No.11 《カナル24》Ver.3の「統計」でわかること

2010年8月に執筆 ・・  HP目次へ.. 講座目次へ.


①小波動の姿を調べる




小波動とは「主な株価」あるいはVer.3から追加された「IR高安」が決定する波動のことです。波動は①大きさと、②時間の2つの要素があります。

図を見て思うことは
  1. 1つの小波動は何%上昇(下落)するのだろうか?

  2. 1つの小波動は何日上昇(下落)するのだろうか?
ということです。これまでにも「小波動の姿」はHPで何度か紹介してきましたが、これは「平均値」でした。平均して何日・何%上昇(下落)するのかをいってきました。 それは今起きていることを判断する手がかりにするためです。

「小波動の姿」がどのようなものかを知らないでは、現在の状況(仕掛けどころなのか、利食い場なのか、損切りをすべきなのか、決済して建て玉をなくすのがよいのか など)を判断することはできません。

平均値は、データ量が大きいときにそのデータ全体を代表する「代表値」の1つですが、代表値は「平均値」だけではありません。最もデータが頻発しているところを代表値とする「モード」や、データのちょうど中央にある数値を代表値とする「メジアン」もあります。

売買システムを構成する要素は
  1. いつ仕掛けるのか?
  2. どうなれば利食いするのか?
  3. どうなれば損切りするのか?
  4. いつ手仕舞いするのか(時間切れ)?
です。①は条件表が判断して売買マークを出したときです。この要素は条件表の成績の60%~70%を決めると思っています。だが残りの30~40%は、②利食い、③損切り、④時間切れが適当か不適当かによって成績がよくもなったり悪くもなったりします。 例えば1つの小波動の平均的な上昇率や上昇日数を手がかりとして売買システムを決めるのと、「モード」や「メジアン」を手がかりにして売買システムを決めるときでは、その投資成績が変わってきます。

今の段階では「平均値」「モード」「メジアン」のどれが売買システムに役立つのかはわかっていませんが、この講座によって明らかになると思います。

《カナル24》Ver.3の(標準3)条件表No.171「小波動の姿(SD)」には次のような条件表が設定されています。



「統計」で採集するデータは、上図の「印字する」と設定している項目です。

いつ採集するのかというと、右図のように買いマークがでたときです。買いマークは小波動のボトムが確定した日に出るように設定しています。

例えば(b)の直後の買いマークが出た日に、
  1. (B→b)の下落率
  2. (a→B)の上昇率
  3. (B→b)の下落日数
  4. (a→B)の上昇日数
  5. (a→b)のボトム間の日数
  6. (A→B)のピーク間の日数
を採集するのです。(c)の日の直後の買いマークでは、(C→c)の下落率、(b→C)の上昇率, (C→c)の下落日数、(b→C)の上昇日数、(b→c)のボトム間の日数、(B→C)のピーク間の日数、を採集するので、1つの波動が二重に採集されることはないし、採集漏れもありません。


②代表値について



日経平均採用の225銘柄について、2000年1月1日~2009年12月31日までの10年間の統計をとったところ、20150個の小波動が採集できました。Ver.3の「統計」による「平均とSD」の画面を掲げます。


上の「平均とSD」の画面で重要な数字は、「平均値」と「中央値(メジアン)」です。この2つは代表値です。


次に「統計」の「ヒストグラム」を見ると、右図のようになります。図は「下落率」のヒストグラムです。

図の左側には、下落率が0%~-58%までを1%キザミにして、各下落率のデータの個数を棒グラフにしています。

「山」形をしていますが、そのピークは-10%~-8%です。これが「モード」(最多頻度)です。-10%~-8%の中間の-9%をモードとしましょう。モードも代表値のひとつです。

右欄には「平均値」「中央値」(最大値、最小値)と並んで「25%値」と「75%値」が表示されています。図では下落率の「25%値」は-18.42%、「75%値」は-8.47%となっています。

「25%値」とはデータを大きい(小さい)順に並べたとき、上位から25%(1/4)の位置にあるデータの数値です。逆に上位から75%(3/4)の位置にあるのが「75%値」です。

データを3つに分割して、①25%未満のもの、②25%~75%のもの、③75%以上のもの、とすると①は少数右翼派、③は少数左翼派、③は多数派 といったところです。

統計をとって代表値を表にまとめると、右図のようになります。

もし小波動のピークで「売り」を仕掛けることができたならば、①何%で利食いし、②何%で損切りすればよいのか? また③何日目で決済すればよいのか? が問題です。

同じく、もしボトムで「買い」を仕掛けることができたならば、①利食いの水準、②損切りの水準、③時間切れの期間をどう決めるのがよいのかが問題です。

手がかりは右の表の5つ(平均値・中央値・モード・25%値・75%値)です。どれを重視したらよいのでしょうか。


③9日と25日順位相関が出す売買マーク



HPではよく次のことを述べています。
  1. 9日順位相関と25日順位相関がともに+80以上の数値になっているときは、ピークの近辺にあることが多い。

  2. 9日順位相関と25日順位相関がともに-80以下の数値になっているときは、ボトムの近辺にあることが多い。
9日順位相関と25日順位相関がこの判断で売買マークを出すように設定したのが、次の条件表です。



条件表は、すでに25日順位相関が-80以下だったところへ、9日順位相関も-80以下になった日に買いマークを出しています。同じくすでに25日順位相関が+80以上だったところへ、9日順位相関も+80以上になった日に買いマークを出します。上図では(a)(b)で買いマークを出し、(A)で売りマークを出しています。

9日順位相関と25日順位相関によって出す売買マークは果たして正しいのかどうか? 一度はきちんとした「検証」をしたいと思っていましたが、今日はよい機会なのでやってみます。

《Qエンジン24》を使って、225銘柄について、2000年1月1日~2009年12月31日までの期間の成績を調べます。

売買ルールは次のようにしました。
  1. 売買マークがでたら、翌日の始値で仕掛ける。

  2. 時間切れは10日とする。売買マークが出て10日が経過したら、翌日の始値で決済する。
これだけです。利食いや損切りはしません。

この「検証」は売買マークが適切に出ているかを知るためのものです。 例えば優れた売りマークであるならば、仕掛けたその日に株価が下げて利益がでるし、2日目も下げて利益、3日目も下げて利益・・・と×日目まではどこで決済しても利益になるはずです。

利食いや損切りを売買ルールに入れると、このことが不明確になります。売買マークが適切かどうかを知るには、このような単純な売買ルールを使うべきでしょう。 次のような成績になりました(手数料は考慮せず)。 上段は「売買とも」の成績、次に「買い」の成績、最後に「売り」の成績。

No. 売買ルール トレード数
(勝ち)
(負け)
累計損益%
(勝ち)
(負け)
平均利益%
(勝ち)
(負け)
勝率 Pファクタ PD倍率
30 時間切れ10日 6276回
3300回
2976回
4191%
+21534%
-17343%
0.67%
6.53%
-5.83%
52.6%
1.24倍 2.43倍
- 買いの成績 3088回
1728回
1360回
4820%
+13688%
-8868%
1.56%
7.92%
-6.52%
56.0%
1.54倍 2.68倍
- 売りの成績 3188回
1572回
1616回
-629%
+7847%
-8476%
-0.20%
4.99%
-5.24%
49.3%
0.93倍 -0.32倍

上の表を見ると、「買い」の勝率は56.0%と(私の)基準の55.0%をクリアしています。またPファクターも1.54倍(基準は1.50倍)とクリアしています。買いマークはだいたい適切な位置で出ていることがわかります。 一方「売り」の成績はよくありません。勝率が49.3%、Pファクタが0.93倍と失格です。この売りマークによる仕掛けをしていては利益はでません。

買いと売りでこうも成績に違いがある原因としては、2つのことが考えられます。
①「検証」で採用した「10日後に手仕舞い」の「10日」が妥当ではない(特に売りについて)。
②買いと売りの仕掛けのタイミングは同じではない(売りの仕掛けが早すぎるか遅すぎる)。
ということでしょう。

何日後に手仕舞いすればよいのかは、「時間切れ」の期間を変更して「検証」すれば、すぐにわかります。②章「代表値について」で、小波動の期間の統計を取り、5つの代表値がわかっています。この期間を「時間切れ」として検証したのが次の表です。

No. 時間切れ日数 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
買い 5日(モード・75%値) 3308回 3059% 0.92% 53.5%
1.39倍 1.64倍
- 10日(中央値) 3088回 4820% 1.56% 56.0%
1.54倍 2.68倍
- 13日(平均値) 2946回 3670% 1.25% 54.6%
1.36倍 1.36倍
- 17日(25%値) 2786回 3751% 1.36% 53.7%
1.35倍 1.32倍

No. 時間切れ日数 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売り 5日(モード) 3486回 -414% -0.12% 50.0%
0.94倍 -0.43倍
- 6日(75%値) 3449回 -462% -0.13% 50.2%
0.93倍 -0.37倍
- 10日(中央値) 3188回 -629% -0.20% 49.3%
0.93倍 -0.32倍
- 13日(平均値) 3008回 -330% -0.11% 50.6%
0.96倍 -0.16倍
- 16日(25%値) 2901回 -527% -0.18% 50.0%
0.95倍 -0.21倍

「買い」で最もよい成績となったのは、「10日後手仕舞い」でした。10日は統計の中央値です。「売り」で最もよい成績(損失が少なかった)は「13日後手仕舞い」でした。これは統計の平均値です。ここからも、順位相関による買い仕掛けのタイミングと売り仕掛けのタイミングは違うことがわかります。

としても売りマークの成績は「時間切れ」の日数を変更しただけではプラスになりません。どうやら売り仕掛けのタイミングが悪いようです。


④順位相関について統計をとってみる



> 前章で「期間切れ手仕舞い」の日数を変更して「検証」をしましたが、「売り」の成績はよくありませんでした。それなら仕掛けのタイミングがズレているのではないか?という推測をしました。

右図で、売りマークは(a)(b)で出ていますが、(a)は株価のピーク358円の日より8日前に出ています。9日順位相関が+80以上だった時期は、(a)からピークまで9日間ありました。売って8日間は利益がでる機会がなく、完全にマイナスでした。

小波動の上昇日数は、平均値が12.7日、中央値が10日なので、ピークより8日も早い(a)で売っていては利益はでません。

一方(b)はピーク338円の2日後に出ています。小波動の下落日数は、平均値が12.6日、中央値が10日なので、ピークから3日目に売ってもまだ7日~10日の下落余地があります。

売りの勝率が50.0%とよくない原因は、(a)のように早すぎる仕掛けが多いということでしょう。 買いについても早すぎる仕掛けは当然にあります。図の(c)(d)がそれですが、買いの勝率は56.0%あるので、仕掛けのタイミングが早すぎる例はそれほど多くないか、またはボトムに比較的近い日に買いマークを出しているのか、の2つが推測できます。

ここで使っている条件表の考え方は、①25日順位相関が-80以下で、②9日順位相関が-80以下になっている局面で買いです。ただ、こういう状況が何日も続くこともあります。仕掛けるタイミングは
  1. 初めて9日順位相関が-80以下になった日
  2. 9日順位相関が-80以下になってn日目
  3. 9日順位相関が-80以下から-79.9以上になった日
などが考えられますが、ここでの検証は①の「初めて-80以下になった日」を採用しています。 同じように売りのタイミングは
  1. 初めて9日順位相関が+80以上になった日
  2. 9日順位相関が+80以上になってn日目
  3. 9日順位相関が+80以上から+79.9以下になった日
が考えられます。9日順位相関が-80以下で長期間へばりつくほど買い仕掛けのタイミングは早すぎることになります。9日順位相関が+80以上で長期間へばりつくほど売り仕掛けのタイミングは早すぎることになります。9日順位相関が-80以下(+80以上)にある日は何日続くのか? これも興味深いことなので、寄り道をして調べてみます。

次のような条件表を設定しました。「termB」に9日順位相関が連続して何日間-80以下にあったのか、「termS」に9日順位相関が連続して何日間+80以上にあったのかの統計を取ってみます。


次のようなことになりました。意外なことに、買いと売りの連続日数に大きな違いはありませんでした。

  1. 買い(9日順位相関が-80以下)の連続日数は、
    ①平均値5.8日、②中央値5日、③モード1日、④25%値8日、⑤75%値3日

  2. 売り(9日順位相関が+80以上)の連続日数は、
    ①平均値5.6日、②中央値4日、③モード2日、④25%値8日、⑤75%値2日
売り買いともに連続日数は5日程度としてよいでしょう。通常は株価のピークやボトムはこの5日間のうちにあります。したがって売買マークが出た日に仕掛けるよりも、1日後・2日後・3日後に仕掛けるほうが成績がよくなる可能性があります。次章ではこれを調べてみます。 


⑤順位相関による仕掛けのタイミングを調べる



売買マークがでるはずの日からn日遅れて売買マークを出すには、次のような設定をします。No.1行~No.10行までは、「検証」で使った条件表と同じです。No.11行とNo.12行を付け加えています。

No.11行の「買い個数」は、Nio.1行~No.10行のうち「買い」となった個数をカウントします。買いマークはNo.3行、No.4行、No.5行の3つが同時に「買い」となったときに出されます。これが通常の売買マークのだしかたです。

「買い個数」を付け加えたときは、条件行が買いになった個数をカウントして、上の設定では「3以上 3以下」としているので、No.1行~No.10行で買いとなった行が3個になったときに買いマークが出されます。


No.11行の注目1~注目2」欄が(1~1)になっていることに注意してください。

これによって、買い個数が「1日前」に3個になったら買いマークが出ることになります。つまり真の買いマークが出る日よりも1日後に買いマークが出るわけです。

もし「2日後に買いマークを出したいのであれば「注目1~注目2」欄を(2~2)とすればよいのです。
No.12行は「売り個数」を使って、売買マークを出す日をずらしています。

上図は売買マークを当日に出した普通のもの。右図は「買い個数」「売り個数」を使って、「1日後」に売買マークを出したものです。

0日後(当日)・1日後~5日後に仕掛けた成績は次のようになりました。(仕掛けて10日後に決済する)

No. 仕掛けた日 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
買い 0日後(当日) 3088回 4820% 1.56% 56.0%
1.54倍 2.68倍
- 1日後仕掛け 3086回 4575% 1.48% 55.2%
1.53倍 2.91倍
- 2日後仕掛け 3086回 3492% 1.13% 54.6%
1.40倍 2.33倍
- 3日後仕掛け 3086回 2254% 0.73% 53.2%
1.24倍 1.08倍
- 4日後仕掛け 3086回 1252% 0.41% 51.5%
1.13倍 0.48倍
- 5日後仕掛け 3086回 579% 0.19% 52.2%
1.06倍 0.20倍

「買い」は買いマークが出たその日に仕掛けるのが最も成績がよく、1日後・2日後と仕掛けを先に延ばすにしたがって成績は悪化していきました。9日順位相関が-80以下から-79.9以上になったときに買い仕掛けをするのがよいことがわかりました。

No. 仕掛けた日 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売り 0日後(当日) 3188回 -629% -0.20% 49.3%
0.93倍 -0.32倍
- 1日後仕掛け 3188回 -376% -0.12% 50.6%
0.96倍 -0.20倍
- 2日後仕掛け 3188回 -497% -0.16% 50.7%
0.94倍 -0.23倍
- 3日後仕掛け 3188回 -253% -0.08% 50.0%
0.97倍 -0.13倍
- 4日後仕掛け 3188回 -177% -0.06% 50.2%
0.98倍 -0.09倍
- 5日後仕掛け 3188回 -388% -0.12% 50.2%
0.95倍 -0.17倍

「売り」は上の表にあるように「4日後」に仕掛けるのが最もよい成績です。だがそれでも勝率は50.2%だし、累計損益は-177%とマイナスです。仕掛けのタイミングを操作してもプラスになることはありません。「9日順位相関と25日順位相関がともに+80以上」という条件では、売りのタイミングをうまく捉えることができていません。

さてこれは困ったことになりました。③章「9日と25日順位相関が出す売買マーク」で、時間切れ手仕舞いの日数を、統計値(平均値・中央値・モードなど)の基づいて変更しても「売り」の成績はプラスになりませんでした。④章「順位相関について統計をとってみる」と本章で、売りの仕掛けタイミングをズラしてみましたが、売りの成績はやはりマイナスでした。

ということは、「25日順位相関が+80以上で、9日順位相関が+80以上になった日に売りマークを出す」ことが間違いであるといわざるをえません。よくない原因は
  1. +80以上の条件がよくない(9日と25日はよい)
  2. 9日と25日の日数がよくない(+80以上はよい)
のどちらかです。


⑥株価のピーク・ボトムの日の順位相関の水準を調べる



前章で、売りの成績がよくない原因は、①9日と25日順位相関が+80以上で売りとするのはよくない、または②9日と25日の日数がよくない、のどちらかであるという結論にいきつきました。

+80以上がよいのか、+70以上がよいのか、+90以上がよいのかは、《Qエンジン24》の「最適以上以下」で調べることができますが、ここでは「小波動のピーク・ボトムの日に順位相関の水準はいくらだったのか」の統計を取ってみます。その統計値に基づいて「+×以上がよい」と決めるのが正しい筋道です。次のような条件表を設定しました。


  1. No.2行とNo.3行で、小波動がボトムを確定した日に「買い」としてます。買いの日に以下のことを調べます。
  2. No.4行はピークの日の日付(データNo.)を取り出し、No.5行はボトムの日付(データNo.)を取り出します。
  3. No.6行とNo.7行で9日順位相関と25日順位相関を計算しておき、
  4. No.8行~No.11行で、ピークの日の日付に当たる9日順位相関・25日順位相関を取り出しています。

グラフで説明すると、
  1. (a)の日に買いマークがでたので、

  2. 1本前のボトムの日付(b)を取り出します(No.5行)。(b)はデータの最新日から「38日目」です。

  3. この日の9日順位相関は(b')で「-83.3」です(No.9行)。またこの日の25日順位相関は(b'')で「45.6」です(No.11行)。

  4. 1本前のピークの日付(c)を取り出します(No.4行)。(c)はデータの最新日から「46日目」です。

  5. この日の9日順位相関は(c')で「+81.7」です(No.8行)。またこの日の25日順位相関は(c'')で「+69.5」です(No.10行)。
日経平均採用225銘柄について、2000年1月1日~2009年12月31日までの統計をとると次のようになりました。


  1. ピーク時の9日順位相関の水準は、
    ①平均値+58.5、②中央値+71.7、③モード+94.0、④25%値+40.4、⑤75%値+88.3

  2. ピーク時の25日順位相関の水準は、
    ①平均値+18.2、②中央値+30.3、③モード+91.0、④25%値-39.7、⑤75%値+76.8

  3. ボトム時の9日順位相関の水準は、
    ①平均値-60.7、②中央値-75.0、③モード-94.0、④25%値-45.0、⑤75%値-88.8

  4. ボトム時の25日順位相関の水準は、
    ①平均値-20.3、②中央値-34.7、③モード-93.0、④25%値+36.4、⑤75%値-77.1
以上の統計値について9日と25日順位相関による成績を《Qエンジン24》で検証すると、次のようになりました。(翌日の始値で仕掛け、10日後翌日の始値で決済)

No. 以上・以下の条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
買い 9日-80以下、25日-80以下 3088回 4820% 1.56% 56.0%
1.54倍 2.68倍
平均値 9日-60以下、25日-30以下 8744回 5801% 0.66% 51.1%
1.22倍 1.30倍
中央値 9日-70以下、25日-30以下 8611回 6261% 0.73% 51.6%
1.24倍 1.54倍
75%値 9日-90以下、25日-80以下 2389回 3582% 1.50% 56.9%
1.55倍 2.42倍
モード 9日-95以下、25日-90以下 642回 1117% 1.74% 55.1%
1.59倍 2.18倍

買いマークについては従来どおりの「9日と25日順位相関が-80以下」でよいでしょう。モード値である「9日が-95以下、25日が-90以下」の平均利益%(1.74%)とかPファクタ(1.59倍)は少しよいがトレード数が642回と少なすぎます。225銘柄の10年分のデータなので、2250回くらいのトレードがほしいところです。

No. 以上・以下の条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売り 9日+80以上、25日+80以上 3188回 -629% -0.20% 49.3%
0.93倍 -0.32倍
平均値 9日+60以上、25日+30以上 9098回 -2436% -0.27% 48.2%
0.91倍 -0.48倍
中央値 9日+70以上、25日+30以上 8871回 -2179% -0.25% 48.6%
0.91倍 -0.44倍
75%値 9日+90以上、25日+80以上 2363回 194% 0.08% 51.4%
1.03倍 0.19倍
モード 9日+95以上、25日+90以上 695回 60% 0.09% 53.4%
1.03倍 0.16倍

売りマークは「9日が+90以上、25日が+80以上」のときプラスの利益になりました。トレード数も2363回あるので、まずはこの成績が、9日と25日順位相関による売りマークの限界かと思います。


⑦オシレータ系のチャートが捉えることができる波動は限定される




右図は毎日HPに掲げている条件表o.20「平均線と順位相関」のグラフです。ここでは9日順位相関と25日順位相関を描き、それを小波動のピーク・ボトムらしさのポイントとして利用していることはご存知のとおりです。

この条件表No.20は条件表の一覧表にあるように、1995年12月10日に設定したものです。もう15年前のことです。

なぜ9日順位相関と25日順位相関を使っているかというと、それは冒頭の①章「小波動の姿を調べる」、②章「代表値について」で掲げたように、1つの小波動の上昇日数・下落日数の中央値が10日だからです。(平均値を重視すれば12日または13日になる)

右図のようなモデルを持っています。1つの小波動は10日であるが、2段の上昇をしたときの上昇期間は30日になる(3段の上昇をしたときの上昇期間は50日になる)。

(b)のピークらしさを捉らえるために9日順位相関を見、(d)のピークらしさを捉らえるために25日順位相関を見ているわけです。

上昇小波動が1段で終われば9日順位相関が役立つし、2段あれば25日順位相関が役立ちます。3段あれば45日~50日順位相関 が役立つでしょう。 このように小波動の期間は一様ではないので、1つの×日順位相関だけを判断の材料にしては危険です。

順位相関(RCI)や相対力指数(RSI)やストキャスティクスのように、株価が高いとき指数が高くなり、株価が安いとき指数が安くなるチャートを「オシレータ系」と呼びますが、これらの指数は「9日」とか「14日」とか「25日」とかの日数をパラメータとしています。

「9日」を採用すれば9日程度の波動を捉えることができますが、25日間の波動には無力です。「25日」とすれば、これより短期間の波動は捉えられず、50日とかの長期の波動も捉えることはできません。 よって普通は「9日」と「25日」のように複数の日数の指数を併用します。

ここでは「9日順位相関」と「25日順位相関」を使っています。(c)の買いマークは株価のピークから25日目に出ています。これはボトムの2日前でした。

(a)の売りマークはボトムから19日目に出ています。現実の株価はボトムから38日目にピークを打ったので、19日目に売りマークを出していては大きなマイナスになります。

(d)の買いマークはピークから26日目に出ました。現実のボトムは38日目でした。ボトムより8日前に出ているのでマイナスになることを免れたとしても大きなプラスにはなりません。

右図の売買マークの出た日は、(a)19日、(b)36日、(c)25日、(d)26日です。これは25日順位相関を使っているので、だいたい20~30日の株価の動きによって出ているわけです。

つまり①株価波動の期間が20日~30日であったとき、売買マークは威力を発揮して利益がでます。だが②株価波動の期間が短期(10日)のときは売買マークはでないので小さな波動で仕掛けることはできません。 逆に③株価波動の期間が40日以上であったときは、20日~30日目に仕掛けているので損失がでます。①でのプラスを③でのマイナスが帳消しにしてしまうのです。

①章「小波動の姿を調べる」で、1波動の①下落率、②上昇率、③下落日数、④上昇日数の統計がとれています。

「統計」の「相関係数」の画面を出し、①下落率と③下落日数の関係、また②上昇率と④上昇日数の関係を「一次回帰式」で求めると、次のようになります。
  1. 下落率=-8.0%-0.53%×下落日数
  2. 上昇率=10.3%+0.63%×上昇日数
の回帰式を得ます。(a)は、下落日数が10日長くなれば、-5.3%(-0.53×10日)ほどさらに株価が下落するということを表しています。25日の下降波動をターゲットにして「25日順位相関」を使っているとき、ピークから25日ほど下げたところで 買いマークがでるでしょう。しかし株価はさらに10日下げたとき、仕掛けた株価よりも-5.3%下げていることになります。「10日目手仕舞い」をすると-5.3%の損失になります。

(b)は上昇日数が予定している日数よりも10日長くなれば上昇率が+6.3%違ってくることを表しています。25日順位相関を使って、上昇しだして25日目に売ったところ、35日以上の上昇になったときは平均して6.3%の損失がでます。

25日順位相関を使えば、波動が20~30日のときはプラスになるだろと推測できますが、35日を超える波動になったときはマイナスになるでしょう。波動の大きさや期間はそうたやすく予想できるものではありません。できることは、どういう波動期間をターゲットにすればプラスが大きくなり・マイナスが小さくなるかを調べることです。


⑧×日順位相関を使って利益がでる波動の期間を調べる



何日くらいの波動をターゲットにすれば、成績がプラスになるのかを調べてみます。9日と25日順位相関のように2つの組み合わせをするとヤヤこしいので、使う順位相関は1つだけに限定します。売買ルールは
  1. n日順位相関が+80以上になったら、翌日の始値で売る。
    n日順位相関が-80以下になったら、翌日の始値で買う。

  2. 売買マークが出て10日目になったら、翌日の始値で手仕舞いする。

  3. 日経平均採用225銘柄の、2000年1月1日~2009年12月31日の10年間について、

  4. 05日~59日(2日キザミ)の順位相関を使ったときの成績を調べる。

「買い」は右図のような成績になりました。
  1. 平均利益率が高かったのは、9日(0.62%)、25日(0.57%)、13日と15日(0.54%)。29日・31日・51日も高い利益率になっています。

  2. 勝率が高かったのは、35日(52.6%)、31日(52.4%)、15日(52.3%)。13日・17日・25日・51日も高い。

  3. Pファクタが大きかったのは、9日(1.23倍)、7日(1.20倍)、5日・13日・15日・25日・29日。51日も比較的大きい。

  4. 総合的に評価をすると、①9日(61.8点)、②15日(59.5点)、③13日(58.5点)、④⑤25日と31日(57.9点)。51日も54.4点で比較的高得点です。
以上のことから、9日・15日(または13日)・25日・31日・51日の波動をターゲットにすればよいことがわかります。

前⑦章で、小波動の下落期間の中央値が10日であるので、2段上げをしたときは30日、3段上げをしたときは50日、といいました。ここでわかった利益がでる順位相関の日数は、10日(9日)→30日(31日)→50日(51日)がメインであり、15日(13日)と25日は、それを補完する日数だろうと推測できます。


ただ順位相関を1本だけ使ったときの最高の成績は、利益率は0.62%、勝率は52.6%、Pファクタは1.23倍と、基準に達していません(基準は勝率が55%以上、Pファクタは1.50倍)。

そこで2つの順位相関を組み合わせることになります。組み合わせる順位相関の日数は、9日・15日・20日・25日・30日・35日・40日・45日・50日として成績を調べたのが右図です。

15日と組み合わせたものの成績は、9日と組み合わせたものよりも劣ります。

最もよかったのは(9日と25日順位相関)です。利益率1.56%、勝率56.0%、Pファクタ1.54倍と基準を満たしています。

次に(9日と40日順位相関)で、利益率1.55%、勝率54.9%、Pファクタ1.49倍とほとんど基準を満たしています。

「売り」は右図のような成績になりました。
  1. 平均利益率が高かったのは、7日(0.07%)、5日(0.06%)です。ほかのお日数はマイナスになっているます。

  2. 勝率が高かったのは、35日(51.0%)、11日(50.3%)。13日・5日・37日・39日・41日・43日・51日も勝率50%を超えています。

  3. Pファクタが大きかったのは、5日(1.02倍)、7日(1.02倍)だけです。ほかは1.00倍未満です。

  4. 総合的に評価をすると、①5日(66.4点)、②7日(64.9点)、③11日(60.8点)、④9日(59.2点)、⑤35日(58.5点)。57日も56.7点で比較的高得点です。
順位相関を1本だけ使ったときの最高の成績は極めて悪く、最高のものでも利益率は0.07%、勝率は51.0%、Pファクタは1.02倍と、利益がでるのがやっとというレベルです。

そこで2つの順位相関を組み合わせることになります。(5日・7日・9日・11日・13日)と長めの(25日・30日・35日・40日・50日・55日・60日)を組み合わせて、成績を調べました。プラスになった組み合わせが右図です。

11日と15日、13日と15日の組み合わせは、売りのターゲットとする小波動の期間は10日~15日くらいが妥当であることを表しています。

また11日と30日、13日と30日の組み合わせは、30日の波動をターゲットにしてもよいことを表しています。

買いの場合は9日と25日が適切な順位相関の日数でいたが、売りは13日(11日)と30日であるので、9日→13日、25日→30日と5ほど順位相関の日数が長めになっています。

しかし、最も成績がよい13日と30日順位相関を使っても、利益率は0.23%、勝率は51.5%、Pファクタが1.09倍でしかないので、やはり順位相関を使って「売りのタイミング」を計ることは難しい、という結論になります。

ここまでわかったことから次の条件表に変更し、これを「HP 順位相関(改良①)」とします。((サンプル)条件ファイルに設定してアップします。)

「HP 順位相関(改良①)」条件表の成績は次のようになります。この成績を基準にして、どうすればさらなる成績のアップができるかを考えていきます。

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 5567回 5380% 0.97% 54.0%
1.36倍 3.14倍
買い 9日-80以下、25日-80以下 3088回 4820% 1.56% 56.0%
1.54倍 2.68倍
売り 13日+80以上、30日+80以上 2479回 560% 0.23% 51.5%
1.09倍 0.41倍


⑨何を追加すればよいのか(順位相関の反転)



ここまでは、順位相関の水準に注目して売買マークを出してきました。買いの場合は「9日順位相関と25日順位相関が-80以下になった日に買いマーク」、売りの場合は「13日順位相関と30日順位相関が+80以上になった日に売りマーク」を出すのがよいということがわかりました。ここへ別の視点からの何かを加えて成績をアップしようとしていますが、その方針は次のものが考えられます。
  1. 短期の順位相関が反転したときに売買マークを出す。
  2. 他のチャートを追加して売買マークを出す。
  3. 「日柄」を併用する。
  4. 反転を表現する足型が出たら売買マークを出す。
  5. 行き過ぎを表現する足型が出たら売買マークを出す。
  6. 中勢波動が上昇中と下降中にわけて別々の売買マークを出す。

①「順位相関が反転したとき」とは右図のことで。

売りのマークの成績が思わしくないので、特に売りについて調べていきますが、図では(a)(b)で売りマークが出ています。(b)はピークで出ているのでプラスです。(a)はピークより6日前にマークを出しているのでマイナスです。

オシレータ系のチャートは、ツボにはまればピーク(ボトム)で売買マークを出す能力がありますが、ツボをはずすと、よくてトントン、多くはマイナスになります。(a)がその例です。

そこでピークで売買マークを出すことはやめて、順位相関が反転したことを確かめてから売買マークを出すとどうなるのか。例えば(a')の日の13日順位相関は値は83.5で、前日の95.4から11.9ポイントも低下しています。明らかに13日順位相関は反転したといえます。

(b')の日の13日順位相関は89.1で、前日の91.5から2.4ポイント低下しています。これも13日順位相関は反転したとしてよいでしょう。

そこで(a)(b)では売買マークを出すことは見送って、順位相関が前日に比べて2ポイント以上低下した日に売買マークを出させて、その成績を調べてみます。(a)は(a')まで売りマークを延期することでプラスになりますが、(b)は(b')へ先送りしたことでプラス幅が減少します。売買マークを延長することによるプラスマイナスはどういう結果になるのかです。
次の条件表を設定しました。

  1. No.1~No.10行は「Hp 順位相関(改良①)」と同じです。

  2. No.11行で(9日~0日)前に、買いとなった条件行が3個あれば「買い」と設定しています。(買いマークが出るためにはNo.3,No.4,No.5行の3つが同時に買いとならならねばならない)

  3. No.12行で(9日~0日)前に、売りとなった条件行が3個あれば「売り」と設定しています。(売りマークが出るためにはNo.6,No.7,No.8行の3つが同時に売りとならならねばならない)

  4. No.13行で、9日順位相関が前日より2ポイント以上上昇したら「買い」
    これによって元々買いマークが出る日から10日間のうちに順位相関が2ポイント上昇したら買いマークがでます。

  5. No.14行で、13日順位相関が前日より2ポイント以上下落したら「売り」
    これによって元々売りマークが出る日から10日間のうちに順位相関が2ポイント下落したら売りマークがでます。

この条件表は右図の位置で売買マークを出します

元の(a)から9日後に売りマークが出ています。また(b)から2日後に売りマークがでています。どちらも株価のピークから遅れること2日です。

2つの買いマークはボトムの日に出ていましたが、この条件表ではボトムから1日後に出ています。

このようにピーク・ボトムを過ぎて出る売買マークは、基準とする「HP 順位相関(改良①)」の成績に勝るのかどうか。

《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
買い 基準「HP 順位相関(改良①)」 3088回 4820% 1.56% 56.0%
1.54倍 2.68倍
買い 9日順位相関が前日より+2以上上昇 3261回 2123% 0.65% 53.4%
1.21倍 0.86倍
売り 基準「HP 順位相関(改良①)」 2479回 560% 0.23% 51.5%
1.09倍 0.41倍
売り 13日順位相関が前日より-2以上下落 2454回 -615% -0.25% 48.8%
0.91倍 -0.41倍

成績は基準の「HP 順位相関(改良①)」よりも悪化しました。トレード数は5567回→5715回へと増加したにもかかわらず、累計利益は5380%→1508%へ激減しています。特に売りの累計利益はマイナスになっています。

オシレータ系のチャートはピーク・ボトムの日に売買マークがでることがあるのが値打ちです。株価のピーク・ボトムよりも遅れて売買マークを出す、この条件表はダメであることがわかります。


⑩何を追加すればよいのか(K相対力)



9日順位相関は、その名の通り9日間の株価の順位の相関を計算したものです(正しくはスピアマンの係数という)。このチャートは順位だけを問題にしています。株価の前日比はまったく見ていません。

9日順位相関を例にすれば、株価が9日間連続して上昇したときは+100になり、9日間連続して下落したときは-100になります。つまり毎日1円ずつ上昇しても+100になるし、毎日10円ずつ上昇しても+100です。9日たってみると一方は9円の株価上昇にしか過ぎず、一方は90円の株価上昇をしていますが、この違いは順位相関には区別ができません。

K相対力(RSI)は、9日間の上昇幅の合計÷9日間の(上昇幅+下落幅)×100で計算されます。9日間毎日上昇していれば計算値は100になり、毎日下落していれば0となります。この点では順位相関と変わりはありません。だが25日のような長い期間では毎日上昇したり、毎日下落することはほとんどありません。このようなときは、25日間に大きな上昇(下落)をした日があれば、K相対力の値は急に上昇したり下落したりします。順位相関の形は丸みを帯びて滑らかですが、K相対力は角ばっています。この違いを利用してみてはどうか。 次の条件表を設定しました。


  1. No.1~No.10行は「HP 順位相関(改良①)」と同じです。

  2. No.11~12行も前章の条件表と同じです。

  3. No.13行で、25日K相対力が前日より30以下なら「買い」
    これによって元々買いマークが出る日から10日間のうちに25日K相対力が30以下になった日に買いマークがでます。

  4. No.14行で、30日K相対力が70以上になったら「売り」
    これによって元々売りマークが出る日から10日間のうちに30日K相対力が70以上になった日に売りマークがでます。

この条件表は右図の位置で売買マークを出します

元の(a)から6日後のピークの日に売りマークが出ています。しかしピークで出ていた(b)では売りマークは出なくなっています。

(c)の買いマークは出なくなりました。(d)より2日後に買いマークが先にずれています。

このような売買マークの変化がありますが、「HP 順位相関(改良①)」の成績に勝るのかどうか。

《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
買い 基準「HP 順位相関(改良①)」 3088回 4820% 1.56% 56.0%
1.54倍 2.68倍
買い 25日K相対力が30以下 2183回 3408% 1.56% 56.7%
1.53倍 2.15倍
売り 基準「HP 順位相関(改良①)」 2479回 560% 0.23% 51.5%
1.09倍 0.41倍
売り 30日K相対力が70以上 1386回 98% 0.07% 51.6%
1.03倍 0.11倍

トレード数は5567回→3569回へと減ったため、累計利益は5380%→3506%へ減少しました。買いの平均利益・勝率・Pファクタは基準の「HP 順位相関(改良①)」とほぼ同じですが、売りの成績はすべて悪化しています。

30日K相対の日数や「70以上」の数値を変えれば、もう少し成績はよくなるかと思いますが、だいたいは「オシレータ系のチャートにオシレータ系のチャートを加えても成績は変わらない」ということでしょう。K相対力を加えても意味はなかったようです。


⑪何を追加すればよいのか(日柄)



日柄(時間)に注目してみましょう。《カナル24》Ver.3では次の4つの日柄についての加工が追加されました。
  1. 固定日柄・・・一定の日数を日柄とする。
  2. 均衡日柄・・・小波動の1つ分・2つ分・3つ分・・・を日柄とする。
  3. ラリー日柄・・・ラリー・ウィリアムズの日柄。ピーク間あるいはボトム間の日数の1.28倍を日柄とする。
  4. フィボナッチ日柄・・・ピーク間あるいはボトム間の日数の1.618倍を日柄とする。
「日柄」はチャートではありません。もしその株価の変動にサイクルがあるのであれば、同じ時間またはその2倍の時間の後にピーク・ボトムを出すだろう、という観点からのものです。その銘柄がサイクル(リズム)を持っているときには有効になるでしょう。

(1)固定日柄

右図は「固定日柄」のグラフです。この例では、ピーク・ボトムから26日先の日まで青色水平線を描いています。その先端が26日目です。

「日柄」はピーク・ボトムの日を1日目としているので、26日の日柄とは、ピーク・ボトムの日を含めないなら25日後の日となります。

次のキマリによって売買マークを出しています。
  1. 売りの場合は、①13日順位相関と30日順位相関がともに+80以上の日で、②ピーク・ボトムから26日目の日に売りマークを出す。
    図の(a)の売りマークは、2本の順位相関がともに+80以上の日で、ボトム(a')から26日目でした。

  2. 買いの場合は、①9日順位相関と25日順位相関がともに- 80以下の日で、②ピーク・ボトムから26日目の日に買いマークを出す。
    図の(b)の買いマークは、2本の順位相関がともに-80以下の日で、ピーク(b')から26日目でした。
次の条件表を設定しました。


  1. No.2行の「主な株価」によって小波動のピーク・ボトムを決定し、
  2. No.3とNo.4行で、9日と25日順位相関がともに-80以下なら買い。
  3. No.5とNo.6行で、13日と30日順位相関がともに+80以上なら売り。
  4. No.9行で「26日の固定日柄」を設定し、5000以上なら買い。(ピーク・ボトムから26日目は5000という数値を記憶している)。
  5. No.10行で「30日の固定日柄」を設定し、5000以上なら売り。(ピーク・ボトムから30日目は5000という数値を記憶している)。
買いで25日順位相関を使っているのは、25日くらいの波動を捉えようとしているからです。よって固定日柄も25日とすればよいと考えられます。(「検証」してみると25日より26日のほうがよかったので、26日を採用しました)。 売りは30日順位相関を使っているので、固定日柄も30日としました。

《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(現行の《Qエンジン24》Ver.2には「日柄」の加工がないので、まだ日柄の検証はできません。年内にVer.3にする予定です。)
(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 3179回 3906% 1.23% 55.1%
1.48倍 5.44倍
買い 26日固定日柄 1612回 3600% 2.23% 57.6%
1.86倍 5.20倍
売り 30日固定日柄 1567回 305% 0.19% 52.6%
1.08倍 0.37倍

売買共の成績は基準の「HP 順位相関(改良①)」よりもよくなっています。平均利益率は0.97%→1.23%へ、勝率は54.0%→55.1%へ、PFは1.36倍→1.48倍。これは買いの成績がアップしたからです。買いの成績を見ると、平均利益率は1.56%→2.23%へ、勝率は56.0%→57.6%へ、PFは1.54倍→1.86倍です。

ただ売りの成績はほとんど変わっていません。平均利益率は0.23%→0.19%へわずかにダウン、勝率は51.5%→52.6%へわずかにアップ、PFは1.09倍→1.08倍と変わらず。やはり順位相関による売りは難しい。

(2)均衡日柄

右図は「均衡日柄」のグラフです。この例では、3波動の日数を日柄としてピーク・ボトムからその日数分を先に伸ばして紫色水平線を描いています。その先端が日柄の日です。

この例では「3波動」の日柄を採用しています。図の(p)で買いマークが出ています。この日は「3波動の均衡日柄」である(A)の日と一致しているからです。

(A)の日は(a)のボトムを起点としています。(a)の日から3波動とは、(a→b)(b→c)(c→d)です。(a~d)は35日間でした。この35日を(a)から先に延ばした日が(A)だったわけです。

次のキマリによって売買マークを出しています。
  1. 売りの場合は、①13日順位相関と30日順位相関がともに+80以上の日で、②ピーク・ボトムから「3波動の日柄」の日に売りマークを出す。

  2. 買いの場合は、①9日順位相関と25日順位相関がともに- 80以下の日で、②ピーク・ボトムから「3波動の日柄」の日に買いマークを出す。
次の条件表を設定しました。


  1. No.2行の「主な株価」によって小波動のピーク・ボトムを決定し、
  2. No.9行で「3本の均衡日柄」(3波動分)を設定し、5000以上なら買い。(ピーク・ボトムから3波動の日柄に該当する日は5000という数値を記憶している)。
  3. No.10行もNo.9行と同じ「3本の均衡日柄」を使って、5000以上なら売り。(ピーク・ボトムから3波動の日柄に該当する日は5000という数値を記憶している)。
固定日柄は26日とか30日とかの日柄が固定されていましたが、「均衡日柄」は①波動の期間に長短があるので、一定の日柄にはなりません。②また「1波動分」「2波動分」「3波動分」(最大は「9波動分」)のようにいくつかの波動を指定できるので、長期の日柄も設定できます。

《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 2462回 1837% 0.75% 54.0%
1.27倍 2.03倍
買い 3波動均衡日柄 1174回 1763% 1.50% 57.0%
1.53倍 2.13倍
売り 3波動均衡日柄 1288回 74% 0.06% 51.2%
1.02倍 0.20倍

売買共の成績は基準の「HP 順位相関(改良①)」よりも悪くなっています。平均利益率は0.97%→0.75%へ、勝率は54.0%→54.0%と変わらず、PFは1.36倍→1.27倍。買いの成績を見ると、平均利益率は1.56%→1.50%へ、勝率は56.0%→57.0%へ少しアップ、PFは1.54倍→1.53倍と変わらず。

売りの成績は悪化しました。平均利益率は0.23%→0.06%へわずかにダウン、勝率は51.5%→51.2%へわずかにアップ、PFは1.09倍→1.02倍とダウン。均衡日柄は一目均衡表でいうところの「対等数値」ですが、3波動の対等数値は適当ではないようです。

(3)ラリー日柄

右図は「ラリー日柄」のグラフです。「ラリー日柄」とはラリー・ウィリアムズが提唱している日柄で、ピーク間あるいはボトム間の期間を1.28倍したものを「日柄」とします。

図で2つの売りマークが出ています。先に出た売りマークは(A)の日と一致し、あとの売りマークは(B)の日と一致しています。

(A)は(c)を起点にして52日目(cを含めて)です。(c)のボトムは(d)と(b)のピークの中間にあります。ピーク(dとb)の期間は41日です。41日を1.28倍すると52.48日、四捨五入すれば52日。この52日を(c)から先に延ばしたのが(A)の日です。

(B)は(b)を起点にして41日目(bを含めて)です。(b)のピークは(c)と(a)のボトムの中間にあります。ボトム(cとa)の期間は32日です。32日を1.28倍すると40.96日、四捨五入すれば41日です。この41日を(b)から先に延ばしたのが(B)の日です。

次のキマリによって売買マークを出しています。
  1. 売りの場合は、①13日順位相関と30日順位相関がともに+80以上の日で、②ピーク・ボトムから「ラリー日柄」の日に売りマークを出す。

  2. 買いの場合は、①9日順位相関と25日順位相関がともに- 80以下の日で、②ピーク・ボトムから「ラリー日柄」の日に買いマークを出す。
次の条件表を設定しました。


  1. No.2行の「主な株価」によって小波動のピーク・ボトムを決定し、
  2. No.9行で「×0のラリー日柄」を設定しています。パラメータを「0」とすると×1.28倍になります。適当な倍率(例えば1.41)などを設定することもできます。5000以上なら買い。(ピーク・ボトムからラリー日柄に該当する日は5000という数値を記憶している)。
  3. No.10行もNo.9行と同じ「×1.28倍のラリー日柄」を使って、5000以上なら売り。
《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 1879回 1834% 0.98% 54.1%
1.37倍 2.56倍
買い ラリー日柄 991回 1659% 1.67% 56.5%
1.61倍 2.25倍
売り ラリー日柄 888回 175% 0.20% 51.4%
1.08倍 0.34倍

売買共の成績は基準の「HP 順位相関(改良①)」とほぼ同じです。平均利益率は0.97%→0.98%へ、勝率は54.0%→54.1%と変わらず、PFは1.36倍→1.37倍。買いの成績を見ると、平均利益率は1.56%→1.67%へ、勝率は56.0%→56.5%へ、PFは1.54倍→1.61倍と少しアップしています。

売りの成績は悪化しました。平均利益率は0.23%→0.20%へわずかにダウン、勝率は51.5%→51.4%と変わらず、PFは1.09倍→1.08倍と変わらず。成績は変わりませんが、トレード数が5567回→1879回へ1/3に減っているので、累計利益も5380%→1834%へ1/3になっています。これでは「ラリー日柄」を使った意味がありません。

(4)フィボナッチ日柄

右図は「フィボナッチ日柄」のグラフです。「フィボナッチ日柄」とは、ピーク間あるいはボトム間の期間を1.618倍したものを「日柄」とします。

図の(p)で買マークが出ています。これは(A)の日柄と一致しているからです。

(A)は(a)を起点にして29日目(aを含めて)です。(a)のボトムの1つ前のボトム(c)の期間は18日です。18日を1.618倍すると29.124日、四捨五入すれば29日。この29日を(a)から先に延ばしたのが(A)の日です。

(B)は(b)を起点にして26日目(bを含めて)です。(b)のピークの1つ前のピーク(d)との間の期間は16日です。16日を1.618倍すると25.888日、四捨五入すれば26日です。この26日を(b)から先に延ばしたのが(B)の日です。 次のキマリによって売買マークを出しています。
  1. 売りの場合は、①13日順位相関と30日順位相関がともに+80以上の日で、②ピーク・ボトムから「フィボナッチ日柄」の日に売りマークを出す。

  2. 買いの場合は、①9日順位相関と25日順位相関がともに- 80以下の日で、②ピーク・ボトムから「フィボナッチ日柄」の日に買いマークを出す。
次の条件表を設定しました。


  1. No.2行の「主な株価」によって小波動のピーク・ボトムを決定し、
  2. No.9行で「×0のフィボナッチ日柄」を設定しています。パラメータを「0」とすると×1.618倍になります。適当な倍率(例えば2.61)などを設定することもできます。5000以上なら買い。(ピーク・ボトムからフィボナッチ日柄に該当する日は5000という数値を記憶している)。
  3. No.10行もNo.9行と同じ「×1.618倍のフィボナッチ日柄」を使って、5000以上なら売り。
《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 2590回 2184% 0.84% 54.8%
1.32倍 2.93倍
買い フィボナッチ日柄 1201回 1839% 1.53% 57.6%
1.54倍 2.46倍
売り フィボナッチ日柄 1389回 345% 0.25% 52.3%
1.10倍 0.47倍

売買共の成績は基準の「HP 順位相関(改良①)」とほぼ同じです。平均利益率は0.97%→0.84%へダウン、勝率は54.0%→54.8%とアップ、PFは1.36倍→1.32倍へダウン。

買いの成績を見ると、平均利益率は1.56%→1.53%へ、勝率は56.0%→57.6%へ、PFは1.54倍→1.54倍と変わらず。 売りの成績は少しアップしました。平均利益率は0.23%→0.25%へ、勝率は51.5%→52.3%と変わらず、PFは1.09倍→1.10倍へと少しずつアップしています。

ここまで4つの日柄について調べましたが、基準の「HP 順位相関(改良①)」よりも成績がよくなったのか? 表にまとめました。

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
買い 基準「HP 順位相関(改良①)」 3088回 4820% 1.56% 56.0%
1.54倍 2.68倍
買い (1)26日固定日柄 1612回 3600% 2.23% 57.6%
1.86倍 5.20倍
買い (2)3波動均衡日柄 1174回 1763% 1.50% 57.0%
1.53倍 2.13倍
買い (3)ラリー日柄 991回 1659% 1.67% 56.5%
1.61倍 2.25倍
買い (4)フィボナッチ日柄 1201回 1839% 1.53% 57.6%
1.54倍 2.46倍

上表の「買い」についてはおおむね「HP 順位相関(改良①)」と同等かそれ以上の成績になっています。特に(1)固定日柄は基準のトレード数3088回→1612回へほぼ半分のトレードになったにもかかわらず累計損益%は3/4を維持し、平均利益%は2.23%と最高、勝率は57.6%と最高、Pファクタは1.86倍と最高、PD倍率は5.20倍と群を抜いています。

(3)ラリー日柄と(4)フィボナッチ日柄は、「HP 順位相関(改良①)」に比べて一部の成績項目は勝ってはいるものの、全体としてはこの「日柄」を採用したがゆえに成績がよくなったとはいえません。

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売り 基準「HP 順位相関(改良①)」 2479回 560% 0.23% 51.5%
1.09倍 0.41倍
売り (1)30日固定日柄 1567回 305% 0.19% 52.6%
1.08倍 0.37倍
売り (2)3波動均衡日柄 1288回 74% 0.06% 51.2%
1.02倍 0.20倍
売り (3)ラリー日柄 888回 175% 0.20% 51.4%
1.08倍 0.34倍
売り (4)フィボナッチ日柄 1389回 345% 0.25% 52.3%
1.10倍 0.47倍

上表の「売り」についてはおおむね「HP 順位相関(改良①)」と同等です。累計利益%は「HP 順位相関(改良①)」を上回ったものは皆無、平均利益%は(4)フィボナッチ日柄だけが「HP 順位相関(改良①)」を上回り、勝率は(1)固定日柄と(4)フィボナッチ日柄が上回る。Pファクタは(4)フィボナッチ日柄だけ、PD倍率も(4)フィボナッチ日柄だけが「HP 順位相関(改良①)」を上回っています。

「売り」についてはフィボナッチ日柄が役立っているといってよいでしょうが、「買い」のフィボナッチ日柄は「HP 順位相関(改良①)」と同じ程度の成績であったので、特にフィボナッチ日柄を使う意味はありません。以上のことから、順位相関と「日柄」を組み合わせても成績がアップすることはないといえます。


⑫何を追加すればよいのか(足型)



9日順位相関は9日級の波動を捉えることを目的にしているし、25日順位相関は25日級の波動をターゲットにしています。オシレータ系のチャートは、株価が高い・安いはある程度表現していますが、今日が売買のタイミングであるということまではわかりません。

ここまで調べてみたことをまとめておくと、
  1. 短期(9日とか13日)の順位相関が+80以上になった日に売りとする。-80以下になった日に買いとする。(⑧章)
  2. 短期(9日とか13日)の順位相関が反転した日に売買マークを出す。(⑨章)
  3. 別のチャート(K相対力)を併用して売買マークを出す。(⑩章)
  4. 日柄を使って売買マークを出す。(⑪章)
について調べてみましたが、基準とした「HP 順位相関(改良①)」以上の成績を出すものはありませんでした。どれも売買のタイミングを的確に捉えることができていません。

できるだけピークに近いところで売り、できるだけボトムに近いところで買うには「足型」にかなうものはありません。

(1)大陽線・大陰線(逆張り)

株価がピークをつける日または前日までは、株価は快調に上昇しています。何をもって「快調に上昇している」のかですが、最も単純なものは大陽線です。右図の(a)で売りマークが出ていますが、この日の足型は「大陽線」です。翌日「新高値の陰線」となって株価はピークとなりました。

この場合は(a)の大陽線に注目してもよいし、(a)の翌日の新高値の陰線に注目してもよかったのです。

(b)の買いマークの日は「大陰線」です。この大陰線に注目してもよいし、(b)の次の日の「大陽線」に注目してもよかったのです。

「大陽線がでたら売り、大陰線が出たら買い」は足型を「逆張り」として使うことになるし、「大陽線がでたら買い、大陰線が出たら売り」は足型を「順張り」として使うことになります。

なお《カナル24》の加工「足型」の「大陽線」「大陰線」とは1日の値幅率がその日の株価(仲値)の3%以上あるときです。例えば高値が350円・安値が330円の日の値幅は20円(=350-330)で仲値は340円(=(350+3330)÷2)なので、値幅率は5.88%(=20円÷340円×100)となります。その日が陽線なら「大陽線」であり、陰線なら「大陰線」です。

ここでは足型を逆張りとして使ってみましょう。 次の条件表を設定しました。

  1. No.11行は、当日のザラバ高値が過去10日間のうちで最も高いとき売り。
  2. No.12行は、当日のザラバ安値が過去10日間のうちで最も安いとき買い。
  3. No.13行で、足型が「大陽線」(以上欄が「8」となっている)なら売り。
  4. No.14行で、足型が「大陰線」(以下欄が「8」となっている)なら買い。
これによって10日間の新高値で大陽線がでたら売り、10日間の新安値で大陰線が出たら買い、となります。

《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 4114回 6737% 1.64% 57.9%
1.57倍 3.75倍
買い 10日新安値で大陰線 2456回 5642% 2.30% 58.2%
1.76倍 3.10倍
売り 10日新高値で大陽線 1658回 1095% 0.66% 57.4%
1.24倍 2.73倍

すべてにおいて基準の「HP 順位相関(改良①)」を上回っています。売買共の成績を見ると、平均利益率は0.97%→1.64%へ、勝率は54.0%→57.9%、PFは1.36倍→1.57倍へと目覚しくアップしています。 買いの成績を見ると、平均利益率は1.56%→2.30%へ、勝率は56.0%→58.2%へ、PFは1.54倍→1.76倍とアップ。

売りの成績もよくなりました。平均利益率は0.23%→0.66%へ、勝率は51.5%→57.4%、PFは1.09倍→1.24倍。これまで売りの勝率が55.0%以上になったものは皆無でしたが、足型を併用することでいともたやすくクリアしています。

(2)大陽線・大陰線(順張り)

今度は足型を順張りとして使ってみましょう。右図の(a)の買いマークがでている日は大陽線です。株価が下落してきて大陽線を出したので、反転すると判断して買いマークを出しています。

(b)の売りマークは、株価が上昇してきて大陰線を出したので、相場が崩れると判断して売りとしています。つまり強い足型が出たときは買い、弱い足型が出たときは売るという「順張り」です。
次の条件表を設定しました。


  1. No.1~12行までは、前章の条件表と同じです。
  2. No.13行で、足型が「大陰線」(以下欄が「8」となっている)なら売り。
  3. No.14行で、足型が「大陽線」(以上欄が「8」となっている)なら買い。
これによって10日間の新高値で大陰線がでたら売り、10日間の新安値で大陽線が出たら買い。となります。

《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 2498回 838% 0.34% 53.9%
1.10倍 0.47倍
買い 10日新安値で大陽線 1501回 970% 0.65% 55.0%
1.18倍 0.55倍
売り 10日新高値で大陰線 997回 -132% -0.13% 52.4%
0.94倍 -0.23倍

すべてにおいて基準の「HP 順位相関(改良①)」を下回りました。売買共の成績を見ると、平均利益率は0.97%→0.34%へ、勝率は54.0%→53.9%、PFは1.36倍→1.10倍へダウンしています。 買いの成績を見ると、平均利益率は1.56%→0.65%へ、勝率は56.0%→55.0%へ、PFは1.54倍→1.18倍とダウン。

売りの成績もマイナスになりました。平均利益率は0.23%→-0.13%へ勝率は51.5%→52.4%、PFは1.09倍→0.94倍。

この成績は⑨章「順位相関の反転」の数値に似ています。「反転」の買いの平均利益は0.65%、勝率53.4%、Pファクタ1.21倍でした。また売りの平均利益は-0.25%、勝率48.6%、Pファクタ0.91倍でした。「順位相関の反転」は株価の反転を確認したときを仕掛けのタイミングとしましたが、これでは遅いのでした。足型を順張りとして使うと同じように仕掛けが一歩遅れます。その結果が足型の逆張りとは比較にならぬほどの惨めな成績になったのでした。ここに仕掛けのタイミングの重要なる真理があります。相場の方向を見極めて仕掛けるのでは遅い。上昇中に売り、下落中に買うことが大切なわけです。

(3)3陽連・3陰連(逆張り)

大陽線・大陰線の足型は逆張りで使うのがよいことが検証によって確かめられました。仕掛けのコツは、「株価が快調に上昇しているときに売る。株価が快調に下落しているときに買う」です。

大陽線のほかにも「快調に上昇している」ことを表現している足型があります。その1つは「3陽連」です。

ここでいう「3陽連」は単純に陽線が3本並ぶのではなく、ザラバ高値が切り上がり、ザラバ安値が切り上がっているものをいいます。図の(a)のような形です。

「3陰連」は「快調に下落している」ことを表現してい足型です。 ここでいう「3陰連」は単純に陰線が3本並ぶのではなく、ザラバ高値が切り下がり、ザラバ安値が切り下がっているものをいいます。図の(b)のような形です。

次の条件表を設定しました。ちょっとややこしい条件表になりました。

  1. No.11行は、当日のザラバ高値が過去10日間のうちで最も高いとき「売り」。
  2. No.12行は、昨日(注目日が1~1)「2陽連」であること。
  3. No.13行は、当日(注目日が0~0)「陽線」であること。
    No.12とNo.13を合わせると3日連続陽線になります。

  4. No.14行は、昨日のザラバ高値を取り出し、
  5. No.15行で、当日のザラバ高値を比較し、当日の高値のほうが高いとき「売り」。
  6. No.16行は、昨日のザラバ安値を取り出し、
  7. No.17行で、当日のザラバ安値を比較し、当日の安値のほうが高いとき「売り」。

    No.12行の「2陽連」はザラバ高値とザラバ安値が切り上がっていることが要件になっているので、当日と昨日のザラバ高値・ザラバ高値の切り上がりをNo.14~No.17行でチェックしています。

  8. No.18行は、当日のザラバ安値が過去10日間のうちで最も安いとき「買い」。
  9. No.19行は、昨日(注目日が1~1)「2陰連」であること。
  10. No.20行は、当日(注目日が0~0)「陰線」であること。
    No.19とNo.20を合わせると3日連続陰線になります。

  11. No.21行~24行で、ザラバ高値・ザラバ安値が切り下がっていることを「買い」の条件にしています。
《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 2486回 3651% 1.47% 56.7%
1.56倍 4.84倍
買い 10日新安値で3陰連 1441回 2997% 2.08% 57.5%
1.75倍 3.85倍
売り 10日新高値で3陽連 1045回 654% 0.63% 55.5%
1.25倍 1.48倍

すべてにおいて基準の「HP 順位相関(改良①)」を上回っていますが、(1)「大陽線・大陰線(逆張り)」に比べると、トレード数が減少し、かつ少しずつ成績は劣っています。 大陽線・大陰線のトレード数が4114回→2486回へと約40%少なくなり、平均利益率は1.64%→1.47%へ、勝率は57.9%→56.7%、PFは1.57倍→1.56%と少し悪い。

買いの成績を見ると、平均利益率は2.30%→2.08%へ、勝率は58.2%→57.5%へ、PFは1.76倍→1.75%。
売りの成績は、平均利益率は0.66%→0.63%へ、勝率は57.4%→55.5%、PFは1.24倍→1.25倍。

「3陽連・3陰連」は「大陽線・大陰線」に少し劣りますが、十分に利益がでる条件表です。「大陽線・大陰線」と併用してもよいでしょう。

(4)4陽連・4陰連(逆張り)

「4陽連・4陰連」について調べてみます。「3陽連・3陰連」は「大陽線・大陰線」よりもトレード数が40%減になっていました。「4陽連・4陰連」はそれよりももっと出にくい足型であるので、トレード数はさらに減るでしょう。

図の(a)が「4陽連」です。ザラバ高値とザラバ安値は切り上がっていなければなりません。

図の(b)は「4陰連」です。ザラバ高値とザラバ安値は切り下がっていなければなりません。

次の条件表を設定しました。4本のザラバ高値・ザラバ安値を比較する必要があるので複雑な条件表になります。

  1. No.12行は、2日前(注目日が2~2)「2陽連」であること。
  2. No.13行は、当日(注目日が0~0)「2陽連」であること。
    No.12とNo.13を合わせると4日連続陽線になります。

  3. No.21行は、2日前(注目日が2~2)「2陰連」であること。
  4. No.22行は、当日(注目日が0~0)「2陰連」であること。
    No.21とNo.22を合わせると4日連続陰線になります。
《Qエンジン24》を使って検証すると次の成績になりました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)
No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売買共 - 1128回 2143% 1.90% 58.6%
1.76倍 11.14倍
買い 10日新安値で4陰連 717回 1894% 2.64% 59.7%
2.05倍 12.06倍
売り 10日新高値で4陽連 411回 249% 0.61% 56.7%
1.24倍 1.47倍

すべてにおいて基準の「HP 順位相関(改良①)」を上回っています。(1)「大陽線・大陰線(逆張り)」に比べると、トレード数大幅に減少していますが、効率を表す成績項目はアップしています。大陽線・大陰線のトレード数が4114回1128回へと約75%少なくなりましたが、平均利益率は1.64%→1.90%、勝率は57.9%→58.6%、PFは1.57倍→1.76%へとアップ。

買いの成績を見ると、平均利益率は2.30%→2.64%へ、勝率は58.2%→59.7%へ、PFは1.76倍→2.05%。
しかし売りの成績は、平均利益率は0.66%→0.61%へ、勝率は57.4%→56.7%、PFは1.24倍→1.24倍、と少しダウン。

足型を調べ出すとキリがないので、これで足型の検証は終わります。調べた4つの足型の成績を表にまとめました。

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
買い 基準「HP 順位相関(改良①)」 3088回 4820% 1.56% 56.0%
1.54倍 2.68倍
買い (1)10日新安値で大陰線・逆 2456回 5642% 2.30% 58.2%
1.76倍 3.10倍
買い (2)10日新安値で大陽線・順 1501回 970% 0.65% 55.0%
1.18倍 0.55倍
買い (3)10日新安値で3陰連 1441回 2997% 2.08% 57.5%
1.75倍 3.85倍
買い (4)10日新安値で4陰連 717回 1894% 2.64% 59.7%
2.05倍 12.06倍


No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売り 基準「HP 順位相関(改良①)」 2479回 560% 0.23% 51.5%
1.09倍 0.41倍
売り (1)10日新高値で大陽線・逆 1658回 1095% 0.66% 57.4%
1.24倍 2.73倍
売り (2)10日新高値で大陰線・順 997回 -132% -0.13% 52.4%
0.94倍 -0.23倍
売り (3)10日新高値で3陽連 1045回 654% 0.63% 55.5%
1.25倍 1.48倍
売り (4)10日新高値で4陽連 411回 249% 0.61% 56.7%
1.24倍 1.47倍

上表を見るに、「大陽線・大陰線(逆張り)」が累計利益%、平均利益%、勝率、Pファクタにおいてよい成績を出しています。「4陰連」は4つの中で最もよい成績ですが、トレード数が少ないのが難点です。また「売り」で「4陽連」は「大陽線・逆」よりも成績が劣ります。よって「大陽線・大陰線(逆張り)」を「HP 順位相関(改良②)足型」として残します。


⑬損益の統計をとる



前⑫章で「HP 順位相関(改良②)足型」の条件表を設定し、そこそこの成績がでることがわかりました。本章では利益率・損失率の分布を調べ、利食い・損切りの目安にするとどうなるのかを調べます。

統計をとるのは
  1. 仕掛けて10日間に発生した最大の利益率
  2. 仕掛けて10日間に発生した最大の損失率
  3. 仕掛けて10日が過ぎて決済した実現利益率
の3つです。これらの統計を取るには、次のことを条件表に設定しておく必要があります。買いの場合は
  1. (o)で買いマークが出たので、この日に次の数字を取り出す。
  2. 翌日(p)の始値(仕掛け値となる)
  3. 翌日(p)から10日間のザラバの最高値(q)(最大の利益率を計算するため)
  4. 翌日(p)から10日間のザラバの最安値(r)(最大の利損失率を計算するため)
  5. 仕掛けてた(p)の日を含めて11日目(s)の始値(決済値となる)
次のような条件表を設定しました。


  1. No.1行~No.14行までは「HP 順位相関(改良②)足型」の条件表です。No.15行以下に上記の統計を取りたい項目を設定しています。

  2. 15行で「株価高値」を取り出し、No.16行で過去10日間の「最大値」を計算します。上のグラフでは(p)~(r)の10日間の最大値(q)が取り出されます。

  3. 17行で、その最大値を11日ほど「遅行」させています。最大値(q)は(r)の日に確定します。(r)の日は売買マークが出た(o)の日(を含めて)11日目なので、11日遅行させておけば、(o)の日に最大値(q)を取り出すことができます。
  4. 同様にしてNo.18~No.20行で、10日間のザラバ安値の最小値を取り出し、(o)の日まで遅行させておきます。

  5. No.21~No.22行は、(p)の日に仕掛けた値段を(o)の日に遅行しています。(o)と(p)は(oを含めて)2日違うので「2日遅行」させています。
  6. No.23は(s)で決済する値段を12日遅行させています。(oからsは12日ある)

  7. (o)で買いマークが出たとき、①翌日の仕掛け値(始値)、②その後10日間の最高値、③その後10日間の最安値、④11日の決済値(始値)が取り出されているので、
  8. No.24で最大利益率、No.25で最大損失率、No.26で実現利益率を計算しています。(No.27とNo28行はここでは使わない)

「買い」の実現利益率の統計値は次のようになっていました。
  1. 件数  4565件
  2. 平均値 +2.38%
  3. 中央値 +2.01%
  4. モード +1.00%
  5. 90%値  +15.09%
  6. 10%値  -10.79%
中央値は+2.01%となっています。4565件のうちの半数は+2.01%以上の利益を出し、残り半数が+2.01%未満(損失もかなり含む)です。

平均値+2.38%は中央値よりも大きくなっています。これは+2.01 %以上の利益を出した総額が、+2.01%未満(多くは損失)の総額よりも大きいということです。 このようなときは、下手に利食いをすると、利益の芽を摘み採ることになります。利食いはしないほうがよいことがわかります。

「売り」の実現利益率の統計値は次のようになっていました。(売りは下落したら利益がでるので、プラスマイナス符号を逆にしている)
  1. 件数  2925件
  2. 平均値 +0.72%
  3. 中央値 +1.40%
  4. モード +1.00%
  5. 90%値  +10.40%
  6. 10%値  -9.33%
中央値は+1.40%となっています。2925件のうちの半数は+1.40%以上の利益を出し、残り半数が+1.40%未満(損失もかなり含む)です。

平均値+072%は中央値よりも小さくなっています。これは+1.40%以上の利益を出した総額が、+1.40%未満(多くは損失)の総額よりも小さいということです。利益が損失に食われているわけです。

おそらく-15%とか-20%のように大きな損失がでて、+1%とか+2%の10回分の利益を食っていると思われます。このようなときは「ロスカット(損切り)」をして損失の拡大を阻止したほうがよいでしょう。

では何%で損切りをすればよいのでしょうか。ヒストグラムを見てください。利益が出ているの上半分をみると、利益率が高くなればばなるほど度数は少なくなり、棒グラフが順次低くなっています。

-2~0%(マイナスがついていれば利益)の利益を出したのは352件ありましたが、-4~-2%の利益を出したのは342件、-6~-4%の利益を出したのは289件と度数は次第に少なくなります。これが普通の姿です。

損失が出ている下半分を見ると、(a)の前までは順次度数が減少していますが、(a)の14~16%(プラス値は損失)のところで度数が増加しています。通常ならもっと減少してよいところです。もし14~16%(中間は15%)以上の損失が出たら「損切りする」とすれば(a)以下の損失を15%で食い止めることができます。

同様のイレギュラーは(b)(c)でもあります。(b)以下を切り捨てるのであれば16~18%(中間は17%)で損切りしたほうがよいでしょう。(c)以下を切り捨てるなら24~26%(中間は25%)で損切りしたほうがよいと判断できます。


⑭損切りをしたほうがよいのか?



前章⑬で「HP 順位相関(改良②)足型」の利益率の統計を取りました。統計値を比較することで、①買いの場合は損切りをする必要はないし、利食いもすべきではない。②売りの場合は適当なロスカット(損切り)をしたほうがよい。と思われました。本章では、損切りをするのであれば何%の損失がでたら損切りすればよいのかを調べました。(225銘柄、2000年~2009年末の10年間。手数料なし)

No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
買い -2%で損切り 4356回 1694% 0.39% 21.9%
1.21倍 0.96倍
買い -4%で損切り 3724回 2711% 0.73% 36.2%
1.26倍 1.20倍
買い -6%で損切り 3278回 4003% 1.22% 45.9%
1.37倍 1.68倍
買い -8%で損切り 3033回 4046% 1.33% 50.7%
1.38倍 1.52倍
買い -10%で損切り 2856回 4231% 1.48% 53.7%
1.42倍 1.63倍
買い -12%で損切り 2737回 4322% 1.58% 55.4%
1.45倍 1.66倍
買い -15%で損切り 2626回 4471% 1.70% 56.6%
1.48倍 1.69倍
買い -20%で損切り 2534回 4876% 1.92% 57.3%
1.57倍 1.94倍
買い -25%で損切り 2485回 5110% 2.06% 57.7%
1.63倍 2.23倍
買い 損切りしない 2456回 5642% 2.30% 58.2%
1.76倍 3.10倍


上表の「買い」の成績は、前章で判断したように、利食いをしたり損切りをすることなく、時間切れで決済するのが一番よいということを示してします。平均利益率(前章は+2.38%)が中央値(前章は+2.01%)よりも大きいときは、安易に利食いをしたり損切りをするのはよくないことが判明しました。


No. 条件 トレード数 累計損益% 平均利益% 勝率 Pファクタ PD倍率
売り -2%で損切り 2782回 1257% 0.45% 27.4%
1.29倍 3.75倍
売り -4%で損切り 2370回 1442% 0.61% 41.8%
1.27倍 4.04倍
売り -6%で損切り 2090回 1120% 0.54% 48.6%
1.20倍 2.01倍
売り -8%で損切り 1940回 1163% 0.60% 52.8%
1.22倍 2.03倍
売り -10%で損切り 1856回 1177% 0.63% 54.6%
1.23倍 2.35倍
売り -12%で損切り 1792回 1216% 0.68% 56.4%
1.24倍 2.51倍
売り -14%で損切り* 1757回 1119% 0.68% 57.0%
1.25倍 2.50倍
売り -15%で損切り 1742回 1212% 0.70% 57.2%
1.25倍 2.56倍
売り -16%で損切り* 1732回 1235% 0.71% 57.6%
1.26倍 2.69倍
売り -20%で損切り 1695回 1120% 0.66% 57.4%
1.24倍 2.70倍
売り -24%で損切り* 1684回 1069% 0.63% 57.3%
1.23倍 2.46倍
売り -25%で損切り 1682回 1059% 0.63% 57.4%
1.23倍 2.45倍
売り 損切りしない 1658回 1095% 0.66% 57.4%
1.24倍 2.73倍

上表の「売り」の成績は、前章で-14%、-16%あるいは-24%で損切りしたほうが全体の成績はよくなるのではないかと思ったので、「買い」の成績よりも詳しく調べてみました。

これによると、-16%で損切りしたとき、①累計損益%は1235%で最高になり、平均利益率が0.71%、勝率が57.6%、Pファクタが1.26倍と最高になっています。 仕掛けて10日が経過して決済するよりも、-16%で損切りしたほうが全体の成績はよくなるのです。この結論は前章の「売りの利益率」のヒストグラムからわかっていたことです。

このように統計をとることで、
  1. 何日の波動をターゲットにするのがよいのか?
  2. 利食いをしたほうがよいのか、損切りをしたほうがよいのか?
  3. 損切りは何%ですればよいのか?
が明らかになります。統計に基づいて売買の仕方を決めることはとても重要なことなのです。


⑮終わりに



「《カナル24》Ver.3の「統計」でわかること」の講座は前章で完結しました。これを執筆した目的は、
  1. 2010年8月発売の《カナル24》Ver.3に「統計」の機能を追加したので、事例にもとづく使い方を説明したかったこと。
  2. よい機会なので9日・25日順位相関についての統計をとり、検証をすることで、順位相関の性能と限界を明らかにしたかったこと。
の2つでした。 毎日書いているHPのタイトルは「最近のTOPIXの動き---《カナル24》は語る」であり、副題は「TOPIXの日足(ここ10日間の動き)」です。うかっと見過ごされているかも知れませんが、HPで私は10日間の株価の動きを探ろうとしています。


また記事の1/3から半分は「小波動のピーク(ボトム)らしさのポイント」について述べています。小波動のボトムらしさのポイントは右のような11項目によります。

表の①~④は足型についてのチェックであり、⑤⑥が順位相関のチェック、⑦は短期的な総合判断による買マークのチェック、⑧⑨は市場全体のチェック、⑩は下値メドのチェック、⑪は業績面のチェック です。

⑪のPERは時代によってその基準が変動するので、表にあるようにいつでも15倍以下で1ポイントとするわけにはいきませんが、あとの10項目は《カナル24》および《デンドラ24》があれば、誰でも同じ判断を下し、同じ結論を得ることができます。

右は「小波動のピークらしさのチェック表」です。基本的には「ボトムらしさのチェック表」と逆のことを判断基準にしています。

いわゆるチャートを使っているのは、①~⑥です(⑦はチャートを組み合わせたもの)。チェック表によって6ポイントになればピーク(ボトム)が出たらしいと判断するのですが、いわゆるチャートだけで「ピーク(ボトム)らしさは6ポイント」と判断できることがあります。

そのチャートも足型と順位相関の2種類しか使っていません。多くのチャートを組み合わせてはいません。⑦チャートを組み合わせた「日経平均用'96」は1ポイントの役割しか与えられていません。足型の4ポイント、順位相関の2ポイントに比べて低い扱いをしています。

この講座によって、次の質問に答えることができたと思います。
  1. なぜ10日間の動きを注目しているのか? の質問には①章「小波動の姿を調べる」が回答しています。小波動の多くの期間は10日程度であるからです。

  2. なぜ9日順位相関と25日順位相関を使っているのか? の質問のうち、「9日と25日」については⑧章「×日順位相関を使って利益がでる波動を調べる」が回答です。「+80以上で売り、-80以下で買い」については⑥章「株価のピーク・ボトムの日の順位相関の水準を調べる」が答えです。

  3. なぜほかのチャートを組み合わせずに順位相関だけを使うのか? の質問には、⑦章「オシレータ系のチャートが捉えることができる波動は限定される」、⑩「何を追加すればよいのか(K相対力)」、⑪「何を追加すればよいのか(日柄)」などが回答になるでしょう。パラメータ(×日)を必要とするチャートをこれ以上に追加しても意味はないからです。

  4. なぜ「足型」に最大4ポイントも与えているのか? の疑問には、⑫「何を追加すればよいのか(足型)」が解答になります。足型ほど「キレ」のあるチャートはありません。
このようなことを「統計」をとりながら説明したので、納得いただけたかと勝手に満足しています。

最後の⑬「損益の統計をとる」では、利益率の平均値と中央値を比較することによって「利食い」をしたほうがよいのかいけないのか、「損切り」をすべきなのかすべきでないのかの判断ができることを明らかにしました。また⑭「損切りをしたほうがよいのか」では損切りするとすれば、何%の損失で損切りすればよいのかの手がかりは、利益率のヒストグラムを見れば見当がつくこともいいました。 これも統計を取ればこそ導けた結論です。

「統計」に馴染みましょう。統計の裏づけのある結論を多く持つことによってしか適切な判断は下せません。


条件表のダウンロード



⑧章「×日順位相関を使って利益がでる波動を調べる」で設定した「HP 順位相関(改良①)」と、⑫章「何を追加すればよいのか(足型)」で設定した「HP 順位相関(改良②)足型」を(サンプル)条件ファイルと(標準3)条件ファイルの 条件表No.57・条件表No.58に複写してアップしました。《カナル24》Ver.3のユーザーは「アップデート」→「条件表をダウンロード」で(サンプル)条件ファイルあるは(標準3)条件ファイルをダウンロードして下さい。
  1. 条件表を自身で設定しているユーザーは、①(サンプル)をダウンロードし、②「条件」→「表を複写」を使って、③(サンプル)の条件表No.57とNo.58を(標準3)(拡張6)などの空白の条件表No.に複写する。

  2. 条件表を自身で設定したことがないユーザーは、①(標準3)をダウンロードすれば終わり。(標準3)のNo.57とNo.58に新しく設定した条件表があります。


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執筆:坂本 正治