川崎市が12月中の成立を目指している、ヘイトスピーチなどを繰り返した人物に刑事罰を科す日本で初めての条例案をめぐり、市の担当部署に電話による抗議や攻撃が相次いでいることが、BuzzFeed Newsの取材でわかった。
すでにのべ100件以上が寄せられ、「通常業務が滞るなどの影響が出ている」(市担当者)という。職員の安全に関わるような「脅迫まがいの言動」もあり、警察への相談もしているという。
まず、経緯を振り返る
今回の条例(正式名称・川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例)案では、ヘイトスピーチなどを繰り返した人物に対して50万円以下の罰金を科す刑事罰を定めている。
日本には2016年に成立した「ヘイトスピーチ対策法」があるものの、理念法であるために罰則規定はない。そのため、川崎市の条例が成立すると、戦前戦後を通じて「差別に刑罰を科す」初めての事例となる。
条例案では、国または地域を特定し、その出身であることを理由とした以下のような言動が差別的言動、いわゆるヘイトスピーチとされている。
- 本邦外出身者(出身者やその子孫など、対策法2条に基づく)を、本邦の域外へ退去させることを煽動し、または告知するもの
- 本邦外出身者の生命、身体、自由、名誉または財産に危害を加えることを煽動し、または告知するもの
- 本邦外出身者を人以外のものにたとえるなど、著しく侮蔑するもの
手段としては、拡声器の使用や看板、プラカードの掲示、ビラやパンフレットの配布することが該当する。
表現の自由に配慮するためにも、「川崎方式」と呼ばれる仕組みを導入しているのが特徴だ。公表、罰則までにいくつかの段階を踏むほか、市長による濫用を防ぐため、有識者による諮問機関が設置される。
また、インターネット上(市の区域内や市民などを対象にしているもの)でも同様の言動があった場合、被害者の支援や、拡散防止の措置・その公表をすると定めている。
「なぜ韓国人だけに」
川崎でヘイトスピーチデモに抗議する人たち(2016年)
条例案は、11月15日に市長が発表。11月25日に、市議会に提出された。12月12日にも可決・成立する見込みだ。
担当部署である市民文化局人権・男女共同参画室への電話が目立つようになってきたのは、11月15日以降だという。組織的なものではないとみられるというが、多い日は十数件。27日までにのべ100件ほどになっている。
10〜20分で終わるものが多い一方で、1時間を超えるケースも多々ある。数人の職員しかいないため業務への影響は大きいが、担当者は「電話を切るわけにはいかないため、対応に悩んでいる」と語る。
「なぜ韓国人へのヘイトだけに罰則を設けるのか、日本人へのヘイトはどうするのか」といった意見や、「韓国が何をしたのか知っているのか」などの見解を述べる人が大半だという。
「条例案では、出身であることを理由に出自を理由として地域社会を排除することなど、ヘイトスピーチ対策法で定められている『不当な差別的言動』の中でもさらに絞り込んだものを対象にしています。国籍を定めているわけでもありませんが、そう思われている方からのクレームが多くあります」
こうした意見や苦情にとどまらず、電話口の職員を怒鳴ったり、職員の安全に関わるような「脅迫まがい」の言動もあったりするため、すでに警察への相談もしているという。
問題視されている「電凸」
行政へのこうした電話による攻撃、いわゆる「電凸」は、8月のあいちトリエンナーレで問題視されるようになった。
トリエンナーレでは、企画展「表現の不自由展・その後」に抗議の電話やテロ予告が寄せられ、会期3日目で中止に追い込まれた。
当時の「電凸」は多い時では1日200件を超える予想を超えた激しいもので、スタッフを疲弊させ、トリエンナーレの組織機能を一時停止させたという。
そうした背景には、電話口の職員が勝手に電話を切れないことや意見を言えないこと、聞かれた場合に名前を名乗らなくてはいけないことーーなどの課題がある、とも指摘されている。
「あいちトリエンナーレ」の再開に際しては、▽電話が10分で自動的に切れる▽通話内容を全て録音するーーなどの対策がとられるようになった。
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