目買いは株価が下落しているときに実行し、戻り売りは株価が上昇しているときに実行します。つまり当面の株価の動きに逆らって買ったり売ったりします。このような売買方針を「逆張り」といいます。 《カナル24》にある逆張りのチャートとしては、①K相対力指数、②順位相関、③サイコロジカル、④VL相対力指数、⑤ストキャスティクス、⑥ベクトル、⑦ADオシレータ などがあります。これら逆張りのチャートを使って押し目買い・戻り売りのタイミングを見つけることにしましょう。 そこで上昇トレンド・下降トレンドは無視して、これら逆張りのチャートだけで売買したらどのような成績になるのかを調べてみます。これによってどのチャートが役立つのかがわかるはずです。 それぞれのチャートにはそれぞれの特性があるので、まずTOPIX100銘柄を対象にして、次のルールでパラメータを最適化し、10年間の成績を調べてみました。
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成績のよいチャートは上表の「平均利益」「勝率」「PF」の数字を見ればわかります。平均利益が最も高いのは⑥ベクトルの7.2Mですが、買いの平均利益は③サイコロジカルの9.8M、売りの平均利益は⑥ベクトルの11.2Mです。 勝率はどれも53~54%で、②順位相関が51%台と悪いほかは、特にどれがよいとはいえません。あえて順位をみるなら、④VL相対が54.8%とよく、買いの勝率は④VL相対の56.2%、売りの勝率は⑥ベクトルの55.1%です。 PFは③サイコロジカルが1.29倍で一番よく、買いのPFは③サイコロジカルが1.43倍、売りのPFは⑥ベクトルの1.36倍です。だいたい③サイコロジカルか⑥ベクトルの成績がよいといえます。そこで次章では、押し目買い・戻り売りのタイミングを計るチャートは③サイコロジカルを使うことにします。 |
[ 4 ] トレンド判定と仕掛けのタイミングの統合についてサイコロジカルを仕掛けのタイミングとするとき、前章の(表2)で、
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グラフ下部のピンク色折れ線は21日サイコロジカルです。ピンク色の水平線はサイコロジカルが25の水準を表わしています。ピンク色サイコロジカルがピンク色水平線を下抜いたときが買いのタイミングです。 空色折れ線は9日サイコロジカルです。空色の水平線はサイコロジカルが80の水準を表わしています。空色サイコロジカルが空色水平線を上抜いたときが売りのタイミングです。 トレンドは20日平均線と110日平均線のクロスで判定します。図の(X-A)は上昇トレンド(買い時代)、(A-B)は下降トレンド(売り時代)、(B-C)は上昇トレンド(買い時代)、(C-Y)は下降トレンド(売り時代)です。 上昇トレンド中にサイコロが買いになったときが押し目買いのタイミングで(a)がこれに当たります。下降トレンド中にサイコロが売りになったときが戻り売りのタイミングで(b,c)がこれに当たります。 (設定例 13) ここで使った条件表は次のものです。 No.1~No.6行が平均線のクロスによるトレンド判定の設定、No.7~No.12行がサイコロによる仕掛けのタイミングの設定です。 上の条件表のNo.9~No.12行はやや煩雑な感じを持たれるもも知れません。これは21日サイコロが25以下になった日だけ、9日サイコロが80以上になった日だけに売買マークを出すためです。 (設定例 14) 単に21日サイコロが25以下になっている日、9日サイコロが80以上になっている日に売買マークを出すのであれば、次の設定をしても構いません。 上の(設定例14)では、21日サイコロが25以下になっている日に買いマークが出ます。右図のように(a)を含めて4日連続して買いマークが出ています。 売りマークは9日サイコロは(b)(c)の日だけが80以上であったので、たまたま連続しては売りマークは出ていません。 |
①条件表のグループ化2つのグラフを掲げましたが、これは①上昇トレンド中に21日サイコロが買いマークを出したら買い、②下降トレンド中に9日サイコロが売りマークを出したら売り の日に売買マークが出るような条件表でした。今は上昇トレンドである、下降トレンドであるということを明示するには、条件表をトレンド判定の部分とサイコロの部分に分ける必要があります。そこで次のような条件表を設定します。 (設定例 15) 元の条件表にNo.7行の「グループ」を挿入しています。これによって、No.7行のグループ(A)より上のNo.1~No.6はAグループとなり、No.7行のグループ(A)より下のNo.8~No.13はBグループとなります。AグループはAグループの中の売買条件によって売買マークを出し、BグループはBグループの中の売買条件によって売買マークを出します。つまり2種類の売買マークが出ることになります。 (設定例15)の条件表によるグラフです。 赤色↑↓はAグループが出した売買マークです。これはトレンドを表現しています。買いマークが出ているときは上昇トレンドで、売りマークが出ているときは下降トレンドです。 (A)で下降トレンドに転換し、(B)で上昇トレンドに転換し、(C)で下降トレンドに転換しています。 緑色↑↓はBグループが出した売買マークです。21日サイコロが25以下になった日に買いマーク、9日サイコロが80以上になった日に売りマークが出ています。 問題になるのは(d)の買いマークです。下降トレンドなのに買いマークが出ています。これはBグループはBグループの売買条件(21日サイコロが25以下になったら買い)だけで売買マークを出しているからです。Bグループにはトレンドの判定の条件は設定していないので、こういうことになります。(d)の買いマークを出さないようにするには、BグループにもAグループと同じトレンド判定のための設定をしておかねばなりません。すると、次のような設定になります。 (設定例 16)No.3~No.6行が平均線クロスによるトレンド判定部分なので、これをBグループのNo.8~No.11行に嵌め込みました。これによって、Bグループはトレンド判定+サイコロジカルの2つの売買条件を満たしたときに売買マークを出すようになります。 BグループにもAグループと同じトレンド判定の部分を設定したので、(d)の日には緑色の買いマークは出なくなりました。 |
②他のグループの売買マークを利用する前章の(設定例16)では、Aグループの条件行と同じものをBグループにも設定しましたが、これはAグループの必要な条件行が4行((設定例16)のNo.3~No.6行)と少なかったからです。もしAグループに複雑な条件を設定していて、全部で50行あるとすれば、Bグループに50行の条件を追加しなければなりません。あるいは、Bグループにサイコロジカルの設定をし、Cグループにベクトルの設定をし、DグループにVL相対の設定をしておいて、上昇トレンドのときBCDグループのどれかが買いとなったら押し目買いをする、下降トレンドのときBCDグループのどれかが売りとなったら戻り売りをする。という条件表を設定するならば、BCDの各グループにAグループのトレンド判定の部分を設定しておかねばなりません。 すでにAグループで計算をして売買マーク(この場合はトレンドに売買マーク)を出す日は決定しています。それをまたBCD グループでも繰り返すのは無駄な計算時間を使うし、最大150行しかない条件表の条件行を無駄に使うことになります。 《カナル24》Ver.4ではグループや売買マークを操作する「加工」が多く追加されました。その一つが「G買い利用」「G売り利用」です。次のように設定します。 (設定例 17) No.8行に「No.1 のG買利用」が設定してあります。これがグループA(GNo.1がAグループを指す)の買いマークが出た日をBグループでも利用するという意味です。Aグループが買いマークを出している日でないと、Bグループは買いマークを出しません。 No.9行に「No.1 のG売利用」が設定してあります。グループA(GNo.1がAグループを指す)の売りマークを利用するという意味です。Aグループが売りマークを出している日でないと、Bグループは売りマークを出しません。 (設定例17)の条件表によるグラフです。BグループはAグループの売買条件を利用しているので、Aグループの買いとBグループのサイコロジカルの買いが一致した日に買いマーク(a)を出しています。Aグループが売りの日の(d)ではサイコロジカルが買いであっても買いマークは出ていません。 売りマークも同じです。Aグループが売りの日で、Bグループのサイコロジカルが売りになっていないとBグループは売りマークを出しません。 グラフ最下部の数値表示欄には、最新日の計算値が表示されています。「A買い」欄は「0」、「A売り」欄は「1」になっています。これは最新日のAグループが売りマークであることを意味しています。Aグループが買いマークを出している日は「A買い」欄は「1」、「A売り」欄は「0」になります。このようにBグループでAグループが買いマークを出しているのか売りマークを出しているのかがわかっているのです。 (設定例 18)次はCグループに「VL相対」による仕掛けのタイミングを設定したものです。CグループでもAグループのトレンド判定の部分を使うので、No.17行とNo.18行に「G買利用」と「G売利用」を設定しています。 右図は(設定例18)のグラフです。Bグループは(a)で買いマーク、(b)(c)で売りマークを出していますが、どれもAグループが買いの日に買いマークを、Aグループが売りの日に売りマークを出しています。 Cグループは青色の売買マークです。(d)(e)(f)の買いマークはAグループが買いの日に出ています。Aグループの売買マークがCグループにも反映されていることが確かめられます。 |
③そのグループの売買マークを表示させない(設定例18)のグラフではAグループの赤色の売買マーク、Bグループの緑色の売買マーク、Cグループの青色の売買マークの3種類が表示されています。Aグループの赤色売買マークはトレンドが上昇トレンドにあるときはずっと赤色の買いマークを出し、下降トレンドにあるときはずっと赤色の売りマークを出しています。このAグループの売買マークによって押し目買いや戻り売りを仕掛けるのではありません。BCグループがAグループのトレンドを反映して売買マークを出しているということを確認したならば、Aグループの売買マークは表示する必要がありません。 そのために、「そのグループの売買マークはグラフに表示しない。検索のときはそのグループは検索されない」という加工を追加しました。「G買無効」「G売無効」です。 (設定例 19) Aグループの最後の行(No.7行とNo.8行)に「G買無効」「G売無効」が設定してあります。これによってAグループは売買条件(No.5行に買い条件、No.6行に売り条件が設定してある)に従ってトレンドの判定はするが、グラフには売買マークを出さない、検索ではAグループの検索はされない、ということになります。 (設定例19)のグラフです。Aグループの赤色の売買マークが消え、BCグループの売買マークだけが出ています。 このBCの売買マークはAグループのトレンド判定を反映して出されています。 |
④そのグループの売買マークを延長する[ 1 ]章の「トレンド判定のしかた」で、「④%幅帯」のトレンドがいつ転換したのかを知るための条件表(設定例4)を掲げました。次のようなものでした。この条件表を使ってグラフを描くと右図のようなところで売買マークを出します。 「④%幅帯」は株価が上限線を上回ったときから上昇トレンドになり、下限線を下回ったときから下降トレンドになったと判定します。 上限線と下限線の2本の線を使ってトレンドを判定するしかたは、④%幅帯、⑤ボリンジャー、⑥抵抗帯、⑦ケルトナー、などがあります。 人間がグラフを見て判定すれば、トレンドは判ります。 (a)で初めて上限線を抜いたので上昇トレンドに入り、(c)で初めて下限線を下抜いたので下降トレンドに入っています。 しかし上昇トレンドにあるときは買い時代である、下降トレンドにあるときは売り時代であることの条件表の設定はできていません。 条件表でトレンドを判定したときは、上昇トレンドになった(a)の日から下降トレンドに転換した(c)の日の前日まではずっと買いマークが出ていなければなりません。下降トレンドに転換した(c)の日以降はずっと売りマークが出ていなければなりません。 上昇トレンドになったからサイコロジカルで押し目買いのタイミングが(x)とか(y)の日であるとわかっても、(x)や(y)の日には上昇トレンドであるという買いマークは出ていないので、サイコロジカルによる買いマークは出ません。 正しい売買マークは右図のように出ていなければなりません。 すなわち(a)で上昇トレンドに転換したので(a)以降はずっと買いマークを出す。(c)で下降トレンドに転換したので(c)以降はずっと売りマークを出すような条件表の設定が不可欠です。 もしこのようなトレンドに従った売買マークが出せるなら、 (a-c)間の上昇トレンドの時期にサイコロジカルが買いマークを出したとき、サイコロジカルの買いマークは上昇トレンドの買いマークと一致しているので、真の買いマークがでます。 (c-Y)間の下降レンドの時期にサイコロジカルが売りマークを出したとき、サイコロジカルの売りマークは下降トレンドの売りマークと一致しているので、真の売りマークがでます。 どのような設定をすれば右図のような売買マーク(上昇トレンド中はずっと買いマークを出し、下降トレンド中はずっと売りマークを出すことができるのでしょうか。 (設定例4)を変更して、株価が上限線を上回っているときは買い、株価が下限線を下回っているときは売り、としたのが次の条件表です。赤色枠の部分が(設定例4)と異なっています。 だがこの設定では、株価が上限線を上回っているあいだは買いマークは出ますが、上限線を下回ったときには買いマークは出ません。まだ下限線を下回っていないので上昇トレンドにあるにもかかわらずです。 図のピンク色の間は、株価が上限線を下回っているため上昇トレンドであるとは認識されず、買いマークは出ません。 同じく株価が下限線を下回っているときは売りマークは出ますが、下限線を上回っている図の青色線の間は売りマークはでません。下降トレンドは下限線を下回ってから次に上限線を上回るまでの間である、ということがこの条件表では設定できていないのです。 この問題を解決するのが「買m延長」「売m延長」です。「m」は「マーク」の意味です。買いマークがでたならば、翌日からN日間は買いマークを出す(ただしN日のうちに売りマークが出たならばそれ以上は延長しない)。売りマークがでたならば、翌日からN日間は売りマークを出す(ただしN日のうちに買いマークが出たならばそれ以上は延長しない)。という機能を持っています(《カナル24》Ver.4で追加) (設定例 20) Aグループの最下行のNo.9行とNo.10行に「500日 買m延長」と「500日 売m延長」を設定しています。買いマーク(売りマーク)が出たら、翌日から500日間はずっと買い(売り)マークを出す。ただし途中で反対の売り(買い)マークが出たらそれ以上は延長しないで、今度は売り(買い)マークを500日間出す。という意味です。 右図はこの条件表によるグラフです。(a)で売りマークが出たので、翌日から500日間は売りマークを出します。 しかし(a)の翌日から38日目に(b)で買いマークが出たので、買いマークの延長はここで打ち切られ、(b)の買いマークの翌日から500日間は買いマークを出します。 その後(c)で売りマークが出たので、買いマークの延長は打ち切られ、(c)からは売りマークが続けて出されることになります。 サイコロジカルからは(p)の日に買いとなりますが、5%幅帯による(p)の日のトレンド判定は下降トレンド(売り)となっているので買いマークは出ていません。 同じくサイコロジカルからは(q)(r)の日に売りとなりますが、5%幅帯による(q)(r)の日のトレンド判定は上昇トレンド(買い)となっているので売りマークは出ていません。 これで[ 4 ] 「トレンド判定と仕掛けのタイミングの統合について」の章を終わりますが、ここで述べたことをまとめておきます。
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[ 5 ] トレンド判定+逆張りの成績[ 2 」章で、11個のトレンド判定法について、上昇トレンドに転換したら買い仕掛けをし→下降トレンドに転換したら決済する。下降トレンドに転換したら売り仕掛けをし→上昇トレンドに転換したら決済する。というドテン売買をするとき最も成績がよくなるように各トレンド判定に使うチャートを最適化し、その成績を調べて(表1)にまとめました。ドテン売買で成績がよいトレンド判定法は一応、早く・的確なトレンドの判定をしていると思われます。 (表1)によれば、平均利益が大きいのは⑪カギ足肩抜き(38.6M)、勝率が高いのは⑨Vボラストップ(41.4%)、PFが大きいのは⑪カギ足肩抜き(1.39倍)でした。ただ下降トレンドの判定はほとんどの判定法はうまく判定できず、③平均線クロスを除く10個は平均利益はマイナスになっていました。 次に、トレンドは無視して、逆張りで利益がでるチャートは何かを調べました。8個のチャートを最適化し、その成績を(表2)にまとめました。(表2)によると、平均利益が大きいのは⑥ベクトル(7.2M)で、勝率が高いのは④VL相対(54.8%、PFが大きいのは③サイコロジカル(1.29倍)でした。 本章では、(表1)の最適化したトレンド判定法に、サイコロジカルを組み合わせて、上昇トレンドで押し目買い・下降トレンドで戻り売りをする条件表を設定し、その成績を調べました。その際にトレンド判定法によってトレンドの転換の時期が異なるので、それに合わせてサイコロジカルのパラメータを最適化しています。最適化のルールは、
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予想したほど成績はよくありませんでした。表の先頭に参考として「サイコロジカル」の成績を掲げています。これは上昇トレンド・下降トレンドを区別することなく、単純にサイコロジカルの数値だけからトレードしたときの成績です。これによると平均利益は6.6M(買いは9.8M、売りは3.2M)、勝率は54.4%(買いは55.1%、売りは53.6%)、PFは1.29倍(買いは1.43倍、売りは1.14倍)です。 ①小波動~⑪カギ足肩抜きの成績が「サイコロジカル」の成績よりも悪いものは、そのトレンド判定法を使っても意味がない、却ってトレンドを判定しないほうがよい、ということになります。 平均利益を見ると、サイコロジカル(買い9.8M、売り3.2M)よりもよかったのは、⑩アローン・クロス(買い10.7M、売り4.4M)だけです。サイコロジカルの総合(6.6M)よりもよかったのは、②平均線(7.5M)、③平均線クロス(6.9M)、⑧パラボリック(7.5M)、⑩アルーンクロス(7.0M)、⑪カギ足肩抜き(8.4M)です。 勝率を見ると、サイコロジカルは54.4%(買い55.1%、売り53.6%)ですが、買い・売りの勝率がこれを上回ったのは、⑨Vボラストップ(58.6%、売り56.3%)だけです。総合(54.4%)では②平均線(54.9%)、⑥抵抗帯(54.8%)、⑧パラボリック(54.8%)、⑨Vボラストップ(57.5%)、⑩アルーンクロス(55.7%)、⑪カギ足肩抜き(58.2%)が上回っています。 PFを見ると、サイコロジカルは1.29倍(買い1.43倍、売り1.14倍)ですが、買い・売りのPFがこれを上回ったのは、⑩アルーンクロス(買い1.54倍、売り1.21倍)だけです。総合(1.29倍)では②平均線(1.36倍)、③平均線クロス(1.32倍)、⑧パラボリック(1.36倍)、⑨Vボラストップ(1.30倍)、⑩アルーンクロス(1.34倍)、⑪カギ足肩抜き(1.40倍)が上回っています。 以上のことから、サイコロジカルを単独で使うよりも、⑧パラボリック、⑨Vボラストップ、⑩アルーン・クロス、⑪カギ足肩抜きによってトレンドを判定した上でサイコロジカルを使うほうがよいことはわかります。一方、①小波動、④%幅帯、⑤ボリンジャー、⑦ケルトナーは、サイコロジカル単独の成績に劣るので、このままではこれらトレンド判定は役に立っていないことになります。 上表に平均利益・勝率・PFについて上位2つに「*」印を振っています。 私は、成績の良し悪しの合格基準を(勝率55.0%、PF1.50倍)としていますが、総合(売りと買い)の成績でこの合格基準をクリアしたものはありません。押し目買いの場合は⑪カギ足肩抜きを使い、戻り売りの場合は⑥抵抗帯を使って、どうにか合格基準をクリアできるかというところです。 全体的に成績が思わしくないのは、ダマシに引っかかっている事例が多いからです。 右図は⑦ケルトナーが出した買いマークです。(a)(b)の2か所で出ています。(a)はまずまずの位置で出ていますが、(b)が出たのは下降トレンドに転換する3日前のことでした。これがダマシになります。 図で上昇トレンドに転換したのは(A)の日です。(a)が出たのは(A)の翌日から57日目のことでした。(b)が出たのは(A)の翌日から131日目のことです。 上昇トレンドがある程度続いたならば、そろそろ下降トレンドに転換するのではないかと思わなければなりません。この場合は上昇トレンドに転換して57日までは押し目買いをしてもよく、131日 以上が経過しているときは、押し目買いはしてはならなかったわけです。 上図の続きです。(c)と(d)で戻り売りのマークが出ています。下降トレンドに転換したのは、(B)の日です。(c)の売りマークは(B)の翌日から23日目でした。(d)の売りマークは(B)の翌日から86日目でした。 (c)も(d)も戻り売りをするにはよい位置にあります。この場合は下降転換してから86日目までは戻り売りをしてもよかったわけです。 |
[ 6 ] トレンドが転換してからの日数で仕掛けを制限する前章では、トレンド転換してからあまりにも時間が経過したときは仕掛けないほうがよいのではないかと推測しました。本章ではトレンド転換して何日までなら仕掛けてもよいのかを調べます。 ところで、トレンドが転換して何日が経過しているのかを調べるためには、トレンドが転換した日がわかっていなければなりません。この日とはデータの並び(最新日から過去何日前にトレンドが転換したか)です。 右図はケルトナーが判定したトレンドです。買いマークが出ている時期は上昇トレンド、売りマークが出ている時期は下降トレンドを意味しています。 (a)の日に初めて買いマークが出ています。この日から上昇トレンドに転換したとケルトナーは判定します。つぎに(b)で初めて売りマークが出て、この日から下降トレンドに転換しました。以来ずっと下降トレンドにあります。 (a)の日が最新日から何日前なのかを知るには、カーソルを(a)の位置に移動させると、「No.」欄に「1163」と表示されるので、最新日から1163日前に上昇トレンドに転換したことがわかります。 同様にして(b)は最新日から1131日前であることがわかります。ここから(a)から(b)の前日までの上昇トレンドの日数は32日(=1163-1131)であることもわかります。 だがこういう目で見てトレンドが転換した日を見つけるやりかたはダメです。条件表にこの日が上昇トレンドが始まった日だ、下降トレンドがはじまった日だと判断できる手順を設定する必要があります。どうすればよいのでしょうか? 次は右図を描かせた条件表です。No.12行で「買m延長」を設定して、株価が上限線を上回ったら、翌日から500日間買いマークを連続して出すようにしています(500日間のうちに売りマークが出たら、延長は打ち切る)。 No.13行で「売m延長」を設定して、株価が下限線を下回ったら、翌日から500日間売りマークを連続して出すようにしています(500日間のうちに買いマークが出たら、延長は打ち切る)。 (設定例 21) 右図は、上昇トレンドに転換した日(a)に買いマークを出し、下降トレンドに転換した日(b)に売りマークを出しています。 この条件表は次の(設定例22)のようになります。 まずNo.14行とNo.15行に「G買無効」「G売無効」を設定して、Aグループの売買マークを出さないようにしています。 次にBグループを作り、No.17行でAグループの買いマークを利用する設定をし、No.18行でAグループの売りマークを利用する設定をしています。 この結果、No.17行は、Aグループが買いマークを出している日は「1」を、買いマークが出ていない日は「0」を記憶しています。 本章の一番上のグラフに見るように、(a)の日以降(b)の前日までは、Aグループは買いマークを出していました。したがって、No.17行は(a)の日から(b)の前日までは「1」を覚えており、それ以外は「0」を憶えています。 (設定例 22) (a)の日のNo.17行の値は「1」です。(a)の前日のNo.17行の値は「0」です。すなわち、No.17の当日の値が「1」で、前日の値が「0」のとき、当日から上昇トレンドが始まったことがわかります。 このことがNo.19行とNo.20行に設定されています。No.19行は当日 のNo.17行の値が「1」なら買い、No.20行は前日のNo.17行の値が「0」なら買いです。この2つの買い条件を満足する日は(a)しかありません。そこで(a)に日に緑色の買いマークをだすことができるのです。 (b)の日の売りマークも同様です。Aグループが出した売りマークはNo.18行が「1」か「0」の値で記憶しています。No.21行で、当日のNo.18行の値が「1」なら売り、No.22行で前日のNo.18行の値が「0」なら売り、と設定しているので、2つの売り条件を満足する(b)の日に緑色の売りマークが出るわけです。 |
⑤指定したグループが出した売買マークの日付を取り出す(設定例22)によって、上昇トレンドに転換した日に買いマークを、下降トレンドに転換した日に売りマークを出せるようになりました。次は売買マークが出た日を取り出すことです。《カナル24》Ver.2で「日付取出し」という加工を追加しました。これは1つのチャートがある状況になったときの日付(最新日から何日前か)を取り出すものでした。例えば、25日線からのカイリ率が+10%以上になった日の日付を取り出す、9日順位相関が-80以下になった日の日付を取り出す。25日線と75日線がデッドクロスした日の日付を取り出す、といったような使い方をします。 ところで売買マークはいくつかのチャートを組み合わせて、いくつかの売買条件が満足されたときに売買マークを出します。この売買マークが出た日の日付を取り出すために、Ver.4では「G買日付」「G売日付」の加工を追加しました。「G買日付」の「G」とはグループのことです。グループを指定して、そのグループが出した買いマークの日付を取り出すことができます。「G売日付」は売りマークを出した日の日付を取り出すことができます。 右のグラフの(A)は、下降トレンドに転換した日に出た売りマークです。これは(設定例22)のBグループが出しています。(a)(b)は次に掲げる条件表のCグループがサイコロジカルによって出したCグループの売りマークです。 ここで(A)の日付を取り出して、それが最新日から1313日前だとわかり、(a)の売りマークの日を取り出して最新日から1294日前のことだとわかると、(a)の売りマークは、下降トレンドに転換して19日目(=1313-1294)であることがわかります。 (b)の売りマークの日が最新日から1188日前のことだとわかると、下降トレンドに転換して125日目(=1313-1188)であることがわかります。 必要なものは、(A)の日付と(a)(b)の日の日付です。売買マークが出た日の日付は「G買日付」「G売日付」を使って取り出すことができます。次の(設定例23)をご覧ください。 (設定例 23) (設定例22)でBグループは初めてトレンドが転換した日に売買マークを出すことが確認できたので、(設定例23)では、No.23行とNo.24行にBグループの売買マークは出さないような設定をしました。 次にCグループを作り、ここにNo.26行とNo.27行でAグループの売買マークを利用するように設定しました。No.33行~No.38行のサイコロジカルによる売買マークをAグループのトレンドに反映させるためです。 No.28行で「GNo.2 G買日付」を設定しています。[GNo.2」とはBグループのことです。Bグループが出した買いマークの日付を「G買日付」で取り出すことができます。同じくNo.29行で、Bグループが出した売りマークの日付を取り出すことができます。 No.30行の「当日日付」は当日の日付を取り出します。当日とは例えば上図の(a)の日であり(b)の日です。No.28行で上昇トレンドになった日付、No.29行で下降トレンドになった日付、No.30行で当日の日付を得ることができます。 No.31行ではNo.28行の(初めて上昇トレンドになった日付)から( 当日の日付)を引き算しています。これで上昇トレンドに転換して当日は何日目になるのかがわかります。設定では90日以内であれば買いとしています。 No.32行ではNo.29行の初めて下降トレンドになった日付から当日の日付を引き算しています。これで下降トレンドに転換して当日は何日目になるのかがわかります。設定では90日以内であれば売りとしています。 Cグループの買い条件は
(設定例23)によってグラフを描くと右の(a)で売りマークが出ます。(b)は下降トレンドに転換して125日が経過しているので売りマークはでません。(90日以上経過していると売買マークはでないように設定している) これによって1つダマシを排除することができました。次の(表4)はトレンドが転換してからの日数によって売買マークを制限したときの成績です。 各トレード判定法に合う最適な期限を決めました。買いの日数制限は「B」に、売りの日数制限は「S」にあります。トレンド判定のパラメータは(表1)のパラメータ欄の数字、サイコロジカル(仕掛けのタイミング のパラメータは(表3)のパラメータ欄の数字を使っています。トレンド転換から何日以内かの最適化は、
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(表3)の成績は、押し目買い・戻り売りをするときに、時間的な制限をつけなかったときのものです。そこでは合格基準を満足したのは、⑪カギ足肩抜きの買いの成績(勝率64.3%、PF1.69倍)だけでした。(表4)でトレンドが転換してからの経過日数の制限をつけましたが、さほど成績はアップしていません。総合で合格基準を満たしたものはありません。最も合格基準に近かったのが、⑧パラボリックの(勝率56.8%、PF1.44倍)です。次いで①小波動(勝率55.6%、PF1.44倍)、⑨Vボラストップ(勝率59.1%、PF1.40倍)、②平均線(勝率56.4%、PF1.40倍)です。この4つは、サイコロジカルの単独使用よりもよい成績です。 買いの成績では、①小波動(勝率56.3%、PF1.72倍)と⑪カギ足肩抜き(勝率63.7%、PF1.57倍)が合格。売りの成績は、合格したものはありません。惜しくも不合格になったのが、⑧パラボリック(勝率57.8%、PF1.49倍)です。これを見ると(表4)の成績は(表3)よりも少しは向上していますが、トレンドが転換してからの日数による仕掛けの制限をしてもダマシが減るのはわずかです。 |
[ 7 ] 買い・売りの成績がよいものを併合する(表4)では合格基準である(勝率55.0%、PF1.50倍)を満足する条件表はありませんでした。しかし買いだけの成績なら合格しているものがありました。①小波動(勝率56.3%、PF1.72倍)と⑪カギ足肩抜き(勝率63.7%、PF1.57倍)です。また売りだけの成績は⑥抵抗帯(勝率57.8%、PF1.49倍)がわずかの差で不合格になっています。そこで
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(設定例24) 小波動で買い・抵抗帯で売る条件表 次に掲げる(設定例24)の内容を説明すると、
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この条件表による成績は次のようになります。総合の成績は(勝率57.0%、PF1.60倍)となって、合格基準(勝率55.0%以上、PF1.50倍以上)をクリアしています。
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