内景 横木の空間 いくつかの連続ショット
リプリーたちは広大な空間を渡っていく…アンソニーが数歩先を歩いている。彼らが持つロウソクの光は数ヤード先を見るのがやっとだ。広大な空間を風が吹き抜け、足元の板は古い家の長いベンチのように軋む。
リプリーは自分の「告白」を思い出す。
彼女は上を見上げる。
ジョンは無意識に自分の本に触れる。
内景 縦穴の梯子 牢獄の階層 夜
この空間の端には、四階上の他の監房区の廊下へ通じる作りの粗い木製の梯子がある。何年も湿っぽい空気にさらされて梯子はねじれている。リプリーが松明を左手に先頭に立つ。三人は登っていく…。
内景 牢獄の廊下 四階 夜
暗い。リプリーが最初に上がってくる。
彼女は松明を掲げて廊下を一人で歩いて行く。
ここの牢獄にはドアがない。
彼女は松明を一方に向ける。
古い骸骨が一体、静かにうずくまって瞑想している。
梯子
ジョンはちょうど登り切ったところで、アンソニーがすぐ後に続いている。アンソニーは息を切らしている。彼は手を貸してくれと手を伸ばす。ジョンは振り返って、リプリーが一人で先へ進むのを見る。それからアンソニーへ手を伸ばす。
二人の手が組み合って…
アンソニー、「幻覚」を見る
見たところ、彼は一人で開けた野原に立っているようだ。彼のそばで羊がおとなしく草を食んでいる。
出し抜けに、彼は中世の悪魔の大群に襲われる。
魚の顔の悪魔。人の顔をした鳥の悪魔。
悪魔たちは彼の頭上を飛び回り、彼の手足につかみかかる。
彼のそばにいた羊が口を開けてずらりと並んだカミソリのような牙を見せ、彼の足首に深々と突き立てる…
アンソニーは悲鳴を上げる!
リプリー
廊下を歩いていてその悲鳴を聞き、振り返って…アンソニーがジョンの手から逃れようと暴れているのを見る。
アンソニー
現実世界では梯子の最上段で危なっかしくバランスをとっている。彼のアンドロイドの精神の中では悪魔どもと戦っている。
彼がのけぞる…
悪魔の羊が噛み付くのから逃れようと、彼は左足を引く。
梯子を踏み外す…彼の下には四十フィートの奈落が待ち構えている…
ジョン
アンソニーの手を離すまいと必死になっている。
アンソニーが背中から縦坑へ落ちていくのを防いでいるのは、彼の手だけなのだ。
彼は全力で引っぱる…
アンソニー
恐ろしい鳥の悪魔がくちばしで彼の手に噛みつくのを見る…
彼の手首に深く食い込んでいく。彼は棍棒を宙で振り回す…
彼は悪魔の頭に狙いを定めて…
ガツン!
ジョンの手を棍棒で殴りつける。
ジョンは痛みに大声を上げて、手を放してしまう…。
アンソニーは両腕を空中で振り回しながら、片足で後ろへぐらつく。
リプリーの手がすばやく突き出され…
アンソニーのカソックをつかんで…
彼が落ちるのを食い止める。
新しい恐怖の光景にアンソニーの両眼が大きく見開かれる…
彼のカソックをつかんでいる、恐ろしく、濡れた、ワイヤーのような腕をした怪物だ…長くて光沢のある頭をしている。
リプリーがエイリアンに変わっているのだ。
ガツン!
アンソニーが棍棒で怪物を殴りつける…
リプリーの頭を殴っている。
ガツン!
もう一撃。今度は顔だ。
ジョンはアンソニーの棍棒を持った手をつかもうとする…
ガツン!
棍棒が風を切って彼の側頭部を打ち、彼は後ろへ倒れる。
リプリーは足を踏ん張ってアンソニーのカソックを引っ張る…
彼女は口を開け…苦しげな声を漏らす…
アンソニーは恐ろしいエイリアンが噛み付こうと大きな口を開けるのを見る。
ガツン!
彼の棍棒がリプリーの鼻筋を打つ。
彼女は頭の中で星が散るのを見る…足元がぐらつく…
前によろめいて、アンソニーと一緒に落ちそうになり…
ジョンが二人を捕まえる!
もみ合う二人を両腕で抱え込み、スモウ・レスラーのように持ち上げて後ろへ倒れる。三人は廊下へ…ドサッ!
三人は折り重なって床に倒れる。
アンソニーはまだ棍棒を振り回している…
リプリーとジョンはアンソニーを二人の間の床に押さえ付ける。
アンソニーの幻覚がやっと消える。
彼は意識を失う。
ジョン
荒い息をしている…両眼を開ける…
彼はリプリーの顔を正面から見つめている。
一インチも離れていない。
彼はリプリーの上に横たわっているのだ。
彼女もまた荒い息をしている。
長く、居心地の悪い時間が流れる。
二人は互いに転がって離れる。
彼女の手が鼻に伸びる。
血が付いている。
ジョンは自分の袋に手を入れ、小さな木綿の袋を取り出す。
彼女は尋ねるような眼つきで彼を見る。
彼女は小さな袋を鼻に押し当てる。鼻血は止まっている。
二人はアンソニーのところへ行き、手を貸して彼を立たせようとする。
彼はそれを振り払う。
彼はこめかみを擦る。白い、ミルクのような汗が彼の頬を流れ落ちる。
ジョンが自分の両眼を指さす。
彼のまぶたが落ちてくる。
彼は目を閉じる。リプリーは松明を拾ってくる。
リプリーは立とうとする…ジョンは彼女の腕をとって引き起こしてやる。
リプリーは彼の言ったことを考える。
彼女は微笑んで、腰を下ろす。
ジョンはカンバス地の袋をポンと叩く。
リプリーは腹をさする。
リプリーは頭を壁にもたれさせる。
目を閉じる。時間がすぎる。
彼女が眉をひそめる。
ジョンはそれを見る。
彼は腕を伸ばし、リプリーのカソックの下に手を入れる。
彼女の腹に触れる。彼の手は温かい。
彼は手を引っ込める。
彼女は手を伸ばし、彼の両手を握る。その両手をひっくり返す。
自分の手に置かれた彼女の手に、ジョンは…居心地の悪さを感じる。
二人は互いの目を見つめ合い…
リプリーは決まり悪くて、ジョンの手を放す。
アンソニーを見る。彼は立ち上がろうとしている。
三人は歩き出す…
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