“一家心中”図ったか？　パキスタン人父親を妻殺害容疑で逮捕　地域で“孤立”していた可能性も　

長野県箕輪町のアパートでパキスタン人の一家4人が死傷した事件で、長野県警は、父親の49歳の男を殺人の疑いで逮捕しました。妻を殺害した容疑で、警察は一家心中を図ったとみて調べています。

事件は、11月25日、長野県箕輪町のアパートでパキスタン人の一家4人が倒れているのが見つかったものです。このうち、母親のシャビル・イラムさん37歳とムハンマド・アヤンちゃん2歳、ムハンマド・エアンちゃん0歳の死亡が確認されました。

警察はその後の調べで、手首にけがをして入院していた父親のシャザダ・ホラム容疑者49歳が、妻のシャビルさんを殺害した疑いが強まったとして、きょう29日、逮捕しました。今月22日午前10時ごろから25日の10時過ぎまでの間に、アパートの部屋でシャビルさんの首を絞め窒息死させた疑いです。

警察は「捜査に支障がある」として認否を明らかにしていません。警察は、シャザダ容疑者が一家心中を図った可能性があるとみて、今後、動機を詳しく調べることにしています。

一家は、家賃を滞納し、発覚した25日は、部屋を明け渡す日でした。倒れているのを見つけたのは管理業者と裁判所の担当者です。

箕輪町総務課・中村克寛課長：

「大変痛ましいことだと思っています。外国人ということで、近所のコミュニティというのは取りづらかったかもしれませんけど」

町によりますと、夫婦は3年ほど前から町内で暮らし始め、自営業のシャザダ容疑者は、日本語が話せたということです。5月に赤ちゃんが生まれましたが、定期健診を受けなかったため、10月に保健師が訪ねていました。

箕輪町総務課・中村克寛課長：

「部屋の中も整然としていて、困っている様子とか本人からそういった話もなかった。困ったことがあれば、そういう所（相談窓口）を通じていただければよかった」

県内のパキスタン国籍の住民は、2018年の年末の時点で228人と、あまり多くありません。上伊那の7市町村では11月1日現在、この一家だけだったことがわかりました。

労働団体などと「ネットワーク」を立ち上げ、外国人労働者の支援をしている上伊那生協病院。担当者は、「事件の背景には一家の孤立があるのでは」と話します。

上伊那生協病院医療福祉相談室・小山健悟主任：

「国籍も違って、コミュニティも無くて、相談する場所や友人が窓口としてなかったのかなとは思う。(外国人同士の)コミュニティにも限界があると思うので、公的なところの相談窓口や介入というのが、今後必要に改めてなってくるんじゃないか」

町は、外国人のための相談員を置いていますが、事件を受け、「他にどんな支援ができるのか考えたい」としています。