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外景 ダクストンのハウスボート 桟橋のクレーン 夜
静かだ。そして一組の足音が聞こえる。散歩から戻ったダクストンが霧の中から現れ、桟橋を歩いて来る。彼は自分のボートのドアに行き、あることに気づいて表情を曇らせる。ドアが少しだけ開いているのだ。彼は用心深く歩みを進める…
内景 ダクストンのハウスボート 夜
ダクストンが用心深くドアを押しあけ、中に入ってくる。中の明かりはすべて消えている。真っ暗だ。
静寂…ダクストンは前に進み、我々には彼の背後の影の中に誰かがいるのがわかる。だしぬけにダクストンが振り返ってベレッタを抜いて構え、さっと照明を点ける。
ダクストンは無言で彼女を見つめる。電話が、悪魔に取りつかれたかのように大きく鳴りはじめる。ダクストンは電話の方へ行き受話器を取る。電話の相手の声を聞いて、彼の顔は蒼白になる。
内景 電話をかけるクラスチコフ 夜
どことも知れない場所。長く影が差している。ひどくフィルム・ノワール調だ。まったく無慈悲に脅迫する雰囲気が強く感じられる。
クラスチコフが電話を切る。ダクストンはがちゃんという音と電話が切れた後のトーン音を聞く。彼は打ちのめされ、ゾンビのように受話器を置く。
外景 ゴールデンゲート・ブリッジ 見上げるアングルで 夜
霧の断片。霧笛。カメラは川岸へパンして、橋の巨大な基礎部分に囲まれた、岩だらけの暗がりを写す。
内景 クラスチコフの隠れ家 洞窟 夜
洞穴のような壁。補給品が並んだ棚。ドアが勢いよく開いてロシア人たちが入ってきて、乱暴にケビンを椅子へ放り出す。彼らは長いロープを出して、彼を椅子に縛りつけはじめる。
内景 クラスチコフの本部 夜
オイル式のランプが下がっている。ぬるぬるした洞窟の壁。まるで海賊たちの隠れ家のようだ。科学者のペトロビッチが落ち着きなく歩き回っている一方、クラスチコフは瞑想するようにじっと立ち、工作員たちはその彼をじっと見ている。
クラスチコフがくるりと回り、後ろ手でペトロビッチの顔を張り飛ばす。そして、ひどく穏やかに言う。
内景 倉庫 夜
工作員たちはケビンを椅子に縛り終える。結び目はきつく複雑で、たとえ5人の助けがいてもケビンには抜け出せそうにない。工作員たちは自分たちの手際ににっこり笑い、カメラはパンして彼らがドアの方へ行くのを追う。工作員たちは出て行く。
鍵がガチャガチャいう音が聞こえる。ドアに錠が降りる。カメラはまたパンしてケビンの方に戻っていき…当然ながら彼はもう見事にロープから抜け出していて、椅子から立ち上がる。
内景 倉庫の外 夜
ドアを警備するためにロシア人が一人残されている。彼は恐ろしげなAK-47自動ライフルを抱え、煙草に火を点ける。彼の背後、ドアの鉄格子の窓の向こうにケビンの姿が見える。ちっちゃなローバーが彼の肩に乗っている…
ディゾルブ
外景 港 夜
流線型の27フィート級ヨットがカメラに向かって画面に入ってくる。帆は一杯に風をはらみ、船首が砕け波を切り裂いていく。
外景 ヨットの船上 航走中 夜
救命胴衣を着てトップサイダーのデッキシューズを履いた20代半ばのヨット乗りが二人、ビールをがぶ飲みし、馬鹿笑いしながら港の中を楽しんでいる。
頭上からのアングル 夜
ヨットを見下ろしている。ヨット乗りたちのおしゃべりが聞こえる。
突然、爬虫類に似た途方もなく大きいゴジラの頭がヨットの真下から浮上してきて、その巨大な口が一つの巨大な胃袋のように大きく開き、怪物の顎が閉じるとヨットの姿は消えうせている。そして…
外景 サンフランシスコ港 夜 ゴジラの背後から
霧越しに見える光点をいくつもまとったゴールデンゲート・ブリッジが、圧倒するようにそびえている。そこからはるか離れて、ゴジラの頭が港の水面に沈み、橋を目指して進んで行く。
内景 新聞社のオフィス 夜 うるさく鳴る電話
デイナがバイニック・ジェミーよりも素早く受話器を取る。
内景 研究所の通路 夜
バリンガーがゴジラの幼体が安置された観察室を目指して、通路をものすごい勢いでやってくる。トニーとデイナはついていくのがやっとだ。
3人は研究室のドアまで来る。前のシーンで見た警備員がドアを守っている。バリンガーは財布のIDを引っぱり出し、警備兵に見せる。厳格に手続きを守って。
2人目の警備兵が近づいてくる。
バリンガーは正気を失いそうになる。まるでよくある不条理な悪夢のようだ。
2人目の警備員が脅すように近づいてくる。
研究助手が1人、機械類を乗せた台車を押して角を曲がり、その場にやって来る。2人目の警備兵は振り向いてそちらを見る。その瞬間、デイナがヒールで彼の尻を強く押す…
ローアングルから 台車
2人目の警備兵は台車の上に倒れ、その弾みで台車はカメラの方に向かって通路をまっすぐ転がってくる…
前のアングルに戻って
警備兵は自分の銃に手を伸ばすが、ホルスターは空っぽだ。そして振り返って、トニーが気楽な様子でその銃を自分の頭に向けているのを見る。トニーはにっこり笑う。何も知らない研究助手は、どうすることもできずに立ちつくしている。
怯えた警備兵は鍵をがちゃがちゃいわせはじめる。トニーが銃の撃鉄を起こしながら前に出る。
彼はドアの錠を狙って銃を撃ち、錠をばらばらに吹き飛ばす。
内景 観察室 気密区画
バリンガーとデイナ、トニーが入ってくる。バリンガーは愕然とする。他の2人はやや混乱している。なぜなら…
内景 彼らの視点で 研究所の競技場
ゴジラの幼体の死体がなくなっていて、広い競技場は完全に空っぽだ。周囲に組まれていた足場さえなくなっている。床に広いカンバスが敷かれているだけだ。
愕然としたバリンガーとその仲間の背後に立っているのは、あの2人の警備兵だけではない。さらに多くの警備兵たちがいて…増援部隊だ…ちょっとでも楽しそうな様子の者は誰ひとりいない。
3人は警備兵たちの前を通って研究室を出る。警備兵たちは我らがヒーローたちを穴が開きそうなほど睨みつけている。トニーはあの警備兵に銃を返す。
外景 研究所 夜
バリンガーとデイナ、トニーが研究所の建物から急ぎ足で歩いて来る。彼らの背後、入口の階段を上がった両開きのドアの所には警備兵たちがシルエットになって立っている。
バリンガーとデイナはデイナの車のところに来る。セダンだ。のろのろ歩くトニーを置いて2人は車に乗り込む。
内景 倉庫 夜 陸軍の警備兵のクローズ・アップから
警備兵は完全装備で、肩にM-1カービンを掛けている。カメラはクレーン・アップして一団の警備兵たちを写す。全員が武装し、カンバスのシートを掛けられた何か巨大なものの周囲に立っている。ある区画でシートが分かれていて、その陰に幼体ゴジラの死体の、悲しげな顔が見えている。
内景 陸軍の会議室 夜 マクダーモットのクローズ・アップから
彼はずるがしこそうに周囲を見回す。レスリーは夫が煙草を喫いながら歩き回るのをじっと見ている。カービー将軍がダクストンの肩をつかむ。背景では外交官や軍の士官たちがテーブルを囲んで座っている。
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