昨日挙げた構成の順番とは異なりますが、早い段階で1件ご了承をいただきましたので、加藤治郎の過去の言動について「#MeToo」として触れます。中島はご本人(以下「A」という。敬称略)から2019年9月14日にTwitterのDMにてお話しを伺いました。2019年11月27日に、A自身がDMを再編集し、本シリーズ記事での公開に向けた了承を得ました
記事の性質上、個人を特定しうる情報が含まれていますが、本記事をご覧になられた方におかれましては、このAの特定に動かれないようご協力を賜りたく謹んでお願い申し上げます。Aが勇気を出して、中島に話してくださった意味を一緒にお考えいただければ、有り難く存じます。
加藤氏から受けたハラスメントについて、中島さんへDMさせて頂きます。
私が短歌をきっかけにTwitterを始めて間もなく、加藤氏や様々な歌人の方と相互フォローの関係になりました。
加藤氏をはじめ、以前から歌集や新聞、雑誌などで名前を知っていた方々も多く、憧れ尊敬していた歌人の方たちとSNSで繋がりを持てたことは、素直に嬉しかったです。
しかし、相互フォローになってすぐ、加藤氏からDMが届き始めたことには困惑しました。
DMの内容は、結社への誘い、選者としての活動内容などの、主に短歌のことでしたが、残り2割くらいに、私の居住地や年齢など、個人的な質問が混ぜられていました。
ここが言葉巧みだったというか、今回の中島さんとの議論でも問題になっている点なのですが、この時の私にとって、加藤氏は【加藤先生】という【師と仰ぐべき雲上人】であり、今考えると【権力】に圧され、またそれを【信用】とも考え、聞かれるままにDMに答え続け、最終的に、二人で会うという提案を受け入れてしまいました。
SNS初心者で、疑問に思うこともあったのですが、加藤氏と会う予定を家族に話したところ「偉い先生と会えるなんて良かったね」と言われ、あまり心配はしないで伺おうと考え直しました。
指定された場所はホテルのラウンジでした。この日は初対面だったこともあり、時間を割いてもらうお礼のつもりで、少しですがプレゼントを渡しました。
この私の行動が、加藤氏を「勘違い」に導いてしまったと思います。
プレゼント=好意(というより恋愛感情)と思われたようで、以降は連絡が頻繁になり、度々呼び出されるようになりました。場所は同じです。
私は家族がいて好意はないことを、その度に伝えましたが、Twitterで知り合った方々のおすすめや誘いもあり、既に未来短歌会に入会していて、やはりここでも【選者=師】という気持ちが勝ってしまい、結果として、それとなくしか伝え切れていなかったのだと思います。何より【先生】からの誘いを断るということが出来ませんでした。
私は過去の経験から、加藤氏世代の男性が、実はどんな感情で周囲の女性を見ているのか、よくわかっていたつもりでした。
過ぎたことですが、既婚男性から言い寄られたこともあり、自衛はできていたつもりです。
しかし、加藤氏の件においては、理解することと、実行(自衛)すべきことが【権力】のもとで乖離してしまいました。
何回目かに会った時、初めてお酒を飲むことになりました。場所は同じラウンジです。
さすがにこれは危ないし良くないと思い、私は控えて飲みましたが、加藤氏は結構飲んでいて「酔ったから予約してある部屋で休んでいく」と言って、その部屋まで同行を頼まれました。この時、相手があまりにふらついていたので、部屋まで肩を貸して逃げればいいと思った自分も本当に甘かったです。
当然ですが性交にはなっていません。相手はずいぶん酔っていたので、逃げるのは簡単でした。ただ、体格差に押され、抱きつかれて、着衣に手をかけられ、無理やりキスされました。それだけです。
本当に苦しかったのは、その後もずっと加藤氏の誘いを断ることができなかった、今日までの日々です。
さすがに部屋に連れ込まれる失敗はなかったですが、体を触られることはあり、でも怖くて断れませんでした。
もっと早くに誰かに言えなかったのだろうかと思いますが、やはり怖くて言えませんでした。
最近になって、中島さんや濱松さんの、信頼できる方々のご意見や論を拝見し、私が間違っていないことがわかり、この度、勇気を出して連絡をさせて頂きました。
私にも否がありましたが、そう考えても辛い出来事でした。今後同じ思いをする方がいないように願っています。
ここまでお読み頂いて、ありがとうございました。
以上です。
議論のフェアネスのために ――中島自身について
まず、本件は、未来短歌会の会員間で発生した事態であり、加藤が選者としての立場を利用した結果に生じたことに鑑み、未来短歌会が介入・対処すべき、と考えます。
そして、加藤の話にだけ触れて、私自身について触れないのはアンフェアだと思いますので、書いておきます。読みたくない方は飛ばしてください。(古い手法ですが)白字で書いていますので、読む必要があると考えた方は選択・反転させてお読みください。
中島も別に品行方正なわけではありません。(Aではない)女性の着衣に手をかけたことも、キスをしたこともあります。ただ、「中島への好意がある」と仰った方に対してのみであり、相手との同意があった、と認識しています。もし私に対して相手の方が「同意していなかった」と、MeTooの指摘を受けたならば甘んじて受け入れます。
おそらく、加藤も「Aからの同意があった」と考えていたのでしょう。実際に、両者・両方の同意があったならば、両者が既婚者であったとしても、私はなにもいいません。当事者間でなんとかすればよいと思います。ただ、Aの告発から明らかであるのは「Aは同意していなかったし、それを事前に加藤に対して繰り返し伝えていた」ことです。「ミューズ」発言と同様、相手の人格(同意)を認めていない加藤の振る舞いは改められるべきだ、と中島は考えています。
その上で、詩客時評等でも繰り返し書いてきましたが、加藤が然るべき反省・謝罪を行ったならば、社会なり歌壇なりに復帰できる道筋は残すべきだと私は考えます。その際は、皆様のご協力を賜りたく存じます。