11月15日、セブンーイレブン・ジャパンは、おでんを無断発注したことを理由に2人の本部社員を懲戒処分にしたと発表した。
直営店を除けば、コンビニの店舗は本部から独立した企業体である。したがって、本部の社員といえども、オーナーの了解なしに勝手に商品を発注するなどというのは許されざる行為である。言ってみれば、「オーナーの財布に手を突っ込む窃盗行為」なのだ。
コンビニをはじめとするフランチャイズ店オーナーが、独立した経営者として労働基準法の適用を受けずに、ブラック労働を続けても当然のように扱われるのも、彼らが経営者と考えられているからである。
だから、本来、オーナー経営者と本部は対等な立場であるはず(そうあらねばならない)なのに、現実はそうなっていない。
情報、商品流通、広告宣伝、ITシステム、新商品開発などほとんどすべての分野で、本部が巨大な力を持っているのであるから、致し方ない部分もある。
しかしながら、本部が絶対的な力を持ち、加盟店がその指示に従うだけであれば、実質的には独立したオーナーとは言えず、チェーンの従業員にしか過ぎない。よく言っても「支店長」である。
今回の問題も、本部の担当者が、コンビニオーナーを独立した経営者とは思わずに「支店長」程度としか考えず、「社内」感覚で発注した側面もあるのではないかと思う。
もちろん、社内規定に違反したということで処分が行われているが、経営陣の対応もいわゆる過剰コンプライアンス(8月10日の記事「日本の企業と社会を破滅させる『過剰コンプライアンス』のヤバイ正体」参照)にしか過ぎない。
セブン・ペイ問題(人間経済科学研究所代表・有地浩のレポート「7pay騒動から学ぶべきはIDの大切さだ」参照)、24時間営業問題に関する経営陣の対応はひどいものだが、それに懲りて、おでん無断発注問題に関しては問題が大きくならないように「トカゲのしっぽ切り」をしたということだ。
今回の無断発注問題は、メディアでは軽微に扱われており、前記の2つの問題に比べて取り上げ方が小さいが、「上司からノルマ達成のために、隠語で無断発注を促されることがある」という社員の証言も聞こえてくる。したがって、企業としての体質の問題といえる。
7月13日の記事「コンビニ最強から一転、セブンーイレブンの『劣化』が止まらないワケ」で述べた状況がますます悪化しているようだ。