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外景 ユニオン・スクエア 引いたアングルで 夜
怪獣王ゴジラが潰れた車を片手にユニオン・スクエアの真ん中に立っている。その周囲をサーチライトを装備した警察の小型ヘリが数機、うるさく飛び回っている。ゴジラが警察ヘリを払いのける。
広場の周囲で戦車隊が陣形を整えて配置につき、怪物に向かって発砲する。
外景 パウエル通り 夜
別のTVスタッフとカメラを持った観光客たちが、いい画を撮ろうと怪物に近づいてくる。州兵たちが手を振って彼らを下がらせる。
ローアングルから ゴジラ
咆哮し、手に持った車をカメラに向かって投げつける…
元のアングルに戻って
野次馬たちが散り散りになって逃げ、つぶれた車が道路に落ちてくる。
ゴジラに戻って クローズアップ
ためらっている。彼は何か物音を聞き、下を見下ろす。
ゴジラ 全身をとらえて
怪物は道路に膝をついて、コンクリートを調べる。彼は強力な爬虫類の拳を振り上げ、舗装のアスファルトをぶち抜いて穴を開ける。彼はその下を見下ろす。
ゴジラの視点で 道路に開いた穴
道路の地下にヒューン、ブーンと音を立てるケーブルカーのケーブルが走っているのが見える。
外景 パウエル通り 夜
ぎっしり客が乗った長いケーブルカーがガタゴト丘を登ってくる。半狂乱の運転手がこれ以上乗るなと叫んでいる。
ゴジラに戻って
彼は好奇心にかられて手を伸ばし、強力な爪でケーブルを束ねて引っぱりはじめる。
外景 パウエル通り ケーブルカーに戻って 夜
ケーブルカーはゴジラに引っぱられ、激しく後方へ揺れる。すし詰めの乗客たちが驚きと恐怖で悲鳴を上げる。
外景 パウエル通り ユニオン・スクエア ゴジラ
ゴジラが自分の方へケーブルを引っぱり、ケーブルカーの側面から乗客たちがこぼれ落ちるが、中にはまだ大勢の乗客がいる。
ローアングル ゴジラを見上げて
ゴジラはいぶかしげな表情でケーブルカーと車内の乗客を見つめながら、ケーブルカーを空中に吊りあげる。不幸な乗客たちが車体の側面から下の地面に落ちていく。最後にゴジラはケーブルカーを放し…
外景 道路 上から見下ろすアングルで
ケーブルカーはカメラから下に落ちて行き、道路に激突する!
外景 ヘリパッド プレシディオ軍用地 夜
サガー・ミサイルがカメラに向かって突き出し、そして後ろへ振られて、海兵隊員たちによってヒューイの中に積み込まれる。流線型をした手持ち式のロケット発射器が、別の海兵隊員に担がれて画面に入ってくる。
その発射器もヒューイの中に運び込まれ、ダクストンやバリンガーたちが最後の準備をしている。そこにはレスリーもいて、彼女の感情が決壊する。
バリンガーはためらいながらも仲裁に入る。
全員がヒューイの方を見る。そこにはクラスチコフがいて、手首の恐ろしいナイフを、青い顔をした、しかし確かに生きているケビンのこめかみに突きつけている。
ダクストンは前に歩み出る。人生で感じたことのないほどの大いなる安堵と、大いなる憎悪を感じながら。
ヒューイの若いパイロットがびくびくしながら歩み出る。
茫然としたパイロットはそれに従い、ヒューイに乗り込み、離陸前の点検を始める。
彼はすすり泣くケビンを引っぱってヘリコプターの方へ下がっていく。今ではヘリのローターは空気を切り裂いて最高速で回転しており、離陸できる状態だ。クラスチコフはケビンを連れてヘリに乗り込む。
クラスチコフはただニヤッと笑い、ヘリの奥へ引っ込む…まさにその時、ケビンがクラスチコフの股間にひじ打ちを入れる…クラスチコフは痛みで前屈みになり、ケビンを捕まえ、手首のナイフで切り裂こうとする…ケビンが身をよじって逃げる前に、ナイフの刃がケビンの耳を切る。彼は母親の腕の中に逃げ込む。彼女は息子を抱きしめ、そしてケビンは身体を離して父親を抱きしめる。ケビンはあまりにも感情が高ぶりすぎていて、この再会にも涙も流さない。ダクストンは息子を抱き、そして
内景 ヒューイ 夜
クラスチコフはナイフの刃をパイロットの喉に突きつける。
外景 ヘリパッド プレシディオ軍用地 夜
ダクストンはケビンの耳が血にまみれているのに気づき、そっとそこに触れる。彼はヒューイの方に顔を上げ、そしてその顔に人間の感情を超えるほどの強い憎悪が浮かぶ。ヒューイは離陸しようとしていて、あたりには強い風が吹いている。ダクストンは前に歩み出し、そのまま歩き続け走り出し、全力疾走になり、ヘリが上昇を始め、ダクストンはジャンプし…
…そして着陸用のスキッドをつかむ。ヘリコプターは上昇していき、ダクストンも空に登っていく…
外景 ヘリパッド プレシディオ軍用地 夜
全員の目が上へ釘付けになっている。バリンガーはレスリーをつかみ、レスリーはケビンをつかんでいる。
内景 ヒューイ 飛行中 夜
クラスチコフはヒューイの進路の目星をつけようと、窓からあちこちを見回している。彼はダクストンが機体の下にぶら下がっていることに気づいていない。
外景 ヒューイ 飛行中 夜
怯え、息を呑みながらダクストンは操り人形のようにぶら下がっている。彼の足の下にはビルや街明かりやコンクリートが広がっている。ヘリが高度を上げ、ダクストンは着陸用のそりの上へ、そしてヘリの開いている機体側面に登ろうとする。そしてやっと、彼は上へ身体を引き上げる。
内景 ヒューイ 飛行中 夜
クラスチコフは機体の重量バランスが変わったのを感じ、機体の外を見る。ダクストンが反対側から立ち上がってクラスチコフの背後に現れる。クラスチコフがさっと振り返ると、良い感情からではない笑みを浮かべたダクストンがそこにいる。クラスチコフが何もできないうちに…
ダクストンが思い切り彼の顔を殴りつける。我々にもその感触が伝わるほどの一撃。クラスチコフは後ろ向きに吹っ飛ぶ。ヘリが傾く。
外景 カメラはジープを追っていく 夜
バリンガーが狂ったように運転している。レスリーとケビンは緊張して上を見つめている…
元のシーンに戻って
内景 ヒューイ 飛行中 夜
パイロットは機体のバランスを取り戻す。ダクストンは落ちそうになるロケット発射器を押さえる。そして、もう一発殴りつけようと振り返るが、クラスチコフはもう立ち直っていて、ニヤッと笑って恐ろしいナイフを振るってくる。
ダクストンはそれをかわし、ナイフのついた腕をつかみ、クラスチコフの胸を膝で蹴り上げる。クラスチコフはうめき、前屈みになり、ダクストンの顔をつかんで機体の隔壁に叩きつける。
ダクストンは彼を突き飛ばし、クラスチコフは後ろに倒れ、開いている機体の端まで転がっていく。周囲には風が吹き荒れ、はるか下に街並みが見えている…
優位になったダクストンは飛びかかる。だがクラスチコフは転がって、手首のナイフで下から切りつける…ダクストンが激しく床に落ちてヘリがぐらつく。ダクストンは自分の手首から血が流れているのを見て振り返り…
クラスチコフが彼をヘリの側面から蹴り落とす。
外景 ヒューイ 飛行中 夜
ダクストンが機体の側面から飛び出す。彼は手を伸ばして着陸用のソリをつかみ、必死にしがみつく。彼の身体の下を街並みが猛スピードで流れていく。両脚はぶらぶら揺れている。
クラスチコフが身を乗り出してくる。ナイフの刃は飛び出して、ロシア人はそれをダクストンの顔の前でぶらぶらさせる。もう勝負あった、と敵をもてあそび、そしてとうとう、彼はさらに身を乗り出してきて…ナイフの刃をダクストンの残った眼のすぐ前に突きつける…
内景 ヒューイ 飛行中 機内から前方を見て 夜
パイロットは息を呑む。ヘリの真正面にゴジラがいる。風防ガラスの中に彼の巨大な顔が見えている。そして…
パイロット
必死で操縦桿を引く。
外景 トランスアメリカ・ピラミッド ゴジラ 夜
ヒューイは急角度で上昇し、高度を上げて怪物の肩の上を飛び越える…
外景 ヒューイ 飛行中 夜
ダクストンはクラスチコフが機から投げ出されまいと機内のフレームをつかむのを見る。ダクストンは彼の上着をつかんで強く引っぱる。クラスチコフはヘリから飛び出し、落ちていく…
外景 モンゴメリー通り 上からのアングル 夜
クラスチコフを見下ろすアングル。彼は風の中で足をばたつかせ、悲鳴を上げて、カメラから下で待ち受ける死に向かって落ちていく。そして出しぬけに…
ドサッ!彼は鱗のある緑色の平地に勢いよく落ちる。顔を上げると、そこには…
外景 ゴジラ 全身をとらえて 夜
ゴジラが手を差し出し、見下ろしている。手の中に悲鳴を上げる小さな男がいるのを見て、ゴジラは目を丸くする。ゴジラの顔に何事かを理解した、という表情が浮かぶのがわかる。巨大な怪物の巨大な胸が、深呼吸するように急に膨らむ。彼は頭をのけぞらせて…
インサートカット ゴジラのぎざぎざの背びれ
原子力のエネルギーで背びれが発光を始め…
元のアングルに戻って
ゴジラの口から高熱の放射能火炎が吐き出される。クラスチコフの哀れな悲鳴が聞こえ、彼は焼き殺される。ゴジラは黒焦げのガイコツを、M&Mのチョコボールみたいに口へ放り込む。
外景 街路 州兵や警官たち
怪物の力を見せつけられ、彼らは驚く。
内景 ヒューイ 飛行中 夜
ダクストンはもう一度キャビンの中へよじ登る。
ダクストンは機体の後部へ行き、核ミサイルの発射準備を始める。
外景 コロンバス通り 夜
州兵の一隊が迫撃砲の設置を終える。曹長が指揮官のところに走ってくる。
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