金鉉宗氏は21日、ソウルに戻り、国家安全保障会議(NSC)を開いた。
米国側の雰囲気が伝わり、韓国政府内でも「秋葉・趙案」での妥結やむなしの空気が急速に広がった。
ただ、この時点で、日本側が最終的にこの案をのむかどうかは、韓国側はまだわからなかった。
韓国NSCはこの日、「韓日間の懸案解決に向けて、関係国と緊密な協議を続けていく」と発表し、時間を稼いだ。同時に、康京和外相が国会答弁で「日本が譲歩しなければ、GSOMIAは明日失効する」と答弁し、世論のつなぎとめを図った。
日本が「救命ブイ」を
「柔軟姿勢」を求める
一方で日本政府内では、実際に「秋葉・趙案」にもろ手で賛成する空気は薄かった。
「輸出管理規制措置は国内問題。GSOMIAとはまったく関係がない」と反発する声も多く、菅義偉官房長官らは、「韓国がGSOMIAを破棄しても、日本に損害はない」という趣旨の発言を続けていた。
秋葉氏は、輸出措置を決めた経済産業省関係者にも会い、説得を続けたが、同省内には輸出措置を決めた関係者らの責任問題に発展するのではないか、という警戒感も漂っていたという。
最後に、日本に韓国に対し「救命ブイ」を投げるよう促したのは米国だった。
名古屋で開かれるG20外相会議のために来日したスティルウェル米国防次官補が21日、東京で北村滋国家安全保障局長と面会。その席で北村氏に対し「日本もぜひ、柔軟な姿勢を発揮してほしい」と強く訴えた。
この会談を受けて首相官邸が最終的にゴーサインを出したのは、韓国側が「条件付きで破棄を凍結」を発表した22日だった。
日本で与党内の根回しが始まったころには、韓国メディアがすでに「大統領府が午後6時からGSOMIAで発表」「条件付きで破棄を凍結」といった速報を流し始めていた。
安倍首相は22日夕、記者団に対して表情を変えることなく、「韓国も戦略的観点から判断したのだろう」と述べた。
素っ気ない言い方に聞こえたが、緻密に練られた発言だった。
日本政府関係者の1人は、「韓国の措置を評価するとは言わない。だが、この間の韓国の迷走ぶりを批判もしない。表情管理もしっかりして、韓国に誤解を与えないように努めた」と語る。
米国に頼まれた末、望まない形で至った「合意」であることを言外にアピールした格好になった。
3カ月にわたった日韓GSOMIA破棄を巡る騒動はいったん、収束した。