映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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今回からクライマックスの部分を訳していきます。
前回訳した冒頭の部分から後、映画同様にマックスはジャイロ・キャプテンと知り合い、製油キャンプの住人たちと牽引車を運んでくる取引をし、略奪者たちの追撃を振りきって牽引車をキャンプに運んできました。そのドサクサにキャンプに入り込んだ略奪者たちを撃退したところからです。


96 キャンプ外周の濠 昼間

ウェズは濠の中に着地する。
彼は残骸をよじ登って濠から出ると、手の届かない距離へ逃げてしまう。


97 キャンプの中 タンク車 昼間

ジャイロ・キャプテンはタンク車の上にいて、棒を投げつけ、略奪者どもに向けて拳を振り回している…歓喜に酔う居住区の人々に見せつけるように。
何人かがジャイロ・キャプテンと握手を交わし、野生児はこの奇妙な儀式に魅入られ、困惑してじっと見つめている。      
メカニックはもう牽引車の損害を調べている。
パパガロは銃座の基部に寄りかかっている。彼の大腿の傷をビッグ・レベッカ女戦士が手当している。

パパガロ
オーケー!オーケー!さっさとやろう。
今夜脱出するぞ!

メカニックがエンジンの間から頭を上げる。

メカニック
ラジエーターに穴が開いて…タイミング・ケースまで届いてる。
少なくとも24時間はかかるぞ。

パパガロ
12時間でやるんだ。

人だかりが散っていく。
静かなる男」は病院代わりのパネル・バンへ運ばれていく。死体が運ばれていく。キャンプの住人たちが車両に荷物を積み込んでいる。男たちがタンク車の上で作業している。
キャンプ入口の銃座に女戦士が登ってくる。


98 銃座 昼間

略奪者たちはまた丘の上に集結している。
マックスは火炎放射器を握ったまま彼らを見張っている。女戦士が彼に近づく。

女戦士
あなたに言っておきたいの…あなたのしたことはとても勇敢だったわ。

マックスは何も答えない…ただ彼女に火炎放射器を手渡し、梯子を降りていく。


99 居住区の中 昼間

ビッグ・レベッカがパパガロの足から矢を引き抜く。マックスが画面に入ってくる。パパガロはマックスが黒のマシンの方へ歩いていくのを見ている。車の鼻面がピラミッド型の作業場から突き出している。マックスはジャイロコプターのそばを通り過ぎ、ジャイロ・キャプテンが「カーマジョン(意地悪じいさん)」と話しているのが見える。

カーマジョン
ところでな、若いの、おまえのこの乗り物…2人は乗れるよな?

ジャイロ・キャプテンはカーマジョンの肩ごしにラスティをちらりと見る。彼女はジャイロコプターにすっかり感心している。

ジャイロ・キャプテン
ああ…たぶんね。

野生児が前に歩み出て、ぎこちなく片手をマックスに差し出す。
マックスはためらい、そして手短に握手をする。野生児は笑う…この握手というものがとても楽しいとわかったのだ。マックスはピラミッド型の作業場へ向かい、野生児は軋む音を立てる彼のぎこちない歩き方を真似しながら、その足跡を追っていく。


100 内景 ピラミッド型の作業場 午後遅く

ピラミッドの中の入り組んだパイプを通して、我々は眼下で黒のマシンを整備しているマックスを高い位置から見下ろしている。
前景で野生児が画面に入ってきて、パイプに登っていく。野生児はある曲を柔らかくハミングしている…「ハッピー・バースデー」の最初の部分だ。
作業場の床では、小さな吸い上げポンプが44ガロン入りのドラム缶から黒のマシンの燃料タンクへとガソリンを給油している。
マックスは電線と導火線をガソリンタンクのキャップにつなぎ、ブービー・トラップを再セットする。彼は工具ベルトを外し、上着を脱いでいて、それらの私物をそばの作業台に置いている。
その背景、アーチ型の入口の向こうでは、メカニックと彼のチームが溶接機やライトを持ってトラックの修理をしているのが見える。

マックスが顔を上げる。
カーマジョンがパパガロを作業場の中へ案内してくる。

カーマジョン
見ろ!言っただろう。彼は出ていこうとしてるって。

ピラミッドの天井から野生児がパイプにぶら下がって降りはじめる…マックスが上着と工具ベルトを置いている作業台へと。作業場の床ではパパガロがマックスと向かい合う。                         

パパガロ
礼を言っている暇はない。君が外で何をしたか、それが我々にとってどういうことなのかはわかるだろう。マックス、我々と一緒に来てくれ。タンク車を運転してくれ。

マックスは作業を続ける…4本の排気管にボロ切れをねじ込んで排気音を低くしている。

マックス
俺たちは取引した。俺はやるべきことをやって、俺の車と俺のガソリンを手に入れた。それで終わりだ。

パパガロ
そうじゃなくても構わんだろう…俺たちは新しい取引をするんだ。あんたに人生を立て直すチャンスを、未来を提供する。

カーマジョンが興奮して話に割り込む。

カーマジョン
あんたも行くべきだぞ、見ろよ!

彼は土産物の絵はがきの薄汚れた包みを取り出す。その袋にはこう書かれている。

光あふれる浜辺からのご挨拶

作業台の上で、あの手回しオルゴールの方へ野生児の腕が伸びる。マックスの手がすばやく伸びて野生児の手首をつかむ。野生児はオルゴールを落とす。マックスが手を放し、野生児は物陰へ逃げこむ。
カーマジョンはマックスの顔の前で絵はがきを開いてみせる。

カーマジョン
俺たちが向かうのはここだ。
2千マイル離れてる。
まさしく天国さ。新鮮な水…たっぷりの日射し…何の苦労もない…

マックスはまた作業に戻ろうとする。
パパガロが彼の肩をつかむ。

パパガロ
外で何を求めているんだ?毎日毎日ゴミ漁りをしてどれだけ生き延びられると思うんだ?君はあいつらと変わらないぞ。

彼は略奪者ども…ハゲタカども、ウジ虫どものいる方向を指さす。

パパガロ
わからんのか?もっとましな生き方があるんだ!

マックスはカッとなる。怒って、

マックス
わかるさ。そうしようとしたこともあったんだ!もうやめろ。俺は関わり合いにならない。俺は出て行く。今夜出て行く。

パパガロが言い返そうとしたその時、キャンプじゅうに悲鳴が響き渡る。
全員が振り返って、見る。牽引車で作業していた男たちが銃座に駆けていき、略奪者たちのキャンプから恐ろしげな太鼓の音が聞こえ始める。


101 居住区の中 キャットウォーク 夕暮れ

パパガロは作業場に近い精油設備のキャットウォークに登る。キャンプの他の数人…ジャイロ・キャプテンとラスティがもうそこにいて…無人の荒野を見渡している。
略奪者たちが二本の高い柱を立てている。その柱にはあの朝つかまったキャンプの住人が2人、釘で打ち付けられて悲鳴を上げている。
パパガロは地上で黒のマシンのそばにいるマックスの方へ振り返る。

パパガロ
見えるだろう!あれがもう一つの生き方だぞ!
人が人を食いものにするんだ。

マックスは作業に戻る。
ジャイロ・キャプテンはそっとラスティの肩を抱く。

ジャイロ・キャプテン
ダーリン、怖いだろうね。
でも君に秘密を教えてあげるよ、スイートハート。ぼくだって怖いんだ。

彼はラスティをぎゅっと抱きしめる。彼女は彼の手を優しく撫でてやる。

ディゾルブ


102 無人の荒野 夜

大きな焚き火に照らされて、二本の柱のそばには何種類かの略奪者たちが一ダースほどおり、自分たちの車の外板を打ち鳴らしている。ヒューマンガスが見つめる中、さらに二人の犠牲者が柱に掲げられる。車体を打ち鳴らす音はさらに熱狂的になっていく。

フェード・アウト
         
マックスが汗まみれになって、作業場の床に敷かれていた数枚の鉄板を引きはがしている。
彼はそれを引きずってキャンプを横切っていき、牽引車に取りついたメカニックのチームが溶接の火花を飛ばして作業しているそばを通る。
メカニックが顔を上げる。

メカニック
行けよ!行っちまえ!おまえもあいつらと同じだ!

彼はつばを吐く。
マックスは彼を相手にせず、鉄板を引きずってパパガロのテントのそばを通る。そこは脱出の計画を話し合うキャンプの住人たちでいっぱいだ。
彼らは話をやめ、振り返ってマックスをじっと見つめる。


104 キャンプの外壁 車の橋 夜

モホークどもが濠を渡る「車の橋」を作ろうとした場所の近く、フェンスのそばに黒のマシンが停まっている。
マックスは有刺鉄線を切って穴を開け、濠の中の最初の車の上に鉄板を運んでいく。車の屋根の上に、キャンプから濠の対岸へ通じる傾斜路を作り始めているのだ。

ディゾルブ

105 キャンプの中 その夜遅く 

ヒューマンガスは自分の「恐怖の劇場」をさらに激しく盛り上げている。
彼の声が夜の中に低く響き渡り…死と地獄についての恐ろしい詩を歌い上げている。
パパガロのテントに集まったキャンプの人々はそれを見つめている。マックスが作業しているあたりへジャイロ・キャプテンが歩いていく。パパガロは自分の机に座って、小さな砂時計をひっくり返す。砂が一方の端からもう一方へさらさらと流れていく。


106 キャンプの壁 車の橋 夜

最後の鉄板を固定しているマックスが、ジャイロ・キャプテンへ顔を上げる。

ジャイロ・キャプテン
知っておいてほしいんだけど、俺の意見は彼らとはちがう。

彼はパパガロのテントにいる人々を指す。

ジャイロ・キャプテン
俺はあんたが臆病者だとは思わない。ちょっとばかりバカだが…でも臆病者じゃない。
ここにあるものを他のどこで見つけられるんだ?食い物に…燃料に…病気のない女たちを。

マックスは作業に戻り、傾斜路に最後の調整をする。

ジャイロ・キャプテン
まあ、あんたにそういう趣味があるんなら、病気のない男もだ。
いいかい!俺たちはあのヒューマンガスから逃げるだけでいいんだ。あんたがタンク車を運転すれば俺たちはやれる。俺にはあんたがやれるってわかる。外にいるあんたを見たからな。俺たちと来いよマックス。タンク車を運転するんだ。

マックスは立ち上がり、首を振る。

マックス
説明している暇はないんだ。ただわかってくれ…俺には他に欲しいものはないんだ。

ジャイロ・キャプテンは口を挟もうとするが、マックスは話を打ち切る。

マックス
明日の幸運を祈ってる。
うまくいくよう願ってるよ。                         
                         
マックスが片手を差し出す。
キャプテンは少し驚いて、マックスと握手を交わす。

ジャイロ・キャプテン
ありがとうな。本当にありがとう。

キャプテンはパパガロのテントからじっと見ている人々の方へ戻っていく。彼は肩をすくめる。マックスは黒のマシンのドアを開ける。


107 キャンプの外 車の橋 夜

マックスは黒のマシンを鉄板の上にそっと進ませる。
間に合わせの橋の上を、ワイド・タイヤがゆっくりと進んでいく。
マックスは最後の登りを越えるためにエンジンを吹かす。排気管に詰め込まれた栓が大馬力のエンジンの排気音を殺している。
ヒューマンガスの恐ろしい戯言が荒野に低く響き続けている。

  

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