闘病記

脆弱な心のままに

黒木先輩の思い出


黒木先輩という人がいた。黒木先輩の話をします。
下の名前はもう覚えてない。呼ぶこともなかったし、もう6年も前の話だし。
僕が高校一年生のときの役ボスの先輩だ。


黒木先輩は……なんというか踊る姿がエネルギッシュで、白地に水色のラインが入ったクロックスを履いていて、揃いで作ったバスパンにポケットが無いことを文句言っていて、見かける度に違うヘアピンを付けていた。イチゴの可愛いやつはお気に入りなのか何度か見ることがあった。髪はセミロングぐらいで、ターンしたときにふわっと舞う髪とシャンプーの匂いが素敵な先輩だった。


体操やダンスは好きだったから仮装パートになったものの、一年生で体育祭やら仮装やらがよくわからん僕にとって役ボスが綺麗な人というだけで毎日部活後に練習に行くには十分な理由だった。
二年生にも毎日来てる人がいて、ああこの人も先輩目当てかなんて思ってた。


昔からダンスや演技が好きらしく、噂に聞いたところによるとアイドルを目指していたこともあったとか。

先輩がアイドルか〜〜〜いいな〜〜〜と思って友人とちょいちょいアイドル黒木の妄想与太話に花を咲かせていた。

 

カラキャンのナイトウォークでも先輩は大人気で、同じ役の1,2年はもちろん、他の役の奴らも先輩を指名していた。
僕の番になったときは先輩はかなりお疲れのようで、ちょっと悪いなあと思いながら体育祭の思い出話をして、少しの幸せな時間は終わってしまった。

 

後に聞いたところによると、ナイトウォークで告白して体育祭マジックなるものが発生することがあるらしく、僕の後に行って気まずそうな顔をしてた2年の先輩はそういうことだったんだなと理解した。


体育祭が終わってしまえば先輩方と関わることはほとんどなく、あっという間に卒業式になってしまった。
バスパンとシャツの恰好しか見てなかったから正装可愛かったな〜〜〜
胸ぐらいまであるセミロングの髪は綺麗に巻かれてツヤツヤしてた


この日の役メーリスで、卒業のコメントとともに浪人のため携帯を解約するからしばらく連絡つきませんとの発表があった。
当時はまだガラケー優勢の時代であり、こういうこともあったのである。

アイドル黒木の話をしてた友人と2人でせっかくだからと撮ってもらった写真も現在どこにあるのかわからなくなっているし、先輩の面影を感じられるものは裏BBに書いてもらった「大好きだよ〜〜〜!!!」のコメントだけになってしまった


僕はオタクになってしまったので恥ずかしくて先輩がアイドルにでもなってなければお会いすることができません