米大リーグ機構(MLB)に、底辺を支えるマイナー球団を大幅に削減する構想が浮上している。マンフレッド・コミッショナーは21日のオーナー会議後の記者会見で「(現在の)全160球団に適用する(メジャー傘下に置くための)基準をマイナー側に提示した。120球団は基本的に現状のままとなる」。全体の4分の1が削減対象で、5000人を超えるマイナーの選手のうち1400人近くが失業するという。
メジャーとマイナーの協約は来シーズン後に失効する。同コミッショナーは選手の待遇の低さ、長距離移動、施設の不備などを問題点とし、抜本的改革を迫っている。基準を満たせない球団は除外し、別リーグ(ドリームリーグ)に移すなどとする案まで示した。また、MLBはドラフト指名数を削減(現在は1球団40巡を20巡までに)することも検討しており、選手数の省力化に進む模様だ。
マイナー球団は親球団から資金提供をある程度受けているものの、基本的に独立採算制。米メディアによると、対象球団には経営が成り立たなくなるとの懸念が広がっている。
地元に与える悪影響を考慮し、米上院のバーニー・サンダース議員が反対の書簡を送り、連邦下院議員100人以上が反対する書簡に署名。世界一となったナショナルズの抑え、ドゥーリトルがマイナー削減反対のコメントを出したり、タイガースの1Aコネティカットのあるノーウィッチのナイストロム市長は、削減の対象になりそうな都市に手紙を書くとAP通信に答えるなど反旗を翻す動きが出ている。
それでも同コミッショナーは「(マイナー球団の)経営を維持できるかできないかはわれわれが決めることではない。最終的には(MLBが示した基準で)合意するしかないだろう」と強気。全米の野球ファンを敵に回しての大改革の行方が注目される。