@chablis777
シャブリ

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(寺岡)通知表 どうぞ。
(喜美子)おお~! なかなかやん!(寺岡)1学期は よう頑張りましたね。
家庭科が得意やねんなぁ。
家庭科好き言うてたもんな。(百合子)うん。
(マツ)ほんで 先生今日は 進学の話いうことですけど。
はい。 県短に家政科いうのが増設されまして百合子さんは そちらに進みたいいう希望を持ってはります。
そのためには…。待って下さい。
けんたん… 知ってる?(常治)知るか。
県立短期大学。
大学!?高校やなくて だ… 大学!?
短期大学です。いやいや 短期もクソも…。
もう ええし。 話 聞こうや。
ごめんな。 初めて聞いたから…。大学行きたいのん?
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
って お前 なにが大学や もう!短期大学です。
短期もクソもあるか…!もう ええし! 話 聞こうや!
その けんたん? 大学行きたいの?
家政科いうのがあんねん。
新しくな そういう科が出来てんて。ともちゃんが教えてくれてん。
ともちゃん。一番の仲よしや。お父さんが信用金庫の支店長さん。知らんわ もう。
家庭科得意やったら そういうとこ行ったらええやんって ともちゃんが…。
ほんでな うちも自分で調べてみてん。
ほんでな そこ行ったらな家庭科の先生になれんねん。
教員免許が取れます。
家庭科の先生になりたいの?
うちも お姉ちゃんみたいに自分の得意なこと 好きなこと何か 見つけたいなあ思てたんよ。
ほやから 行きたいねん。県短行きたいなあ思てんねん!
そうか… そんなこと考えてたんやな。
ほんでな 寺岡先生に相談したらな…。
はい。 県短目指すんなら高校は 甲賀一高がええんやないかと…。
分かった もう…。
百歩譲って 二百歩譲って大学は行ってええねん。
ほんま!?(寺岡)短期大学です。
短期でも何でも行ったらええよ もう。せやけど 高校はあかん。
えっ?そもそも 高校は行く必要がない。
何 言うてんねや!?「女に学問は必要ない」ねん。
家庭科の先生なりたい言うてるやん!
先のことは かまへんねん 別にな。
今は 高校の話をしておんねん。な? 高校はあかん言うてる。
何で あかんの!? うちも頑張るやん!
何でも… 何が頑張るじゃ アホもう ほんまに…。
また言わな分からんのか。
また先生の前でおんなじこと言わな分からへんのか!
うちの どこに お前ほんな高校行かす余裕があんねん。
えっ!? 昔とおんなじこともう何回も言わすな もう。
昔とはちゃうやろ。今は喜美子姉ちゃん働いてるやん。
直姉ちゃんかて…。直子 当てなるか お前。
電報来とったわ。電報?
何やかんや送れいうて お前…。
働き始めて いろいろ物入りなんやろ。
ほんでも喜美子姉ちゃんは…。喜美子かて一緒や ほんまに。
火鉢の生産が 大幅に縮小されんねん。
(百合子)えっ…。そうなん?
知ってたん?当たり前や お前こっちは運送やっとんねん。
丸熊さんとこ婿が引き継いで火鉢減らす言いだして お前…。
そんなことしてみぃ お前ほかも お前 みんな右に倣えや。
この先 みんな どないしたらええか言うて話し合うとるとこや。
絵付け火鉢はなくならん。
あのな 火鉢自体がなくなるかも分からへん言われとんねん。
ほやけど丸熊陶業の絵付係は残す言うてたで。
大丈夫なん?大丈夫や。
何が大丈夫じゃ もう。大丈夫や うちの仕事はなくならん。
なにが仕事じゃ もうしょうもない!何で そんなこと言うん?
お姉ちゃんは信楽初の女性絵付け師やで!?
先生もな 新聞見てくれたんよ。見ました 見ました。丸熊陶業のマスコットガールミッコーいうて。
もう先生 あの…あの ミッコーちゃいますねん。
こいつね キュウちゃんなんですわ。9番目の弟子なんです。
弟子?ああ 弟子なんです。もう見た目だけ一人前でも お給金の方は一人前には もう全く足りてません。
そうなんですか…?
週に2回 おかずが1品増えるかどうかそんなもんですわ。
なっ?
(寺岡)そ… それは… やっぱり…。
女やし 中学しか出てへんからです。弟子やからや。
女やし 学もないからや。弟子やからや 9番目の!
女やし 学もないからちゃうの!?弟子やから言うてるやろ 9番目の!
はあ… ほんま…。
もうな この先 どうなるか分からへんわ。
こいつの仕事も お父ちゃんの仕事もや。
そういうことですわ。すんまへん。
♪~
ありがとうな 敷いてくれて。うん。
寺岡先生 懐かしかったわあ。そう?
ん。ありがとう。
ちょっと痩せたんちゃうかなあ。一回太った言うてたよ。
ええ!何や 隣町の学校に移った時教頭になるかならんかで飲めへんお酒 よう飲まされたんやて。
ほんで 教頭にならんと戻ってきたんやな。
喜美子姉ちゃんのことはよう覚えてるいうて…高校行かせてあげたかった言うてたよ。
勉強できたし しっかりしてたし…絵ぇも上手でなどうしてるんやろう思てたんやて。
そやから喜美子姉ちゃんが新聞に載った時わざわざ学校に持ってきてな…「この子は 教え子や!中学しか出とらんでもこんな立派になりました。信楽初の女性絵付け師ですぅ!」言うてでっかい声で… な…。
ごめんなさい…。
何でよ。
今日…恥かかすようなことになってしもて…。
知らんかったいっぱい稼いでる思てた…。
アホやな うち。
テレビジョン そろそろ買えるんちゃうかくらいに思てたよ。
稼ぐでぇ これから。県短も行かしたる。
家庭科の先生になったらええ。
もうええよ。
うちも中学出たら働く。
働くわ。
任しときぃ。
なっ?
♪~
(八郎)おはようございます。ああ おはようございます。
深野先生は何時ごろお見えですか。
ああ どうやろ? 9時ごろかな…。
ここで待たせてもらってもよろしいですか?
あ… 中 入ります?はい。 ああ いやいや… ここで待ちます。
やっ やっぱりそこに突っ立ってられても…どうぞ。はい。
失礼します。
掃除 始めますけど…?
ああ どうぞ すみません…。いえ。
適当に座って下さいね。はい。
深野先生は…。はい?
深野先生は お独りですか?その… ご結婚とか ご家族とか。
あ~ 以前は どうか存じませんけど今は 独りや思います。
丸熊さんが用意したお部屋にお独りで住んではりますし。
そうですか。ご家族は…ご親戚の方とかは遠方にいらっしゃるみたいですけど。
そうですか…。どうかしました?
えっ?深野先生に何か?
寂しいですよね。
えっ?肝心なことを聞き忘れてしもて。
はあ…。深野先生いつまでおられるんか お聞きしとうて。
ええ?ああ ご本人に直接お聞きします。
いやいやそこまで言うといて 何 それ。
ええ?今 何て?
ご本人に直接お聞きします。いや そこやのうて。
寂しいですよね?
まどろっこしいなあ。 何 言いたいねん。
フカ先生に何か聞きたいことあるんやったらうちが代わりに聞きます。えっ 何で?
うちの方が先生とつきあい長いですから。
ああ… そうですね。そうです。
ほな…。はい。
早々に旅立つ言うてはったから火まつりの時はもういてはらへんのですか?
へっ?もし 火まつりの時 まだおいでやったらたいまつ担いで歩くのんご一緒さしてもらいたいな思て…。
あ… うん? えっと…。
先生 そういうの やりませんか?
そういうの…?丸熊陶業は 喪中やからやりませんか…。
えっ? えっと…。
たいまつ担いで 一緒に火まつりです。
記念にといいますか 思い出作り。
思い出作り…?深野先生と僕と…。えっ…。
川原さんも一緒でも構いませんよ?
あっ そのかわり先生 僕 川原さんの順番で。
いやいや 待ってえや。話が どんどん見えんようなってるやん。
うち ちょっと迷子になってるわ。
何 言うてますのん。もっかい言うて下さい。
せやから 一緒に歩きますねん歩きたいんです 最後やし。
え… 最後て 何が?せやから 先生が!
せやから 何で先生が!信楽を去るいう話…。
えっ?えっ?
先生が? し… 信楽を去る…?
ご存じやなかったんですね?
教えて下さい どういうこと?
あっ いやいやいや…ご存じなかったんやったら…。 ええ。
えっ? 待ちなさい!
十代田さん 何を知ってんの?
いや… こんな大事なこと僕の口から言うてええもんかどうか…。言うて下さい!
いや…。 いや… いやいや いやいや…。
わあっ。ずるいわ! 言うてえや!
教えてえや! ずるいわ!


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