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外景 退役軍人病院 昼間
2人の憲兵に先導されて、ランボーとトラウトマンはきちんと刈り込まれた芝生の上を歩いていく。
背景では車椅子に乗った帰還兵たちが数人、日光浴を楽しんでいる。のんびりとバレーボールをしている者たちもいる。
だがそれでもその様子は、広い芝生に、壊れた玩具のように戦争の断片が散らばっているような印象を受ける。
2人は、プラタナスの樹の下のベンチで待っている落ち着いた服装の男のところに来る。男が立ち上がる。
カークヒルは挨拶しようと片手を伸ばす。だがランボーは冷淡に半回転して両手を見せる。両手は身体の左右に楽に下ろしておけるように、鉄の棒で繋がれた手錠がかけられている。
カークヒルは愛想よく微笑む。差し出した手を下ろす。
ランボーはカークヒルの表情を探り、笑顔の中に冷たく吟味する態度が隠れていることを記憶に留める。
カークヒルの笑みが消える。
ランボーはトラウトマンに向き直る。
カークヒルの眼が厳しくなる。
ランボーは背を向けて立ち去りそうに見える。
カークヒルは腹にガスでも溜まっているような、辛そうな顔になる。
ランボーのクローズ・アップ
その言葉が彼の中に染み渡っていく。彼の両眼はもう、そこへ行くまでの道のりすべてを見ているようだ。彼の身体を感情が走り抜ける。高揚感と悪魔のような恐怖が混ざり合い、彼はもう背を向けることができない。彼はゆっくりとうなずく。
ランボーとトラウトマンは見つめ合う。
二人の眼の間に何かが流れ…トラウトマンはランボーの心を理解する。
彼は身体の側からひょいと手を振り、驚いているカークヒルの足元に手錠をつないでいた鉄棒を放る。手首にはまだ手錠がかけられたままだ。
カット変わって
内景 ランボーの隔離房
ランボーが隔離房の中に一人で立っている。その背後でドアは開いている。彼は自分の現世の持ち物-記憶の断片、死んだ友人たち、名誉の象徴、そして暴力的な死が詰まった靴箱を持ち上げる。
彼は箱を引っくり返し、なにもかもトイレに流し込む。
彼は水を流し、そして出て行く。
カット替わって
外景 フォート・ブラッグ基地 夕暮れ
ブーツを履いたいくつもの足のクローズ・アップ
いくつもの足が歩調をそろえて、不器用に進んで行く。新兵の1個小隊が行進の訓練をしながら通り過ぎていく。訓練係の軍曹が大声でリズムを刻んでいる。
画面引いて
小隊が通り過ぎて画面から出て行くと、頑丈な金網フェンスに囲まれた保安検問所に掲げられている標識が見えるようになる。
内景 通路
蛇のような眼をした副官を連れたカークヒルが、ランボーを見張るためにドアの左右に立つ2人の憲兵の前を通って、大股で小さな部屋へ入って行く。
内景 作戦室
作戦室は典型的な陸軍式の暗緑色で機能第一の備品が置かれた、飾り気のない小部屋だ。
監視カメラの冷たい眼が、誰かが座る一台のテーブルを冷たく見下ろしている…ランボーだ。彼は何世紀も前からそこにいたかのように見える。
副官がランボーに封印のされた書類フォルダを手渡し、サインしろとクリップボードとペンを差し出す。
ランボーはフォルダを開封し、複写された書類の束を取り出す。カークヒルは彼のそばでテーブルに腰かけている。
ランボーは作戦書類の中身をぱらぱらとめくって行く。彼は大量の報告書を飛ばし、8×10版の白黒写真を何枚か見つける。
ランボーは写真を調べる。森に囲まれた小さな建物群の高高度偵察写真のようだ。
カット替わって
内景 ドン・ムアン空港 午後遅く
カークヒルの声が、混雑する空港ターミナルの映像にかかって流れる。ランボーは安っぽい航空バッグを抱え、押し合う東洋人たちの間を縫って進んで行く。
嵐のように激しくパスポートにスタンプを押してもらい、ランボーは税関の申告を済ませ、空港の正面玄関へ向かう。
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