映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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外景 大平洋 沿岸 午後

民間のヘリコプターがきらきら光る水面の上を低く飛んで、まっすぐカメラに向かってくる…エンジンとローターが轟音を上げている。


内景 ヘリコプター 飛行中 午後

トニーが操縦席に座っている。そして操縦を楽しんでいる。彼はパイロット用の黒いサングラスを着け、NASAの帽子を被っている。ウインドブレーカーを着たバリンガーがその隣に座って、じっと地図を調べている。彼はトニーが慣れた様子で操縦していることに目を留める。

バリンガー
なるほど、あんたは本当にパイロットなんだな、ええ、ポパイ?

トニー
(楽しそうに)
もう一度俺をポパイと呼んだら、あんたの歯をへし折ってやるからな。

バリンガー
いいね。乗ったよ。

トニー
ところで油井やぐらはどこなんだ?

バリンガー
(地図を調べて)
海岸線をもう少し行ったところだ。陽が沈む前に終わらせられればいいんだが。


外景 水面 通過するヘリコプター 午後

流線型のヘリがロケットのようなスピードで水面を飛び去って行く。


内景 ヘリコプター 飛行中 元のアングルに戻って

バリンガーは地図を見ている。トニーが前方に何かを見つける。

トニー
教授、当たりだ。

バリンガーが顔を上げる。


外景 ヘリコプターからの視点で 油井やぐらに向かって飛んでいる

油井やぐらが水面にぼんやり見えている。我々が先に見た、現代工学の洗練から遠く離れた武骨な建造物。それが今ではねじれ、打ち壊されている。ヘリが接近していくと、我々は2つのことに気づく。
(1)金属の構造材があちこちで溶けていること
(2)やぐらの基部に大勢の軍人がいて、海軍のカッター(ボート)「が周囲を取り囲んでいること


外景 油井やぐら 午後

軍人たちは民間のレンタル・ヘリコプターが自分たちの方へ飛んでくることに気づく。ある士官が電池式のメガホンを口に当てる。

メガホンを持った士官
こちらは合衆国陸軍だ!君たちは許可なく飛行禁止区域を飛行している!


内景 ヘリコプター 飛行中 元のアングルに戻って

バリンガーはヘリの後部に積んである装備から、ガイガー・カウンターを引っぱり出す。

メガホンを持った士官(声のみ)
ただちに退去しなさい!

トニー
歓迎されていない、って気がしないか?

バリンガー
何が「飛行禁止」だ。探知できるところまで近づいてくれ。

トニー
(気が進まなくて)
放射能があるなら、あいつらがあのやぐらのあちこちに登ったりすると思うかい?

バリンガー
知らなかったらやるだろうさ。行くんだ、ポパイ!

トニーは折れる。興奮し、高揚している。

トニー
わかった、わかった!俺をポパイと呼ぶんじゃない。


外景 油井やぐら 午後 ヘリを追って

ヘリは旋回して、まっすぐやぐらの方へ降下してくる。

元のアングルに戻って

バリンガーは機体から身を乗り出さんばかりになって、ガイガー・カウンターを調べている。

バリンガー
反応なし!もう一度やってみよう!

トニー
(「ロチェスター」(?)の物まねで)
はい、ボス。


外景 油井やぐら 午後 軍人たち

ヘリコプターが飛び去るのを見つめている。

やぐらにいる士官
あいつらが誰だか知らんが、あまり賢い連中じゃないな、そうだろう?

彼のそばにいる海兵隊員がM-16マシンガンを構える。

マシンガンを持った海兵隊員
マクダーモット准将はどんなリスクも許すなと言いました。

彼の背後で、他の海兵隊員たちもCAR-15カービンなどの強力な銃器を構える。


内景 ヘリコプター 飛行中 午後

トニーはヘリを旋回させ、もう一度急降下させようとしている。バリンガーはガイガー・カウンターを持って機体側面から身を乗り出している。


外景 油井やぐら いくつかの連続ショット ヘリと軍人たち

ヘリがもう一度航過しようと、轟音を上げて接近してくる。海兵隊員たちが発砲する!弾丸がヘリコプターの機体側面を穴だらけにし、激しく跳弾する…

トニー
なんてこった!今度はうまくいっててくれよ!

バリンガーはガイガー・カウンターを見て、人差し指を立てる。

バリンガー
もう一度だ

トニー
(弱々しく)
教授、あんたってほんとに強引だよ…

彼は操縦桿を回す。


外景 油井やぐら 午後

軍人たちがもう一度戻ってこようとしているヘリを見つめている。彼らは銃を構え…

やぐらにいる士官
また来るぞ!撃て!


内景 ヘリコプター 低空飛行

三度目の接近は猛烈な銃撃に迎えられる。バリンガーは歯を食いしばり、トニーの帽子が流れ弾で頭から弾き飛ばされる。ヘリはやぐらに接近し…

ガイガー・カウンターのクローズ・アップ メーター部分

あの引っ掻くようなパーコレーターに似た音は聞きたくても聞こえないが、ガイガー・カウンターは猛烈に反応する。針がひくひく痙攣している。

元のアングルに戻って

バリンガー
この針金細工から逃げよう、ポパイ!

トニー
すばらしい考えだな!


外景 油井やぐら 午後

ヘリは縦揺れ横揺れしながら飛び去り、来てへ向かって小さくなっていく。軍人たちは逃げていくヘリに銃撃を続けている。


内景 ヘリコプター 飛行中 午後

バリンガーは腹を立てている。トニーは疲れ果てた様子で、機体の側面から繰り返し外を見ている。

バリンガー
さて、どうする?ガイガー・カウンターはライス・クリスピーみたいにバリバリ言ってたが、あいつらは否定するだろうな…

トニー
あー、今見るんじゃないぞ。だが、俺たちは追跡されてる。


外景 海面上 夕暮れ

トニーとバリンガーのヘリが飛び去っていく。そして陸軍の、グリーンのOH-58ヘリが彼らの後ろを飛んでいるのが見える。

イメージ 1
(OH-58ヘリコプター)


内景 陸軍のヘリ 飛行中 夕暮れ

残忍そうな陸軍兵士が二人、しっかりと追尾している。


内景 ヘリコプター 元のアングルに戻って

トニーとバリンガー両方のが、機体側面から彼らの後方にいるヘリを見ている。2人がまた前を向くと、彼らの顔が仰天の表情に変わる…


内景 ヘリコプター トニーとバリンガーの背後から外を見て

ヘリコプターの真正面にゴジラが立ち上がる!

いくつかの連続ショット 内景と外景

トニーが操縦桿を引き…

ヘリコプターは旋回して急上昇しゴジラの肩の上を飛び去ろうとする。巨大な怪物はヘリを手で叩こうとするが、ヘリはそれをかわして飛び去る。

残忍そうな陸軍兵士たちは、自分たちのヘリから信じられない思いで見つめている。パイロットも茫然としていて災厄を避けるのが間に合わない…

ゴジラは振り返って、自分めがけてまっすぐ突っ込んでくるOH-58を見る…巨大な怪物は腕を振るって、爪でヘリを粉砕する…ヘリが爆発する!


内景 ヘリコプター トニーとバリンガー 飛行中 夕暮れ

2人とも蝋人形のようにまっすぐ前を見つめて一言も話さない。あまりの恐怖に、お互いを見ることすらできないのだ…


外景 マリーナ サンフランシスコ 夜 ここがどこかを印象づけて

ヨット・クラブに面したマリーナ通りの左右には豪邸が並んでいる。カメラはレスリーの家を写す。


内景 レスリーの家

家の中は趣味のいいパステルカラーで見事に調度されている。レスリー自身は旅行の支度をして電話のそばに立ち、悩みながらそれを見つめている。彼女はためらいがちに受話器に手を伸ばし、そこで気を変え、背を向けて出て行く。


外景 レスリーの家 マリーナ 夜

ホンダの運転席に座って、レスリーはキーを回す。エンジンがかかる。彼女はヘッドライトをつけ、その光は霧の中で光線となって見える。彼女は車を出し、家の前の車回しから道路へ出る。カメラはまた彼女の家にパンして…


内景 レスリーの家 夜

何もかもが夜のくすんだ青に染められている。空っぽの部屋の中、テーブルの上の電話がやかましく鳴り始める。


内景 ダクストンのハウスボート 夜 ダクストンのクローズ・アップ

電話の向こうで呼び出し音が鳴っているのを聞いている。もう2、3回鳴るのを待って、彼は乱暴に受話器を置く。


内景 ケビンの部屋 夜

棚には本と手品道具があふれるほど詰め込まれている。壁には怪物映画のポスター(「クリープショー」が目立っている)と、フーディニの奇術公演のビラのレプリカが並んでいる。


イメージ 2
(映画「クリープショー」ポスター)

イメージ 3

イメージ 4


ケビンはベッドに横たわって、「フラッシュ・ペーパー」でできたトランプの匂いを嗅いでいる。このカードは無害なオレンジ色の火を発して跡形もなく燃えてしまうのだ。彼はウォークマンのヘッドホンで、流行のロックバンドの曲を聞いている。トカゲのローバーはケビンの胸の上で居心地よさそうにじっとしている。

ベッドルームのドアをノックする音がする。ダクストンが入ってくる。ケビンは耳からヘッドホンを外すが、ずらしただけなので、まだ甲高い小さな音で「クランキング・チューンズ」が聞こえている。

ケビン
言わなくてもいいよ、パパ。僕がバハで見たものは本物の超・最高機密で、軍の保安上およびそれに関係する理由から誰かに話したりしてはいけない、って言いにきたんでしょ。

戸口に立って、ダクストンはふんと鼻を鳴らし、両眉を上げてみせる。感嘆しているのだ。彼は少し待って…

ダクストン
そうだ。

…そして出て行き、ドアを閉める。ケビンはまだウォークマンのヘッドホンを耳からずらしたままだ。予想通り、ドアがもう一度開いてダクストンが入ってくる。

ダクストン
おい、あー、「バハで起きた他のこともすべて」とは言わなかったな。

彼は息子のベッドに腰掛け、ケビンはウォークマンのスイッチを切ってヘッドホンを完全に取る。

ケビン
僕にどうしてほしいの?そう書いた旗でも振って走り回れっていうの?

ダクストン
ママがおまえに何て言ったか知りたかったんだ。

ケビン
科学者かなにかと出かけるって言ってたけど…よくわからないや…

ダクストンは指でローバーの頭をなでてやる。少しの間がある。

ダクストン
あいつはいいやつだ、そうだろう?

ケビン
(もう一度肩をすくめて)
そうだね。いいやつだ。

ダクストンは部屋の中を見回す。他にも言うべきことがありすぎるのだ。彼はケビンの脚をぽんとたたいて立ち上がる。彼が戸口まで来たところで、

ケビン
ところでさ、パパにとっては、ママはまだすごく魅力的なんだね。
(少しの間があって)
別れることになったときのために、先に落ち込んでおいた方がいいよ。

ダクストンが振り返る。

ダクストン
ありがとうよ、坊主。

彼は出て行こうとして、また立ち止まる。

ケビン
あいつ、悲しそうだったよね?

ダクストンは振り返る。まだ戸口のところにいる。

ダクストン
何だ、バリンガーがか?

ケビン
違うよ、あの…怪物の子供さ。ゴジラか何か知らないけど…あいつは、何ていうか…寂しそうだって感じがしたんだ…

ダクストン
おまえが死ぬときも、そんなふうに感じると思うぞ。

ケビン
(少しの間)
すごく深い話だね、パパ。

ダクストン
そうだな…なあいいか、俺はちょっと散歩してくる。

ケビンは「オーケー」とささやき、ダクストンは出て行く。彼が出て行った後で、

ケビン
(ローバーに)
パパは落ち込んでるな。


外景 ダクストンのハウスボート 夜

桟橋には霧が立ち込めている。不思議なことにマリーナの中でこの辺りは一段と霧が濃い。ダクストンが出て来て、桟橋の端の方へ歩いて行く。彼は煙草に火を点け、マッチを海に投げる。そしてジャケットの襟を立て、霧にかすんだ桟橋のクレーンの方へ向かう。

画面はそのままで

やがて、足音が聞こえてくる。聞き覚えのある、硬い、木張りの桟橋をこつこつ鳴らす音。


内景 ケビンの部屋 ケビンに戻って

彼は響いてくる足音を聞く。彼はベッドから起き上がり、ローバーを上着のポケットに入れる。彼はドアから出て行く。


外景 桟橋のクレーン いくつかの連続ショット 夜

夜の闇の中、見覚えのある硬く黒い靴が、足音を殺して進んで行く。


内景 ダクストンのハウスボート 玄関ホール 夜

ケビンはドアを開けに行く。

ケビン
秘密工作員にしちゃ、あんたたちはそれほど秘密でもないね。

彼はドアを開ける…誰もいない。おかしい。ケビンは外を見る。そのとき、クロロホルムをしみ込ませたぼろ布が霧の中から飛び出してくる。ロシア人工作員たちが姿を現し、暴れるケビンを取り囲むのが見える。

カメラはクラスチコフに向けられる。彼は邪悪な笑みを浮かべ、工作員たちを監督し、指示を出し、その顔を霧の断片が取り巻いている。ケビンのくぐもった悲鳴が聞こえる。

ディゾルブ 

 

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