内景 廊下 牢獄の階層 夜
板張りの長い、ねじれた廊下で、二十フィートごとに松明が灯されている。突き当たりに動くものがある。何かがこちらへやってくる。光と影がちらちらと瞬く…
リプリー
(声のみ)
羊が?
リプリーとジョン、アンソニー
一緒に走っている。アンソニーは槍のような木製の長い棍棒を持っている。ジョンは自分の袋を、リプリーは松明を持っている。
カメラは彼らとともに移動していく。
アンソニー
あいつは宿主にした動物の特徴の一部を受け継ぐことができるに違いない。あいつらは攻撃的な戦闘種なのかもしれない。戦争をしている勢力が、敵対する星にあいつらの卵を投下するんだ。
リプリー
それにエイリアンは自分たちを発見した生物の形態を受け継ぐのよ。その生物がその星を支配している生命体だと推定してね。だから人間を宿主にしたときは…
リプリーはその記憶を思い出して身震いする。
アンソニー
二本脚になる。羊や牛に寄生すれば、四つ脚になる。
リプリー
ちくしょう。動物にも寄生できると考えたことはなかったわ。
ジョン
ちょっと待ってくれ…君はこの怪物の専門家だと思っていたよ。
リプリー
それだけの理由で私を外に出したの?私があの生き物を知っていたから?
ジョン
そうだ。だがそうじゃない。つまり、ある程度はそうだってことだ。私は君が間違っていたと考えたことはない。間違いだったのは何も言わなかったことだ。声を上げることが怖かったんだ。修道士であることは難しいんだ、わかるだろう?
リプリーは立ち止まる。彼を見る。
長い間がある。
リプリー
ありがとう。どっちにしろ、あなたは正直だわ。
ジョン
私たちはみんなそうさ。修道院に入ったんだからね。
リプリー
院長も正直なのか、私にはわからないわ。
ジョン
彼が自分のしたことは正しかったと考えているのは間違いないね。
リプリー
その話は誰かの役に立つの?
ジョン
いいや。でも寛大さを持たないとね。
彼女は微笑む。彼らは角を曲がって…
内景 傾斜した廊下 夜
この廊下はわずかに下り坂になっている。三人は小走りで進みながら、自分たちの身体が後ろへ傾いていることに気づく。
リプリー
いいわ、過去のことは忘れて私たちが生き延びることに集中しましょう。私たちのほかに囚人はいないの?
アンソニー
もう何年もいないよ。
リプリー
わかった…もしエイリアンに二、三日も卵を生む時間があったのなら、唯一の希望は脱出することだけだわ。ここから…ここは何なの?
ジョン
アルケオンだ。
アンソニー
人工衛星だよ。
リプリー
私の船に行って、この人工衛星から脱出するのよ。
ジョン
できないよ。
リプリー
何ができないですって?
ジョン
アルケオンから出ることだ。図書館を放ってはおけない…
リプリー
テープの保管所?
ジョン
本のだ。
リプリー
だから?
ジョン
私たちがここにいる理由なんだ。最初の黒死病の流行のとき、イギリスの離れ小島の修道院で図書館を守った修道士たちと同じさ。
リプリー
本は他のコロニーにもあるはずだわ…
ジョン
ここの本には、アレクサンドリア図書館の焚書を切り抜けたものもあるんだ。そういう本には他の記録にはない知識が収められている。その価値は計り知れない。
彼は自分の袋に入った本の背表紙に指を滑らせる。
ジョン
私たちはそういう本を守らなければならないんだ。
リプリー
(アンソニーに)
それで、どうしてアンドロイドがこんなことに関わってるの?
ジョン
彼はスパイなんだ。
アンソニー
企業が私をここに送り込んだのさ。
リプリー
企業が?どうして企業がそんなことをしなければならないの?
アンソニー
彼らがこの収容所を作ったんだ。
リプリー
収容所?
ジョン
コロニーだよ。
アンソニー
収容所だ。彼らはみんな政治的異端者なんだ。
リプリーはジョンを見る。
リプリー
そのことは言わなかったわね。
ジョン
その信仰は単なるカウンターカルチャーを超えたものだった。人々の生活を乗っ取り始めていた科学技術に対する反抗だったんだ。それはひどく単純な考え方だった…ディスクを見るのではなく本を読め。大気中に炭素を放出するのではなく足で歩け。最初期のメンバーは一切の科学技術を捨てた。残されていた本の収集を始めた。ウイルスのことがなければ、誰も気にしなかっただろう。
リプリー
あなたの院長もそのことを言ってたわね。新しい疫病だと。
アンソニー
コンピューター・ウイルス。悪質なプログラムだ。現在では企業の組織は多国籍で、世界中のデータ保管システムはリンクしている。ウイルスが駆除されるまでに二つの国がやられた。
ジョン
そういう恐慌のあと、我々の隠れ家には数千人が押し寄せた。人々は紙に書かれた情報を求めた。我々の本をね。彼らは近代的なやり方を捨てた…
リプリー
どうしてこういう事になったかはわかったわ。彼らはものを所有することをやめたのね。
アンソニー
これは脅威だったんだ…
リプリー
企業にとってのね。
ジョン
彼らは科学技術を売っていたんだ。シンプルに生きる、という運動は国家の工作員によってすぐにねじ曲げられ、企業が支配する世界政府に対する政治活動になってしまった。やりすぎが危険だったんだ。
リプリー
利益を追求しすぎるのもね。
ジョン
我々は政治的反体制派だと宣告された。この衛星は我々の収容所だ。全員が我々の本と一緒にまとめて宇宙へ連れて行かれた。二千人だ。一番の年長者はすぐに死んだよ。
リプリー
企業にもそんな皮肉のセンスがあるのね。あなたたちをこの木の桶に追放するなんて。
アンソニー
僕はセンサーとして彼らの中に送り込まれた。この運動を監視し続けるために。
リプリー
それで、彼らはどうやってあなたを見つけたの?
アンソニー
僕が彼らに話したんだ。補給船が来なくなって、僕は偽装を続けることに意味がないと気づいたんだ。僕は歩いているだけでも科学技術を思い出させるから、彼らは僕を幽閉した。
リプリー
クラブに仲間入りしたわけね。
(ジョンに)
これは計画されたものじゃないだろうと思っていたわ。天才じゃなくてもわかるはずよ。女性抜きで…人が書いたものを何世代も保存していくのが賢明じゃないってことはね。
ジョンはきまり悪そうだ。
リプリー
それにあなたの言う新しい疫病については知らないけど、私は地球にいて、何も異常はなかったわ。
ジョンは疑っているような表情だ。
リプリー
エイリアンのことについて私は正しかったでしょう?
それはつまり、地球のことについても私が正しいってことよ。
彼女の主張の裏にある論理は彼を落ち着かなくさせる。
ジョン
(少しの間)
あるいはね。
リプリー
何もないよりはマシね。行きましょう。
彼らは廊下の突き当りまで来る。
そこは…