No.6 短期大幅上昇の条件表を作る |
2005年6月に執筆 ・・ HP目次へ.. 講座目次へ. ①よく質問がある条件表こういう条件はどうのようにして設定したらよいのかの質問で、何人かの人(この1年で10人くらいか)が、尋ねられた条件があります。それは
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銘柄を検索したいというものです。この条件を《カナル2》で設定すると次のようになります。簡単です。 No.4行の「描画する」「線色は薄紫」という設定は不要です。(説明のためにつけた) この条件表を使ってグラフを描くと、図のようになります。
となれば、例えば10日間で買値から(ザラバ高値で)10%上昇したら勝ち、(ザラバ安値)で-10%下落したら負けというルールで検証するとどうなるのか?この検証は《Qエンジン24》を使えば簡単にできます。 |
②この条件表を検証してみる
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検証は22分を要しました。買いを仕掛けた件数はなんと28819件。1銘柄あたり17.5回。これは4年間の検証なので1年に約4回でた勘定です。 この条件表の成績を見てみましょう。
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③最適なパラメータを調べてみるこの条件表には2つのパラメータがあります。1つは「9日 最大値」で、もう1つは「9日 出来高倍率」です。9日出来高倍率は、このままでよいように思いますが、「9日 最大値」は検討の余地があります。 たかだか昨日までの9日間のザラバ高値を上回ったからといって、10日で10%上昇するはずはありません。(「検証」では全体の21.2%がそうなったが、あとの約80%はそうならなかった) 9日よりももっと長い期間の新高値のほうが上昇する確率は高いのではないか? これは《Qエンジン》の「最適パラメータ」で見つけることができます。 《Qエンジン》を立ち上げます。
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1)最高の利益率を出すパラメータは、90日のとき。(0.44%) 2)最高の勝率出すパラメータは、60日~90日の間。(49.5%) 3)最高のプロフィット・ファクターを出すパラメータは、60日~90日の間。(1.15倍) です。総合的に評価すると「90日」が最もよい、と《Qエンジン》は判断し、このパラメータの行が紺色になっています。9日と90日を比較すると、( )内は90日の数字
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④最適な以上以下を調べてみる「9日 最大値」よりも「90日 最大値」のほうがよいことがわかりました。次に「「9日 出来高倍率 が 2倍以上」というのが適当かどうかを検討してみましょう。 出来高というものは、株価と違って明瞭なトレンドはありません。急に増えて急に減少するすることが多いので、あまり長期の出来高をうんぬしても無駄でしょう。ここでは「9日 出来高倍率」の「9日」はこのままにしておいて、「2倍以上で買い」がよいのかどうか、3倍,4倍,5倍のときはどうなるのかの検討をして見ます。 《Qエンジン》を立ち上げます。
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1)最高の利益率を出すX倍は、2.0倍と3.5倍のとき。(0.44%) 2)最高の勝率を出すX倍は、3.5倍のとき。(49.9%) 3)最高のプロフィット・ファクターを出すX倍は、1.5倍~3.0倍のとき。(1.15倍) です。総合的に評価すると「2.0倍」が最もよい、と《Qエンジン》は判断し、このパラメータの行が紺色になっています。 |
ただ数字を仔細に見ると、1.5倍~3.5倍の成績はほとんど同じであり、2.0倍以上のときが特によいわけではありません。 むしろ5.0倍以上になると成績は悪化しているので、「1.0倍以上 5.0倍以下」としたほうがよいのではなかろうか。 そこで図のように出来高倍率を0倍以上~5倍以下までの範囲で最適以上以下を探ってみました。 0、0.5,1.0,1.5、.....4.5,5.0以下についての成績を調べると次のようになっています。(この例は「90日間 の最大値」です。)
ともあれ「9日間の新高値」と「9日出来高倍率が2倍以上」という2つの条件ではとても実用に供することはできないことは判然としています。 |
⑤初めて新高値になったものに絞る「X日間の新高値で買い」の方針をとるならば、「90日間の新高値」がよいということがわかりましたが、実はこれは問題を含んでいます。 図で90日間の新高値になって買いマークを出す日は、A,a,B,bの4回あります。「検証」は、「買ってから10日目で時間切れ」としているので、
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これによって、90日間で初めて新高値をとったときだけに買いマークがつくことになります。(Aだけが出て、a,B,bでは出ない) 上記の条件表はとてもシンプルですが、これを同じ売買ルールで検証すると次のようになります。
これだけでも、ここまでやった「最適パラメータ」「最適以上以下」によるどの条件表よりも成績はよいのですが、そのレベルは低い。「X日間の新高値」という条件では限界があります。すでにユーザーは「上昇トレンドにあるもの」の条件を加えればよいのに、とかカイリ率の条件をつけ加えればよいのに、とウズウズしているかたもあるでしょう。 その通りです。ではどういう条件を追加すれば成績がよくなるのか。 |
⑥カイリ率を追加してみる平均線からのカイリ率を条件に加えてみましょう。「90日間の新高値」をとったときに、「X日平均線より上位(カイリ率が0以上)なら買い」とするわけです。 ただし買いマークでた日の当日に200日線より上位にあるかどうかではなく、買いマークが出た「前日」に上位にあるかどうかを条件とします。 図で買いマークが出た日aの終値は200日線を超えて(カイリ率がプラス)いますが、その前日bの終値は200日線より下に(カイリ率がマイナス)あります。 「90日間の新高値」になったということは、その日に株価が上昇したわけで、多くはXX日線を超えていると思われます。そこで前日のカイリを問題にしたほうがよいと思われます。 条件表は次のようになります。
この条件表を使って「検証」すると、次のようになりました。(「売買成績」の全部ではなく「成績の評価」の部分だけを掲げます。) |
ようやくにして勝率が50%を超えてきましたが、まだまだ成績は不満足なものです。ここでは「200日線からの(前日の)カイリ率が0以上で買い」 としましたが「0以上」は検討した数字ではありません。「0以上」が最もよいのか?検討してみましょう。 |
⑦カイリ率の最適な以上以下を調べてみる最適な「以上以下」の数字は《Qエンジン》の「最適以上以下」で見つけることができることは、すでに述べました。 右図では、
次のようなことになりました。 |
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次のようになりました。 「最適以上以下」は、「前日の200日線からのカイリ率が8%以上で買い」の条件が最も優れていると指摘しました。このときの成績は
全トレード1668件のうちで、①買って10日以内に+10%以上上昇したのは 450件(27.0%)、②-10%以上下落したのは207件((12.4%)、③時間切れが1011件(60.6%)です。 利食い・時間切れ・損切りの割合のメドは
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⑧「オートマ」で役立つチャートをみつける上記の条件表は次のような試行をしてできました。
さらには9日順位相関は役にたたないか?平均線の向きは役立たないか?いくらでも追加すべきチャートの候補があります。これらチャートの1つ1つを追加して、「最適パラメータ」で「X日」がよいとか、「最適以上以下」で「XX以上 XX以下」がよい、ということを調べようとするなら、非常な長時間をかけねばなりません。簡単に役立つチャートを見つけることができないのか? |
《Qエンジン》の「オートマ」はこの問題を解決してくれます。 いまやろうとしていることは、
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もう1つは、3.の「どういうチャートを追加すればよいのか」のために、役立つかもしれないというチャートを集めたものです。ここでは説明を簡単にするためにX日線からのカイリ率だけを設定しました。(計算2)条件ファイルのNo.40に設定した)
この2つの条件表は、次の「オートマ指示書」で統合されます。 |
上の指示書の内容は、
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21分ほどで条件表No.25が生成されました。簡単です。 |
⑨オートマが生成した条件表を検証する次のような「条件表G」ができていました。
生成された「条件表G」の検証をしてみると次のようになりました。(元の成績は「成績H」にあります。 |
元の成績を( )に表示します。
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⑩売買マークはある程度の数が出なければならない前にもいいましたが、1銘柄が1年間に0.1回の売買マークをだすとしても、4年間で0.4回→1640銘柄なら延べ656回のマークを出すことになります。48回というのは絞りすぎです。ある程度の売買マークがでないと、いくら成績がよくても再現性がないと思わねばなりません。 オートマが生成した「条件表G」がより多くの買いマークを出すようにするには、追加した3つの条件を最下行から順に削除してみることです。 買いマークを抑制していた条件がなくなることによって、買いマークは出やすくなります。 追加された条件がどのように買いマークを抑制しているのかは、「オートマ指示書」の「ログ」ボタンをクリックすれば知ることができます。
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削除した「条件表H」の成績は次のようになりました。
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⑪より多くのチャートを用意してオートマにかけるどういうチャートを追加すればよいのか」のために次のような「計算用条件表」を使います。(これは《Qエンジン》にサンプルとして付属している「QE計算2」条件ファイルのNo.11「QE 重要A(標準)」です。ほかに13個のサンプルの計算用条件表がついています。) 図では18行しか見えませんが、50行を使って42個のチャートが設定されています。オートマはここの42個から役立つチャートを見つけることになります。(別の計算用条件表にはまた別のチャートが設定されているので、それらを使えば別のチャートを役立つとすることになります。いろいろな計算表条件表を使って、条件表を作らせてみればよい。) 「オートマ指示書」は次図のようにしました。
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⑫オートマが生成した条件表を検証する②ともかくはオートマが生成した次の条件表を検証してみましょう。 成績は次のようになりました。( )内は基礎にした「条件表E」の成績。
赤枠の買い仕掛けは2004年3月のものです。22回のトレードのうちなんと 10回がこの時期に集中しています。2004年4月を加えると12回で、半数以上がこの時期の仕掛けです。 |
この「条件表J」は成績を高めようとするあまり、ある特定の時期に集中して買いマークを出しています。長い間買いマークが出ず、出るときは集中してでるというのでは、日頃使う条件表としては失格です。 |
⑬ある程度のトレード数を確保する「条件表J」のNo.14行~No.18行の条件(4つ)を削除して、次の「条件表K」にしました。 この「条件表K」の成績は次のようになりました。 ( )内は基礎にした「条件表E」の成績。
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図は「売買時期」のグラフです。ここにはその月に何回の買いマークがでたかが表示されています。
図では2004年3月は確かに多くの買いマークがでていますが、さきほどの絞りこんだ条件表のように半数がここに集中していることはなく、各年(2001年~2005年)のまんべんなく買いマークがでていることがわかります。 この条件表は日頃使うことができる条件表であることが確かめられます。 だいたいここまでの過程で「短期大幅上昇」の条件表はできたようです。(「条件表K」)「計算用条件表」を代えてオートマを実行させてみれば、これ以上によい成績がでる条件表が出来上がるかもわかりませんが、これはユーザーが試して下さい。 |
⑭この条件表の応用(05.6.24) TOPIX 1173P(-0) 日経平均 11537円(-39) 11.9億株 (1兆 203億円) さっそくこの条件表を使って検索されいるユーザーがあるようです。熱心なユーザーがあると私も嬉しい。 この(QE拡張8)の条件表No.56「短期大幅上昇」は、2005年3月31日までの1500日間について調べて作り上げたものです。作った後でスグに現在の相場で使えるかどうかを確かめられるように、わざと05年03月31日までのデータしか使いませんでした。 で、2005年4月1日から今日までの期間で検証をしてみると、16銘柄が買いマークを出していました。次のものです。 売買成績は次のようになります。
さて、上の検証のリストの右端に青○をつけた銘柄があります。これは①買いマークが出た日の終値より、②翌日の始値が安かった、銘柄です。 この条件表は「短期」で「大幅」を狙っているのですから、買いマークがでたら、そこからズンズン上昇しなければ困ります。強い上昇であれば買いマークがでた日より安く始まるはずがありません。 |
2321「Sフロン」は買いマークが出た翌日も高寄りして、急上昇です。これはOK。 2926「篠崎屋」は、買いマークが出た日の終値と同値で寄って、少し上昇。この銘柄は16銘柄のうち唯一「時間切れ」になりました。 3587「IBダイワ」は買いマークが出た翌日も高寄りして、今日まで大奔騰です。 6716「中央無線」は買いマークが出た日の終値より安く寄りついて2日反落。この間に買値より-10%の下落をしたので「損切り」となっています。検証リストの青○銘柄です。 8192「中川無線」は買いマークが出た翌日も高寄りして、急上昇です。これはOK。 9360「鈴与シン」は買いマークが出た日がピークでした。翌日は安寄りしているのでいけません。検索リストの青○銘柄です。 このように買いマークが出た翌日の寄り付きを見れば、検証リストの青○の3銘柄がダメであるとわかります。 この3銘柄を排除できれば、10勝6敗が10勝3敗となるわけで、利益率・勝率・プロフィットファクターも大きく向上します。 実際の売買に際しての工夫、応用です。 |
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