吉田直人

障がい学生「就活の壁」を乗り越えて――「人生を変える」長丁場のインターンシップから

11/27(水) 8:55 配信

「僕には発達障がいがあります。疲れやすいので、自分に合った働き方を見つけたい」「アルバイトをしたことがなく、仕事の経験を積みたい。目が見えないので、移動介助をお願いするかもしれません」――。そんな自己紹介から障がい者向けの企業インターンシップは始まった。健常な学生と違い、障がい当事者の就職活動にはいくつもの壁がある。当事者の「働く」経験が少なかったり、企業が障がい者と働き慣れていなかったり。壁を少しでも低くするためには、長い時間も必要だ。7カ月に及ぶ「障がい当事者のインターンシップ」に密着した。(文・写真:吉田直人/Yahoo!ニュース 特集編集部)

アルバイト経験乏しく

今年の3月11日、東京・日本橋。日本IBM本社の一室にリクルートスーツ姿の男女が顔をそろえた。大学1年生から既卒者までの26人。全員が障害者手帳を持っている。

障がいのある学生・院生向けのインターンシップ「アクセス・ブルー」の初日である。

こうしたインターンシップは近年、多くの企業で行われるようになってきたが、「アクセス・ブルー」のように数カ月に及ぶものはほとんどない。この取り組みは2014年に始まり、今年で6年目。参加者は多様で、身体障がい者もいれば、発達障がいの人もいる。自己紹介の場では「アスペルガー症候群で、空気を読むのが苦手ですが、創作活動は得意です」と話す人もいた。

「アクセス・ブルー」の様子。奥のモニターには聴覚障がいのある参加者向けに話の内容が文字で映る

大学4年生の杉崎信清さんは、特別支援学校の卒業生だ。全盲で、移動には白杖が欠かせない。普段は、点字やテキストの読み上げソフトを使っているという。

高等部時代からプログラミングに夢中で、大学では情報システムを専攻。IT企業への就職を希望している。

「視覚障がい者はアルバイト先を見つけるのも大変です。だから、社会経験の乏しさがずっと心配でした。それと、これまで一人で完結する作業ばかりやってきたから、誰かと協働する経験を積みたかった」

杉崎信清さん

既卒者の品田英里さん(仮名)は「自己理解を深めて就労ビジョンを描けるように」と思い、参加した。

広汎性発達障がいの診断を受けたのは、大学生の時。卒業後は、在宅で仕事をしながら、就労移行支援事業所に通っていた。

「自分の欠点に目が向いて落ち込むことが多くて……。以前はバイトの応募サイトを見るのも嫌でした。(就労移行支援)事業所でも作業の目的が見えず、継続的に通うことができなかったんです」

品田英里さん

9月まで7カ月も続くインターンシップとは、どんな内容なのだろうか。

春は、ビジネスマナーやプログラミングなどのITスキルを学ぶ。先生役は日本IBMで働く障がいのある社員や研究機関のエンジニア、大学教授など多彩だ。5月に入ると、取引先にビジネスプランを提案するロールプレーや、アプリケーションの開発プロジェクトに取り組む。

夏には外部企業に出向いての職場体験。終了間際の2週間は、日本IBMの各部署に配属され、実務トレーニングを繰り返す。

一連のメニューは、企業の新人研修さながらだ。この間、参加者は給与をもらいながら学び、実業務を想定した大小のチームワークを行う。在宅ワークも可能だ。

チームワークの最後は発表

外部企業での職場体験。今年は食品メーカーと建設会社に出向いた

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