映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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図書館 夜

ジョンが両手で頭を抱えている。彼の背中が寝息に合わせてリズミカルに上下している。
マティアスは彼の足元で丸くなっている。同じように眠っている。
バーン!
図書館のドアが勢いよく開く。
ジョンはさっと身体を起こす。

ヒステリックな修道士が駆け込んでくる。
ジョンのテーブルに駆け寄る。

ヒステリックな修道士
ブラザー・ジョン!ここだったんですね!院長はあなたが…私は…あなたはお医者様ですよね…

ジョン
どうしたんだ!?

ヒステリックな修道士
私のサンディが…彼女が病気なんです…

ジョンは目をこすって眠気を払おうとする。

ジョン
えっ?女性なのか?

ヒステリックな修道士
サンディです。私の雌羊です。

ジョンはまたテーブルに突っ伏す。

ジョン
君の羊だって?やれやれ。獣医を呼べよ。

ヒステリックな修道士
アンセルム神父が獣医だったのです。

ジョンは組んだ腕の下からマティアスを見る。
犬はただじっと彼を見つめている。

ジョン
仕方がないな。ようし、鞄を取ってこさせてくれ。大なるものも小なるものも、全て生き物だ…


内景 ヒステリックな修道士の納屋 夜

何頭かの羊と檻に入った二、三羽の鶏がいる小さな建物。木の壁の板が剥がされた箇所にぽっかり穴が開いている。

ヒステリックな修道士は辺りを照らすために松明を持っている。彼の羊の一頭が、横腹を下にして横たわっている。

ヒステリックな修道士
彼女に晩の餌をやったら、ばったり倒れたんです。

ジョン
私も倒れそうだよ。ここは凍えそうに寒いな。

ヒステリックな修道士
私の小屋で薪に使うために、壁から板を剥がしてしまったんです。

ジョン
私たちみんな…

ジョンは雌羊のそばにひざまずく。
羊は苦しげに、せわしなく呼吸している。

ジョンは床に敷かれた干し草の上に左手を突いて、右手で羊の首の脈を取る。
羊が弱々しく「バアア」と鳴く。

ジョン
肺炎かもしれない。彼女の周りに干し草を撒くんだ。この冷たい風を防がなければ。

ヒステリックな修道士は松明を空のバケツの上に置き、作りの粗い鉄のピッチフォークを壁から取る。
倒れた羊の周りに干し草を積み上げ始める。

ジョン
とりあえず、私が…

彼は身体を起こして鞄に手を伸ばそうとするが、左手に付いたものを見て動きを止める…

ぬるぬるした粘液のようなものだ。

ジョン
ちょっと待ってくれ…

ヒステリックな修道士が作業の手を止める。
ジョンはその粘液を指の間でこすってみる。
鼻の近くに持って行き、臭いを嗅いでみる。

ヒステリックな修道士
それは何です?

ジョン
わからないよ。床全体にこぼれてるんだ。
ある種の…

バアアアアアアアア!!
雌羊が震え始める…激しくなる…
ジョンは羊を押さえつけようとする…
ヒステリックな修道士はこの時点で完全に錯乱してしまう。

ヒステリックな修道士
何だ!?何なんだ!?

ジョン
くそっ!手を貸して…

雌羊が激しく痙攣し、ジョンは後ろへ投げ出される…
彼はバケツを倒してしまう…松明が干し草の中に落ちる…
松明の火が消え、明かりがなくなる。
そして干し草が燃え始める…
その弱々しい炎に照らされて…

バアアアアアア…ドカン!
雌羊が爆発する…!
腹部が破裂し…
二人の修道士に内臓と血がぶちまけられる。
二人は悲鳴を上げ始める。

ちらちら輝いていた火が大きくなり…

もがき、痙攣する死体から恐ろしいエイリアンのチェストバスターが飛び出してくる。

チェストバスターには宿主としていた動物の特徴が現れている。ふわふわした、しかし血にまみれた羊毛に覆われた長い頭から、カミソリのようなちっちゃな歯と黒いガラスのような両眼がのぞいている。このチェストバスターは四つ足で、臓物の中から抜けだそうと短い後脚をばたつかせている。

ジョンは悲鳴を上げることしかできない。彼が想像しうる最も恐ろしい悪夢が、動物の内臓の中から抜けだそうとしている。

ヒステリックな修道士は大好きなサンディの死によって恐怖が怒りに取って代わり、硬直している医者の前に歩み出て、本能的に怪物に向かってピッチフォークを突き出す…
鋭利な先端が、怪物の発達途上の胴体に突き刺さる…

怪物

半分エイリアン、半分羊の怪物は甲高い金切り声で泣き叫び…寄生していた巣から乱暴に引き離される…
修道士は怪物を持ち上げる…

怪物はピッチフォークの先端で身をよじり、板張りの床に酸性の血液が滴って…一滴ごとに小さな炎が燃え上がる。

ヒステリックな修道士は、今や大きく燃え上がっている干し草の火の方へ振り向く…
納屋の一角は激しく燃えている…
そこへ忌まわしい怪物を突き出す…

炎の舌が伸びて羊/エイリアンのもがく身体を包み込む…ちっちゃな尻尾が振り回され、怪物はじゅうじゅう音を立てて、ポンと弾ける。

怪物は死に、低くなっていく鳴き声は納屋の中でしか聞こえない大きさになる。ヒステリックな修道士は炎の中にフォークをつきだしたまま、ジョンの無事を確かめようと振り返る。

ジョン

顔は歪んだままで、両眼は燃えている怪物から離れない。肺から空気を押し出すが、開きっぱなしの口からは何の言葉も出てこない…この医師は悪魔を見るという経験をしているところだ。


外景 ヒステリックな修道士の納屋 夜

建屋全体が焚き火のように燃え上がり、木の壁が内側へ燃え落ちていく。
つんと来る黒い煙が天井へ立ち昇り、垂木の間に広がっていく…

カメラはこの場面から引いて窓の中へ入っていく。そこは…


内景 リプリーの部屋 夜

リプリーは炎上する納屋をじっと見つめている。いらだちながら、彼女はぐらつく脚でベッドを降り、自分のタンクトップとショーツを身に付ける。
くたびれたカソックを着て紐帯を締める…

リプリー
ばかな奴ら…私が…

バタン!
ドアが勢いよく開いて…

リプリー
何…?

たくましい四人の修道士が彼女を捕まえ、ベッドから引きずり出す…

 

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