No.8 相場の原則を条件表に設定する |
2008年2月~4月に執筆 ・・ HP目次へ.. 講座目次へ. |
①中勢モデル波動を基準にすれば、仕掛けどころがわかる(08.2.22) TOPIX 1321P(-13) 日経平均 13500円(-187) 20.9億株 (2兆4745億円) 最近は同じグラフばかりを掲載しています。特に小波動のボトムやピークにつけた符号は(A→b→c→B)とこの2週間は変わっていません。 同じグラフが続くと、このHPを見ているユーザーは「また同じものだ」と思われるでしょう。「もっと役立つテクニックや相場の見方について書けばよいのに」と思われるかも知れません。 なぜ私がしつこく同じグラフを掲げているのか。たぶん半数のユーザーは私がいいたいことをわかってもらえていると思っていますが、それはこの時期をよい手本にして「相場の原理・原則」を理解してもらいたいということからです。 「相場の原理・原則」とは
このHPの過半はトレンドの判断のしかたについて述べていますが、判断の方法は2つあります。
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「中勢波動のモデル」を掲げます。中勢波動の基準は75日線です。
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②「相場の原則」にのっとった仕掛けのタイミング(08.2.27) TOPIX 1364P(+17) 日経平均 14031円(+206) 20.8億株 (2兆2973億円) NYダウは小波動のボトムはすでに(A→c)と切り上がっているので、あとは小波動のピークが(b→B)へと切り上げるのを待っているところです。だが、(b)12767ドルを上回ったとしても、75日線の水準は12868ドルでしかありません。 75日線はだいたい1日につき13ドルずつ下落しているので明日(今夜)の75日線は12855ドルくらい、2日後には12842ドル、3日後は12819ドルです。どんどん天井が低くなっていきます。 株価が75日線より上位にあるときは、75日線を押し目の限界とみて「押し目買い」をする。株価が75日線より下位にあるときは、75日線を戻りの限界とみて「戻り売り」をする、のが「相場の原則」です。現在は株価は75日線より下位にあるのだから、株価が75日線まで戻ったなら「戻り売り」をするのが原則です。75日線という押しのメド・戻りのメドがあるからです。 図に符号を振っています。「相場の原則」によれば、各符号の時点で、①どういう方針で、②どのような株価水準で売買するのかを考えて下さい。
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75日線からの上値・下値のメドがないときでも、ある程度の確率でピーク・ボトムの見当をつけることができます。 右図は、75日線を中心にした「5%幅帯」(ピンク色)と「10%幅帯」(青色)を描いています。どうでしょうか。 メドがたたない(H)は+5%に接近しています。(K)は-5%に接触しています。(M)はザラバでは大きく下げましたが、終値は-10%の水準でした。 NYダウのような指標では「75日線の±5%と±10%の水準」をメドにしておけばよいのです。 (一般銘柄は指標(TOPIX・日経平均・NYダウなど)の2倍から3倍の変動をするので、「±10%と±20%の水準」あるいは「±15%と±30%の水準」をメドにする) なお9日順位相関と25日順位相関がともに-80%以下になったときは底値圏であることは何度かいってきましたが、(K)に対応する(k)、(M)に対応する(m)のところで、ともに-80以下になっています。これも手がかりの1つです。(k'ではそうはならなかったが) |
③一定の(利食い・損切り)のルールで、定点観測9銘柄の成績はどうなったか?(08.2.29) TOPIX 1324P(-28) 日経平均 13603円(-322) 19.7億株 (2兆3628億円) 一昨日の27日に「相場の原則」にのっとった売買のタイミングを、NYダウのグラフを使って説明しました。 これは日経平均であれ、TOPIXであれ、NYダウであれ、どのようなものでも日足データを使うならば、同じやりかたが通用する。ということを証明するためにNYダウをサンプルにしたのでした。 今日から一般銘柄を例にして説明します。定点観測の9銘柄をサンプルにします。 説明しやすくするために、図のような条件表No.21を設定しました。 No.1行~No.10行までは、いつもHPで掲げているNo.20「HP 平均線と順位相関」の設定と同じものです。 No.11~No.14行の4行を追加しました。 No.11行は「75日線の±10%幅の帯」をピンク色で描画し、No.13行は「75日線の±20%幅の帯」を青色で描画します。 (一般銘柄なので、カイリ率は10%と20%を使う) 「原則」をいま一度確認しておきます。
ここでは説明を簡単にするために、上記の原則に次のような売買ルールを加えます。
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④-1 1812「鹿島」の例
図の(e)の日にも株価は75日線まで戻っています。(e)344円の前日の75日線の水準は346円でした。その前の日の75日線の水準は347円でした。75日線は1日につき1円ほど低下していることがわかります。
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④-2 5401「新日鉄」の例(08.3.3) TOPIX 1271P(-53) 日経平均 12992円(-610) 21.2億株 (2兆4795億円) そこで今週の75日線への戻りの局面に間に合うように、75日線まで戻ったら「戻り売り」についての解説を始めたのでしたが、今日の暴落によって当面株価が75日線まで戻る期待は無くなってしまいました。 なにか「気の抜けたビール」を飲んでもらうようですが、また役立つ局面がやってきます。そのときのために述べておきます。 5401「新日鉄」の株価は75日線より下位にあります。
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(b)700円の売り注文に対して、あと3円不足する697円までしか戻れない。(c)698円の売りに対してあと7円不足して売れない。75日線まで戻れなかったことは、それだけ戻りの力が弱かった。さらに下落する。ということですが、これを悔やんでもしかたがありません。 売りのチャンスを「ひとつ逃した」と残念がらないで下さい。仕掛けのチャンスはいくらでもあります。 |
④-3 5713「住友鉱」の例(08.3.4) TOPIX 1265P(-5) 日経平均 12992円(+0) 20.8億株 (2兆3744億円) 5713「住友鉱」はグローバルな金相場に大きな影響を受けるので、株価のグラフだけではなかなか判断が難しい銘柄です。 図の、5713「住友鉱」の株価は75日線より下位にあります。
さて(d)の日の75日線は、2605円で、その+10%上の水準は2866円でしたが、(d)のザラバ高値は2870円だったので、損切り水準にタッチしています。思っていた損切り水準になったので翌日「損切り」するところです。(翌日の始値は2825円) ザラバで判定せずに終値で判定してもよいでしょう。(D)の日の終値は2915円でした。この日の75日線の+10%の水準が2874円なので、完全の株価は75日線+10%の水準を越えています。翌日の始値で損切りすると2915円でした。(この2915円というのは、(B)の当初の損切り水準でもあった) (d)を見て損切りしたにせよ、(B)の2915円や(D)の終値を見て損切りしたにせよ、この銘柄は2940円までしか上昇しませんでした。(d)の2825 円や(B)(D)の2915円は、ピーク2940円にわずかに少し低い水準でしたが「損切り」となります。 2940円をピークにして、その後1472円まで下落するのを見ると「惜しい」のですが、これはしかたがないことです。方針をその場その場で変えるのであれば、もともとその方針が「軽い」のです。方針どおりにしたほうがよいのです。 |
一度は「損切り」を余儀なくされたカラ売りでしたが、株価が75日線を下回ってくると、再び「下降波動に戻った」としてカラ売りをすることができます。 (D)のピークのあとで、株価は再び75日線を下回ります。(e)の日に75日線を完全に下回ったので、その翌日の始値(2565円)でカラ売りをしてもよいし、(f)の日に、予想する75日線(予想は2599円)で売り指値をしていてもよいのです。 結果は1472円まで株価は下落し、(e)でも(f)でもカラ売りは利食いすることができます。 図の右の最近のカラ売りについても述べるつもりでしたが、時間がなくなりました。いうつもりだったことは
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④-4 6758「ソニー」の例(08.3.5) TOPIX 1263P(-1) 日経平均 12972円(-20) 19.5億株 (2兆1554億円) 図の、6758「ソニー」の株価は75日線より下位にあります。
この後(c)5310円に株価が下落したので「利食い」です。(d)の日に75日線の-10%の水準にタッチしたので、翌日に利食いしてもかまいませんが、(d)まで下がる保証はないので、(c)の水準で利食いするのが普通です。 |
同じグラフです。(b)でカラ売りして(c)で利食いしたすぐあとに、再びカラ売りのチャンスがやってきます。
この後、株価は利食い水準の5130円より20円高い5150円まで下げただけで、利食いはできませんでした。逆に急伸し、損切りの水準の5940円を上抜いたので、5940円で損切りとなります(前日に5940以上なら転売の逆注を出しておけばよい)。あるいは翌日の始値の6070円で損切りです。4~6%の損失になります。 |
④-5 7203「トヨタ」の例(08.3.6) TOPIX 1287P(+23) 日経平均 13215円(+243) 19.9億株 (2兆2464億円)
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④-6 8411「みずほ」の例(08.3.7) TOPIX 1247P(-39) 日経平均 12782円(-432) 20.7億株 (2兆3532億円) 「相場の原則」の続き。 図の、8411「みずほ」の株価は75日線より下位にあります。
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④-7 8604「野村」の例(08.3.11) TOPIX 1235P(+10) 日経平均 12658円(+126) 23.7億株 (2兆5512億円) 図の、8604「野村」の株価は75日線より下位にあります。この図の中には5回の仕掛けどころがあります。 これまで6銘柄について、①仕掛けの値段、②利食いの予定値段、③損切りの予定値段の決め方を説明してきたので、今日は簡単に述べます。 ①aの仕掛け
(08.3.12) TOPIX 1255P(+19) 日経平均 12861円(+202) 20.4億株 (2兆4189億円) 「相場の原則」というのは憲法のようなものです。実際に運用するのは「法律」であり、それを補完するのが「細則」です。今連載している「相場の原則」とは、
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④-8 9432「NTT」の例9432「NTT」の株価は75日線より下にありました。
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2回目の仕掛け時の75日線の下降の程度は1日あたり0円でした。75日平均線は横ばいでした(下降トレンドではなかった)し、3回目の仕掛け時の75日線の下降の程度も1日あたり0円でした。同じく75日平均線は横ばいでした(下降トレンドではなかった)。このことは「細則」で「75日平均線が横ばいのときは仕掛けない」と決めるべきことです。 |
④-9 9984「ソフトバンク」の例(08.3.13) TOPIX 1215P(-39) 日経平均 12861円(-427) 21.0億株 (2兆3938億円) 9984「ソフトバンク」は75日線より下で推移してきました。
右図の(P-Q)は、Pで「押し目買い」→Qで+10%の利益がでたので利食い。となりますが、「押し目買い」についてはまた述べるので、ここでは省略します。
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⑤例題(22例)の成績のまとめ(08.3.18) TOPIX 1163P(+13) 日経平均 11964円(+176) 22.6億株 (2兆3935億円) 「相場の原則」について定点観測している9銘柄をサンプルにして説明してきました。時節柄「戻り売り」の例だけを掲げましたが、「押し目買い」のルールも同じです。説明のために使った「戻り売り」の仕掛け・手仕舞いのルールは
次に「手仕舞い」です。仕掛けた値段が確定した瞬間に、利食い・損切りのメドを立てますが、
②+10%になるまでは利食いをしてはいけないのか(早めの利食いはいけないのか)? ③+10%の利益がでたら必ず利食いするのか(「利を伸ばす」ことはいけないのか)? ④-10%になるまでは損切りしてはいけないのか(早めの損切りはいけないのか)? 今日は、売買のしかたで例示したサンプルの成績をまとめておきます。勘定してみると、サンプルとして23例の売買を掲げていました(うち1例は仕掛けられなかった例)。仕掛けができた22例について、その成績を眺めてみましょう。22の例には、図中に1~23の番号を追加したので、この番号を見ながら、図を探してください。 |
No. | 銘柄 | 仕掛け値 | 平均線 角度 |
+10%利食水準 -10%損切水準 |
決済値 | 損益% | 結果 | 最安値 最高値 |
可能利益% 可能損失% |
① | 1812 鹿島 | 391円 | -1.67% | 351円 431円 |
351円 | +10% | ○利食い | 290円 397円 |
+25.8% -1.5% |
② | 5401 新日鉄 | 843円 | -0.20% | 758円 928円 |
758円 | +10% | ○利食い | 596円 872円 |
+29.3% -3.4% |
④ | 5713 住友鉱 | 2650円 | -0.88% | 2385円 2915円 |
2825円 | -6.6% | ●損切り | 1992円 2940円 |
+24.8% -10.9% |
⑤ | 5713 住友鉱 | 2005円 | -1.77% | 1800円 2210円 |
2250円 | -12.2% | ●損切り | 不明 2940円 |
- -15.2% |
⑥ | 6758 ソニー | 5910円 | -0.86% | 5310円 6510円 |
5310円 | +10.1% | ○利食い | 5100円 5930円 |
+13.7% -0.3% |
⑦ | 6758 ソニー | 5710円 | -1.10% | 5130円 6510円 |
6070円 | -6.3% | ●損切り | 5680円 6410円 |
+0.5% -12.2% |
⑧ | 7203 トヨタ | 6760円 | -1.03% | 6080円 7440円 |
6080円 | +10.0% | ○利食い | 5780円 6790円 |
+14.4% -0.4% |
⑨ | 7203 トヨタ | 6430円 | -0.43% | 5780円 7080円 |
5780円 | +10.0% | ○利食い | 4880円 6440円 |
+24.1% -0.1% |
⑩ | 7203 トヨタ | 5980円 | -0.60% | 5380円 6560円 |
6110円 | -2.1% | ●損切り | 5040円 6400円 |
+15.7% -7.0% |
⑪ | 8411 みずほ | 6310円 | -0.69% | 5670円 6950円 |
5670円 | +10.0% | ○利食い | 4260円 6510円 |
+32.4% -3.1% |
⑫ | 8604 野村 | 2120円 | -1.04% | 1905円 2335円 |
1905円 | +10.0% | ○利食い | 1819円 2175円 |
+14.1% -2.5% |
⑬ | 8604 野村 | 2030円 | -1.27% | 1827円 2235円 |
1827円 | +10.0% | ○利食い | 1728円 2110円 |
+14.8% -3.9% |
⑭ | 8604 野村 | 1966円 | -0.81% | 1769円 2165円 |
2050円 | -4.6% | ●損切り | 1822円 | +7.3% -6.0% |
⑮ | 8604 野村 | 1935円 | -0.42% | 1740円 1935円 |
1740円 | +10.0% | ○利食い | 1395円 1950円 |
+27.9% -0.7% |
⑯ | 8604 野村 | 1800円 | -0.89% | 1620円 1980円 |
1620円 | +10.0% | ○利食い | 1444円 1832円 |
+19.7% -1.7% |
⑰ | 9432 NTT | 535円 | -0.62% | 481円 589円 |
551円 | -2.9% | ●損切り | 508 564円 |
+5.0% -5.4% |
⑱ | 9432 NTT | 525円 | -0.34% | 472円 578円 |
542円 | -3.2% | ●損切り | 476 556円 |
+9.3% -5.9% |
⑲ | 9432 NTT | 520円 | -0.50% | 468円 572円 |
468円 | +10.0% | ○利食い | 423 522円 |
+18.6% -0.3% |
20 | 9984 ソフトバ | 2650円 | -0.32% | 2385円 2915円 |
2385円 | +10.0% | ○利食い | 1951 2685円 |
+26.3% -1.3% |
21 | 9984 ソフトバ | 2450円 | -1.17% | 2160円 2650円 |
2650円 | -8.1% | ●損切り | 2270 2885円 |
+7.3% -17.7% |
22 | 9984 ソフトバ | 2410円 | +0.18% | 2165円 2655円 |
2165円 | +10.0% | ○利食い | 1851 2415円 |
+23.1% -0.2% |
23 | 9984 ソフトバ | 2330円 | -0.72% | 2095円 2565円 |
2095円 | +10.0% | ○利食い | 1820 2330円 |
+21.8% -0.0% |
上表の22例の内訳を見ると、利食いが14回、損切りが8回です。成功率は63.6%。PF(プロフィット・ファクター)を計算してみましょう。利益の累計%は140.1%(14回の利食い時の利益%合計)で、損失の累計は-46.0%なので、140.1÷46.0=3.04倍となります。 利食い%はほぼ全部が+10%であるで、14例の累計利益%は+140.1%になっていますが、8例の累計損失%は-80%より小さくなっています。これは-10%の損失が出る前に損切りした例があったためです。 「-10%で損切り」と1つだけしか損切りメドを用意していないならば、損失累計%は-80%なので、PFは140.0÷80.0=1.75になったはずです。損切りの内訳を見ると
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⑥75線を戻り売り・押し目買いとする条件表を設定する(08.3.21) TOPIX 1220P(+23) 日経平均 12482円(+222) 18.2億株 (1兆9823億円) 次のような条件表No.150を設定しました。 設定した各行について説明します。
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グラフを例示すると、
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右図の
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⑦「相場の原則」を検証してみる(08.3.24) TOPIX 1224P(+23) 日経平均 12480円(-2) 16.0億株 (1兆7828億円) 条件表No.150は売買条件が設定されているので、《Qエンジン24》で「検証」ができます。検証してみれば「相場の原則」が正しいのか、間違っているのか。あるいは何%で利食い・損切りをすればよいのかがわかります。 ここでは、東証1部の銘柄の全部について調べるといった本格的なことはせずに、ザッとした概要を調べてみます。
売買のルールは簡単にしました。
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初めに説明した22例では、
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「検証」が終わりました。「売買成績」をみましょう。「売買共」の成績は次図のようになっています。
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この単純な条件表No.150の成績は。実はたいしたものなのです。 第一に利食いできた件数は3216件あり、損切りした件数は3026件と、利食いの件数のほうが多いことです。 次にPF(プロフィット・ファクター)が1.06倍であることです。利益額は損失額の1.06倍あります。このやり方を実行すれば100万円損するが106万円の利益が出る(差し引き+6万円の利益)わけです。 さらにはトレード件数が9212件もあります。225銘柄で過去2000日間について調べると、延べ450,000日あります。このうちで9212回の売買マークを出したということは、48.8日(約50日)に1回の割合で売買マークを出したということです。売買条件をキツくすれば、成績はアップします。しかしそのときは200日に1回とか500日に1回しか売買マークは出なくなります。 今、調べていることは建物でいえば骨格です。絵でいえばデッサンです。音楽でいえばスケッチです。最終的にはこの骨格に肉付けして建物・絵・音楽ができ上がりますが、骨格がまずいとどのような装飾をほどこそうと、どのような小手先のテクニックを使おうと、たいしたものは出来ません。基本のデッサン(相場の原則)が正しいのである、ということを知って下さい。 |
⑧利食い・損切りを±15%にしてみる(08.3.26) TOPIX 1237P(-5) 日経平均 12706円(-38) 15.7億株 (1兆7815億円) 設定した条件表No.150について、利食い・損切りの幅を±8%、±12%、±15%、±20%にして「検証」をすると次の表のようになります(「売買共」の成績) |
利食い% | 全体件数 勝ち件数 負け件数 |
平均損益% 平均利益% 平均損失% |
利食件数 損切件数 時間切れ |
利食シェア 損切シェア 時間切シェア |
勝率 |
PF |
±8% | 9614件 4868件 4746件 |
0.15% +7.34% -7.23% |
3970件 3804件 1840件 |
41.3% 39.6% 19.1% |
50.6% | 1.04倍 |
±10% | 9212件 4703件 4509件 |
0.25% +8.26% -8.11% |
3216件 3026件 2970件 |
34.9% 32.8% 32.2% |
51.1% | 1.06倍 |
±12% | 8931件 4587件 4344件 |
0.35% +8.83% -8.60% |
2545件 2346件 4040件 |
28.5% 26.3% 45.2% |
51.4% | 1.08倍 |
±15% | 8709件 4454件 4255件 |
0.40% +9.34% -8.95% |
1780件 1585件 5344件 |
20.4% 18.2% 61.4% |
51.1% | 1.09倍 |
±20% | 8534件 4370件 4164件 |
0.53% +9.67% -9.05% |
975件 810件 6749件 |
11.4% 9.5% 79.1% |
51.2% | 1.12倍 |
あたりまえのことですが、利食い・損切りを早くする(±8%)と利食いの回数は多くなります。しかし平均の損益率は悪くなります。
「可能利益%」は、+10%で利食いせずに、その後最も高いところで利食いしていたら何%の利益になっていたかの数字です。これを見ると、利食いできた14例のうち、可能利益%が①+20%以上であったものは8例、②+15%以上あったものは10例、③+12%以上あったものは14例となっています。+10%で利食いせずに、+12%で利食いしても成功例は変わりません。+15%は成功例が4例減り、+20%は6例減ります。 「可能損失%」は、-10%で損切り、その後最も安いところで損切りしていたら何%の損失になっていたかの数字です。損切りの基準は、①-10%の損失が出たとき、②波動が切り上がったとき、③株価が5日連続して75日線より上位にあったとき、の3つの場合があるので、損切りした8例がすでて-10%で損切りしたわけではありません。-10%の損切りをしたのは2例あるだけです(図の④と⑤)。その可能損失%は-10.9%と-15.2%でした。もし-20%で損切りとしていたならば、この2例は損切りしていません(その後利益がでる)、-12%または-15%で損切りとしていたときは1例が損切りになります。 22例の「可能利益%と可能損失%」も合わせて考えると、±10%で決済するのはやや早すぎます。±12%か±15%がよいでしょう。まあ12%よりも15%のほうが数字としてのキリがよいので、ここでは±15%と決めます。 ±15%を採用すると問題になるのは、利食いの確率の低さです。 表では、利食い20.4%、損切り18.2%、時間切れ61.4%となっています。利食いできる確率は20.4%しかありません。5回仕掛けて1回しか利食いできていません。だが、条件表を改良すれば、利食い確率は20~30%くらいはアップするというのが、これまでの経験です。おそらく条件表を改良すると、確率は利食い40~50%、損切り20~25%、時間切れ30~35%にはなるだろうと思います。 |
⑨条件表No.150を改良する(手作業ではシンドイという話)(08.3.27) TOPIX 1226P(-11) 日経平均 12604円(-102) 16.7億株 (1兆9215億円) 図はソフトバンクのグラフです。4か所で条件表No.150が買いマークを出しています。「±15%で利食い・損切り」を採用したとき、図の
条件表No.150を改良するというのは、(a)(d)では買いマークがでないように、しかし(b)(c)では買いマークをこのまま出すような、新しい条件を付け加えることです。では、どういう条件を付け加えたらよいのか? |
図は「9日順位相関」(紫色)を付け加えたものです。買いマークが出た日の順位相関の数値を見ると
そこで次のように、「9日順位相関が-70以上なら買い」という条件を付け加えた条件表No.151を用意し、これを使って「検証」します。 |
もともと条件表No.150の「買いの成績」は次のようでした。 225銘柄では4507件の買いマークがでています。これに何かの条件を追加すると、買いマークの個数は減少します。買いマークの件数は減るが、そのかわりに成績(勝率やPFのアップ、利食い確率のアップ)が上がれば、条件表は改良されたことになります。 ところが「9日順位相関が-70以上なら買い」の条件を付け加えると、次のような成績になりました。 成績は悪化しています。勝率は51.7%→49.5%へ落ち、PFは1.13倍→ 1.02倍に落ちています。ソフトバンクのたった4例の買いマークを見て思いついた条件は役に立たないどころか、マイナスになっています。 役立つ条件は次のようにすれば見つかります。
たったひとつ「9日順位相関」を思いついても、20回や30回の検証をせねばなりません。これを手作業ですることは不可能です。《Qエンジン24》には「オートマ」という世に類例のない機能があります。これを使って、条件表No.150を改良してみます。驚くべき成績になるかどうか? |
⑩「オートマ」を使って条件表No.150を改良する(買い条件)(08.3.28) TOPIX 1243P(+17) 日経平均 12820円(+215) 18.0億株 (2兆 519億円) オートマの原理は難しいものではありません。前章で述べたソフトバンクの例でいえば
①注目点と雑音点を分離する 図は条件表No.150を「+15%で利食い、-15%で損切り」の売買ルールによって「検証」した直後の画面です。
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②「オートマ指示書」の指定をする
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③「オートマ」が条件表を生成した 「オートマ」は買いマークを出したい日のチャートの数値と、買いマークを出したくない日のチャートの数字を比較検討して、①どのチャートを使い、②どういう条件(「以上・以下」)をつければよいのか、③どのチャートが重要なのか、を決定していきます。 (これは統計的に処理されます) 条件表が出来ました。225銘柄を対象にしたので、わずか11分20秒で終わりました。 条件表No.151に新しい条件表ができています。内容は次図のようになっていました。 条件表のNo.1行~No.8行は、もとの条件表No.150の買い条件です。No.9行~No.16行が「オートマ」が追加した条件行です。 いったいこの条件表はどのような成績を出すのか?
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⑪「オートマ」を使って条件表No.150を改良する(売り条件)(08.4.3) TOPIX 1299P(+17) 日経平均 13389円(+200) 20.7億株 (2兆3785億円) 同じようにして、売りの条件表を生成させました。 条件表No.152に新しい条件表ができています。内容は次図のようになっていました。 条件表のNo.1行~No.8行は、もとの条件表No.150の買い条件です。No.9行~No.17行が「オートマ」が追加した条件行です。
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225銘柄について過去約10年間で、48個しか売りマークがでていないのを少ないとされるなら、条件表を下の行から順に削っていけばよいのです。次図のようにNo.9行~No.10行の2行を残してみましょう。 |
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⑫東証1部1720銘柄を対象にして条件表No.150を改良する(買い条件)(08.4.4) TOPIX 1288P(-10) 日経平均 13293円(-96) 18.4億株 (2兆1629億円) No.150を改良する(買い条件) 225銘柄を選択するか、1720銘柄を選択するかの違いがあるだけで、「オートマ」の使い方は同じです。すなわち、
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となると100銘柄のうち95銘柄の成績は、5銘柄しか買えない投資家にとっては、過大に成績を高めていることになります。 検証リストの画面に「売買時期」のボタンがあります。 |
「売買時期」を見ることで、
②全個数のうちのシェア ③成功件数 ④失敗件数 ⑤その月の平均損益率 ①194個の買いマークがでており、 ②これは全トレード(863件)の22.5%にあたります。1/5がこの月に集中しています。 ④この月の平均損益率は12.97%なので、延べにして2516.18%(=194×12.97)の利益をこの月で稼いでいるわけです。5銘柄を限度とする投資家なら、延べにして64.85%(=5×12.97)の利益しか出ないので、2516.18%の利益は成績を過大にしているわけです。 |
最も現実の取引に近い成績を知るには、(b)の月別の平均損益率から成績を出すことです。月別の平均損益率は、1銘柄だけを売買したときの成績に近いものです。 「月別時期」のリストの最後に、月ごとの平均損益率を元にした成績がまとめられています。
「検証」したときは単に「売買成績」を見るだけでなく、「月別売買時期」まで踏み込んで見て下さい。 |
⑬東証1部1720銘柄を対象にして条件表No.150を改良する(売り条件)「買いの条件表」と同様にして、次のような条件表No.169「75日線売り①(20日以上)」ができました。
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しかし前章でも述べたように、最も現実の取引に近い成績を知るには、「月別の平均損益率からの成績」を見ることです。 |
「月別時期」のリストの最後に、月ごとの平均損益率を元にした成績がまとめられています。
「売買成績」で見る限り、売りの成績は買いの成績に比べて、見劣りしましたが月ごとの成績はそうでもありません。 ①月ごとの勝率は、買いが71.25%に対して売りは69.30%です。②PFは買いの2.90倍に対して売りは2.84倍です。月に1銘柄の売買をする投資家にとっては、買い・売りとも同じような成績になります。 |
⑭(拡張8)条件表No.65「HP 75日線売買①(20日以上)」が完成条件表No.165に買いの条件を、No.169に売りの条件を設定しましたが、買いと売りを1つの条件表にまとめました。
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⑮No.65「HP 75日線売買①(20日以上)」の使い方(08.4.8) TOPIX 1282P(-22) 日経平均 13250円(-199) 16.8億株 (1兆9577億円) 先週末に、長らく連載した結果に得た、条件表「75日線売買①(20日)」を掲げました。この条件表を含んでいる(拡張8)条件ファイルは、《カナル24》の「アップデート」→「条件表をダウンロード」によって、ダウンロードできます。 ダウンロードしたあと、「条件」にいき、「条件複写」で、(拡張8)の条件表No.65「75日線売買①(20日)」を日ごろ使っている(標準3)の条件ファイルのNo.13に複写されると、私が使っている(標準3)の条件表No.13になります。 熱心な方は先週の金曜日か土曜日にこの条件表をダウンロードして、早速に《カナル24》の「検索」をされたかと思います。4月4日から今日までの3日間について検索すると、次の2銘柄がピックアップされます。 条件表No.13「75日線売買①(20日)」の役割は、この2銘柄をピックアップした時点で終わりです。 ピックアップされた銘柄を、
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実際にグラフを見ると、結構、思うことがあります。図は1518「三井松島」ですが、売り」マークがでたときは、(b)の小波動の高値を上回り、小波動は切り上がっています。 私はいつも「小波動が切り上がるまでは買えない」といっていますが、図のように小波動が切り上がっているときは売ってはいけないのではないか?と思わねばなりません。 私が思うところでは、中勢波動が下降トレンドにあるときは、反発しても2段の上昇までであり、「小波動が切り上がった」からといっても、中勢波動が上昇トレンドに転換する可能性が小さければ売ってよいのです。 ここがセンスです。慎重にするならば「小波動が切り上がっているので売らない」でよいと思います。もし売るのであれば①売り値から15%の損失がでるか、(c)の小波動の高値308円を上回ったときは損切りすると予定しておくことです。 8166「タカキュー」は(a)で売りマークがでました。この日に売るか売らぬかを考えるとき、(b)の小波動の高値211円が問題になります。 (a)の日のザラバ高値は204円でした。もし明日以降、株価が211円を超えるようだと高値が切り上がるので、損切りになります。 あとわずかな株価上昇でたちまち損切りをせねばならないのであるなら売らないほうがよいと判断するのもセンスです。 いやこの銘柄は(A)の足のように1日だけ急騰してあとは崩れる例が多いので 売るのがよいと考えるのもセンスです。 ただ言えることは、この条件表No.13「75日線売買①(20日)」は中勢波動を構成する1つの小波動をとろうというもくろみからできています。中勢波動が下降トレンドにあるときは、小波動は上げ幅よりも下げ幅のほうが大きいのが当たり前です。売る判断もできるし、売れない判断もできるときは、中勢波動に従って、今の時期であれば、売るほうが正解だと思います。 (08.4.9) TOPIX 1262P(-19) 日経平均 13111円(-138) 18.3億株 (2兆 602億円) ダウンロードした条件表を使って「検索」すれば、それなりの成績はでると思いますが、昨日も述べたように条件表ができることは「仕掛けて、決済する」という過程のうちの半分ほどでしかありません。 残りの半分はユーザーが判断すべきことです。判断するためには、条件表がどういう事象が発生したときに売買マークを出すのかを理解しておかねばなりません。 ダウンロードした条件表が出す売買マークを鵜呑みにして売買するのは「おまじない」や「占い」によって、自分の行動を決めるようなものです。 ちょうど、9115「明治海」が買いマークを出したので、買いマークについての条件を説明しておきます。買いの条件の根本は
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同じ9115「明治海」の過去のグラフを掲げます。
売買を仕掛けるチャンスは、株価が変動しているときです。顕著な変化がないときは仕掛けるべきではない。ということを条件表は示唆しています。 |
(08.4.10) TOPIX 1248P(-14) 日経平均 12945円(-166) 19.2億株 (2兆1608億円) 条件表No.13「75日線売買①(20日)」の売りマークについての条件を説明しておきます。昨日の条件表を見て下さい。売りの条件の根本は
つまり株価が75日線をはさんで、上に出たり下に出たりの保合い相場のときは、いくら75日線まで戻ったからといっても売ってはいけない。という当然のことを条件表はいっているわけです。 |
(08.4.18) TOPIX 1304P(+10) 日経平均 13476(+78) 15.7億株 (1兆9133億円) 4月9日に「相場の原則」を設定した条件表No.13「75日線売買①(20日以上)」で(この時期では珍しいことに)買いマークが出た9115「明治海」のグラフを掲げました。(右図) これを買うのか買わないのか。それはユーザーのセンスによるのですが、買いマークが出た日は大陰線であり、このままずるずると下げる可能性がありました(私の判断)。 条件表No.13の真価が問われるサンプルでした。 で、どうなったかというと、今日はバルチック海運指数が上昇したとかで、明治海はストップ高になりました。 条件表No.13は結果的には、よい判断をしたことになります。 ユーザーが買える買えないと判断することは大事なことです。出た売買マークに従うべきか、無視するべきか、これを判断することがセンスの向上につながります。 売買マークがでたからといって、無批判に仕掛けていてはセンスは磨かれません。損切り水準を明確にし、そのとおりに実行するのであれば、無批判に仕掛けてもよいのですが、人間はそう強い信念は持っていません。自身で判断することなしに仕掛けて損切りをせざるをえなくなることが2度3度と続くと、その条件表は使われなくなります。 たとえ、今株式を買う余裕がなくても、売買マークが出たときは、自身で買う・買わないの判断をするのはよいトレーニングになります。 |
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