映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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外景 退役軍人病院 昼間

2人の憲兵に先導されて、ランボーとトラウトマンはきちんと刈り込まれた芝生の上を歩いていく。

背景では車椅子に乗った帰還兵たちが数人、日光浴を楽しんでいる。のんびりとバレーボールをしている者たちもいる。

だがそれでもその様子は、広い芝生に、壊れた玩具のように戦争の断片が散らばっているような印象を受ける。

2人は、プラタナスの樹の下のベンチで待っている落ち着いた服装の男のところに来る。男が立ち上がる。

トラウトマン
ジェイソン・カークヒルだ…彼はジョン・ランボー。

カークヒルは挨拶しようと片手を伸ばす。だがランボーは冷淡に半回転して両手を見せる。両手は身体の左右に楽に下ろしておけるように、鉄の棒で繋がれた手錠がかけられている。
カークヒルは愛想よく微笑む。差し出した手を下ろす。

カークヒル
会えて嬉しいよ、ランボー。調子はどうだい?

ランボーはカークヒルの表情を探り、笑顔の中に冷たく吟味する態度が隠れていることを記憶に留める。

ランボー
(冷たく)あんた、スパイか?

カークヒルの笑みが消える。

カークヒル
そうだ。CIAの特殊作戦部だ。

ランボーはトラウトマンに向き直る。

ランボー
俺はスパイとは仕事はしません。カンボジアの、あの作戦の後は。

カークヒル
私はここから君を出す権限を与えられている。それが君の望みだと思ったが。

ランボー
(考えながら)
任務は何だ?

カークヒル
昔ながらの特殊作戦だよ…すばやく行動し、潜入し、脱出する。2人の要員で、2日の作戦だ。

ランボー
どうして俺を?

カークヒル
(あいまいに肩をすくめて)
私たちは、君が気に入ってるんでね。
(少しの間)
少なくとも、ラングレーのコンピューターは君のことが気に入ってる。いくつかの要因から君のファイルを選び出した。軍務の記録。それに、土地勘があること。

ランボー
どこだ?

カークヒル
まだ言えん。

ランボー
俺は目的地も知らずに降下はしないぞ。

カークヒルの眼が厳しくなる。

カークヒル
イエスかノーかだ。やるかやらないか…いま決めるんだ。もし「やらない」なら、この会話はなかったことになる。もし参加するとしても、君は我々とは無関係だし、何も知らない。何も言わない。わかったか?

ランボーは背を向けて立ち去りそうに見える。

トラウトマン
(カークヒルに)
話すんだ。私が責任を持つ。

カークヒルは腹にガスでも溜まっているような、辛そうな顔になる。

カークヒル
北ヴェトナムだ。今じゃヴェトナム民主共和国と呼ばれているがね。

ランボーのクローズ・アップ

その言葉が彼の中に染み渡っていく。彼の両眼はもう、そこへ行くまでの道のりすべてを見ているようだ。彼の身体を感情が走り抜ける。高揚感と悪魔のような恐怖が混ざり合い、彼はもう背を向けることができない。彼はゆっくりとうなずく。

トラウトマン
ジョン、我々にはあそこに残してきた仲間がいる…捕虜たちが。

ランボー
今ごろになって誰かが思い出したんですか?

カークヒル
ランボー、我々は味方を置き去りにはしないんだ。

ランボーとトラウトマンは見つめ合う。
二人の眼の間に何かが流れ…トラウトマンはランボーの心を理解する。

ランボー
わかりました。やります。

彼は身体の側からひょいと手を振り、驚いているカークヒルの足元に手錠をつないでいた鉄棒を放る。手首にはまだ手錠がかけられたままだ。

カット変わって


内景 ランボーの隔離房

ランボーが隔離房の中に一人で立っている。その背後でドアは開いている。彼は自分の現世の持ち物-記憶の断片、死んだ友人たち、名誉の象徴、そして暴力的な死が詰まった靴箱を持ち上げる。

彼は箱を引っくり返し、なにもかもトイレに流し込む。

彼は水を流し、そして出て行く。

カット替わって


外景 フォート・ブラッグ基地 夕暮れ

字幕
作戦開始まで84時間
ノースカロライナ州フォート・ブラッグ

ブーツを履いたいくつもの足のクローズ・アップ

いくつもの足が歩調をそろえて、不器用に進んで行く。新兵の1個小隊が行進の訓練をしながら通り過ぎていく。訓練係の軍曹が大声でリズムを刻んでいる。

軍曹(声のみ)
3、4、左、左、左、右、左…左だ、マヌケ野郎め!列を揃えろ…列を揃えろ娘ども!言っただろう…

画面引いて

小隊が通り過ぎて画面から出て行くと、頑丈な金網フェンスに囲まれた保安検問所に掲げられている標識が見えるようになる。

空挺特殊部隊グループ
作戦センター


内景 通路

蛇のような眼をした副官を連れたカークヒルが、ランボーを見張るためにドアの左右に立つ2人の憲兵の前を通って、大股で小さな部屋へ入って行く。


内景 作戦室

作戦室は典型的な陸軍式の暗緑色で機能第一の備品が置かれた、飾り気のない小部屋だ。
監視カメラの冷たい眼が、誰かが座る一台のテーブルを冷たく見下ろしている…ランボーだ。彼は何世紀も前からそこにいたかのように見える。

副官がランボーに封印のされた書類フォルダを手渡し、サインしろとクリップボードとペンを差し出す。

カークヒル
これが君の作戦書類だ。

副官
(静かに押し重ねて)
ここにサインしてください。それからここにも。

カークヒル
ここで記憶するんだ。この部屋の外に持ち出すことはできない。

ランボーはフォルダを開封し、複写された書類の束を取り出す。カークヒルは彼のそばでテーブルに腰かけている。

カークヒル
(続けて)
ヴェトナムやラオス、カンボジアで任務中に行方不明になった2千4百人のアメリカ軍人は、公式に「推定死亡」とされている。確かに彼らのほとんどはそうだろう。

ランボーは作戦書類の中身をぱらぱらとめくって行く。彼は大量の報告書を飛ばし、8×10版の白黒写真を何枚か見つける。

カークヒル
(続けて)
だが報告は入り続けている。難民による目撃情報だ。確認がされたことはない。とうとう我々は、次の段階に進むべきだという気になった。

ランボーは写真を調べる。森に囲まれた小さな建物群の高高度偵察写真のようだ。

カークヒル
(続けて)
詳細は一番上にあるメモE-7を見てくれ。北部中央高地にあるヴェトナム陸軍の放棄された基地に、収容所として使われている建物が存在する可能性がある。君にもわかるだろうが、この情報は確実なものではない。この偵察衛星の写真には小屋や…バラックが写ってはいる。だがここが何であってもおかしくはない。

ランボー
(抑揚のない声で)
どんな計画なんだ?

カークヒル
この作戦は二つの段階に分かれる。偵察と救出だ。君が第一段階だ。君は2人のチームで現地を探索し、アメリカ人捕虜がいるかどうか確認する。もし捕虜がいれば写真撮影と戦術的な観察を行い、それから敵と交戦することなく回収ポイントへ移動する。

ランボー
もし捕虜を発見しても、救出しないのか?

カークヒル
駄目だ。絶対にな。第二段階の攻撃チームが彼らを救出する。

ランボー
(物足りなさそうに)
俺たちは、ただ写真を撮るだけか?

カークヒル
そう残念そうな顔をするなよ。これは充分に困難な任務だ…たとえ君でもな。

カット替わって


内景 ドン・ムアン空港 午後遅く

カークヒルの声が、混雑する空港ターミナルの映像にかかって流れる。ランボーは安っぽい航空バッグを抱え、押し合う東洋人たちの間を縫って進んで行く。

カークヒル(声のみ)
君がバンコクに飛ぶ便は6:30発だ。民間航空だ。目立たない。インドラ・ホテルでトラウトマン大佐と合流する。618号室だ。君の部下となるブリューワー中尉と会える。彼は作戦書類を読んでいない…君が彼に口頭で説明してやってくれ。

嵐のように激しくパスポートにスタンプを押してもらい、ランボーは税関の申告を済ませ、空港の正面玄関へ向かう。

 

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