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【国際】

政治家のツイッター「ブロック」は憲法違反か 注目される米国の司法判断

 政治家は自身に批判的なツイッター利用者を「ブロック」できるのか―。会員制交流サイト(SNS)などソーシャルメディアを通じた情報発信が世界で一般化する中、米国でトランプ大統領ら有力政治家によるブロックを「違憲」とする司法判断が相次いでいる。

(ニューヨーク・赤川肇、写真も)

◆ブロック→投稿読めず、メッセージも送れない

 トランプ氏は2017年6月の朝、複数の大手メディアをツイッターで名指しし、「偽ニュースを信頼したら、大統領になれなかった」と投稿。これを読んだ首都ワシントン在住の作家レベッカ・バックウォルターさんは、ロシアの米大統領選干渉疑惑に触れる返信をした。「あなたが勝ったのではなく、ロシアが勝ってくれたのです」。間もなくブロックされたという。

 米ツイッター社はツイッターの目的を「公共の会話の場の提供」とうたう。一方、ブロック相手は投稿を読めず、メッセージを送ったり第三者の返信を見たりもできず、「会話」からはじき出されることになる。

◆トランプ氏は敗訴、オカシオコルテス氏は和解

 6700万のフォロワー(登録者)を誇るトランプ氏のツイッター。バックウォルターさんらブロックされた7人が起こした訴訟で連邦地裁は18年5月、「(言論の自由を定めた)合衆国憲法修正第1条は、見解に基づく『公共の場所』からの排除を禁じている」とブロックを違憲と判断し、連邦高裁は今年7月にトランプ氏側の控訴を棄却した。

 トランプ氏だけではない。民主党急進左派のホープと称される史上最年少の女性下院議員アレクサンドリア・オカシオコルテス氏は7月、元ニューヨーク州議に提訴された。当初は「政治的見解ではなく、嫌がらせを避けるため」「ブロックしているのは20以下で、選挙区民はゼロだ」と争う姿勢を見せた。だが、第1回口頭弁論が始まる直前の11月上旬、「今思うとブロックは誤りで不適当だった」と認めて和解した。

◆ツイッターは「私的な場所」 懐疑論も

 トランプ氏らを相手取った訴訟の原告側代理人ケイティー・ファロー弁護士は取材に「公務の手段としてSNSを使う場合、相手の立場や意見に基づくブロックは、あらゆる公職者に許されないということだ」と勝訴の普遍的な意義を指摘する。

 ただ、ブロックの是非やその線引きを示す最高裁の判例はまだない。米メディアには「ツイッターは私的な場所だ」(ウォールストリート・ジャーナル社説)と下級審の違憲判断への懐疑論もあり、トランプ氏側も引き続き争う構えだ。

 最高裁の判断を仰ぐことになるかどうかは不明だが、ファロー氏は「これまで最高裁は言論の自由に好意的な立場を取ってきたが、SNSは公職者の新たな情報伝達手段。最高裁の判断を予想するのは難しい」と話している。

(東京新聞)

トランプ氏が「ブロック」したツイッター利用者に表示される画面(訴訟資料の写しから)

トランプ氏が「ブロック」したツイッター利用者に表示される画面(訴訟資料の写しから)
 

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