No.13 条件表No.16「天底/押目戻り/突破」の解説 |
2011年9月に執筆 ・・ HP目次へ.. 講座目次へ. [ 1 ] 条件表No.16の目的《カナル24》の(標準3)条件ファイルには、多くの条件表が設定されています。それぞれの条件表には、それぞれの目的があります。 例えばNo.2「日経平均用'96」は、日経平均について、逆張りの売買マークを出すものであり、No.8「ピークボトム切上げP/Q」は小波動の切り上がりが発生したときに買いマークを出すものです。 No.9「大底買い・吹き値売り」はタイトルのように、大底らしときに買いマークを出し、天井らしいときに売りマークを出すのが目的であり、No.13「75日線売買①」は、75日線を基準にして、押し目買い・戻り売りの売買マークをだすものです。 ここで、今掲げた条件表が相場のどの局面で売買マークを出そうとしているのかをまとめると、
次図は、中勢モデル波動です。そこに3種類の売買マーク(↑と↓)を記入していますが、これが仕掛けをする際に参考になる売買マークです。この3種類(売りと買いで6種類)の売買マークをひとつの条件表にまとめたものが、条件表No.16「天底/押目戻り/突破」です。 |
右図の売買マークを出す局面と、ダマシになる場合を説明します。
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[ 2 ] 条件表No.16の内容条件表No.16は、①大底買い・天井売り、②押し目買い・戻り売り、③突破買い・突破売り、の3つの局面(売り・買いでは6局面)で売買マークを出します。そのために条件表は、ABCの3グループに分割されています。以下に条件表の内容を掲げます。 《カナル24》Ver.3のユーザーは「アップデート」→「条件表をダウンロード」で、(サンプル0)条件ファイルをダウンロードして、(サンプル0)のNo.16を(標準3)のNo.16(適当なNo.でもよい)に「条件表の複写」をして下さい。 もし(標準3)条件ファイルにユーザーが独自に条件表を設定していないのであれば、(標準3)条件ファイルをダウンロードしてもよいです。(条件表No.16に同じ 条件表No.16「天底/押目戻り/突破」が入っています) 「条件表の複写」は次のようにします。
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共通のグラフ部分 (図1) (A)大底買い・天井売りの部分 (図2) (B)押し目買い・戻り売りの部分 (図3) (C)突破買い・突破売りの部分 (図4) |
[ 3 ] 大底買い・天井売りの解説とその成績(図2)を見てください。 「大底買い」の条件は以下のようになっています。
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グラフの例 5411「JFE」はa(2010年3月31日)で「天井売り」マークを出しています。これは正解。 A(2010年5月24日)で「大底買い」マークを出していますが、これはダマシ。このダマシに掛からぬためには、Aの日がモデル波動のどの局面にあるのかを判断しなければなりません。 「大底買い」はモデル波動の(A)近辺で出るのが理想です。 Aの日は株価が75日線を割り込んではいるが、まだ75日線あるいは25日線まで反発をしていない段階です。したがってモデル波動の(K)の位置にあたります。 (大勢波動が上昇中のときは(K)が大底(A)になることもあるので、(K)付近で「大底買い」が出たときは、大勢波動をチェックしたほうがよい。局面が(K)であっても「大底買い」が正しいこともあります。) Bの日は、25日線まで戻って(3100円)再び下落しているので、モデル波動の(A)になる可能性があります。同じようにC,Dの日もモデル波動の(A)の可能性がありましたが、「大底買い」は8個の買い条件のうち7個を満足していないとでません。Bでは4個、Cでは5個、Dでは5個しか買い条件を満足していなかったので、買いマークは出ていません。 【 注意 】 条件表の「検証」のしかた 本章で行った「検証」は次の基準によります。
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大底買い・天井売りの成績 (図5) 買いと売りを合算した成績は、①585回のトレードがあり、②平均利益が13.3M(1.33%の利益)、③勝率は59.3%、④PFは1.50倍 です。勝率は目安である55.0%を超え、PFも目安の1.50倍に達しています。よい成績です。 買いだけの成績を見ると、①333回のトレードがあり、②平均利益が13.5M(1.35%の利益)、③勝率は58.3%、④PFは1.46倍。 売りだけの成績を見ると、①252回のトレードがあり、②平均利益が13.0M(1.30%の利益)、③勝率は60.7%、④PFは1.57倍。 次図の年別損益を見ると、2005年の平均損益が-25.8M、勝率が31.5%、PFが0.34倍 と極めて悪い数字になっています。2005年は下げることなく一方的に上昇した年でした。「大底買い・天井売り」の条件の性格は「逆張り」です。そのため、ピークになるだろう位置で「天井売り」マークを出したものがことごとくダマシになって大きな損失を出したのが原因です。 そのほかの9年は、勝率は55%を超えています。PFは2004年と2007年のPFが1.50倍に達していせんが、ほかの7年は1.50倍を超えています。 (図6) |
[ 4 ] 押目買い・戻り売りの解説とその成績(図3)を見てください。 「押目買い」の条件は以下のようになっています。
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グラフの例 3382「7&アイ」はa(2010年4月1日)で「戻り売り」マークを出していますが、これはダマシです。 グラフにカギ足が描かれていますが、ピンク色と灰色の色分けがされています。ピンク色の部分はトレンドが上昇中、灰色部分はトレンドが下降中であることを表わしています。 aの時点で、カギ足の直前のピークは(p)の水準(2345円)でした。この水準を株価が上回ったのはaの売りマークの翌日のa'の日(2346円)です。a'の日にカギ足は「肩抜き」して上昇トレンドに転換しました。したがってaの日にはまだ下降トレンドにあったので「戻り売り」マークが出たわけです。 a'の日からは上昇トレンドにあります。下降トレンドに転換するのは、株価が前のカギ足のボトムのq(1831円)を下回るときです。それまでは上昇トレンドにあるので「押し目買い」です。AとBで「押し目買い」マークが出ています。 aで「戻り売り」が出てダマシになりましたが、モデル波動の局面を考えていれば、ダマシは防げます。 「戻り売り」はモデル波動の(L)(N)近辺で出るのが理想です。 aの日はqをボトムとして初めて75日線を上回った後、上昇に上昇を重ねてきました。この間、一度も25日線や75日線まで下げていません。モデル波動では少なくとも(D)の局面ですから、モデル波動からは「戻り売り」にはなりません。 「押し目買い」はモデル波動の(E)(G)付近で出るのが理想です。Aの日はカギ足のピーク(r)から下落し、75日線を割込んだところですが、モデル波動の(E)になる可能性があります。したがってAの「押 し目買い」はよいでしょう。 しかしBの日は、75日線を大きく割込み→75日線まで(2240円)戻ったが→前の小波動のボトム(1998円)を下抜いたので、モデル波動の(M)の可能性があります。Bは「押し目買い」にはなりません。 この「押し目買い・戻り売り」は、買いの場合は12%カギ足を1つの波動と仮定しているので、小波動を基本にするモデル波動と一致しないことがかなりあります。売買マークがでたときは、マークを盲信せず、マークがでた日はモデル波動のどの局面に当たるのかをチェックしてください。 押し目買い・戻り売りの成績 (図7) 買いと売りを合算した成績は、①416回のトレードがあり、②平均利益が10.8M(1.08%の利益)、③勝率は60.8%、④PFは1.55倍 です。勝率は目安である55.0%を超え、PFも目安の1.50倍を超えています。 買いだけの成績を見ると、①196回のトレードがあり、②平均利益が12.1M(1.21%の利益)、③勝率は63.8%、④PFは1.56倍。勝率・PFともに目安を上回っています。 売りだけの成績を見ると、①220回のトレードがあり、②平均利益が9.7M(0.97%の利益)、③勝率は58.2%、④PFは1.55倍。勝率・PFともに目安を上回っています。 次図の年別損益を見ると、2001年の平均損益が-10.8M、勝率が45.0%、PFが0.69倍 と悪い数字になっています。2000年にネットバブルが崩壊し、2001年も株価が年初から30%以上も下落した年でした。 2005年も平均損益が-3.2M、勝率が54.1%、PFが0.79倍 と損失を出した年です。2005年は年間を通じてグングン上昇した年でした。 「押し目買い・戻り売り」の条件の性格は「逆張り」です。そのため相場の方向が下げ一方・上げ一方に偏った年はマイナスになります。 (図8) |
[ 5 ] 突破買い・突破売りの解説とその成績(図4)を見てください。「突破買い」の条件は以下のようになっています。
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グラフの例 4005「住友化」はA(2010年11月26日)で「突破買い」マークを出しています。 Aの日に先の小波動のピークH1(371円)を上回りました。このとき小波動のボトムの位置関係は次のようになっていました。
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1605「国際帝石」はa(2011年5月6日)で「突破売り」マークを出しています。 aの日に先の小波動のボトムL1(5810円)を下回りました。このとき小波動のピークの位置関係は次のようになっていました。
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「突破売り」はモデル波動の(J→K)の間、(L→M)の間ででるのが理想です。モデル波動の(H→I→J→K)の動きは、(H)から75日線近辺の(I)まで下落し→25日線近辺の(J)まで戻り→75日線を下抜いて(K)へ到る、というコースを辿ります。 グラフでは(H2)が(H)、(L1)が(I)、(H2)が(J)にあたります。aの日はちょうど75日線を下抜いているので、(J→K)の下落途中に出た「突破売り」です。モデル波動からも適切な売りマークです。 突破買い・突破売りの成績 (図9) 買いと売りを合算した成績は、①624回のトレードがあり、②平均利益が9.7M(0.97%の利益)、③勝率は58.2%、④PFは1.54倍 です。勝率は目安である55.0%を超え、PFも目安の1.50倍を超えています。 買いだけの成績を見ると、①480回のトレードがあり、②平均利益が9.3M(0.93%の利益)、③勝率は58.1%、④PFは1.56倍。勝率・PFともに目安を上回っています。 売りだけの成績を見ると、①144回のトレードがあり、②平均利益が11.1M(1.11%の利益)、③勝率は58.3%、④PFは1.47倍。売りの成績はあまりよくありません。トレード数は買いの480回に比べて144回と少ないのは売り条件を厳しくしているためです。「突破売り」はなかなか難しいことを示しています。 次図の年別損益を見ると、2002年の累計損益がマイナスになっています。「大底買い・天井売り」と「押し目買い・戻り売り」は逆張りの性格を持っていますが、「突破買い・突破売り」は順張りの性格です。逆張りの条件の成績が悪かった年は2001年・2005年でしたが、順張りの条件表の成績が悪かった年は2002年でした。 (図10) |
[ 6 ] 条件表No.16「天底/押目戻り/突破」の解説とその成績条件表No.16「天底/押目戻り/突破」は、(A)大底買い・天井売り、(B)押目買い・戻り売り、(C)突破買い・突破売り を1つの条件表にまとめたものです。グラフを描かせたとき、
(B)押目買い・戻り売りは、緑色の↑↓ (C)突破買い・突破売りは、青色の↑↓ グラフの例 4063「信越化」のグラフを掲げます。 A(2009年7月13日)に「大底買い」 a(2009年9月8日)に「天井売り」 B(2010年2月1日)に「押し目買い」 C(2010年2月17日)に「突破買い」 C'(2010年3月8日)に「突破買い」 D(2010年12月9日)に「突破買い」 b(2011年1月14日)に「天井売り」 b'(2011年1月19日)に「天井売り」 E(2011年6月29日)に「突破買い」 F(2011年7月26日)に「突破買い」 G(2011年8月22日)に「大底買い」 c(2011年9月2日)に「戻り売り」 「天底/押目戻り/突破」の成績 (図11) 買いと売りを合算した成績は、①1468回のトレードがあり、②平均利益が10.7M(1.07%の利益)、③勝率は59.1%、④PFは1.49倍 です。勝率は目安である55.0%を超えているが、PFは目安の1.50倍にわずかに不足しています。 買いだけの成績を見ると、①897回のトレードがあり、②平均利益が10.7M(1.07%の利益)、③勝率は59.1%、④PFは1.49倍。PFがわずかに不足。 売りだけの成績を見ると、①571回のトレードがあり、②平均利益が10.7M(1.07%の利益)、③勝率は59.2%、④PFは1.50倍。売りの成績と買いの成績はほぼ同じです。 次図の年別損益を見ると、2005年の累計損益がマイナスになっています。(図6)の「大底買い・天井売り」の2005年の損益は-1393.3M、(図8)の「押し目買い・戻り売り」の2005年の損益は-117.6Mでしたが、(図10)の「突破買い・突破売り」の2005年の損益は+987.1Mと大幅なプラスでした。 この3つを合計すると-101.2Mになります。(図12)の2005年の損益は-680.7Mになっていて、3つを合計したマイナス額(-523.8M)は異なっていますが、これは(大底買い・押し目買い・突破買い)(天井売り・戻り売り・突破売り)のどれか2つが同じ日にマークを出していることがあるからです。同じ日に損失がでたトレード数よりも、同じ日に利益がでたトレード数のほうが少なかったのでしょう。 条件表No.16の年別成績は、2005年のマイナスの年でも、平均損益は(-3.9M=0.39%)と小さなものであるので、工夫によっては毎年利益が出るようになるはずです。その工夫とは、
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(図12) |
[ 7 ] 決済のルールについて(時間切れ)決済の「時間切れ」の期間は何日が適当なのかを調べます。売買ルールは次のとおりです。
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右図のAの日に「大底買い」が出ています。翌日の始値(1756円)で買い仕掛けをして、aは10日目、bは20日目、cは30日目です。 売買ルールの「時間切れ」を10日としていたならば、aの翌日の始値(1862円)で決済することになります。 だが20日目のbの翌日に決済していたなら始値は2015円、30日目のcの翌日に決済していたなら始値は2130円です。「時間切れ」の期間によって成績は大いに違ってきます。 この例では買い仕掛けをしてから30日目に決済を決めるのが正解であったのですが、①建て玉期間が長くなればなるほど、②利益の幅が大きくなり、③損失の幅が大きくなる可能性があります。 大きな利益を得たいならば、①大きな利食い幅を決め、②建て玉期間を延ばす必要がありますが、それに伴って③大きな損失が出ることを覚悟していなければなりません。 小さな利益で満足するならば、①小さな利益幅を決め、②建て玉期間を短くすることです。そうすれば③大きな損失は出ません。 条件表No.16は、「時間切れ10日・利食い+10%・損切り-10%」という売買ルールのもとで最適化してあります。したがってこの売買ルールによる成績が最もよいはずです。ただ人によってトレード期間は、短期・中期・長期と異なります。トレード期間(時間切れ)によって条件表No.16の成績はどうのように変るかを(表1)に掲げます。
上の(表1)のNo.1~No.5は「利食い+10%・損切り-10%」は固定しています。成績を測る重要な成績項目である(累計損益・勝率・PF)の3項目を見ると、No.2の「時間切れ10日」が最もよい成績です。No.5の売りの累計損益(6529M)はNo.2の売りの累計損益(6131M)より勝っていますが、勝率・PFはNo.2のほうが優れています。「利食い+10%・損切り-10%」の売買ルールの下では、時間切れは10日がよいことがわかります。 No. No.6~No.9は、「利食い+15%・損切り-15%」にして、時間切れを10日・15日・20日・25日と変化させたものです。No.6~No.9の累計損益が最も大きいのはNo.6の15140M、平均利益が大きいのはNo.6の10.4M、勝率が高いのはNo.6の59.1%、PFが大きいのはNO.6の1.49倍です。「利食い+15%・損切り-15%」の売買ルールのもとでも、時間切れ10日が最もよい成績です。 |
[ 8 ] 決済のルールについて(利食い%と損切り%)決済の「利食い%」「損切り%」は何%が適当なのかを調べます。売買ルールは次のとおりです。
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右図のAとBの日に「天井売り」が、Cの日に「押目買い」が出ています。このとき、建て玉期間は10日として「利食い+5%」と「利食い+10%」の損益は次のようになります。 ①「利食い+5%」のとき、 A(290円)売り→a(275円)で利食い=+15円 B(313円)売り→b(297円)で利食い=+16円 C(246円)買い→c(259円)で利食い=+13円 ②「利食い+10%」のとき、 A(290円)売り→a'(284円)で時間切=+6円 B(313円)売り→b(281円)で利食い=+32円 C(246円)買い→c'(243円)で時間切=-3円 図では「利食い%」だけを見ましたが、成績は①時間切れ、②利食い%、③損切り% の組み合わせによってずいぶん違いがでます。(表2)に売買ルールによる成績をまとめました。 表のNo.3が「利食い+10%・損切り-10%」の標準の売買ルールによる成績です。これを基準にして、他の売買ルールによる成績を比較します。
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上表から以下のことが判ります。
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[ 9 ] 決済のルールについて(グラフによる利食い)グラフからどういう現象が起きたときに決済するのがよいのかを調べます。売買ルールは次のとおりです。
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グラフの特定の現象とは、例えば25日線からのカイリ率が+5%以上になったら転売するとか、25日線からのカイリ率が-5%以上になったら買い戻しするとかの、グラフで決済のタイミングを決めておくものです。ここでは次の3つのグラフ上の現象を例とします。
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①「終値が75日線を上抜いたら転売する。終値が75日線を下抜いたら買戻す。」という決済をするとしましょう。 右図のAで「天井売り」が出ています。この後終値が75日線を下抜いたのはaの日なので、aの翌日の始値で決済します。 Bで「大底買い」が出ています。この後終値が75日線を上抜いたのはbの日なので、bの翌日の始値で決済します。 右図のCで「突破買い」が出ています。この後終値が75日線を下抜いたのはcの日なので、cの翌日の始値で決済します。 Dで「押目買い」が出ています。この後終値が75日線を上抜いたのはdの日なので、dの翌日の始値で決済します。 この決済(多くは利食いになっている)の成績は次の(表3)のNo.2にまとめてあります。 ②「9日順位相関が+90以上になったら転売する。9日順位相関が-90以下になったら買戻す。」という決済をするとしましょう。 右図のAで「大底買い」が出ています。この後9日順位相関が+90以上になったのはaの日です。aの翌日の始値で決済します。 Bで「戻り売り」が出ています。この後9日順位相関が-90以下になったのはbの日です。bの翌日の始値で決済します。 Cで「押目買い」が出ています。この後9日順位相関が+90以上になったのはcの日です。cの翌日の始値で決済します。 この決済(多くは利食いになっている)の成績は次の(表3)のNo.3にまとめてあります。 ③「順上がりの3陽連が出たら転売する。順下がりの3陰連が出たら買戻す。」という決済をするとしましょう。 右図のAで「突破買い」が出ています。この後aで「順上がりの3陽連」が出ました。(順上がりとはザラバ高値が切り上がり、ザラバ安値も切り上がっている形)aの翌日の始値で決済します。 Bで「戻り売り」が出ています。この後bで「順下がりの3陰連」が出ました。bの翌日の始値で決済します。 この決済(多くは利食いになっている)の成績は次の(表3)のNo.4にまとめてあります。 3つの決済(多くは利食い)の例を掲げました。この例では、時間切れ・利食い・損切りのルールを無視して説明しましたが、実際には 「仕掛けて10日がたったら決済する。+10%の利益が出たら決済する。-10%の損失がでたら決済する。」という売買ルールがあるので、チャートによる決済はそれほど多くはありません。(トレード数に占める「グラフからの利食いの構成率」は、No.2は14%、No.3は25%、No.4は31%くらいです。)
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上表のNo.1の成績を基準にして、No.2~No.4の成績を比較すると次のことがいえます。
ただしNo.2はNo.1に比べて成績が目覚しく向上したとはいえません。実際のトレードをするときは、
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[ 10 ] 決済のルールについて(グラフによる損切り)グラフからどういう現象が起きたときに決済するのがよいのかを調べます。売買ルールは次のとおりです。
①「終値が75日線を初めて下抜いたら転売する。終値が75日線を初めて上抜いたら買戻す。」という決済をするとしましょう。 右図のAで「大底買い」が出ています。Aの翌日の始値で仕掛けますが、このとき終値は75日線より下にあります。初めて終値が75日線を下抜いたのはaのひなので、aの翌日の始値で決済します。 Bで「戻り売り。翌日の始値で仕掛けたところ、この日の終値は75日線を下回りました。しかしbで再び75日線を上抜いたので、bの翌日の始値で決済します。 Cで「押目買い」が出ています。翌日の始値で仕掛けたところ、その日(c)の終値は初めて75日線を下回りました。cの翌日の始値で決済します。 Dの「戻り売り」は売り仕掛けをした後、75日線を下回ってから再び75日線を上抜くことがなかったので決済の機会はありません。 この決済(多くは損切りになっている)の成績は次の(表4)のNo.2にまとめてあります。 ②「9日順位相関が初めて-80以下になったら転売する。9日順位相関が初めて+80以上になったら買戻す」という決済をするとしましょう。 右図のAで「天井売り」が出ています。Aの翌日は9日順位相関が+80以上です。この後+80以下に低下し、再び+80以上になったのはaの日です。aの翌日の始値で決済します。 Bで「押目買い」が出ています。Bの翌日は9日順位相関が-80以下です。この後-80以上になり、再び-80以下になったのはbの日です。bの翌日の始値で決済します。 Cの「天井売り」は、すでに9日順位相関は+80以上でした。一度+80以下になて再び+80以上になることはなかったので決済の機会はありません。この決済(多くは損切りになっている)の成績は次の(表4)のNo.3にまとめてあります。 ③「順上がりの3陰連が出たら転売する。順下がりの3陽連が出たら買戻す。」という決済をするとしましょう。 右図のAで「突破買い」が出ています。この後aで「順下がりの3陰連」が出ました。(順下がりとはザラバ高値が切り下がり、ザラバ安値も切り下がっている形)aの翌日の始値で決済します。 Bで「天井売り」が出ています。この後bで「順上がりの3陽連」が出ました。bの翌日の始値で決済します。 Cの「天井売り」の後には「順上がりの3陽連」は出ていないので決済の機会はありません。この決済(多くは損切りになっている)の成績は次の(表4)のNo.4にまとめてあります。 3つの決済(多くは損切り)の例を掲げました。この例では、時間切れ・利食い・損切りのルールを無視して説明しましたが、実際には 「仕掛けて10日がたったら決済する。+10%の利益が出たら決済する。-10%の損失がでたら決済する。」という売買ルールがあるので、チャートによる決済はそれほど多くはありません。(トレード数に占める「グラフからの損切り」の構成率は、No.2は13%、No.3は14%、No.4は20%くらいです。)
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上表のNo.1の成績を基準にして、No.2~No.4の成績を比較すると次のことがいえます。
No.2の「75日線」による損切りは有効ではありますが、No.1とNo.2の成績はそれほど違っていません。[9]章の「グラフによる利食い」で結論したように、トレードはシンプルなほうがよいのです。「時間切れ10日・利食い+10%・損切り-10%」による売買ルールのもとでは、グラフからの損切りをしても「労多くして益少なし」です。 |
[ 11 ] 仕掛けの工夫について(モデル波動のあてはめ)条件表No.16「天底/押目戻り/突破」は[6]章の(図11)に掲げたように、(平均利益率1.07%・勝率59.1%・Pファクター1.49倍)の成績を出しています。何も考ええることなく売買マークに従って仕掛け、売買ルール(時間切れ10間・利食い10%・損切り-10%)に従って決済すれば、このような成績がでるはずです。 売買ルールに工夫を加えるならばと、次のことを検証してみました。
この3つの工夫はすべて「仕掛けた後の工夫」です。成績をより向上させるには「仕掛ける前の工夫」をすることが重要です。仕掛ける前の工夫とは、その売買マークを信用してよいのかどうかを判断することです。ダマシになりそうな売買マークでは仕掛けないことができれば、①利益額は増加はしないが、損失額が減るので、累計利益・平均利益・Pファクターが大きくなる。<②損失になるトレードが減るので勝率が高くなる。 ということになります。 売買マークがダマシになりそうかどうかは、「売買マークがモデル波動の適切な局面で出ているのか?」をチェックしてください。 |
①大底買い・天井売り(モデル波動のあてはめ)「大底買い」は右図の(A)付近で出なければなりません。 ただ相場が強いときは(K)が底値になり、その後は75日線を上抜くこともあります。この場合は(K)が(A)、(L)が(B)になり、その後(C)(D)(E)(F)・・・・と上昇波動に変化します。 よって「大底買い」が(A)または(K)の局面で出ているかをチェックしてください。 「天井売り」は右図の(H)付近で出なければなりません。 ただ相場が弱いときは(D)が天井になり、その後は75日線を抜いて下落することがあります。この場合は(D)が(H)になり、その後(K)(L)(M)(N)・・・・と下降波動に変化します。 よって「天井売り」が(H)または(D)の局面で出ているかをチェックしてください。 1605「国際帝石」は(a)で「大底買い」が出ています。(a)の日(2008年8月6日)は株価は75日線を大きく下回っています。 またそれまで株価が75日線より上にあったものが、初めて75日線を下回ったのだから、躊躇なく(K)であると判断できます。 モデル波動にあてはめるなら、(H)と(K)はすぐにわかります(I)(J)ははっきりとはわからない)。(K)は(A)である可能性があります。この「大底買い」には従ってよいでしょう。 (a)の翌日10560円で買って11460円で決済(時間切れ)です。 (a)からの上昇は200日線までで終り、その後株価が下落していきました。(N)は25日線までしか戻らなかったので、(b)で「大底買い」がでた時点では、(K)(L)(M)(N)が確定しています。 モデル波動では(N)の次は(A)ですが、(M→N)の後、もう一度(M→N)の波動をつけることもあります。(M→N)繰り返されるかどうかは(b)の時点ではわかりませんが、(A)となってもおかしくない局面です。 細かなことをいえば(b)の日までの4日間は、陽線→陽線→陰線→陽線でとなっています。大底をつけるのは買い方が悲観して投げ切ったときですが、この下げ方ではまだ悲観の程度が弱い。 しかし(b)(2008年10月9日)は大底の可能性が十分にあるので。この「大底買い」に従ってよいでしょう。翌日6300円で買って、その次の7070円で決済(利食い+10%)です。 (c)(2008年10月28日)の「大底買い」は、(b)が大底でなかったので、より(A)になる可能性は強くなっています。(c)の翌日4940円で買うと、その翌日に5480円で決済(利食い+10%)です。 1605「国際帝石」は(a)で「天井売り」が出ています。(a)の日(2007年6月8日)にモデル波動を比定すると、図のように(D)→(E)→(F)→(G)がわかります。 (D)は株価が初めて75日線を上回ったところ、(E)は反落が75日線で止まったところ、(G)は反落が25日線で止まったところです。 (a)の日は(G)から19日間~上昇してきたし、前日は4連続陽線です。(a)は天井の(H)と判断してよいでしょう。 (a)の翌日11300円で売って11200円で決済(時間切れ)です。 (b)(2007年7月24日)の「天井売り」は、(a)が天井でなかったので、より(H)になる可能性は強くなっています。(b)の翌日12200円で売って10日目に10800円で決済(利食い+10%)です。 |
②押し目買い・戻り売り(モデル波動のあてはめ)「押し目買い」は、中勢波動が上昇中のとき、株価が下落したときに出ます。図では(E)の75日線近辺または(G)の25日線近辺で出るのもが正しい「押し目買い」です。 ダマシは、株価が下落を始めた(I)の局面で出ます。 「戻り売り」は、中勢波動が下降中のとき、株価が反発したときに出ます。右図の(L)の75日線まで戻ったとき、または(N)の25日線まで戻ったときに出なければなりません。 ダマシは、株価が初めて75日線まで戻ってきた(B)付近または(b)の辺りで出ます。 1928「積ハウス」は(a)で「押し目買い」が出ています。(a)の日(2006年5月23日)の時点では、株価はそれまで75日線より上方にあったものが、はじめて75日線を大きく割込んだ局面です。これはモデル波動の(K)であることは明らかです。 (K)から(L)へ向かって反発する可能性はありますが、押し目買いは(E)または(G)の局面でするものです。(K)時点での「押し目買い」はできません。 (a)の翌日1584円で買って10日が経過して1591円で決済(時間切れ)です。 6963「ローム」は(c)で「押し目買い」が出ています。(c)の日(2003 年8月12日)の株価は75日線の水準にあります。ここまでのモデル波動の比定は、(A)→(D)→(E)まではモデルどおりです。モデルでは(E)→(F)→(G)となりますが、(G)となるには(F)からの反落は25日線水準で止まらねばなりません。 この例では(F)から75日線まで下落したので(F)ではなく(D)の繰り返しが起きていると判断できます。よって(c)時点の局面は(E')と判断できます。 (E)の75日線あるいは(G)の25日線付近の買いは「押し目買い」です。 (c)の翌日13070円で買って5日目の14390円で決済(利食い+10%)です。 6326「クボタ」は(a)で「戻り売り」が出ています。(a)の日(2007年4月27日)にモデル波動の(K)→(L)へ戻ってきていることがわかります。 この後75日線を上抜く可能性もありますが、(a)の日が上ヒゲ足となっていることから、75日線水準では戻り売り圧力があるようです。「戻り売り」としてよいでしょう。(翌日の陰線を見ると、より戻り一杯であることが確認できます) (a)の翌日1133円で売って8日目に998円で決済(利食い+10%)です。 (b)でも「戻り売り」が出ています。株価は75日線の近辺にあります。これは前回の(K)→(L)の繰り返しか、または(A)→(B)のどちらかですが、 前回の(K)→(L)の反発に比べて今回の(K')ないし(A)からの反発の動きは強いので、(A)→(B)となる可能性が高いと判断できます。 (b)の日が(L)であれば「戻り売り」ですが、(B)であるのなら「戻り売り」にはなりません。このまま75日線を超えて、一気に(D)になる可能性もあるからです。だが(b)で上ヒゲの長い「十字足」を出していることから75日線水準での戻り売り圧力は強いようです。このまま上昇して(D)になる可能性はやや小さい。 (L')なのか(B)なのか判断できないときは、仕掛けなければよいのですが、(L')と判断した場合、(b)の翌日1050円で売って10日が経過して1009円で決済(時間切れ)です。 |
③突破買い・突破売り(モデル波動のあてはめ)「突破買い」は、中勢波動が上昇中のとき、前の小波動を上回ったときに出ます。図では(B)(D)(F)の水準を上回った日が「突破買い」です。 ダマシは、突破後の上昇幅が小さかったときです。成功する確率が高いのは、①(B)を突破、②(D)を突破、(F)を突破 の順です。 「突破売り」は、中勢波動が下降中のとき、前の小波動を下回ったときに出ます。図では(I)(K)(M)の水準を上回った日が「突破売り」です。 ダマシは、突破後の下落幅が小さかったときです。成功する確率が高いのは、①(I)を突破、②(K)を突破、(M)を突破 の順です。 9831「ヤマダ電」は(a)で「突破買い」が出ています。(a)の日(2010年3月4日)の時点では、(A)→(D)→(E)と上昇波動になっており、株価その後((D→d1→d2)と高値を切り下げ、(E→e1→e2)と安値を切り上げています。つまり「三角保合い」です。 (a)の日に(d2)を上抜いたので「突破買い」が出ていますが、本来なら(D)を上抜いた日が「突破買い」です。ただ(E)が確定しているので(E)→(F)への上昇が期待できます。 (a)の翌日62604円で買って10日目に6886円で決済(利食い+10%)です。 1928「積ハウス」は(a)で「突破売り」が出ています。(a)の日(2009年9月18日)には、モデル波動の(K)→(L)が確定しています。(a)の日に直前の小波動のボトム(K)の水準を下抜いているので、「突破売り」です。 (a)の翌日832円で売って8日目に748円で決済(利食い+10%)です。 4188「三菱ケミ」は(b)で「突破売り」が出ています。(b)の時点(2009年7月13日)では、モデル波動の(H)→(I)→(J)が確定しており、(b)の日に先のボトムの(I)374円をわずか1円とはいえ下抜きました。 これによって(J)→(K)のコースが期待できますが、実際には(b)の日が最安値となり、その後株価は上昇しました。株価がモデル波動どおりに動かず、完全なダマシになりました。 (b)の翌日379円で売って6日目に417円で決済(損切り-10%)です。 |
[ 12 ] 終りに(使用上の注意))以上で、条件表No.16「天底/押目戻り/突破」の解説を終わります。その使い方ですが、次のことを念頭に置いておいてください。
ユーザーができる工夫は、この売買マークに従って仕掛けるか・仕掛けないのかの判断(取捨選択)だけです。 その判断のひとつは、[11」章で述べた「モデル波動のあてはめ」です。また相場環境から取捨してもよいでしょう。現在のように円高が進んでいる時期には輸出依存の企業は買えないし、金融不安があるときは金融株は買えません。これらの判断はユーザーの「相場センス」に依存します。条件表No.16が売買マークを出したとき、そのマークは採用できる・採用できないの理由を考えるようにされると、相場センスは磨かれていくのではないかと思います。 次に本章で述べたのとは異なる仕掛けをしたらどのように成績が低下するのかの例を(表5)にまとめました。 No.1欄は、TOPIX100について、標準の売買ルールによる成績 No.2欄は、日経225銘柄について、標準の売買ルールによる成績 No.3欄は、TOPIX100について、売買マークが消えた日の翌日始値で仕掛けたときの成績 |
No.3欄の「売買マークが消えた日の翌日始値で仕掛ける」タイミングを説明しておきます。 (a)で売りマーク(赤色)がでていますが仕掛けません。翌日売りマーク(赤色)が消えたので、その翌日の始値で仕掛けます。(空色のマークの翌日の始値で仕掛ける)。 この場合は、赤色売りマークの翌日始値は2220円、空色売りマークの翌日始値は2300円なので、空色のほうが有利になっています。 (b)で売りマーク(赤色)がでていますが仕掛けません。その翌日も売りマーク(赤色)がでていますが仕掛けません。その翌日売りマーク(赤色)が消えたので、その翌日の始値で仕掛けます。(空色のマークの翌日の始値で仕掛ける)。 この場合は、赤色売りマークの翌日始値は2300円、空色売りマークの翌日始値は2200円なので、空色のほうが不利になっています。 (c)で買いマーク(青色)がでていますが仕掛けません。翌日買いマーク(青色)が消えたので、その翌日の始値で仕掛けます。(空色のマークの翌日の始値で仕掛ける)。 この場合は、買いマーク(青色)の翌日始値は2220円、空色売りマークの翌日始値は2280円なので、空色マークのほうが不利になっています。 売買マークが出なくなったことを確認して仕掛けるので、仕掛けるタイミングは1日以上遅れます。これがよいのか悪いのか、を検証したわけです。
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上表を見ると、①TOPIX100 について、②標準の売買ルール(翌日の始値で仕掛ける・時間切れ10日・利食い+10%・損切り-10%)で仕掛け・決済するのが一番よいことがおわかりでしょう。 |
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