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【社会】

桜を見る会 審議拒否に国民怒り 「長期政権のおごり」「国会で堂々説明を」

プラカードを手に安倍首相に説明責任を要求する人たち=28日、首相官邸前で

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 安倍晋三首相が公費で主催する「桜を見る会」を巡る疑惑で、与党は野党が求める首相出席の衆参両院予算委員会の集中審議開催に応じていない。安倍政権下では、加計(かけ)学園問題や「老後2000万円問題」などの追及を逃れようと、与党による「安倍隠し」が繰り返されており、国会軽視が際立つ。市民や識者からは「首相や与党は国民に説明責任を果たしていない」との声が強まっている。 (安藤淳)

 八日の参院予算委で問題が表面化して以降、首相は官邸で記者団の質問に何度か答えているが、国会では二十日の参院本会議で答弁したのみだ。その後も、政府が招待者名簿を廃棄した後に文書保存基準の内規を変更したことや、「反社会的勢力」とみられる人物が出席していたことが問題視されている。

 首相は「国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然」と強調する。しかし、現時点で国会で答弁に立つ予定や集中審議に応じる気配はなく、与党も来月九日が会期末の臨時国会を延長する考えは今のところない。さらに、首相は九日の国会閉会後にインドや中国への外遊予定があり、「年を越えれば、疑惑自体が沈静化する」との与党側の思惑も透けて見える。

 これに対し、市民が向ける目は厳しい。新橋駅前で友人とポケモンGO(ゴー)をしていた埼玉県朝霞市の大学生揚村遼さん(22)は「国会答弁に応じない理由を、根拠を持って説明してほしい。そうしないと野党も国民も納得しない」と話す。

 埼玉県内の元地方公務員の男性(73)は「森友・加計の時は逃げられたけど、今回は公選法違反などの疑いや、本人が直接関わる問題なので簡単ではない」と指摘。以前、山口県の郷土料理店で働いていたという男性は「やましいことがなければ国会に出てきて堂々と説明すべきだ。税金を私物化している」と憤った。

 一方「政治家はいつも非常識。長期政権のおごりだ。それを取り繕う役人に同情する」(東京都多摩市の男性)、「野党も攻めきれないので、内部からのリークやマスコミの追及に期待する」(横浜市の男性)といった声もあった。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「『総理から呼ばれた』という選民意識をくすぐる会に税金を使っているという構図があり、これまでよりも国民の怒りは根強い」と批判、「疑惑は与党全体に広がっており、年を越えれば忘れるものではない。総理は早く説明責任を果たすべきだ」と強調した。

◆加計、老後2000万円、関電問題…続く逃げ腰

 野党が安倍首相出席の集中審議開催を求めても、与党が拒否するということが繰り返されてきた。

 2017年5月17日に学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関する「総理のご意向」と書かれた文書の存在が表面化したのを受け、野党が開催を求めたのに対し、与党は1カ月近く拒否。国会閉会2日前の6月16日にようやく、加計問題に関する参院予算委での集中審議に応じたものの、わずか3時間だった。

 その後も、与党は野党が求める予算委の閉会中審査を拒否し続けた。しかし、東京都議選の自民党大敗や内閣支持率急落を受け、同年7月24、25日に衆参両院の予算委を開催した。

 また、今年3月に毎月勤労統計の不正に関する集中審議が行われてから7カ月以上、首相が出席する集中審議は行われなかった。この間、野党は日米貿易交渉や老後2000万円問題などに関する集中審議を求めたが、与党は拒否を続け、参院選に突入。10月4日に召集された秋の臨時国会では、関西電力役員らの金品受領問題の集中審議にも応じなかった。10月下旬に閣僚辞任が相次いだのを受け、11月6日の衆院予算委と8日の参院予算委でようやく集中審議に応じた。

 

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