映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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内景 マクダーモットのオフィス 夜

真っ暗だ。だがデイナが小型ライトを持ってファイル・キャビネットの引出しを照らし、その引出しの中身をバリンガーが次々にめくっている。トニーはドアのすぐ内側で見張っている。バリンガーがファイルを1冊抜き出し、広げる。

インサート・カット ファイル・フォルダーのクローズ・アップ

ライトの光の下、バリンガーはマクダーモットがオト島に遠征した時の写真を次々に見ていく。踏みつぶされた小屋、黒こげになった死体、そして最後に、怪物そのもののブレた写真。ゴジラだ。

デイナ(声のみ)
なんてこと…

元のアングルに戻って

バリンガー
「ひと山当てる」っていう言葉はこういう瞬間のために作られたんだな…

突然、外の通路から、建物じゅうに響き渡る警報サイレンの大きな音が聞こえてくる。

デイナ
あれは何よ?

トニー
空襲警報みたいだぞ。


外景 基地の通路 夜

「H.マクダーモット准将」と書かれたドアが開き、3人が出てきて、目にする…海兵隊員たちが通路をあちこちへ走りまわっている。耳を聾するようなサイレン。バリンガーは海兵隊員の一人をつかまえる。ソロモン二等兵だ。

バリンガー
何が起きているんだ?

ソロモン
自分が言っても信じられないでしょう…

バリンガー
賭けるか?何が起きてるんだ?

ソロモン二等兵
橋ですよ!ゴールデンゲート・ブリッジです!

彼は走って行く。バリンガーは他の2人に振り返る。

デイナ
(うろたえて)
今ごろ新聞社では私を探してると思うわ。

バリンガー
じゃあ君は行くんだ。

2人の周囲は大混乱だが、彼らは互いの眼を見つめ合う。

デイナ
あなたがずっと正しかったことがわかったわ。

バリンガー
ああ。君も、他のみんなもわかっ…

デイナが衝動的にバリンガーにキスをする。そして離れ、申し訳なさそうにトニーの方を見る。彼女は急いで去っていく。バリンガーは彼女が行くのをじっと見つめている。一方トニーは射るような眼で彼を見て、背を向けて行こうとする。

バリンガー
(弁解するような口調で)
なあ…ポパイ、勘弁してくれよ…

トニー
俺の名前はトニーだ!

彼は腹を立てて通路を歩いて行く。バリンガーはどうすることもできず、トニーが行ってしまうのを見つめている。そして周囲の大混乱を見回し、決然とした様子で走り出す…


外景 プレシディオ軍用地 夜 いくつかの連続ショット

信じられないほど切迫した状況で、軍人たちがあちこちへ走り回っている。軍用車両に火器が積み込まれ、サイレンが兵舎の間に響き渡っている…


外景 本部の建物 (米陸軍第6軍)夜

ダクストンが決然とした様子で、ベレッタを抜き、アスファルトの上を大股で歩いて行く。彼の背後からレスリーが追いつく。

レスリー
ピーター…!

彼は陸軍のジープに乗り込み、エンジンをかける。

ダクストン
あの子たちは橋の下にいる。だから、君はここにいるんだ…

レスリー
私も一緒に行くわ!

ダクストン
ここにいろと言ってるんだ!

レスリー
(恐ろしいほど強い意志で)
もし私を連れて行かないなら、別の方法を探すわよ…
(ダクストンが彼女を見る)
もしここに残っていたらね、私は自殺してしまうわ…

少しの間。


外景 プレシディオ軍用地 別の一角 夜

バリンガーが歩いて画面に入ってくる。そしてダクストンとレスリーがジープに乗って走って行くのに気づく…遠すぎて追いつくことはできない。

彼は他に移動手段はないかと必死に周囲を見回す。彼はトラックに迫撃砲を積み込んでいる海兵隊員に駆け寄る。

バリンガー
僕は橋へ行かなきゃならないんだ!

残忍そうな海兵隊員
あんた、誰だ?

バリンガー
僕はバァ…
(後ろに下がって)
忘れてくれ。

その海兵隊員は脅かすように前に出る。

残忍そうな海兵隊員
バリンガーさんだね…マクダーモット准将があんたを探しているよ。

バリンガーは逃げ出し、海兵隊員がそれを追いかける。


外景 ヘリ発着場 プレシディオ軍用地 夜

一団のブラックホーク・コブラヘリコプターが発進準備をしている。マクダーモットが画面に入ってくる。

マクダーモット
さあやろう、これは訓練じゃないぞ!

アッカーマン
(マクダーモットの副官。走ってくる)
XM-1はこちらに向かっています。あなたのご命令どおりに。


外景 プレシディオ軍用地の門 夜

1台のXM-1戦車が画面に入ってくる。海兵隊員たちが他の車両や兵士たちに道を開けろと叫んでいる。残忍そうな海兵隊員たちがバリンガーを探して必死に周囲を見回している。彼らの背後で戦車が格納庫から出る。その戦車の後部にバリンガーがしがみついているのが見える。

イメージ 1
(XM-1戦車。現行のM1エイブラムス戦車のプロトタイプです。)


外景 橋の料金所 夜

7本の車線すべてにぎっしりと車がつかえている。人々がパニックを起こして街を出ようとしているが、すでに料金所には大きな「閉鎖中」の標識が下がっている。

イメージ 2
(ゴールデンゲート・ブリッジの橋上の様子)


パトカーがライトを光らせ、サイレンを鳴らしながら渋滞の端で急停車する。パトカーから数人の警察官が銃を抜いて飛び出してくる。彼らは渋滞した車の屋根の上を走って料金所へ向かう。


外景 料金所 橋の上 夜

別のTVニュースのスタッフがいる。女性のリポーターは発狂寸前だ。

女性リポーター
ライブ・アイ・ニュースです。これが実際に起きていることだとはとても信じられません。私の周囲は警官ばかりで、橋は…

警官隊がTVスタッフを押しのけて、射撃できる距離まで進む。怪物を見て警官の1人はおじけづき、別の一人は逃げ出す。

怯えた警官
なんてこった!

背景で強大なゴジラが橋のそばに立ち、小さな自動車を手にしている。彼はその自動車をもてあそび、橋の上の他の自動車を見て、それがどういうものか理解しようとしている。


内景 自動車 フロントガラスから外を見て 空中に浮いている

好奇心を抱いたゴジラの巨大な顔が中をのぞき込んでいる。運転手が悲鳴を上げる。


外景 料金所 夜

ペース・アローの大型キャンピングカーが他の車とぶつかり、車体を擦りながら料金所に近づいていく。そこで、先に見た係員のランディスが怒ってボンネットを叩き、「あんたイカれてんのか!?」と叫んでいる。

イメージ 3
(1982年型のペース・アロー・キャンピングカー)


内景 チャーリーのキャンピング・カー

死期の近いおばあちゃんに一家で会いに行くところだ。

チャーリーの妻
通してくれないと!

チャーリーは料金所のブースをじっと見ている。

インサート・カット IDカード

料金所ブースの中にIDカードが貼られている。料金所係員の顔写真だ。名前はJ.ランディス

チャーリーに戻って

腹を立てた係員が運転席側に来る。チャーリーは首を突き出して、管理ビルの方を指す。

チャーリー
ばかやろう、あんたのためにやってるんだぞ!あんたに緊急の電話が入ってるんだ…あの建物の中だ。
(係員は馬鹿みたいにじっと見つめている)
あんた、ランディスだろ!?

しばらく悩んでから、係員は管理ビルの方へ駆けだす。チャーリーはにやっと笑ってアクセルを踏み込む。


外景 橋の入口 夜

ペース・アローは橋の上に乗り入れて障害物を押し分けて進んで行き、これまでの成り行きを見ていた、頭に血の上りやすいスピッツァーの前を通る。

スピッツァー
おい!

彼は警察のカワサキ1000に駆け寄り、飛び乗ってエンジンをかけ、ペース・アローの後を追う。バイクの持ち主の警官が走って画面に入ってくる。


内景 チャーリーのキャンピングカー 走行中 夜

チャーリーとその妻は顔面蒼白だ。ちっちゃなヘザーが金切り声で悲鳴を上げる…


内景 チャーリーのキャンピングカー フロントガラスからの主観で

ゴジラの巨大な爪が他の車を橋から落とす。そして彼の巨大な紀元前の顔が橋のケーブルを切断して突き出してきて、こちらを睨みつける。チャーリーはブレーキを踏む。


外景 ゴールデンゲート・ブリッジ 全景をとらえて 夜

ゴジラは、自分の鼻面から数ヤードのところで小さなキャンピングカーがタイヤを鳴らして急停車したのに反応して、顔を引っ込める。


外景 橋 カメラはクローズアップでスピッツァーを追う

スピッツァーはペース・アローが急停車したのを見て仰天する…
彼はキャンピング・カーを避けようと急ハンドルを切り…


外景 橋の手すり

そして制御不能になって橋の手すりに激突し…


外景 橋 ローアングルから

スピッツァーは悲鳴を上げながら空中へ放り出され、手すりを越えて、バイクのねじれた破片とともにカメラに向かって飛んでくる…


外景 橋の下 夜 波打ち際

ばらばらになったクラスチコフの小舟の破片が、波で浜辺に打ち寄せられている。


外景 橋の下 港の端 夜

ダクストンとレスリーが、我々が今見た小舟の破片を信じられない思いで見つめている。彼らに悪い知らせを伝えたばかりの沿岸警備隊員#2は、疲れた様子で、悲しそうに破片を見ている。彼らの背後で、憲兵たちがロシア人工作員たちの生き残りにライフルを向けている。

レスリー
(ケビンが死んだことを悟って)
いや…


外景 橋の料金所 XM-1戦車

位置について停車し、砲塔が回転して、主砲がカメラに向かって突き出す…

バリンガー

戦車から降りてきて、ゴジラを見上げる。彼の顔は驚きでいっぱいだ。海兵隊員たちが彼を奇異な目で見つめる。そして…

マクダーモット

タンクのそばへ歩いてきて画面に入ってくる。小型の無線を口に当てる。

マクダーモット
砲撃準備…

彼のそばで、バリンガーがその言葉に反応する…彼は駆け寄ってきて…

バリンガー
おまえ、何をやってるんだ!?

マクダーモットは背を向け、そっけなく手振りをする。2人の憲兵がバリンガーを捕まえ、きつく押さえつける。

マクダーモット
撃て!

戦車が砲弾を発射する


外景 橋 ゴジラ 夜

砲弾は怪物の真正面で爆発する。彼はぎょっとして身を引き、その眼下でチャーリーのペース・アローがタイヤを鳴らして走り去る。


内景 チャーリーのキャンピングカー

チャーリーと彼の妻は恍惚としたようにまっすぐ前を見つめている。2人の元気な娘は楽しそうに飛び跳ねている。

ヘザー
もう一回よ!もう一回よ!


外景 料金所 戦車

マクダーモット
もう一発だ!
バリンガー
あいつを怒らせるだけだぞ!
このうすらバカの間抜け野郎!

戦車がまた発砲する!


外景 橋 ゴジラ

3発目の砲弾(記述ミス?)の爆発を手で払いのける。明らかに彼は激怒している。その証拠に、大きな唸り声があのトレードマークの甲高い咆哮に変わる。そして…


外景 いくつかの連続ショット 橋とその周辺 リアクション・ショット

…すすり泣くレスリーを抱くダクストン…2人は顔を上げる…

…マクダーモットとバリンガー、この二人も同じく顔を上げる。

…橋の上にいる民間人も、軍人も、警官も、全員が顔を上げて、見る。港にゴジラの咆哮が響き渡って、

ゴジラ

巨獣が強力な両腕を上げて振り下ろし…橋を両断して破壊し、そしてその基礎部分に怒りを込めて爬虫類の拳で打ちかかる。ゴジラがまた咆哮する…

イメージ 4
(夜のゴールデンゲート・ブリッジ)


外景 橋 さまざまなアングルで

コンクリートが飛び…橋のケーブルがぷつんぷつんと切れて行き…橋の基礎が崩壊する…車は次々と港にこぼれ落ち、有名なランドマークでもある長大な橋が揺れる。そして…


外景 橋の下 元のアングルに戻って

人々は散り散りになって逃げていく…

上から破片がカメラに向かって落ちてくる…ケーブルやバラバラになったパイプが…

ダクストンはレスリーの頭上から大きなコンクリートの塊が落ちてくるのを見て、彼女をつかんで逃げ…二人一緒に側溝へ飛び込む。直後に巨大なコンクリートの塊が轟音を上げて地面に落下する!


内景 側溝の中 ダクストンとレスリー

しっかりと抱き合っている。感情を抑えきれず、レスリーは苦しげにすすり泣く。ダクストンは彼女を抱いてやる。2人のすぐ頭上でケビンのトカゲのローバーが岩の上に姿を現し、2人をじっと見下ろしている。


外景 ゴールデンゲート・ブリッジ 全景をとらえて 夜

片手にトラックをつかんだゴジラが、歯でケーブルを引きちぎる。トラックを捨て、怪物は橋から後ずさり、急に注意を引かれたように周囲を見回す。彼は市街地の方を、我々が見慣れた高層ビル群を見る。そして咆哮しながら向きを変え、市街地へ向かって移動を始める…


外景 橋の料金所 夜

海兵隊員が自分たちのトラックへ、警官が自分たちのパトカーへ駆け戻って行く。

海兵隊員
あいつは街へ向かってるぞ!

彼はマクダーモットのそばを通り過ぎる。マクダーモットは走り回る部下たちに命令を叫んでいる。バリンガーは自分を押さえつけている憲兵たちに抵抗して暴れている。そこら中で騒動が起きている。

バリンガー
あんたの偽装工作が役に立ったな、マクダーモット!
(マクダーモットは彼を無視する)
あんたはずっと知っていたんだ、そうだろう!?

マクダーモットが急に彼へ振り返る…

マクダーモット
その通りだ、教授。確かに私は知っていたよ…同時に私は、おまえのような根性なしのインテリがやってきて怪物を殺すなと泣き言をいうだろうということも知っていた。クジラだの子アザラシだのと同じようにな。だから我々は神聖なる科学と知識の名のもとに研究をすることにしたんだよ。まあ、私は研究なんぞしたくもなかったがね、教授。

バリンガー
(苦々しく)
あんたは、あいつを殺したいんだな…

マクダーモット
その通りだよ。
(憲兵に)
この男を営倉に入れておけ。

信じられない、という顔のバリンガーは怒りに絶叫し、憲兵たちに引きずられていく。マクダーモットは副官に向き直る。

マクダーモット
航空攻撃に移るぞ、大佐。

アッカーマン大佐
スコット基地にF-16の一個中隊が待機中です。

マクダーモット
スコットとモファット、バンデンバーグに無線で連絡しろ。カリフォルニア州にあるすべてのジェット戦闘機が必要だ。これは第一歩に過ぎないがな。

いくつかの飛行場 いくつかのアングルから 内景および外景(ジェット機のモンタージュ)

ジェット戦闘機たちが着陸灯を点滅させながら滑走路に移動してくる…

…操縦席の中でパイロットたちがスイッチを入れていく…

…ジャイロが回り。エンジンが回転数を上げる…

…ジェット機がタキシングし、スピードを上げ、離陸していく…

 

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ヘボ訳者
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