11/27(水)
野村総合研究所 主席研究員のリチャード・クー氏(左)に、貿易の不均衡を是正するにはどうしたらよいか話を伺った(撮影:尾形文繁)
今年6月から連載を開始した「21世紀のシンクタンク・パワー」は、次回で一区切り。最後のゲストとして、日本屈指のシンクタンクである野村総合研究所に36年間在籍し、現在は主席研究員の職にあるエコノミスト、リチャード・クー氏をお迎えし、今回は対談前編をお届けする。
クー氏は「バランスシート不況」の経済理論の提唱者で、近年は、トランプ大統領の登場で自由貿易体制が不安定化する中、アジア主導の為替調整による自由貿易体制の維持を訴えた「アジアンプラザアコード」で世界的に注目されている。

船橋洋一(以下、船橋):クーさん、今日はありがとうございます。クーさんとは、プラザ合意の舞台裏を描いた『通貨烈烈』を出版した後、一緒に勉強会を開いていた頃からのご縁です。

リチャード・クー(以下、クー):本当にお久しぶりです。もう、10年ぐらい経ちますか。

この連載の一覧はこちら

船橋:いや、もっとです。ですが、クーさんの発表されたものはほとんど読んできました。最近も『インターナショナルエコノミー』の「アジアのプラザ合意」も読みました。アジア諸国の経常黒字とアメリカの経常赤字が続く限り、世界経済は安定しない。「プラザ合意」(1985年、G5蔵相・中央銀行総裁会議が合意した為替レート安定化に向けた協調政策の通称。ドル高でアメリカの貿易赤字が膨らんだ状況下、自由貿易を守るため、各国が協調しドル安を誘導する合意だった)のように大胆に為替をリアレンジメントしないと、安定は保てないという主張でした。

プラザ合意の時代はG5で、西側だけで完結する世界でしたが、今は中国やロシアも世界経済に強い影響力を持っています。その時代に、協調政策を実施することが可能でしょうか。

貿易の不均衡は為替調整で解決できる

クー:そのアイディアを最初に提案したのは10年前です。そのとき、当時人民銀行総裁だった周小川さんに興味を持っていただいて、北京で3時間ほど議論しました。彼は、鄧小平が生きていたら、5分でこの提案に乗ると。

船橋:でも、今は鄧小平がいないし、鄧小平路線を否定するような政権になっていますよね。

18

アクセスランキング

  • コメント
  • facebook
18

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
  • といざヤす9fb97ee2a27b
    クーさんは昔から好感を持っていました。日本のシンクタンク系の人にない「いい顔」をしているからです。
    日本のシンクタンクの人たちは、ヒョロヒョロしていて、実生活に足がついていない感じの秀才肌の人ばかりなので。

    >私たちは、例えば大学では、自由貿易はよいことだと学びました。自由貿易は国内に勝者と敗者を生むけれど、勝者が得るものは敗者が失うものよりもはるかに大きいから、トータルでは必ずプラスになる。だから、国内で適切な所得再分配ができるならば自由貿易は最高なのだと習いました。

    これに尽きますね。再分配ができるならば・・・という前提つきなんですよね。
    再分配が不十分な社会では、自由貿易は進んでも、勝者の総取りで格差が拡大し、階層社会となり、何世代か経てば、貴族と平民に分かれて停滞した封建社会になるでしょう。

    そろそろ「規制緩和」の夢から覚めてもいいころです。
    up29
    down6
    2019/11/25 06:55
  • スマイリー51232015686c
    リチャード・クー氏の言う通り!

    > 経済学者たちが言っているように財政が本当に限界なら、長期国債の金利の低水準を説明することはできません。


    マスコミは財政破綻を煽るが、だったら自社の資産を担保に国債を空売りでもすれば大儲けできる。
    新聞社やテレビ局なんかは、不動産を抱えているのだから
    up25
    down2
    2019/11/25 06:47
  • くつか7434eac699be
    外貨準備を全てドルで持つとすると、アメリカ以外の国の外貨準備の増加額の分だけアメリカの経常赤字になるからね。
    逆に言うと、「アメリカが経常黒字になる=他国の外貨準備が減る=米国債が売られる」という構図になるので、最近のアメリカのやりたいことがよく分からない。
    up10
    down4
    2019/11/25 09:54
  • すべてのコメントを読む