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「アナ雪」世代、成長と共にファン卒業 戸惑う親

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続編公開も、今や10代となったかつての観客には冷めた見方も

By Ellen Gamerman
2019 年 11 月 21 日 10:47 JST 更新プレビュー



(画像はイメージです。)


 米ワシントン州スノコルミーに住むエマ・リチャーズちゃんが映画「アナと雪の女王」(以下「アナ雪」)に最も夢中になっていた当時、両親は4歳の娘をディズニーランドにあるブティックに連れて行き、主人公エルサに変身できるサービスをプレゼントした。料金は250ドル(約2万7000円)もしたが、思い出作りのためなら出費も惜しくないと思った。

 「映画は家族に明るさをもたらした。私たちは思い切りそれに便乗した」。エマちゃんの父親のジェーソン・リチャーズさんはこう話す。かつてディズニーランドで娘が実物のエルサと写真を撮るために4時間も列に並んだこともあった。

 「そしてその日がやって来た。いまだに忘れられない」。3人の子供を持つリチャーズさんはこう話す。「(映画の挿入歌の歌詞を引用して)『雪だるまつくろう』と誘ったら、娘にこう言われた。『パパ、いいから。やめて』」

 ディズニーが「アナ雪」でお姫様ジャンルを覆してから6年がたち、多くが変わった。特に映画と共に育った女の子たちはそうだ。かつての熱狂的な「アナ雪」ファンが小さな子供から10代の少女になるにつれ、彼女たちを取り巻いていた興奮は一部失われた。

 22日に公開される「アナ雪2」を見に映画館に詰めかける女の子たちがいる一方で、エマちゃんのように感じている子供たちもいるだろう。「それよりも自分の部屋でユーチューブを見ていたい」。9歳になったエマちゃんはこう話す。映画そのものよりも映画館で両親が買ってくれるブルーラズベリーのジュースの方が楽しみだという。「親に見に行かされる」とエマちゃん。

「お姫様の賞味期限は短い」

 「ディズニーのお姫様は以前よりも成長と共に急速に興味が失われるようになっている」。こう話すのは、2014年刊行の「The Princess Problem(仮訳:お姫様問題)」の著者で、米セーラム州立大学でメディアとコミュニケーション学を教えるレベッカ・ヘインズ教授だ。おおむね男性が占めるスーパーヒーロー映画の観客(子供時代から見続けている大人のファン)と異なり、女の子にとってお姫様の賞味期限は短いとヘインズ氏は指摘する。「女の子はかなり低年齢のうちから、批判的な見方をするようになっている。人々はお姫様というブランドについて、以前よりも微妙な見解を持っている」

 「アナ雪2」も最終的にそうした傾向をたどるかどうかは、まだ分からない。多くのファンは、「アナ雪」が2013年に公開されたとき、お姫様ルールの例外とみなした。登場人物たちは他のおとぎ話のヒロインよりも深みがあると称賛された。最後に幸せを手にしたのは、お相手の男性ではなく、エルサとアナの姉妹だった。一方、ディズニーは米国で4億ドル(約435億円)以上の興行収入を稼ぎ出した。これは特に女の子を主人公にした作品としては相当高い数字だ。

 ディズニーのお姫様映画で劇場公開向けに続編が作られたのは「アナ雪2」が初めて。その封切りは、アニメ映画としては最大級のスケールとなる見通しだ。アナとエルサの新しいドレスをはじめ、映画の関連商品は急増している。米映画チケット販売大手ファンダンゴの広報担当者によると、前売り券の売上高は19年の同社史上、アニメ映画としては過去最高を記録する勢いだ。

 それでもソーヤー・デュフレーヌちゃん(10)は、チュールのドレスとエルサのかつらを身に付け、主題歌の「Let It Go」を威勢よく歌い上げる自身の動画を信じられない面持ちで見ている。2013年終盤に「アナ雪」を初めて見たとき、ソーヤーちゃんは定員オーバーのニューヨーク市の映画館で、雪でぬれたブーツに囲まれながらカーペットの床に座らなければならなかった。友だちと夏の休暇旅行中、ずっと手作りのエルサのドレスを着たまま過ごしたこともあった。

子供と親の双方に訴求

 「全く別人のように感じる。今はこれに近いことさえ想像できない」と母親のマリー・カーペンターさんは話す。カーペンターさんは、ソーヤーちゃんが最近読み終えた「ハリー・ポッター」の賢いヒロインを引き合いに、かつてのエルサはハーマイオニーに変わったと話した。「たった6年なのに、大きな人格の変化だ」

 もちろん、何年も変わらずお姫様映画を愛し続けている人たちも大勢いる。特に「アナ雪」は多くのファンにとって子供時代とは切り離せない作品であり、多くの大人にとっては子供たちが幼い頃の心温まる思い出と結びついている。第一作の観客の大半は女の子が占めていたが、ファンになった男の子たちもいる。

 ディズニーの広報担当者は文書で「『アナ雪』が一大現象となったのは、ストーリーと登場人物が世界中のさまざまな世代の観客に訴求したからだ」とし、「『アナ雪2』への期待は大きく、あらゆる年齢層のファンや映画好きの観客に喜んでもらえると確信している」と述べた。

 今週末の封切りでは、年齢が高めの子供たちが映画館に足を運ばなかったとしても、幼い子供たちがその分を埋めそうだ。「アナ雪2」を急いで見に行く気はないと話している最も冷めている10代前半の子供たちも結局は見に行く可能性もある。




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