12月首脳会談は不透明
徴用工問題は残ったまま
破棄回避から一夜明けた11月23日、G20外相会議に出席するため、名古屋を訪れた康京和外相は、日韓首脳会談を開催すべく調整していく考えを示した。
果たして日韓関係は改善への道をたどるのだろうか。答えは相当に悲観的だ。
日韓が22日に合意した輸出規制措置を巡る局長級協議に期限は設けられていない。しかし、韓国側には12月24日前後とみられる日韓首脳会談の開催までの解決を目指している。
だが、局長級協議自体の機能についても、韓国側は協議を通じて対韓輸出規制が迅速に撤回されるべきと主張するのに対し、協議は韓国の貿易管理体制の不備を改善するためのものとする日本側では認識が違っている。
韓国側は24日、鄭義溶国家安保室長が韓国のGSOMIA継続決定発表後、日本の経産省が行った対韓輸出規制を巡る発表を、「韓日で合意していた内容を意図的に歪曲し膨らましたものだ」と反発。外交ルートで抗議したとし、日本側が全面的に勝利したかのような空気になっていることに強く反発している。
韓国側は「日本に抗議した結果、謝罪を得た」と主張したが、菅義偉官房長官が25日の記者会見で、謝罪の事実を否定した。
お互いに、不満を抱えながらの合意だったため、早速立場の食い違いが露呈した格好になった。
今後、12月までに輸出規制措置を撤廃できなければ、韓国内でGSOMIA破棄を支持する文政権の支持層が黙ってはいないだろう。韓国側は、局長級協議の期限を設けなかった理由について、記者団に「日本に対する配慮」と説明しているが、「期限を定めれば、逆に韓国政府が追い込まれかねないという実情も計算しての措置」(日韓関係筋)との指摘も出ている。
韓国では文在寅支持層を中心に、「韓国はGSOMIAで日本に譲りすぎた」という批判が強まっており、来年4月の総選挙を前に、文在寅政権が徴用工判決問題でより強硬な姿勢に転じる可能性もある。
一方で日本側も解決の糸口が見えているわけではない。今回の協議の対象にならなかった徴用工判決問題も解決の糸口は見つかっていないままだ。日本政府関係者の1人は「実際、日本も韓国も米国の顔を立てただけ。日韓ともに、GSOMIAなんて要らないと思っている人も少なくはない」と語る。
米国頼みで、とりあえずのGSOMIA「失効」は回避したものの、日韓が独自に関係改善を進める道筋は相変わらず見えないままだ。
(朝日新聞編集委員 牧野愛博)