映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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外景 コロンバス通り 夜

バリンガーとレスリー、ケビンを乗せたジープがタイヤを鳴らして急停止する。三人は上空の様子を見つめる。


内景 ヒューイ 飛行中 夜

ダクストンはミサイルの装填を終える。発射具は台座のついたバスーカ砲に似ている。彼はラッチをパチンパチンと固定し、発射の準備をする。

ヒューイのパイロット
もしあの炎が届く範囲に入ったら、おしまいですね。

ダクストン
操縦しているのは君だ。準備はいいか?

ヒューイのパイロット
いつでもいいですよ。


外景 ヒューイ 飛行中 夜

空中で旋回し、攻撃航程に入るために接近してくる。


外景 街路 迫撃砲部隊

指揮官の号令でゴジラに砲撃を始める…


外景 ゴジラ 全身をとらえて 夜

ヘリが怪物に向かって接近してくる。ゴジラの周囲の空中で小さな迫撃砲弾が爆発する。


内景 ヒューイ 飛行中 ダクストンのクローズアップ

ヒューイのパイロット
くそっ、あいつら誘導爆弾を撃ってる!

ダクストン
(歯を食いしばって)
マクダーモットめ…

(ミサイルの狙いをつけて)
頭の方へ行け!

急速な連続ショットで

街路に設置された迫撃砲から砲弾が撃ち出される…

照準器をのぞき込んだままのダクストンがミサイルを撃つ

誘導爆弾が爆発する…

ヒューイはゴジラの正面に出て横揺れし、砲弾の爆発でゴジラは振り返り、爪を振るってヘリを叩く…

サガー・ミサイルはゴジラの喉に当たり、弾き返されて眼下の道路へ落ちていく…


内景 ヒューイ 飛行中 夜

パイロットは必死に、急降下するヘリを立て直そうとする。


外景 モンゴメリー通り 夜

街路のそこらじゅうに火と破片が降ってくる。サガー・ミサイルがどこからともなく降ってきて、ガランガランと音を立てて道路に落ち、外板がぱかっと開いて蒸気が噴き出す。


外景 サンフランシスコ上空 ヒューイ 夜

ヒューイは飛行不能になって高度を下げ、屋上に墜落する…


外景 街路 夜

ケビンが駆け出す…

ケビン
パパ!


外景 コロンバス通り 送電用の鉄塔 夜

ゴジラが歩いて画面に入ってきて鉄塔をつかみ、基礎部分から引きむしる。構造材が曲がり、ワイヤーが張り詰める。鉄塔はきしみ、上方からカメラに向かって倒れてくる…


外景 街路 夜

きしむ音を立てながら鉄塔が倒れる!そして…

レスリーとバリンガー

レスリーは悲鳴を上げ、バリンガーは彼女の背中を無理につかまえている。


外景 崩壊した鉄塔 夜

ケビンは鉄塔の破片の下で動けなくなっている。彼はショックを受け、切り傷を負ってはいるが、それ以外は大丈夫そうだ。だが、まだ電気の流れている電線が彼の近くでパチパチ、シューッと音を立てている。

ゴジラのクローズ・アップ

巨大な野獣は砲撃を気にもせず、下を見下ろす。

ゴジラの視点から ケビンを見下ろして

抜け出そうともがいている。彼のまわりのあちこちで電気の火花が光っている。


外景 コロンバス通り 全景をとらえて 夜

巨大な野獣はケビンに気づいたようだ。彼は倒れたタワーに手を伸ばし、持ち上げ、ケビンが逃げられる空間を作ってやる。ケビンはその隙間から走って逃げ、ゴジラは鉄塔を捨てる。

ケビン
行け、ここから逃げろ!家に帰るんだ。みんなに痛いことをされるぞ!

ゴジラのクローズ・アップ

ゴジラはその言葉を理解しようとしているみたいに、ケビンの前にうずくまる。そしてその言葉を聞いたからか、真摯な感情が通じたのか、それとも誰にもわからない理由によるものか…怪物は背を向けて、去っていく。


外景 コロンバス通り 州兵たち 夜

信じられない、という顔を互いに見交わしている。


内景 防衛本部 夜

1人の通信兵が、椅子に座ったままでカービー将軍の方へ振り返る。

通信兵
第46装甲師団からの報告です。キアニー付近でヒューイが1機墜落したそうです。

カービーはその知らせに顔を歪める。一方、カメラがパンすると、マクダーモットはそのニュースに笑みを浮かべそうになっている。


内景 バー テレビのクローズアップ

コロンバス通りの、揺れるビデオ映像が写っている。炎と破片が降ってくる。

ニュースのアナウンサー
ヘリの乗員はこの事故に巻き込まれ、生死は不明のままです…一方で…

トニーをとらえたアングルで カメラはゆっくり彼をクローズアップする

彼はカウンターに座り、どうするか決めかねてテレビを見つめ、自分の酒を見て、そしてまたテレビを見る…


外景 屋上 サンフランシスコ 夜

ヒューイは今やねじくれて炎を上げる残骸だ。なかば操縦席から出た状態で、無残にずたずたになったパイロットの死体が見える。我々はダクストンも同じ運命をたどったのだと考える…

だがそうではない。打ちのめされ血にまみれているが、破壊された機体から抜け出そうとしている彼の姿が見えるからだ。彼の上着は焦げ、切り裂かれ、彼の顔からは血が流れている。

彼は潰れたヒューイからサガー・ミサイルの最後の一発を引っぱり出し、ヘリが爆発する直前に、それをよたよたと引きずって機体から離れる。


外景 テレグラフ・ヒルの近く 夜

ゴジラが姿を現し、放射能火炎を吐いて、行く手にあるものを何もかも破壊していく。彼はただここから出て行こうとしているだけのように見える。


外景 街路 夜

軍人たちと民間人たちが、二つの巨大なガスタンクのそばを必死に逃げていく。

ゴジラに戻って

ゴジラがまた放射能火炎を吐き、そして…


外景 いくつかの連続したショット ガスタンクとその周辺

数台の戦車が放射能火炎を受けて炎上し、巨大なキノコ型の火の玉を上げて爆発する。不運な人々が空中に吹き飛ばされ、くるくる回りながらカメラへ、そして自らの死へ向かって飛んでいく。


内景 パトカー 運転中 夜

警官が1人で、破片が撒き散らされたカリフォルニア通りを運転している。救急車がサイレンを鳴らしながら猛スピードで通り過ぎる。

警察の無線
(空電のザーッという雑音)
…ユニオン・スクエアのボーンズで、略奪が確認された…

(ガーガーいう雑音)
…頭のいかれた州兵が市民に発砲している…場所はマーケットと…


外景 カリフォルニア通り 夜

ダクストンがサガー・ミサイルを引きずって、よろめきながら通りを歩いている。彼はパトカーが近づいてくる音を聞き、振り返って、ヒッチハイクするみたいに親指を突き出す。パトカーは速度をゆるめて停車し、ダクストンは助手席の窓にもたれかかる。

ダクストン
プレシディオまで乗せてってくれるか?

警官
おい、あんた。こいつはタクシーじゃないんだぜ。

ダクストン
かまわんよ。こいつは命令だ。

警官
あんた誰だ?俺はあんたの命令なんか聞かないぞ。

ダクストンが画面の中にベレッタを持ち上げ、警官に狙いをつけ、撃鉄を起こす。

ダクストン
これで聞くだろ。それともケツに核ミサイルを突っ込まれたいか?


外景 海事公園 ゴジラを追って

巨大な野獣は吠えながら、海へ向かってずしんずしんと進んで行く。彼はしばらく街の方を振り返って、そして水に入って行く。紀元前のその身体が水に濡れて、やわらかな月光を受けてきらめく。


外景 ロンバード通り 夜

傷を負ったデイナが、震えながらふらふら歩いている。1台のジープが近づいてきて、彼女の横に並んで走る。彼女は振り返って見る。すすり泣いているレスリーと無言のケビン、そして運転席には…バリンガーがいる。彼は微笑みを浮かべようとするが、あまりうまくいかない。


外景 プレシディオ軍用地 夜

発煙筒を持った1人の地上整備員がそれを振り、多数のヘリコプターのローターが空気を切り裂く轟音が聞こえる…


外景 プレシディオ軍用地の門 夜

バリンガーがジープを乗り付けると、ちょうど海兵隊員が門を閉めるところだ。外周の壁にはトラックや土嚢、戦車によってバリケードが築かれている。バリケードを築いている陸軍の兵士たちが頭上を見上げる…

バリンガーのクローズアップ

やはり空を見上げている。ブラックホーク隊のコブラ・ヘリコプターたちが彼の頭上を上昇していく。


内景 本部の通路 夜

血まみれでぼろぼろになったダクストンが、サガーミサイルを担いで、足を引きずりながら廊下を進んでくる。彼が無言で、まるで十字架を運ぶキリストのように通り過ぎるのを、建物に残っている数人の軍人たちがじっと見つめている。


外景 港 夜

ブラックホーク隊のコブラ・ヘリたちが怪物と戦うべく、ローター音を響かせて画面に入ってくる。遠くでゴジラが咆哮する。


内景 防衛本部 夜

入口にダクストンが現れ、足を引きずりながら進んでくる。

アッカーマン
(マクダーモットに)
准将、ブラックホーク隊は出撃しました。

マクドーモット
よろしい。君が…

マクダーモットはダクストンが自分の方へよろよろ歩いて来るのに気づく。本部内の軍人たちが普通に交わしていた会話の声が静まる。本部に詰めている管制官たち、技術者たち、軍の士官たちが振り返ってダクストンを見つめる。

ダクストンが足を引きずってマクダーモットのところまで来る。針が落ちても音が聞こえそうな静寂。ダクストンはマクダーモットを見て、マクダーモットはダクストンを見返す。それからダクストンは近くにいた新兵にサガー・ミサイルを手渡し…

ダクストン
持っててくれ。

…そしてマクダーモットの口元を殴りつける。バリンガーとレスリーたちが戸口から駆け込んできたとき、ダクストンが崩れ落ちる。

レスリー
ピーター!
ケビン
パパ!

レスリーは倒れた夫に駆け寄って、彼の頭を抱きかかえてやる。本部の要員たちが集まってくる。ダクストンはバリンガーを見上げる。

ダクストン
おまえが殴ってやる番だぞ。


外景 プレシディオ軍用地 夜 バリンガーやカービーたちを追っていく

「たち」にはデイナと火器の専門家、残ったミサイルと新しい発射具を抱えた生真面目な海兵隊員たちが含まれる。

バリンガー
こいつが僕たちの唯一のチャンスなのに、基地にパイロットがいないというのはどういう事なんです!?

カービー将軍
君たちが戻る2分ほど前に、マクダーモットが全員を出撃させてしまったんだ。それにもしパイロットがいたとしても、使用できる機材は…

(前方を指さして)
あのS-9「ホーネット」しかない…


外景 彼らの視点から S-9「ホーネット」 ドラマチックに印象づけて

流線型で、戦闘的な外観をしている。機体には厚い装甲が施され、後端は急角度で2つに分かれている。短い翼が付き、テール・ローターはない。非常に「SF的」だ。

カービー将軍
これは実質的にはまだ試作品の段階だ。プロのパイロットでも訓練が必要なんだ!

火器の専門家
その30ミリ砲をサガー・ミサイルと換装することは可能ですが…

カービー将軍
可能だが…こいつを飛ばせる者がいればの話だ!

地面のクローズアップ マクダーモットの制帽

前にダクストンが撃ってぼろぼろにした帽子だ。画面に手が伸びてきてその制帽を拾い上げる。カメラがティルトアップすると、その男はトニーだ。彼は買い物でもしているかのようにその制帽を調べる。彼の口調はずいぶんのんびりとしている。

トニー
ずいぶん軽そうだ。1000キロもなさそうだな…

集まった人々が彼を見る。

カービー将軍
重量は…900キロだ。

トニー
ふむ…どうしてテール・ローターが見えないんだ?

カービー将軍
テール・ローターはないんだ。従来型の動力伝達装置とは全く異なった…

トニー
(さえぎって)
何だ、空気供給式か?

カービー将軍
その通りだ。ポンプはタービンに搭載されている。

トニー
なるほど…俺がコレクティブ・レバー(ヘリの出力を操作するレバー)を引くとするだろ。どういうトルク・リアクションがあるんだ?

カービー将軍
あー、ゼロだ。このデザインだと、トルクはほぼ完全に減殺されるんだ。

トニー
なるほど…

彼は考える。バリンガーを見る。制帽を見る。デイナを見る。制帽を見る。そして制帽をかぶる。堂々と。まるで、その制帽をかぶることが誇りでもあるかのように。

トニー
ようし、教授。あのくそったれに核ミサイルを喰らわせてやろう。

 

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