構造異常とSNPsが一致する同一遺伝子細胞が、異なる実験から得られた場合、細胞が混じったと考える。

構造異常とSNPsが完全に一致する2種の細胞が、異なる実験結果として得られた場合、一方の細胞が他方の実験中に混じったと考えられる。

異なる実験において、最終的に得られた幹細胞が、全て遺伝子が一致していたら、混入し選択され、すり替わったと考えるということだ。

さて、調査チームがESの混入と考えた根拠とした、桂報告書の説明を、今回も又、見て行こう。
何度でも、見て、考えていくことが必要だと思う。今まで、何度も触れてきたことであるが、何を書こうと、ため息氏は、学とみ子のでたらめというだろう。2005年説に何も疑問を感じないのだろう。コロニーが違うという意味がイメージできない。桂報告書は、誰でもわかるようには書かない。恐らく、書けない状況があった?これが、業界の価値観だ。

”STAP(幹)細胞は、ES細胞だ”と、GOFマウス細胞で、一番、自信をもって、桂報告書が示したと、以前に当ブログに書いた。

そこから、もう少し、まとめてみよう。
以下が、桂報告書7-8頁である。青字
STAP 幹細胞 GLS1 と ES 細胞 GOF-ES 細胞がほぼ確実に同一で あることが判明した理由である。

1)全ゲノム上の SNPs 分布(C57BL/6 マウス背景)が同一
2)挿入遺伝子の種類、コピー数、挿入領域の配列が同一
3)由来するマウスの性別(メス)が同一
4)X 染色体上の構造異常(大きな欠失+末端重複逆位接続)が同一
5)マウス個体で X 染色体上に上記のように大きな構造異常が生じた場合、その染色体 は世代を超えて安定に維持されないこと 6)ES 細胞 GOF-ES の元となった親の GOF マウスには、X 染色体構造異常が認められなか ったこと
7)GOF マウスの SNPs 分布が、STAP 幹細胞 GLS1 および ES 細胞 GOF-ES の SNPs 分布と異 なっていたこと
8)STAP 幹細胞 GLS1 以外の全ての独立な GLS 株でも、STAP 幹細胞 GLS1 と同じ X 染色体 上の構造異常が見つかったこと


細胞の同一性は、遺伝子の構造異常と、 SNPs 分布が大事な二大根拠である。
2種の細胞は、親のマウス(細胞)に無い遺伝子異常を持ち、かつ、2種の細胞の SNPs 分布で同一性があれば、自信をもって一方が他方から作られたとなる。

(ただし、SNPs 分布の場合は、方が他方から作られた直後は一致していても、2種の細胞がそれぞれ培養を繰り返すと、塩基の突然変異が重なってしまってSNPs 分布の同一性が離れてくる。この違いで細胞の作製時期を考えることができる)

GOF-ES の場合は、この原則が良く満たされていた。
つまり、”STAP 幹細胞 GLS1 は、GOF-ES から作られた”である。
まず、ここからアプローチしてみよう。

一般人は、ESから作られたとの桂報告書を目にした時、小保方氏が混ぜたと言っていると早合点をしたのだが、実はそうではなく、STAP 幹細胞 GLS1 を作る時、GOF-ESが混ざって、それに置き換わったと言っているのである。

>GOF マウスから STAP 細胞を経て STAP 幹細胞 GLS が作製された 過程でこの ES 細胞 GOF-ES の混入が生じ



次は、FLS,CTSの場合である。
桂報告書は、以下のように言っている。

STAP 幹細胞 FLS3、FI 幹細胞 CTS1、ES 細胞 FES1、および小保方 研で見つかった 129/GFP ES の、常染色体に存在する 129 ホモの SNPs が、突然変異、 あるいは遺伝的背景の不均一性によるものとしても、もしこれらの幹細胞がそれぞ れ独立に作製されたものであるなら、これらの 4 か所に共通の SNPs が観察される 可能性は低く、これら4種類の幹細胞が共通の細胞に由来することを強く示唆する。

ここでも、第3染色体の5kbの欠失と第8染色体の17kb の欠失(第8染色体は129系統由来;第3染色体はB6系統由来)の構造異常の遺伝子の構造異常が指摘され、かつ、SNPs 分布の一致をあげている。

STAP 幹細胞 FLS3、FI 幹細胞 CTS1、ES 細胞 FES1、 129/GFP ES は、同一の細胞なのである。
特に、上記の記載でわかるように、4か所で生じた1塩基の突然変異をもって、細胞の同一性を証明している。
少ない数でも、突然変異が一致していることが、同一性の証明になる。

違う時期に作られたはずの幹細胞が、同一の細胞になっている理由は、幹細胞作製時に混じったとの理屈だ。
個々にSTAP細胞が作られたなら、ここが説明できない。

桂報告書は以下のような言い方をしている。

>これら 4 種類の細胞 が、論文に示されていた(129 x C57BL/6)F1 マウスから直接作製された株ではないこ とを明確に示している。

>STAP関連11細胞株の全ゲノム解析から、第3染色体の5kbの欠失と第8染色体の17kb の欠失(第8染色体は129系統由来;第3染色体はB6系統由来)が上記STAP幹細胞FLS3、 FI 幹細胞 CTS1、および、ES 細胞 FES1 並びに 129/GFP ES だけに共通に存在することが 判明した。

ここまでは、問題が無かったが、そこに、FES2解析を持ち出したことで、ES1の出自に問題が生じた。

FES1とFES2は、同一日の同一実験者の実験条件で作られた。
ところが、その遺伝子型は、第3染色体の5kbの欠失と第8染色体の17kbの構造異常も共有していないし、SNPsも合わない。
FES1を樹立するときに、2か所の欠失が生じ、FES2を樹立するときに欠失が生じなかったという可能性を考えて良いが、それだとSNPsが合わないのが説明できない。
SNPsも合わない理由を、調査チームは、マウスのコロニーが違うと説明している。

そして、FES1とFES2で、SNPsの違いに注目し、近縁の細胞はどれかを見たのである。

FES1作成から2年後に作られた ntESG1,G2は、使用した親マウスがTerであり、STAP細胞の129X1とは異なるが、ntESG1,G2を、比較に用いた。
ntESG1,G2は、両者同士の近似率99.95%と高く、FES2とは、SNPsは62-78%で一致している。


つまり、FES1は、STAP 幹細胞 FLS3、FI 幹細胞 CTS1と(混入の結果)一致するのは当然だが、FES1の元となったマウスはどこにいたのであろうか?ここは誰も説明ができない。
調査チームは、FES1の出自に疑問を感じて、FES1とFES2のSNPsの違いについて、NGSを用いて、詳しく調べたのだと思う。
そして、理研は公開していないが、FES1と類似のSNPsを持つ細胞あるいはマウスを把握していたかもしれない。


ここは、早くから和モガブログで指摘されていた。当時、細胞を混ぜたのではないか?との指摘があったら、その後に、本人によりその仮説は否定された。


最後に、AC129であるが、SNPs解析が十分でなく、この解析が一番手抜きになっている。

>異なる時期に作製された 3 種の細胞株、129B6 F1ES1、 STAP幹細胞AC129およびSTAP幹細胞FLS-T(AC129-1、AC129-2、並びに、FLS-T1、 FLS-T2) はそれぞれ独立の細胞株なので、5 個の独立した細胞株、129B6 F1ES1、STAP 幹細胞 AC129-1、AC129-2、並びに、STAP 幹細胞 FLS-T1、FLS-T2)が偶然、性別および、4 種の ゲノムの特徴(欠失 3、4、重複 1、第 6 染色体 B6 ホモ領域)を共有する確率は極めて 低い。したがって、STAP 幹細胞 AC129-1、AC129-2、並びに、STAP 幹細胞 FLS-T1、FLS-T2 は、129B6 F1ES1 に由来すると結論づけた。




理研の調査チームは、以上のように結論したわけだが、それでも、STAP細胞が独自に何らかの多能性を持つかどうか?の希望は残る。
検索された細胞も、一部だけピックアップされたものに限られる。
ES混入説に合わない実験結果があったかもしれない。

混入説とは別に、STAP細胞の多能性は証明されていると思う。
すなわち、幹細胞実験でES細胞が混じっても、酸浴後のSTAP細胞が、1週間の経過で、初期化蛋白の合成を行うのは確かなのだろう。

調査チームは、桂報告書に書いたこと以外に、どのようなデータを持っているのだろうか?

調査チームは、出自のわからないFES1の登場に怒りがあるだろうと思う。

天ぷら先生が以下のように書いている。
>改めてみると不正に対する怨念を感じます。

調査チーム内研究者の中には、怒っている先が小保方氏より、実験を主催した研究室であった人たちもいたのではないですか?調査チームの立場や調査人の思いは、様々であったと思う。

持ち主のわからない129/GFP ES が、STAP疑惑の主役であった。
なぜ、そうした不明細胞が、大事な実験成果と同一なのか?
調査した研究者なら、この結果に怒りを感じるのではないでしょうか?



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