外景 ゴールデンゲート・ブリッジ 夜 場所を印象づけて
光が行き交っている。薄い霧を通して橋の照明灯がいくつも見えている。タグボートの警笛。遠くから霧笛が聞こえる。
外景 橋の上 年取った日本人の警備員
名前はエイジ・ハシグチ。彼がクリップボードを手に画面に入ってくる。彼は手すりの外を見て、好奇心に眉をひそめる。
橋の上からの視点で 夜
水面は暗く穏やかだ。灯台の光が繰り返し水面に反射している。遠くで霧笛がボーッと鳴るのが聞こえ、水面下で奇妙な光が音もなく輝くのが見える。その光に水中でゴロゴロいう音が加わり、光っている水面が盛り上がる…
エイジのクローズ・アップ
高まる恐怖に囚われ、じっと見つめている。
内景 橋の職員たちの休憩室
橋の職員たちが落書きだらけのテーブルの周りに座って、煙草を喫ったり、コーヒーを飲んだり、自動販売機で買った軽食を食べたりしている。突然、年寄りのエイジが、日本語で意味の分からないことをしゃべりながら駆け込んでくる。
彼の金切り声はだんだん大きくなり、彼は通路を進んで姿を消してしまう。たくましい肉体労働者タイプの警備員スピッツァーが、別の警備員と目配せを交わす。
2人は大声で横柄に笑う。
内景 倉庫(クラスチノフの隠れ家) 夜
縄から抜け出したケビンは当然ながら補給品の棚を漁っている。ある箱に手がかかる。蓋を開ける。中には信号拳銃と信号弾が2つ入っている!
ケビンは警戒して顔を上げる。
クラスチコフが戸口に立って、ケビンの「刑務所」の外にいる警備係を呼んでいる。
内景 倉庫の外 夜
煙草を喫っている警備係が返事する。
内景 倉庫 ケビンに戻って
身動きせず、じっと物音を聞き、問題はないと判断して、信号拳銃に信号弾を詰めはじめ、そして手を止め、心配そうに周囲を見回す。
彼はパタパタ走る小さな音を聞いて振り返る。明らかに換気ダクトらしい小さな開口部の中にローバーがいる。ケビンは開口部の方へ行き、ローバーを拾い上げる。
小さな開口部に興味をそそられて、ケビンは地面に横たわって、頭を開口部に差し入れる。そこは縦坑になっていて、外から差し込む月光が彼の顔に当たる。
ケビンに戻って
彼が開口部から頭を引き抜く。その心はトップ・ギアに入って回転している。彼は信号拳銃を見て、信号弾のカートリッジをかちりとはめ込み、装填を終える。
彼は用心深くドアの方をちらりと見て、装填された信号拳銃を持った手を縦坑に差し入れる。彼は上に狙いを付け、引金を引く。それほどくぐもっていない、ポン!という音がする。
内景 倉庫の外 警備係のクローズ・アップ
何か物音を聞いたロシア人が、疑うように顔を上げる。
外景 ゴールデンゲート・ブリッジ 料金所ブース 夜
料金所の係員のランディスが、料金を受け取る手を止め顔を上げる。
外景 沿岸警備隊のカッター・ボート 夜
ドックに入っているカッターの船上。制服姿の沿岸警備隊の士官が顔を上げる。彼はそばで作業をしている2人目の士官に声をかける。
外景 彼らの視点から ゴールデンゲート・ブリッジ 夜
遠くで、フォート・ポイント上空に明るく光る信号弾が打ち上がるのが見える。
沿岸警備隊員たちに戻って
二人の士官たちは目配せを交わす。
内景 倉庫の外 ロシア人の警備係
立ち上がり、何ごとか調べようとドアの方へ向かう。
内景 倉庫 夜
ケビンが汗をかきながら、不器用な手つきで2発目の信号弾を装填している。ドアで鍵ががちゃがちゃ鳴る音がする!ドアが開き、警備係が入ってくる。彼は周囲を見回すが、何が起きているか理解する前に…
ケビンが信号拳銃を撃つ…警備係は胸にもろに信号弾を受け、その爆発で倒れてすぐに意識を失う。
内景 クラスチコフの本部 クラスチコフのクローズ・アップ
ロシア人スパイは信号拳銃の発射音を聞いて振り返り…
内景 倉庫の外 戸口
ケビンはクラスチコフが呼ぶ声に凍りつき、警備係のそばにひざまづいてローバーを拾い上げる。すばやく考え、彼は声を低くして、
クラスチコフに戻って
この物真似がしばらくの間だが通用する!それからクラスチコフは何か臭うと感じ、方向を変えてドアの方へ向かう。他の工作員たちもそれを追う。科学者のペトロビッチはクラスチコフを敵意のこもった眼で見つめながら、少し遅れてついてくる。
内景 倉庫の外 夜
工作員たちが気絶した警備係のところまで来る。
内景 クラスチコフの隠れ家 洞窟 夜
ケビンが必死に走っている。彼の背後から怒りの声が響いてくる…
内景 沿岸警備隊のカッター 航走中 夜
2人の士官が前方を見ながら、フォート・ポイントをめざしてカッターを走らせている。
外景 岩だらけの中州 フォート・ポイント付近 夜
ケビンがまた捕まる前に逃げようと必死になって、足を滑らせながら岩を這い登ってくる。
坂を登り切って、急に彼は動きを止め、金切り声を漏らす…彼の真正面で海水を滴らせながら、いぶかしげに見下ろしているのは…
ゴジラだ。怪物が暗闇の中で眼を細め、その巨大な顔は小さなケビンから数ヤードしか離れていない。ゴジラの身体の奥底のどこかから、低いうなり声が聞こえてくる。ケビンは動かない。あまりの恐怖のために動くことを考えられない。ゴジラは好奇心から彼を見つめ続けている。
突然、ちっちゃなローバーがケビンの上着のポケットから頭を出して、巨大な怪物トカゲを見上げる。小さな爬虫類を見たゴジラの両眼が見開かれる。
ケビンは肩ごしに背後を見て、そして一歩ゴジラの方へ歩み寄る。彼は片手を差し出して、
巨大な怪物は首を傾け、両眼を細めてみせる。低く深いグルルルル、という声…しばらくの間、我々はゴジラがヨットを食べたようにケビンを食べてしまうのではないかと考える。だしぬけにゴジラが再び水中に沈んで画面から消え、そして…
手がひとつ出てきてケビンの肩をつかむ。彼は振り返る…そこにはロシア人工作員の一人が銃を手に立っている。工作員は底意地の悪そうな笑みを浮かべる。
そして暗闇から棍棒が振り下ろされ…
ロシアの悪漢は頭に一撃を喰らって、地面にくずおれる。彼の背後から攻撃を加えたのが誰か見えるようになる。核技術者のペトロビッチだ。
彼らは振り返って逃げようとするが、クラスチコフと工作員たちに囲まれていることに気づく。クラスチコフが前に歩み出て、ペトロビッチはケビンを守ろうと彼を抱く。
彼が前に出て腕を上げ、そしてカチッ!彼の手首の刃が飛び出す…その瞬間、眩しい白い光がその場を照らし出す。
外景 沿岸警備隊のカッター 夜
2人の沿岸警備隊の士官たちがいる。1人は強力なサーチライトでロシア人たちを照らし、もう1人は電池式のメガホンを構える。
外景 港の沿岸部 夜
ロシア工作員の1人がすばやく…しかし悪い方向に考えて、マシンガンを構えてカッターに向かって撃ちはじめる。
外景 いくつかの連続ショット 大混乱
A.カッターの船上で、2人の士官が防御のために撃ち返す。
場面は激しい銃撃戦となる…
B.ロシア人工作員の何人かが倒れる…
C.科学者のペトロビッチは逃げ出す…
D.ケビンは逃げるペトロビッチに叫ぶ…
クラスチコフが彼を捕まえ、手首の刃をケビンのこめかみに突きつけて、海へ、そこにつないであったエンジンつきの小舟へ引きずって行く。
E.ちっちゃなローバー(インサート・カット)がケビンのポケットの住みかから落ち、岩の間を走って逃げてしまう。その一方…
F.沿岸警備隊員#1が肩に銃弾を受ける…彼は悲鳴を上げてくるりと回り、そして頭上に何かを見つけて真っ青になる…
ジェリーがそちらを見て、台座に乗ったサーチライトを向ける…
G.下からの光に気味悪く照らされて、ゴジラがこの場を見下ろしてそびえ立っている。あのよく知られた甲高い咆哮が発せられて…
外景 ゴールデンゲート・ブリッジ 夜
負傷した沿岸警備隊員は駆け出し、血の流れる肩を片手で押さえて、無線機のマイクを取る。
外景 橋の料金所 夜
運転手たちが車から飛び出してくる。そのほとんどは恐怖に逃げ出すが、その背景で怪物をもっとよく見ようとしている者もいる。管理ビルから橋の警備員たちが数人姿を現す。
先頭はスピッツァーだ。警備員たちはゴジラを見てショックを受ける。パニックを起こして安全なところへ逃げ出す者もいるが、それ以外は年老いたエイジのように、恐怖でその場から動くことができない。
彼は周囲を見回し、銃を抜いて橋の手すりに駆け寄り、度胸のある警備員たちがそれに続く。ついて行かなかった者はわずかだ、エイジは止めることができないほど身体を震わせながら、信じられない思いで見つめている。
ゴジラをとらえたアングルで
怪物は(関心を抱いて?)見下ろしている。彼が見ているのは…
外景 港の沿岸部 水面 夜
クラスチコフがケビンを小舟に引きずり込む。
外景 橋の手すり 夜
スピッツァーと警備員たちがためらいながらゴジラを撃ちはじめる。
ゴジラをとらえたアングルで
怪物が振り返り、新しいちっぽけな敵の方を向く。
外景 小舟をとらえたアングル 水面
ゴジラの身体が回ってトゲの並んだ彼の巨大な尾が振り回され、振り下ろされて、クラスチコフの小舟を粉々に破壊する!
外景 沿岸警備隊のカッター 沿岸警備隊員#2のクローズアップ
目の前で起きたことに縮み上がっている。
外景 橋のそば ゴジラ
怪物の頭が上がってくる。いぶかしげな表情をしている。
外景 橋の料金所 夜
警備員たちが恐怖にかられて手すりから逃げてくる。スピッツァーが振り返って叫ぶ。
多くの車が橋を渡るのをためらって、料金所は今やどうしようもないほど混雑している。クラクションが鳴り響いている。TVニュースのスタッフたちが放送しようと手すりに近寄る。リポーターが1人とカメラマンが1人だ。スピッツァーがすぐに彼らを下がらせる…
内景 一般家庭のリビングルーム テレビのクローズ・アップ
揺れるTVカメラの主観映像で、スタッフたちを手を振って追い払おうとするスピッツァーが写っている。
内景 チャーリーの家のリビングルーム 引いた画面 夜
ダクストンの友人で、先に登場した工作員のチャーリーがキッチンの戸口に立って電話をかけている。(その前景で)彼の妻が彼をじっと見ている。彼らの娘のヘザーはゴジラの生中継のニュースを見ている。その背景で、チャーリーが険しい顔をして電話を切る。
チャーリーの妻はたじろぎ、そしてリビングルームの方を振り返る。
ヘザーとテレビのクローズ・アップ
彼女が母親に振り向くと、テレビに映っているゴジラが見える。
外景 橋の料金所
人々が車を捨てて逃げ出し、料金所は脱出しようとする者たちで大パニックになっている。その背景にゴジラがそびえ立っている。
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