アップル、「プライバシーを守る照明と窓」など自動車関連特許を複数取得

アップルカーがマジックミラー号に?

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Mason Trinca for The Washington Post via Getty Images

アップルが出願した自動車に関する複数の特許が、米特許商標庁(USPTO)に承認されました。

同社が自動運転技術の開発プロジェクト、通称「Project Titan」を推進していることは公然の事実ですが(元従業員がデータを盗もうとした事件が2回も起きています)自動運転EVの開発からプラットフォームにハンドルを切ったとの噂も持ち上がるなど、どちらの方向にどの程度の進捗があったのかは不明です。ともあれ、社内でプロジェクトが今なお健在であるとは窺えるかたちです。

特許の1つは「同期ウィンドウを備えたシステム」と題されたものです。こちらは車両のウィンドウを制御することで、中にいる人たちのプライバシーをいかに守るかに焦点が置かれています。

この特許文書では、窓には偏光子(特定の方向にのみ振動する光だけを透過する光学素子)付きの液晶や反射率を変えられるコレステリック(棒状の分子が幾重にも重なる層状の構造)液晶層、ポリマー分散液晶層から調節可能なヘイズ(煙霧)層など、光変調器を備えたレイヤーがあると示唆されています。技術の素人からすれば難解な用語が並んでいますが、要は「光が窓をどのように通過するかを調節できる」制御可能なマジックミラーといったところです。

さらに窓の外と内側の両方に光源があり、乗客の視界に影響を与えないように「交互の電流変調波形」で変調できることが示唆されています。たとえば車内の照明は、特別に制御された方法で1秒間に何回も点灯および消灯しますが、非常に高速であるため(200Hz=1秒間に200回など)人間ユーザーには知覚できません。
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光源のオンとオフはウィンドウ内部のレイヤーの有効化と無効化と一致させることができ、ウィンドウ側の状態も十分に高速に切り替えることで、ユーザーも外の様子を見ることが可能となります。

さらに同様の手法により、ライトが車両の内部を照らしながら、その光をウィンドウが遮蔽することもできる。すなわち車外の人から中は見えないが、乗客は室内灯とそれが照らしているものを見られることを意味します。

もう1つの特許は、「車両のサイドミラーを改善するシステム」というタイトルです。こちらは大きく分けて3つの実装法があり、最初のものはサイドミラーをアクチュエーターに取り付けて可動とするもの。すでに自動格納のドアミラーは珍しくありませんが、「発進時に展開、駐車時に格納」だけではなく、運転中に位置を変えられると記載されています。

この場合のシステムは、ドライバーの顔をカメラセンサーで監視し、ミラーの方向を見たときは信号が送信されて所定の位置に移動し、必要でないときには格納されます。

2番目の実装は、車の内側に取り付けられ、ドライバーが外の景色を見られる統合サイドミラーです。外側を振り向くまでもなく、近くの様子を確認するにはこれで十分ということです。

3つ目の実装方法は、サイドミラーを完全に廃止し、モニターに置き換えることです。ドライバーがサイドミラーを見るときの角度に取り付けられたディスプレイが、車両の後ろに取り付けられたカメラからのライブ映像を表示し、視界をカバーするというしくみ。

ただ、映像を送信するカメラとドライバーにとっての視野は異なるため、画像処理が施され、「実際のサイドミラーから見ると予想されるもの」と同様の視界をリアルタイムで作成します。こうすることで、物理的なサイドミラーよりも広い視野を提供する一方で、本来はドライバー本人の身体に遮られている車両の後方も見渡せるというわけです。

何やらロボットアニメの全天周囲モニターに近づいた感もありますが、特に自動運転システムを搭載しない既存の車両にも後付けで採用できるとも思われます。もちろんアップルのような大企業は毎週のように特許を申請や取得しており、実際に製品化するとは限りません。

アップルの「Project Titan」は200人を解雇しながらテスラのパワートレイン担当VPを引き抜き自動運転ベンチャーを買収することで強化の方向にあると窺えます。有名アナリストも2023年〜2025年にアップルカーが登場すると予測しており、そろそろ具体的な製品像がリークされる頃かもしれません。



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