映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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168 ローンウルフ・マシン 昼間

マックスはスピードを上げるマシンの後部エンジンを乗り越え、パパガロの方へ近づいていく。彼はまだベアクロウつきの腕を肩からぶら下げている…
エンジンの轟音の間から、パパガロが笑う声が聞こえる。ほとんどヒステリックなほどだ。
マックスは操縦席に入って腰を落ち着ける。
パパガロが振り返る。

パパガロ
俺たちはやったぞ!
俺は無理だろうと思っていたよ。
でも俺たちはやりとげたんだ!

マックスは叫ぶ。

マックス
あの子はどうしたんだ!?

パパガロ
俺たちは勝ったんだ!わからないか?
燃料は他のみんなが運んでいったんだよ。
もうパウダー・リバーに到着してる。

マックスが手を伸ばしてエンジンを切る…マシンは速度を落とし、ゆっくりと停止する…
マックスはパパガロの身体をつかむ。

マックス
あの子はどうなったんだ!?

パパガロ
俺たちは先へ進むしかなかった。それが俺たちの唯一のチャンスだったんだ。

マックスはベアクロウつきの腕をパパガロに向ける。前腕に付けられたクロスボウにはまだ矢が装填されたままなのが見える。

マックス
あの子は?

パパガロ
置いてくるしかなかった…タンク車に釘付けにされていて…

マックス
あんたはあの子を置いてきたのか?
あいつらと一緒に?生きたままでか?

パパガロ
他にどうしようもなかったんだ。

マックスはパパガロを車から放り出し、運転席に座る…
パパガロは土埃の中に立ったまま取り残され、マックスはローンウルフ・マシンをぐるりと方向転換させる…


169 タンク車の残骸 昼間

ウェズがヒューマンガスのマシンの運転席に座っている。彼とほかに三人の略奪者…全員がバイクに乗っている…はスピードを上げてタンク車から離れていく。地面には略奪者たちの死体が散らばっている。
ウェズは他の三人を叱咤しながらローンウルフ・マシンを追う。
ヒューマンガスのマシンがゆるやかなカーブを曲がると、遠くの丘の頂上を越えて接近してくるローンウルフ・マシンが見える。


170 起伏のあるハイウェイ 昼間

マックスがエンジンを吹かして上り坂を越える…
彼の肩ごしに、400ヤード向こうから恐ろしいスピードで近づいてくるヒューマンガスのマシンが見える…
マックスは覚悟を決める…あと300ヤード。
二台のマシンは正面衝突するコースにある…あと200ヤード…
ヒューマンガスのマシンの前面に縛られていた犠牲者は降ろされていて、そこにはなにか別のものがある…
マックスはそれが、上下さかさまに縛り付けられた野生児であるのに気づく…
彼は急ハンドルを切ってマシンをスリップさせ、スピンしてヒューマンガスのマシンをかわす。
ローンウルフ・マシンはスピンして…ドスン!ウェズの左右にいた略奪者のバイク二台に激突する。
モホークが乗る三台目のバイクはウェズを追う。
マックスはローンウルフ・マシンの安定を取り戻すと、すぐにエンジンを吹かしてウェズの後を追う。


171 ヒューマンガスのマシン 昼間

ヒューマンガスのマシンが近づいてきて野生児の様子が見えてくる。彼の頭は道路の舗装から数インチしか離れていない…ウェズは振り返り、マックスがモホークのバイクを追い抜くのを見る。


172 ローンウルフ・マシン 昼間

マックスはモホークのバイクを追い抜きながら、わずかにハンドルを動かす…大型のマシンがバイクに衝突し、バイクは押されて道路の外へ走り出てしまう。
ローンウルフ・マシンは出力を上げ、ヒューマンガスのマシンに追いつく。


173 ヒューマンガスのマシン 昼間

ウェズは振り返って、接近してくるマシンを見る。彼はアクセルをいっぱいに踏み込み、エンジンをレッドゾーンまで吹かす…
ヒューマンガスのマシンがカメラに向かってくるのをカメラは追い、野生児の顔をズームして、そこで180度回転する。


174 さかさまになった野生児の視界 昼間

我々はさかさまになって、カーブした起伏のあるハイウェイを猛スピードで走り、鳥の群れを突っ切り、水たまりへ…レンズに水滴が飛び散る…
カット替わって

ヒューマンガスのマシンは轟音を上げて水たまりを突っ切り、道路沿いを歩いているパパガロが驚くそのそばを通過する…
そのすぐ後を猛スピードでマックスが通過する。


175 ローンウルフ・マシン 昼間

マックスはウェズに接近し、クロスボウのついたベアクロウの腕を構えて、ヒューマンガスのマシンの横に並ぶ…


176 ヒューマンガスのマシン 昼間

ウェズの手が下へ伸びる…亜酸化窒素のボンベのそばにあるトグル・スイッチへと…彼は正しいタイミングを待って、スイッチを入れる…
強烈な加速で彼はシートへ放り出される…ヒューマンガスのマシンは猛スピードでカメラから遠ざかっていく…


177 ローンウルフ・マシン 昼間

マックスには、ベアクロウの腕に取り付けられたクロスボウの狙いをつける暇がない。
彼は撃ち、飛んだ矢はかすんで見えなくなる…
ヒューマンガスのマシンは轟然と遠ざかっていき、開けたハイウェイを猛スピードで走って行く…白い線を超えて…
さかさまのまま、野生児は恐怖に打ちのめされている。ヒューマンガスのマシンは広いカーブにまっすぐ入っていき、道路を外れ、そのまま荒野へ走っていく。
ヒューマンガスのマシンは低い藪の中へ突っ込んでいく。


178 ローンウルフ・マシン 昼間

マックスの肩ごしに、ヒューマンガスのマシンが速度を落としていくのが見える。
その後を追ってマックスは荒野へ入っていく…
ヒューマンガスのマシンが停まる…
マックスは用心深くその横へ並ぶ。ウェズはじっと座っている。彼方の砂漠を見渡しながら…
マックスがウェズの横に来る前から、我々にはウェズの左目から矢の先端が突き出しているのが見えている…
マシンの前面で野生児がすすり泣き始める…
画面暗転


179 丘の頂上 パウダー・リバー 夕暮れ

マックスは丘の頂上に立ち、パウダー・リバーを見渡している。
彼の眼下で車両隊…先頭は黄色いスクールバスだ…が平原を渡っていく。
地平線に砂埃が立ち、車両隊と合流すべく移動していく。
マックスは壊れた双眼鏡を目に当てる。砂埃はジャイロ・キャプテンだ。
ジャイロコプターの残骸…ローターはなくなり、エンジンは悲鳴を上げている…に乗ってガタゴト走ってくる。
マックスは「呆れた」と首を振って、丘の頂上に停めたローンウルフ・マシンの方へ戻っていく。
あの老人の声がもう一度聞こえてくる。

語り手(声のみ)
彼を見たのは、それが最後だった…


180 内景 スクールバス 夕暮れ

固い決意の表情を浮かべたパパガロが、黄色のスクールバスを運転しているのが見える。

語り手(声のみ)
私たちの残りについて話そう…
パパガロは私たちを北へ導いた…
安全な地へ…日の当たる地へと…
彼は十年の間、自らの新世界の夢を育てて、そして伐採の事故で死んだ。

自分がいる窓のそばにジャイロ・キャプテンが並んできて、ラスティ・ガールは「呆れた」と目を回し、ため息をつく。
語り手(声のみ)
キャプテンとその女は何年も喧嘩を続けて…一緒に八人の子を育てた…
そして私は…

バスの後部に座っている野生児が我々の方へ振り向く。彼の明るい黄色の眼がまっすぐカメラを見つめる…

語り手(声のみ)
時が満ちて、私は指導者となった…偉大なる北の部族の長となったのだ…
ディゾルブ


181 語り手の顔

我々は初めて語り手の眼を見る…その両眼は、明るい黄色をしている。
画面暗転


182 エンド・クレジットが流れる

 

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