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2 ヘリコプターからの空撮、夜明け
カメラは無人のハイウェイの上り下りやカーブをたどりながら飛び、やがて道を外れて広大な荒野へと飛び出していく。
3 荒野のハイウェイ 昼間
スーパーチャージャーの吸気口の黒い穴が画面のほとんどを占めている。ハンドルの向こうには周囲を見回しているマックスがいる。革の服は3年分古びている。彼はやつれてみすぼらしく、ぼろぼろだ。
路上での数々の闘いで傷ついた黒い追跡車は、ジェットコースターのようにハイウェイを下っていく。
マックスは丘の頂を越えてブレーキを踏む。彼の道連れである雑種犬が、何事かとチャイルドシートから頭を上げる。
黒のマシンはスリップして停まる。
4 ハイウェイのそばの小屋
道路のすぐ傍に、茶色の土埃でシルエットになっているが、戦士のような男達の一団が見える。彼らは農園の車両を略奪している。燃料を汲み出し、食料や他の物資を彼らの改造車へと積み込んでいる。
犬が唸る。マックスは遠くの山の稜線を見る。
地平線に、燃え上がる小屋と節くれだった枯れ木からぶら下がった三つの死体が見える。
マックスはその男たちに視線を戻す。何人かが彼に気づき、自分たちの車へ走る。
先頭は赤いモヒカン刈りの筋肉質の男で-革と金属の胸当て、ショルダーパッド、すね当ての重装備をしている。彼がウェズだ。彼はゴールデン・ユースが後部座席に座る大型バイクへと走っていく。その後を2人のモホークのバイクと、ロード・レーサーに乗った3人のバーサーカー、そして奇怪なデューン・バギーに乗った4人のスメグマ・クレージーたちが追う。
マックスは大馬力のエンジンを吹かす。黒のマシンは走りだす。
マックスはスーパーチャージャーを作動させ-急激に加速していく。
リアウインドウごしに、追跡してくるウェズが他の九台の車の先頭に立って丘を下ってくるのが見える。
(訳注 「モホーク」や「バーサーカー」「スメグマ・クレージー」というのは暴走族の種別やタイプのようで、訳しようがないのでそのままの表記にしてあります。)
ワイプ
5 ハイウェイの他のどこか(少し後) 昼間
追跡劇を高所からヘリコプター・ショットでとらえる。略奪者たちは一列になってハイウェイを追ってくる。黒のマシンについていけているのは、最も速いウェズのマシンだけだ。
6 ハイウェイ上の残骸(さらにその後)昼間
黒のマシンが大きなカーブを曲がってくる。まだ追跡しているマシンは3台だけなのがわかる。
先頭はウェズの大型バイクで、後席にはゴールデン・ユースが乗っている。その後には奇怪なロード・レーサーと風変わりなデューン・バイクが続いている。
黒のマシンが丘の頂上を超えると、マックスは前方の道路に数台の車のもつれた残骸を見つける。彼は急ハンドルを切って残骸の間をジグザグに走り、スピードを上げてゆるい右カーブへ入っていく。
ウェズはバイクで最初の残骸の上に登ってコースを変え、他の残骸をかわす。
ロード・レーサーは最初の残骸に前輪を載せるがコースを変え切れない。ロード・レーサーは二つ目の残骸に衝突してくるくる回転させ、そして黒のマシンの追跡を続ける。デューン・バギーは残骸をまとめて避けると決め、右へと道路を外れていく。バギーはカーブで黒のマシンに先回りしようと、開けた平原を横切っていく。
7 略奪者たち、追いつく ハイウェイ 昼間
マックスの車のダッシュボードにランプがひとつ灯り、警告音がする。マックスは燃料計を見る。空に近い。
彼は呪いの言葉を呟くとスイッチを切って、スーパーチャージャーを停める。
黒のマシンが減速する…
犬がくんくん鳴き、椅子から出てマックスの座席の下へ這い込む。
ウェズがマックスの助手席側へ追いつく。彼は腕を上げ、手甲型のクロスボウをマックスの頭に向ける。
際どいところで、マックスは運転席側にロード・レーサーが並んできたことに気づく。
ロード・レーサーの助手席に座るゲイボーイ・バーサーカーが恐ろしい圧搾ガス式の武器を向ける。太い銃身から六本の矢の先端が突き出している。この武器は「ポータ・パック」だ。
(訳注 ポータブル・ビデオカメラの意。そういうサイズ・形状なのでしょう。)
マックスはブレーキを踏む。
ロード・レーサーと大型バイクは黒のマシンを追い越してしまう…
同時にポータ・パックが発射される。
矢のうち二本は黒のマシンに刺さり、三本はどこかへ飛んでいき、一本はウェズの腕に突き刺さる。
マックスは黒のマシンをロード・レーサーの後ろにつける…
必死にバイクを運転しているウェズは道路を外れていく…
マックスはギアをシフト・ダウンしてスーパーチャージャーを作動させる…
黒のマシンは前に飛び出し、ロード・レーサーの後部にぶつかって前へ押しやる。そのときあのデューン・バギーがハイウェイに戻ってくる…
8 (判別不能)
ロード・レーサーの運転手は悲鳴を上げ、彼のマシンはデューン・バギーにぶつかって玩具のように回転させ、大型トレーラーの横腹に激突させる。
ロード・レーサーはスリップして横転し、標識をなぎ倒して電信柱に激突する。
電信柱が道路に倒れ、マックスはハンドブレーキを引いて、黒のマシンは交差点の真ん中でタイヤを鳴らして急停車する。
ジェリカンを持ったマックスが黒のマシンから出てくる。
彼はハイウェイを見下ろす。
9 交差点を見渡す高台
ウェズが丘の頂上にバイクを停め、交差点を見下ろしている。あの矢はまだ彼の腕に刺さったままだ。我々はこのとき初めてはっきりとゴールデン・ユースを見る。彼はぎょっとするほど美しい…
10 交差点
マックスは気にもせず、大型トレーラーの下にもぐりこんだデューン・バギーの残骸へと急ぐ。壊れたタンクから燃料が流れている。
残骸の中から、傷を追った運転手のうめき声が聞こえる。
マックスはこぼれる燃料の下にジェリカンを置き、首に巻いたバンダナを取り…道路に流れた燃料を拭っていく。
だしぬけに、甲高い笛の音が聞こえる。
マックスは丘の頂上を見上げる。
11 交差点を見渡す丘 昼間
ウェズはにやりと笑い、腕からゆっくりと矢を引きぬく。その両目はマックスからまったく離れない。
彼はその矢を掲げ、声を出さずに言う。
それだけ言うと彼はその矢を矢筒にしまい、エンジンを吹かす。彼は前輪を上げてしばらくそのまま掲げ、そしてバイクを急旋回させ、帰っていく。
12 (判別不能)
マックスは大型トレーラーを調べる。
タイヤのほとんどは矢を受けてパンクし、後部ドアは壊されて積荷が略奪されている。
マックスは燃料タンクをこつこつ叩いてみる…空っぽだ。
彼は運転席のドアを開けようと手を伸ばす…
苦しげな悲鳴が聞こえ、マックスは振り向く。
デューン・バギーのねじれた残骸の間から死にかけた運転手の片手が突き出している。
その爪が車体の塗装に深く食い込み、残骸から黒っぽい血があふれ出す。そして沈黙。
マックスは運転席のドアを開ける…
人影が落ちてきて、彼の肩にぶつかる。マックスはのしかかる人影から逃げようともがき、我々にはそれがトレーラーの運転手の腐ってむくんだ死体であることがわかる。彼の首にはクロスボウの矢が二本刺さっている…
マックスは立ち止まり、おもちゃの手回しオルゴールを拾い上げる。死んだ運転手の手から落ちたものだ。
彼は黒のマシンへ歩いて戻りながらハンドルを回し、「ハッピーバースデー」のさわりの何音かを鳴らす。
彼は車のそば、交差路の真ん中で立ち止まる。彼はある方向から逆の方向まで見渡す。どちらに行くか決めかねている…そして壊された道標を見つける。
彼は破片のひとつを拾い上げる。そこには「ワン・ツリー・ヒル」と書かれている。
そして彼はそれを空中へ投げる。
破片は北を指して彼の足元に落ちる。
彼は車に乗り込み、その方向へ走り出す。
フェード・アウト
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