映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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内景 防衛本部のビル 中央通路 夜

怯えた海兵隊員の一団がカメラのそばを通って駆けていく…盲目的に走って行くブーツの靴音…

怯えた海兵隊員
ジェット機隊が撤退した…あの怪物は誰にも殺せないんだ…

…そしてダクストンとレスリーのそばを駆け抜けて行く。彼はずっとレスリーを慰めている。彼女の手にはちっちゃなローバーが載っている。ダクストンは走り去る海兵隊員をじっと見て、その表情が熱を帯びる。大きな決意を抱いて、彼はさっと立ち上がる…

レスリー
ピーター!?


内景 防衛本部 夜

マクダーモットは落ち着きなく歩き回り、カービーは彼を睨みつけ、ごますりのアッカーマンはマクダーモットの後をぴったりついて回っている。軍人たちがやかましく話し合っている。

アッカーマン
准将、ブラックホーク隊には問題がありまして、ほとんどのパイロットはまだ「S-9」の訓練中なのです。

ダクストンが決然とした表情で現れる。マクダーモットは彼と向き合う。

マクダーモット
ああ、ちょっとトラブルがあってね…

ダクストン
バリンガーはどこだ?

少しの間。マクダーモットが眼をそらす。部屋にいる全員が急に、この対決に注目する。

ダクストン
彼はどこにいるんだ?


内景 陸軍の営倉 夜

バリンガーが不機嫌そうに寝台に座っている。ドアから鍵を開ける音がして彼は顔を上げる。営倉のドアが開く。ダクストンだ。

バリンガー
そろそろ騎兵隊が助けに来るころだと思ってたよ!君はどこにいたんだ?すぐにマクダーモットの奴を殺せるかい?

ダクストン
殺さなきゃならんのは…ゴジラだ。

バリンガー
何だって?それこそあいつがやりたがってる事じゃないか!僕たちは善玉のはずだ、覚えてるだろう?

ダクストン
そんな理想主義なんぞくそくらえだ。俺を手伝わないのなら、おまえが死んで腐っちまうまでここに入れておく。簡単な話だ。

テレビ画面のアップ

自意識過剰のニュースキャスターが、つっかえながら最新のニュースを伝えている。

ニュースキャスター
…市には戒厳令が敷かれる一方、当局はこれ以上空軍による攻撃は行わないと語っており…


内景 バー 夜

そのテレビが、混み合った薄暗いバーの天井からぶら下がっているのがわかる。客たちがあちこちの隅にいて、酒で恐怖を紛らわせている。その中にトニーもいる。彼はカウンターに座り、4杯目のストレートのスコッチを飲みながら、熱心にテレビを見ている。

トニー
俺なら、あいつのそばを飛べる。

他の客たちは好奇の眼で彼を見る。彼はぐいと酒をあおる。ニュースキャスターの話は続いている…


外景 ベイブリッジ 夜

街から脱出しようとする怯えた市民たちで、交通はどうしようもないほど渋滞している。クラクションが必死に鳴り響いている。


外景 フリーウェイ101号線 南280 夜

同じ状況だ。ただこのフリーウェイの方が通行車線が多いため、うねる海のような自動車の列によりひどく気力を削がれてしまう。まるで悪夢を見ているようだ。

別のテレビ画面のクローズ・アップ

ニュースキャスター
(さきほどの続きで)
予想どおり、ベイブリッジは手の施しようがないほど渋滞しています。南101号線、280号線も同じ状況です。ゴールデンゲート・ブリッジからの車は19号線やロンバード通り方面の出口へ向かっています…いまテレビを点けられた方のために繰り返します…ゴールデンゲート・ブリッジは破壊され、完全に通行不能です…


外景 電器店 ショー・ウインドウの中 夜

数台のテレビに同じニュースキャスターが写っている。カメラが引いて舗道と道路が見え、そこではパニック状態の市民たちが、どこにあるかもわからない安全な場所を求めて走り回っている。


外景 チャイナタウン グラント・ストリート 夜

数十人の怯えた東洋人がカメラに向かって逃げてくる。はるか遠くで巨大なゴジラが街を圧するようにそびえ立ち、あの有名な咆哮を上げるのが見える。ゴジラがマイクロバスをつかんでいるのも見える。


外景 ブロードウェイ ノースビーチ 全景をとらえて 夜(前のシーンと同様のアングル)

目抜き通りのけばけばしい照明の上にゴジラがそびえ立ち、足元では夜遊び好きの市民たちが逃げ回り、互いにぶつかり合っている。怪物はときおりバスを振り回しながら、いぶかしげに周囲を見回している。


内景 新聞社のオフィス 夜
(これまで明記されていませんでしたが、この新聞社のオフィスは先にジェット戦闘機が突っ込んだタイムズ・ヘラルド・ビルにあったようです。)

今では中は瓦礫で一杯で、照明はちらつき、壁の裂け目の中で炎が鉄骨をなめている。見る限り唯一の生存者であるデイナが、瓦礫と濃い煙の中をよろめきながら歩いて行く。彼女は煤にまみれている。急に彼女が気づく。

デイナ
メアリ!?

そして友人のもとへ駆けよる。メアリは倒れてきた柱の下敷きになって動けない。デイナは彼女のそばにひざまずき、頭を優しく抱いてやる。

メアリ
(弱々しく)
この街の男どもには気をつけろって、私、いつも注意してたでしょ?あいつらはオカマか、おさわり魔か、でかくて緑色でジェット機をビルに投げつけるかだって…

デイナは涙をこらえる。頭上の照明が完全に切れる。

メアリ
(やっと聞き取れる声で)
聞いて…あの船乗りさんを逃がしちゃだめよ…彼、カワイイわ…

メアリは微笑み、目を閉じる。デイナは必死で周囲を見回す。デイナの首が、まるで眠りたがっているかのように一方へ回る。微笑みが消えていく、彼女は安らかに死を迎える。デイナはすすり泣く。

彼女はメアリの頭をやさしく降ろしてやり、そしてまだ泣きながら、立ち上がって周囲を見回す。彼女は壁の裂け目のところへ行く。外から吹き込む風が彼女の髪をなびかせる。


外景 タイムズ・ヘラルド・ビル 夜

下からの炎が建物を取り巻いている。つぶれたF-16が建物の側面に突き刺さっている。地上へ降りる方法がないのは明らかだ。

デイナに戻って

下を見下ろし、はるか下からのサイレンの音を聞いている。彼女は周囲を見回し、破片の中をよろめきながら通って、あるものを見て後ずさる。

F-16の操縦席

壁を貫通して突き出して、キャノピーが卵のように開いている。はらわたをはみ出させて死んでいるパイロットは、まだ座席にしっかり固定されたままだ…デイナはすすり泣きながらパイロットの死体に近づき、ためらいながらも死体のパラシュートを外し始める。手は血のぬめりにまみれ、彼女は一層大きな声ですすり泣きながら必死にパラシュートを引っぱる…


外景 港湾通り 夜

消防士たちが街路のあちこちで負傷した市民たちの手当てをしている。ある消防士が前に歩み出て、戸惑った顔で上を見上げている。

消防士
ローリー隊長?

彼は上を指さす。隊長もそちらを見る。


外景 タイムズ・ヘラルド・ビル 見上げるアングルで 夜

画面の上端からデイナが足をばたつかせながら飛んでくる。彼女は信じられないほどの、胸が悪くなるようなスピードで落ちてくる。彼女の頭上でパラシュートがゆっくり膨らむ。あまりに遅すぎるようだ。パラシュートは空中で波打ち、伸び、そしてやっと…


外景 空中 デイナをとらえて

彼女は上方へ激しく引っぱられて…


外景 街路 夜

地上にはビルの低層階から飛び降りる人々を受け止めるため、救助用のエアバッグが膨らませて設置されている。そばに消防車が停まっている。デイナは安全にエアバッグの中に落ち、大きなパラシュートがキノコ型に丸まって彼女の上に被さる。彼女が無事か確かめようと消防士たちがエアバッグに駆け寄る。

エアバッグ

消防車たちが必死にデイナを探し、パラシュートの端を手繰っていく。デイナを見つける。彼女は笑うのと泣くのを同時にやっている。だが我々が安堵のため息をつく前に、背景にゴジラの下腹部が見えるようになる…怪物はこちらに向かってのしのし歩いて来る。エアバッグは彼の通り道の真ん中にある。


外景 街路 エアバッグ 夜

デイナと消防士たちはエアバッグから転がり降りて逃げ出す。直後にゴジラの巨大な足が降りてきて、エアバッグを踏みつけてあっさりと破裂させる。


内景 火器倉庫 夜

ダクストンとバリンガー、他の軍人たちが立つ中、火器の専門家がソビエトのミサイルを調べている。ミサイルは無機質な強い照明に照らされてテーブルの上に置かれている。

火器の専門家
これはまちがいなく試作品だな。サガー・ミサイルに似ているようだが、俺ならこいつを分解したり試射する危険は冒さないね。実際、この中に何があるかわからないんだから。

イメージ 1
(サガー対戦車ミサイル)


バリンガー
すばらしい!こいつが残された唯一のチャンスで、そいつがどう作動するのもわからないとはね!

ダクストン
(いつものように煙草をくわえて)
誰ならわかるんだ?

火器の専門家
そうだな…こいつを作った奴ならわかるだろうね。

ペトロビッチ(声のみ)
(きついロシア語なまりで)
バリンガー…博士ですか?

全員が振り向く…戸口のところに、無表情な二人の憲兵に挟まれて核物理学者のペトロビッチが立っている。


外景 プレシディオ軍用地 一行を追って行く 夜

ダクストン、バリンガー、カービー、マクダーモットとその他の人々がいる。彼らは大股で歩いてヘリ発着場へ向かう。彼らと一緒に、海兵隊員たちがミサイルを台車のような輸送台に乗せて運んでいく。以下の会話は緊張し、切迫した雰囲気の中で交わされる…

カービー将軍
なんだと?

バリンガー
問題点は一つだけなんです。

ダクストン
通常の発射装置から発射できるんです。ヒューイを使って…

マクダーモット
動員できるパイロットは全員、ブラックホーク隊の準備のために出動しているんでね…

ダクストン
一人ぐらい回せるだろう!

カービー将軍
私には理解できんな…ペトロビッチ博士は…

火器の専門家
(それに押しかぶせて)
彼はこれを、サガー迎撃ミサイルだと言っています。他の兵器を空中で迎撃して爆破するために設計されていますが…

カービー将軍
ああ、それはわかっているが…

火器の専門家
違いがあるんです、将軍。フォン・ノイマンがマンハッタン計画で唱えた爆縮理論に基づいていて…目標に核動力源がある場合にだけ、核分裂を起こすんです。

カービー将軍
君はあの怪物が放射能を発しているというのかね?

バリンガー
「非臨界型代謝作用」と呼んでいます。ですが(A)ミサイルはあいつの体内に撃ち込まなければならない、そして(B)…
(マクダーモットを指して)
…僕たちがミサイルを撃ち込むまで、このバカが部隊を下がらせていなければならない。

彼らはヘリパッドに到着する。ベトナム戦争でよく使われた型のUH-1「ヒューイ」ヘリコプターがヘリパッド上で待機している。海兵隊員たちはサガー・ミサイルをヘリのそばに残して帰っていく。背景では火器の専門家が手早く指示をしている。

マクダーモット
私の部隊は…

カービー将軍
黙るんだ、マクダーモット。…だが教授、ミサイルは2発しかないぞ…

バリンガー
それが問題点なんです。

一行は最終調整を行うために散り始める。

マクダーモット
(ダクストンに)
ちょっと待ってくれ、私は君たちの作戦に賛成だが、君たちのヘリの安全のために攻撃中止の命令を出してしまうと、この街は完全に無防備に…

ダクストン
(ヘリの方を向いて)
あんたが指揮官だろ、マクダーモット。

マクダーモット
(感情を爆発させて)
マクダーモット准将どの、だ。私はこんな風に不当に扱われるのを限界まで我慢してきたんだぞ!君はこんな非常時だというのに軍人としての品位さえ持っていないんだな!

ダクストンの足が途中で止まる。ゆっくりと振り返る。彼は上着の懐に手を入れ、ベレッタを抜き出す。彼は銃の撃鉄を起こし、マクダーモットの制帽を狙って構え、頭から制帽を撃ち飛ばしてみせる。

…そして制帽にゆっくりとベレッタの弾丸を撃ち込み続け、制帽を引き裂かれたぼろぼろの塊に変える。彼はそのおかしな代物をマクダーモットの頭に被らせる。

ダクストン
この次はな、おまえがこいつを被ったままでやってやる。

 

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