「戦争をなくすためにまず必要なことは、戦争(戦場)の真実を知ることです」ゲスト丹羽宇一郎さん 日本中国友好協会会長、元中国大使

「戦争をなくすためにまず必要なことは、戦争(戦場)の真実を知ることです」ゲスト丹羽宇一郎さん 日本中国友好協会会長、元中国大使

市民を戦争に巻き込むことは容易だ。自国が他国から攻撃されると言えばいい、というようなことを言ったのは、ヒットラー政権下のヘルマン・ゲーリングだった。
流されず、確かな選択をするために、いま、沈黙を破った戦争体験者の声を!

落合恵子

落合 丹羽さんは伊藤忠商事の社長と会長を務められた後、2010年6月から約2年半、民間人で初めて中国大使を務められました。現場をご自分で直接視察される「行動派」の大使としてのお姿が印象に残っています。現在は日本中国友好協会の会長でいらっしゃり、日本と中国の「架け橋」として活動されています。 17年8月に丹羽さんは『戦争の大問題 それでも戦争を選ぶのか。』(東洋経済新報社)という本をお出しになられましたね。とても印象深い、ご著書でした。

丹羽 日本が二度と戦争をしないために、私の最初で最後の「戦争論」を書きたいと思い、多くの戦場体験者の方々や軍事の専門家の方たちに直接話をうかがいました。

落合 さらに国際ビジネスマンとしてのご経験や知識を加えられた力作ですが、この本をお書きになろうと思った大きなきっかけは何なのでしょうか。

丹羽 一番の理由は、戦争を知らない人たちに「戦争(戦場)とは何か」を知ってもらいたかったのです。かつて田中角栄さん(元総理)は、自民党の若い議員たちに「戦争を知っている世代が政治の中枢にいるうちは心配ない。平和について議論する必要もない。だが、戦争を知らない世代が政治の中枢となったときはとても危ない」と語っていたそうです。
戦争を知らない人が政治を決定する当事者になっているときが怖いということですが、まさに現在、世界の指導者で戦争を体験した人はほとんどいません。

落合 攻撃的な発言をよくする米国のトランプ大統領も日本の安倍総理も戦争体験はありませんね。

丹羽 戦争はどういう形で始まり、どうして何千万もの人々が死んでいくのかという「戦争の真実」を、政治家はもちろん、一般の人たちも知らなくてはいけないと思います。現在78歳の私でも戦争の本当の姿はわずかに知っているだけですから、いま、戦争体験者の話を聞いて後世に伝えないと、戦争の真実を知ることは難しくなってしまいます。

落合 いま「憲法九条を変えるかどうか」の議論が高まっています。「九条を変えるかどうか」は「日本が戦争をする国になるかどうか」を決めることだと私は思いますので、改定に賛成・反対の立場のいずれの方にも丹羽さんの本を読んでいただきたいと思いました。

「いま、戦争体験者の話を聞いて後世に伝えないと、もう間に合いません」丹波

「いま、戦争体験者の話を聞いて後世に伝えないと、もう間に合いません」丹波

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